グリーンテック

環境に配慮したモニターづくりを30年超追求するEIZO。新製品の魅力を取材!

環境に配慮したモニターづくりを30年超追求するEIZO。新製品の魅力を取材!

脱炭素化に向けた企業の動きが加速しています。

モニターを主力商品とするEIZO株式会社(以下、EIZO)は、SDGs(持続可能な開発目標)が策定されるよりも前から、自社の企業理念に基づき環境に配慮した製品づくりに力を入れてきました。

2023年には「低炭素移行計画」を策定し、その成果を色濃く反映させた新製品「FlexScan FLT」を2024年12月10日に販売開始しました。

今回は、EIZOが推進するサステナビリティ施策や新製品の魅力をお届けします。

脱炭素に関連する国内外の動向

まず、EIZOの取り組みの背景にある脱炭素に向けた国内外の動向を整理します。

2020年10月に行われた所信表明演説において、当時の首相である菅義偉氏が「2050ネットゼロ」の実現を目指す方針を表明しました。

現在、日本で排出される温室効果ガスの約9割をCO2が占め、総排出量は約10億トン超に達します。排出源の内訳は、発電所や変電所などのエネルギー転換部門が40.5%、産業部門が24.4%、運輸部門が17.8%です。

日本政府は対策として「グリーン成長戦略」を打ち出し、カーボンニュートラルに取り組む企業の支援を行っています。

一方、世界では欧州連合(EU)の欧州委員会が2023年7月、新車に必要なプラスチックの25%以上を再生品とする規制案を公表しました。

EUの再生プラスチック規制の流れを受けて、欧州にシェアを持つ日本企業もリサイクル事業に本腰を入れ始めています。

参照
外務省「気候変動『日本の排出削減目標』」
全国地球温暖化防止活動センター「データで見る温室効果ガス排出量(日本)」全国地球温暖化防止活動センター「日本の部門別二酸化炭素排出量(2022年度)」日経クロステック「自動車再生プラの欧州規制、日米欧がマテリアルよりケミカルリサイクルに軸足」

EIZO株式会社とは?

EIZOは1968年に創業した、石川県に本社を置くビジュアルテクノロジーカンパニーです。

主力商品のモニターは、オフィスやヘルスケア業界、クリエイティブ業界、船舶・航空管制市場など、幅広い分野で導入されています。

環境への意識が高い欧州をはじめ、グローバルに製品を提供してきた背景から、EIZOは自社ブランドのモニターを販売し始めた当初から、環境に配慮した製品づくりを行ってきました。

