生物多様性

ペンギンが絶滅危惧種に認定!15年後には居なくなる?襲いかかる驚異と我々にできること

ペンギンが絶滅危惧種に認定!15年後には居なくなる?ペンギンに襲いかかる驚異と我々にできること

ペンギンというと、雪景色や氷山など厳しい環境で身を寄せながら群れで生活しているイメージがありますが、寒冷な気象に反するペンギンが1種類います。

それが南アフリカなどの温暖な地域に生息する「ケープペンギン」です。

かつて数百万羽生息していたケープペンギンですが1990年頃には個体数がわずか1%まで減少。

このまま個体数を減らしていくと、ケープペンギンはわずか15年の間に絶滅してしまうと言われているのです。

今回は絶滅の危機に瀕しているケープペンギンにスポットを当てて、原因やペンギンを救うために私達ができることを解説します。

ケープペンギンってどんな生き物?

ケープペンギンってどんな生き物?

絶滅危惧種に認定されているケープペンギン(学名:Spheniscus demersus)は、ケープペンギン属に属するペンギンで、ケープ地方に生息するため「ケープペンギン」と命名されました。

アフリカで唯一見ることができるので、アフリカペンギンと呼ばれることもあります。

温暖な地域に生息しているため、どうしても羽に熱がこもりがちに。

そのため足や嘴(くちばし)、そして目の周りには羽が生えておらず、体の余分な熱を放出できるようになっています。

体長は70cm、体重は2.5〜3.5kgほどと、ペンギンの中では中型の種になります。

真っ白のお腹に黒い斑点と、顎の下あたりには黒いラインが1本ある白黒はっきりとわかれた模様が特徴で、お腹の黒い斑点は個体によってもその数や場所が違います。

ケープペンギンは、海岸近くに穴を掘って巣を作ります。

定住性が強く、700m離れた海に人工的に放たれた個体は最短距離で巣に戻ることができると記録されていました。

ケープペンギンの繁殖

ケープペンギンの繁殖

ケープペンギンは一夫一妻制で、一度ペアになると一生を共に過ごすと言われており、オスも巣作りからメスと協力し合います。

産卵は1年中行われますが、2月〜5月と11月〜12月がピーク。

卵は基本2個産み落とされます。

1回目の育雛の成否に関わらず、2回目の産卵をします。

2回目が失敗しても、3、4回目の産卵をすることもありますが、成功の確率は低くなってきます。

抱卵は38日間から41日間。

その間交代で卵を温めますが、何らかの原因で親に保護されずに巣に取り残される雛はカモメの犠牲になることも。

飛べない鳥ケープペンギンの秘密

ペンギンは飛べない鳥ですが、その体の作りからかつて空を飛んでいたと考えられています。

空よりも食べ物が豊富で敵の少ない海へ生活を変え、空を飛ぶための羽を船のオールのように平たく頑丈な羽へ進化してきました。

羽を上下に動かして水中を飛ぶように移動できるようになったのです。

颯爽と泳ぐペンギンですが、地上ではよちよちと歩く姿がたまりません。

ペンギンの足は実は長い

ペンギンの足は、実は長いことを知っていましたか?正確には外に出ている足の部分が短いだけで、レントゲンで見てみるとしっかり長い足の骨が写っているのです。

普段その長い足がどこにあるのかと言うと、皮下脂肪の中に埋まっています。皮下脂肪の中で90度に折れ曲がった状態で埋まっているため、足首からしか見えていない状態になっているのです。

さらに寒い地域に多く生息するペンギンは、体の熱を逃さないように体が丸い形になっていきました。普段は温暖な気候で生活しているケープペンギンですが、他のペンギンと同じ体の作りをしています。

動物園で人気のペンギンですが、その体にはたくさんの秘密が隠されているのでした。

絶滅危惧種「ケープペンギン」の実態

絶滅危惧種「ケープペンギン」の実態

温暖な地域で生息し、一見絶滅に瀕している種類とは考えられないケープペンギン。南アフリカの海で暮らすペンギンの数は過去30年間で73%減少しました。

つがいの数は1991年には4万2500組でしたが、2021年には1万4000組まで減ってしまいました。このまま減少を続けると、15年ほどで野生のペンギンの姿は消えてしまうかもしれません。

