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森林破壊の原因と対策|世界・日本・個人でできる対策とは?

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土地開発や人為的な伐採などによる森林破壊で、過去50年のうちに、3分の2以上の野生生物が減少しているといわれています。

WWFの報告書では「1970年以降に、野生生物2万以上の個体数が68%も減少している」ことが示されました。

環境破壊の防止と対策は世界的な課題となっています。今回は、森林破壊にスポットをあてて、原因や対策、私たち一人ひとりができることを見ていきましょう。

出典:「過去50年で生物多様性は68%減少 地球の生命の未来を決める2020年からの行動変革」(WWF JAPAN)

1990年から2020年までに1.78億haの森林が失われている

FAO(国連食糧農業機関)の世界森林資源評価によると、1990年に42.36億ヘクタールあった森林面積が、2020年には40.58億ヘクタールにまで減少していることが明らかになっています。

減少した森林面積は、日本の国土面積のおよそ5倍です。広大な森林が30年の間に急速に失われていったことがわかります。全世界で、特に森林破壊が深刻なのは、南米やアフリカといった熱帯地域です。

参照:「世界森林資源評価2020 Key findings (仮訳)」(林野庁)

森林破壊が進む3つの主な原因

なぜ数十年の間に森林破壊が広範囲で進んでしまったのでしょうか。森林破壊が進む3つの原因を取り上げます。

過剰な森林伐採や違法伐採

森林破壊が進む原因のひとつは、過剰な森林の伐採と違法伐採です。

このうち、過剰伐採とは需要を超えて過度に森林が伐採されることをいいます。紙の原料であるパルプ、薪や炭の原料採取のための大規模な森林伐採が原因です。

違法伐採も森林破壊の問題に挙げられます。違法伐採とは、次のような法令に違反した森林伐採のことです。

  • 許可された量や面積を超えて伐採を行う
  • 伐採して良い区域外で伐採を行う
  • 許可を受けずに伐採を行う
  • 国立公園や保護区内で伐採を行う

違法伐採は、森林破壊につながるだけでなく、木材の価格を不当に押し下げることから木材の生産者にも悪影響をおよぼします。

違法な木材取引は、麻薬密輸、マネーロンダリング、組織犯罪ネットワークなどとのつながりがあることも明らかになっています。

違法伐採が行われている国の木材産業は、汚職で腐敗した一部が天然資源を破壊して自国の資源を枯渇させ、その資金で武器を購入し、地域全体での暴力の連鎖を悪化させているといった指摘もあります。

また、過度な伐採によって、土壌の保水能力が低下することも問題です。保水力が低下した場所では、地下に十分に水が供給されません。生活用水や工業用水をくみ上げるために、地下水が利用され、地盤沈下を起こすこともあります。

世界の農地のおよそ40%では、地下水に頼った灌漑(※)が行われているといわれています。地下水が枯渇すれば、世界の食料供給に影響を与えかねません。

(※)灌漑…地下水や河川、湖などから人工的に水を引き、農地に排水すること

土地の開発

土地の開発も森林破壊の原因のひとつです。土地の開発とは、農地や放牧地などへの転換、スキー場やゴルフ場といったレジャー施設の開発のことをいいます。

ブラジルでは、ボルソナロ大統領が就任以降アマゾン開発を進めており、熱帯雨林の破壊が加速しています。ブラジル国立宇宙研究所(INPE)によると、2020年から2021年にかけて1万3235平方キロメートルもの森林が失われました。

土地の開発を目的とした森林伐採は、地球温暖化にも影響を与えます。

特に牛の放牧地への転換は、伐採によってCO2を吸収する森林が失われるだけでなく、牛が温室効果ガスであるメタンを排出すること、輸送によってCO2が排出されることなど、地球温暖化の大きな懸念点となっています。。