さらに2023年には、自社の製品・サービスのみならず事業活動全体においてGHG排出を削減することを重要な経営課題として据え、「低炭素移行計画」を策定しました。

この計画では、2040年までにネットゼロ(温室効果ガスの排出を正味ゼロ)を達成することを目標に掲げ、バリューチェーン全体で低炭素社会の実現に取り組んでいます。

EIZO株式会社「低炭素移行計画-Transition to Net Zero-」

低炭素移行計画:Scope3 Net Zeroロードマップ

「低炭素移行計画:Scope3 Net Zeroロードマップ」

取り組みの具体例として、EIZOでは複数台を導入する法人向けに、梱包材使用量を省くことができる集合梱包を選択できるモニターを用意しています。

従来のようにモニター1台につき1つのダンボールを使用するのではなく、モニター部、スタンド部4台をそれぞれ一つの箱にまとめて梱包する仕様です。

これにより、輸送の際の積載効率も上がり、温室効果ガス排出低減につながります。

環境に配慮した集合梱包

環境に配慮した集合梱包

また、一般社団法人パソコン3R推進協会と提携し、不要になった製品を回収して再資源化を図るシステムも構築しています。

EIZO史上最も環境に配慮した新製品「FlexScan FLT」

国内外で脱炭素化に向けた動きが加速するなか、EIZOは環境に配慮した新製品「FlexScan FLT」(以下、FLT)を販売開始しました。

FLTは「低炭素移行計画」に沿って設計された省エネモニターです。

FLTはわずか6Wの省電力

FLTはわずか6Wの省電力

さまざまな技術を開発・採用し、世界トップクラスの省電力を実現。標準消費電力はわずか6Wです(24型クラスのデスクトップモニターの消費電力は30W程度)。

また、エネルギー消費効率を示す「欧州エネルギーラベル」の最高ランクである「Class A」を24型クラスのデスクトップモニターにおいて世界で初めて取得しました。

材料の調達から製造、輸送、使用、廃棄まで製品ライフサイクル全体における温室効果ガス排出量も従来機種と比較して約32%(※1)削減しています。

モニター部に使用している再生プラスチック

モニター部に使用している再生プラスチック

モニター部筐体には、使用済みプラスチックをリサイクルした再生プラスチックを95%使用し、環境負荷の少ない素材の採用を追求しました。

また、モニター部の厚みはわずか24.4mmを実現しました。

薄型化を極めるために基板部品の低背化などに取り組んでいます。

モニターの薄型・軽量化はデザイン性に優れるだけではなく、使用する素材の削減と、製品を廃棄する際の廃棄量削減につながります。

FLT(手前)は従来機種EV2490(奥)の半分以下の薄さを実現

FLT(手前)は従来機種EV2490(奥)の半分以下の薄さを実現

さらに、梱包には再生紙や再生プラスチックなどの環境負荷を低減する素材を使用したほか、従来機種と比較して、梱包体積を約42%縮小しました。

その結果、積載効率が約1.5倍になり、輸送時の温室効果ガス排出量は最大42%(※2)削減可能です。

梱包材の原料となる再生紙素材

梱包材の原料となる再生紙素材

FlexScan FLT梱包箱

FlexScan FLT梱包箱

また、FlexScanシリーズの9機種でIT機器の国際サステナビリティ認証「TCO Certified, generation 10」を世界で初めて取得しています。

TCO Certifiedは、スウェーデンのTCO Development社が付与するものです。

オフィス向けIT機器の世界的なサステナビリティ認証として定着しており、オフィス機器の安全性、人間工学、電磁界放射、環境(有害物質・リサイクル・省エネルギー)、人権、安全衛生や倫理など多岐にわたる要求事項が規定されています。

▼FlexScan FLTスペシャルページ
https://www.eizo.co.jp/products/lcd/sp_flt/

※1 EIZO独自の算出方法によりLCA(ライフサイクルアセスメント)比較を実施し、従来機種FlexScan EV2480-Z(以下EV2480-Z)と比較した結果

※2 船舶による複数台の海上コンテナ輸送の場合(EV2480-Zと比較)

新製品発表会でサステナビリティ施策について担当者に取材!

山本実木さんにインタビュー

山本実木さんにインタビュー

2024年11月某日、都内でEIZOの新製品発表会が行われました。

発表会では新製品が展示され、参加者たちが薄型・軽量のデザインや新しい省エネ機能を実機で体感しました。

総務部次長兼総務課長を務める山本実木さんに、EIZOの取り組みや新製品のサステナビリティ施策についてお話を伺いしました。

編集部:新製品FLTの競合商品との優位性について教えていただけますか。

山本さん:FLTは、当社が描くサステナビリティ、モニターデザイン、ワークスタイルの未来ビジョンを、最先端の技術によって具現化した製品です。サステナビリティの部分ではたとえば、世界最小クラスの電力消費量を実現しました。

EIZOのお客様の多くは法人です。

省電力の製品を導入していただくことで、自社の電力消費量の削減に繋がり、自社の電力使用にともなうGHG排出量(Scope2)の削減に貢献できます。

編集部:御社の環境に配慮した製品づくりに注目して製品を選ばれる企業は増えてきていますか?

山本さん:そうですね。

近年企業のサステナビリティが重視されているため、消費電力の少なさをはじめ環境配慮の取組みを評価して、当社のモニターを選んでくださるケースが増えてきました。

特に好評なのが集合梱包です。梱包材の廃棄物を大幅に削減できることが評価されています。

また、ケーブルやアームなどの備品をすでにお持ちでしたら、当社から送らないという選択肢もありますので、不要な備品を除いた仕様を提供することも可能です。最近は、調達の段階でのサステナビリティの意識が高まっているように感じます。

編集部:御社は、SDGsやサステナビリティがまだ注目されていない30年以上前から環境に配慮した製品づくりをされてきましたが、どのような経緯で取り組むようになったのでしょうか?

山本さん:実は当社の製品を最初に販売したのは日本ではなく、欧州でした。欧州では環境配慮への意識が高く、製品づくりでもそれに対応する必要がありました。

欧州のマーケットでは、価格だけで選ぶのではなく良質なものを選ぶという文化が根付いており、環境配慮のニーズに応えることで、多くのお客様に選ばれてきました。現在、当社のモニター関連商品の販売の約5割が欧州となっています。

編集部:その後、日本ではどのような経緯で販売を開始したのですか?

山本さん:1990年頃、日本でもモニターを購入する文化が浸透し始めたタイミングで、販売を開始しました。

日本では1991年から販売を開始しましたが、そのころはまだ環境配慮の意識が十分に醸成されていませんでした。

しかし当社には「環境と人にやさしく」という企業のDNAがあるため、同じ考え方で製品を開発し、お客様にお届けしました。

企業理念として「私たちはテクノロジーの可能性を追求し、映像を通じて豊かな未来社会を実現します」と掲げており、社会課題の解決に貢献するべく取り組んでいます。

編集部:「低炭素移行計画」では、2040年までにネットゼロを目指されていますが、現時点での進捗はいかがですか?

山本さん:計画に従って進められていると思います。

一部は、当社のマテリアリティ(重要課題)に対する指標(KPI)としても設定していますが、例えば、環境への負担が少ないハロゲンフリー材の使用について、23年度の目標は使用率75%と設定し、実績は82%と目標を上回る結果となりました。

また、Scope3における温室効果ガスの削減では、19年度比で10.0%減を目標とし、実績は29.5%減と大幅な削減に成功しています。

これらの結果を受け、来年度はさらに高い目標を掲げ、達成に向けて取り組んでいきます。

参照:EIZO株式会社「指標(KPI)と目標」

編集部:新製品「FlexScan FLT」の開発で苦労されたところはありますか?

山本さん消費電力を削減するために、重要度の低い機能は省きつつも、必要な機能は維持することに苦労しました。

USB Type-Cを搭載

USB Type-Cを搭載

例えば、今回の製品では入力端子としてHDMIを廃止し、USB Type-Cを搭載しています。世の中の流れを見て、USB Type-Cの需要が高まっていると判断したためです。

FLTは世界で最も環境に配慮したモニターを目指して開発しています。

徹底して環境負荷の少ない素材を採用し、開発部門の省電力技術を結集することで、サステナビリティと利便性を両立することができました。

編集部:最後に、FLTに関心がある読者に向けたメッセージをお願いします。

山本さん:FLTは、EIZOの技術力を集結させて環境配慮に取り組んだ、環境対応におけるフラッグシップモデルです。この製品を導入いただくことで、企業のサステナビリティ推進の取組みに貢献できると考えています。

また、この先のワークスタイルに沿う機能、デザイン性も妥協せずに製品化していますので、個人のお客様も法人のお客様も導入をご検討いただければ嬉しいです。

FlexScanモニターは標準で5年間保証を付加しており、法人様向けには保守もご用意可能です。

集合梱包や付属品のカスタマイズなど法人のお客様のご要望に合わせたご対応をいたしますので、ぜひお気軽にお問合せください。

FlexScan FLTスペシャルページ

法人様お問合せ先

まとめ:モニターを通じて広げる環境意識の輪

EIZOのサステナビリティ施策や新製品の魅力をお届けしました。

日本で排出されるCO2総量は約10億トンを超えており、その内産業部門が24.4%、運輸部門が17.8%を占めています。

脱炭素化に取り組む企業が増えることは、日本全体のCO2排出総量の削減につながります。

SDGsの目標の一つである「つくる責任、つかう責任」を実現するための重要なステップとも言えるでしょう。

その中で、EIZOのように製品ライフサイクル全体で環境負荷の低減に取り組む企業の存在は、持続可能な社会を実現するための鍵となります。

環境に配慮したモニターを広げることで、世の中の環境やサステナビリティの意識も変えていくことに繋がっていくでしょう。

今後も、EIZOの革新的な取り組みが、他の企業や消費者にとっての新しいスタンダードとなることを期待したいです。

 

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