森林火災

森林火災も森林破壊の原因です。世界では、大規模で長期にわたる森林火災が問題になっています。

森林火災の原因の多くは、人為的なものです。土地を開拓するために焼き払うといったケースです。2020年に起きた大規模なアマゾンの森林火災は、人間が火をつけ、その後制御不能に陥ったものといわれています。

一方で、空気の乾燥と枯れ葉の摩擦によって生じる自然発火も森林火災が起きる原因のひとつです。特に、近年は気候変動や地球温暖化で降水量が減少し、乾燥や干ばつ、雷による森林火災が発生しやすくなっています。

気温が1℃上昇するごとに、雷の活動は12%増加するといわれています。森林地帯で雷が増えれば、火災の発生も増えるでしょう。

温暖化による乾燥の影響を解消するには、地球の気温が1℃上昇するごとに、降水量が15%増加する必要があります。

森林破壊をこれ以上拡大させないために、世界ではさまざまな取り組みが行われています。UNCEDの森林原則声明をはじめとした3つの取り組みを見ていきましょう。

UNCEDで「森林原則声明」が採択

1992年の国連環境開発会議(UNCED)では、森林原則声明が採択されました。正式名称は、「全ての種類の森林の経営、保全及び持続可能な開発に関する世界的合意のための法的拘束力のない権威ある原則声明」です。

これは、世界初の国際的な合意となりました。当初は熱帯林保全のための条約として法的拘束力を持たせることが期待されていましたが、熱帯林を保有する途上国からの反対によって、法的拘束力をなくしたかたちで採択されています。

持続可能なパーム油の利用促進

パーム油は、アブラヤシという植物の果実から採取される植物油です。カップ麺やマーガリンといった加工食品、化粧品、洗剤、医薬品など、さまざまな製品に利用され、私たちの生活に欠かせないものとなっています。

パーム油は、利便性が良いだけでなく、ほかの植物油脂に比べ、単位面積あたりの収量が多く安価であるため、1990年代から大きく需要が伸びてきました。

原料になるアブラヤシの生産には、高温多湿な気候と日照が必要なため、インドやマレーシアをはじめとした熱帯地域でさかんに生産が行われています。

しかし、パーム油需要の拡大にともない、農地開発による森林破壊をはじめとした問題も表面化しました。

東南アジアに位置するボルネオ島では、パーム油の需要が高まるにつれてあらゆる企業の手が入り、森林が焼かれて次々と農園が作られました。1970年代までは土地の4分の3が熱帯雨林だったにもかかわらず、2015年にはその面積が3分の1にまで減少したといわれています。

このようなパーム油の状況を受けて、成立したのがRSPO(持続可能なパーム油のための円卓会議)です。生産者や製油業者をはじめとした7つの利害関係者で構成される非営利組織で、2004年に設立されました。

持続可能なパーム油のために、認証システムを導入し、生産から最終製品まで追跡できるようにしています。

SDGsの目標15「陸の豊かさも守ろう」の設定

SDGs(持続可能な開発目標)は、2030年までに持続可能な世界を目指す国際目標です。SDGsには17の目標が設定されています。中でも森林破壊に深く関連しているのが目標15の「陸の豊かさを守ろう」です。

森林伐採に関しては、森林の持続可能な管理によって森林の減少を食い止め、衰えた土地を回復させる方針が示されています。

この森林の持続可能な管理に大きく貢献しているのが、カナダです。

カナダでは、森林地の94%を政府が管理しており、CSA(カナダ規格協会)、SFI(持続可能な森林イニシアティブ)、FSC(森林管理協議会)という第三者機関による森林認証を受けているなど、世界トップレベルの管理能力を誇っています。

具体的には、伐採が可能な面積は国内面積の1%未満とされ、さらに伐採後は植林が義務付けられています。これにより、毎年6億以上の苗木が植えられており、森林の減少率は過去20年以上ほとんど0に近い(2010年時点)ともいわれています。

出典:「持続可能な森林管理」(カナダ林産業審議会)

さらに国内の森林の91%を天然林が占め、180種類以上の樹木を保有しているなど、生態系の保護にも貢献しています。

【日本】森林破壊を防ぐための対策

日本国内においても、森林破壊を防ぐ対策が行われています。どのような対策が行われているか、見ていきましょう。

森林資源の活用

日本は国土の3分の2が森林という、森林資源の豊富な国です。

しかし、木材の輸入量の増加や林業の採算性の低下から、これらの資源がうまく使われていません。手入れされず放置される森林が増えれば、高齢の木が増えてCO2吸収量が低下したり、土壌が失われたりするおそれがあります。

健全な森林づくりには「植林」→「育成」→「伐採」→「利用」のサイクルが欠かせません。

林野庁では、2005年度から木材利用の意義を広め、木材利用を拡大する「木づかい運動」を展開しています。2021年からは10月を「木材利用促進月間」として定め、木材利用の推進に向けた普及啓発活動を行っています。

「クリーンウッド法」の制定

日本では、2017年にクリーンウッド法(正式名称:合法伐採木材等の流通及び利用の促進に関する法律)が制定されました。

クリーンウッド法は、国内や原産国の法令に適った木材、木材を使用した製品の流通や利用を目的としたものです。

木材や木材関連事業者を対象に、取り扱う木材の合法性の確認や利用を求める内容で、樹木の所有者や輸出者の取引実績、取引される木材の重量や面積などを把握できるようにしています。

「グリーン購入法」の制定

グリーン購入法は、2000年に制定された法律です。環境への負荷が少ない持続可能な社会を実現するために制定されました。

グリーン購入法では、「環境負荷の少ない商品や環境負荷の低減に努める事業者の選択」、「ライフサイクルを考慮した資源の調達」、「調達量自体の抑制」、といった基本的な考え方が掲げられています。

事業者や消費者がグリーン購入を実践することで期待されていることは、以下のとおりです。

  • 森林破壊の防止などの環境面の効果
  • 環境技術の発展などの経済面の効果
  • 環境意識の向上といった社会面への効果

グリーン購入法では重点的に調達を推進する特定調達品目が定められていますが、2001年には101品目だったものが、2017年2月には274品目にまで増加しました。消費者が、環境に配慮した商品を選択できるようになっています。

森林破壊を防ぐために私たちができる対策

森林破壊の防止について、私たちにもできることが多くあります。

  • コピー用紙や紙コップの使用を減らす
  • 森林認証マークのついた製品を購入する
  • 国際林を使用した製品を購入する

まず、木材を使用したものを無駄に使用しないことです。たとえば、無駄にコピー用紙を使わない、紙コップの使用を減らす、過剰な包装を断る、といったことが挙げられるでしょう。

たとえば、コピー用紙の製造によって発生するCO2は、1t当たり1,520kgです。国民一人ずつが1枚の紙を節約することで、840t(杉の木およそ6万本分が吸収する量)のCO2削減に貢献できます。

ほかに、環境や持続可能性に配慮した製品を選択することもひとつの対策です。木材製品や紙製品を購入する際は、森林認証マークのあるものや環境に配慮した製品、国産材を使用したものなどを選択すると良いでしょう。

森林認証マークのある商品と企業例は以下のとおりです。

<紙バッグ>
マクドナルド
スターバックス
ユニクロ
無印商品

<トイレットペーパー>
ネピア

<紙ストロー>
スターバックス
すかいらーくグループ

<竹歯ブラシ>
MANA. ORGANIC LIVING

まとめ

過剰な森林伐採や違法伐採、レジャー施設や農地などの土地の開発、森林火災などを原因に、世界的に森林破壊が問題となっています。わずか25年の間にも、広大な森林が失われていってしまいました。

森林破壊については、国際レベル、国レベルでもさまざまな対策が行われていますが、私たち一人ひとりもまた、森林破壊を防止するために、意識して行動することが大切です。

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