エサのイワシの数が減少することで餓死

ケープペンギンの個体数減少は様々な理由がありますが、主な原因は餌不足です。

気候変動や魚の乱獲によって個体数を減らした餌を求め、海の中を彷徨います。生息地と餌場までの距離が遠くなった結果、

  • 多くの肉食獣によって捕食される
  • 力尽きて死んでしまう
  • 十分な魚を確保できない

など、子育てをするのに十分な餌が捕れず、親鳥たちは雛を育てることができません。

また、餌の取り方に慣れていない若い個体が餌の生息する場所がわからず海を漂い、餓死するケースが多く報告されています。

絶滅が危惧されるレッドリストにケープペンギンが指定される

ケープペンギンの生息するアフリカ大陸では、保護活動に努めています。

35万羽ほど生息していたケープペンギンですが現在の生息数は、70%減少した約5万羽と言われています。

国際自然保護連合(IUCN)によって絶滅危惧種に分類されました。

南アフリカ政府からは「国家環境管理生物多様性法(NEM:BA) 」の中で絶滅危惧種に指定されているほか、同政府の「保護海洋種規定(TOPMS) 」に於いても保護種とされています。

関連記事:生物多様性の重要性は?危機を理解して私たちにできることを

ケープペンギンがいる全国の動物園3つを紹介

ケープペンギンがいる全国の動物園3つを紹介

温暖な地域に生息するケープペンギンは、比較的飼育がしやすく日本でも多くの水族館でその姿を確認できます。

現在ケープペンギンの展示に力を入れている水族館を3つピックアップしました。

サンシャイン水族館

サンシャイン水族館

出典元:https://sunshinecity.jp/aquarium/animals/penguin.html

サンシャイン水族館は、東京都豊島区東池袋・サンシャインシティ内のワールドインポートマートにあります。

大都会東京の真ん中に位置するサンシャイン水族館には、現在50羽以上のケープペンギンが生活しています。

水族館の目玉は空を飛ぶ「天空のペンギン」。

野外エリアマリンガーデンにある正面から頭上にかけて大きくオーバーハングした幅12cmほどの水槽で、ペンギンたちが羽を広げ縦横無尽に、まるで空を飛ぶように泳ぐ姿を水槽の下から観察することができます。

さらに野生のケープペンギンが住む南アフリカケープタウンの景観を再現した草原で、温かい地域の海辺や岩場で暮らす本来の姿に近い姿を観察することができます。

公式サイト:https://sunshinecity.jp/aquarium/

横浜・八景島シーパラダイス

横浜・八景島シーパラダイス

シーパラの愛称で知られる海のテーマパーク「横浜・八景島シーパラダイス」。

1日中楽しめる海の遊園地がコンセプトで、異なる4つの水族館や遊園地、レストランやショッピングストア、ホテルも併設されている大きな複合型海洋レジャー施設です。

そんな八景島シーパラダイスにはケープペンギンを含め、5種類のペンギンが飼育されています。

ふれあいラグーンではペンギンパレードやペンギンフォトでケープペンギンと触れ合うことができます。

実際にペンギンを手で触れ合える水族館は日本でも珍しく、ペンギン好きにはたまらない場所ですね。

公式サイト:http://www.seaparadise.co.jp/aquaresorts/

 

長崎ペンギン水族館

長崎ペンギン水族館

「長崎ペンギン水族館」は長崎県長崎市宿町にある市立の水族館。

ペンギン9種180羽とその他水族165種9,700点を飼育しています。

ペンギン飼育種類数は世界一

個性豊かなペンギンたちが一堂に観察することができ、国内最大級のペンギンプールを有するペンギンに特化した世界でも珍しい水族館です。

水族館内の最大水槽「亜南極ペンギンプール」では、ペンギンが空を飛ぶ鳥のように泳ぐ様子が見られたり、「ふれあいペンギンビーチ」では餌やり体験やタッチングなどのふれあいもできます。

公式サイト:https://penguin-aqua.jp/

15年後には絶滅する?ケープペンギンが絶滅危惧種となった原因

15年後には絶滅する?ケープペンギンが絶滅危惧種となった原因

ケープペンギンが絶滅危惧種となった責任は、他でもない私達人間にあります。

このまま減少を続けていくと、15年後には野生のケープペンギンは姿を消すと言われています。

それでは個体数を減少させるきっかけについて、詳しく見ていきましょう。

地球温暖化による気候変動や海水温度の上昇

地球温暖化による気候変動や海水温の上昇によって、ケープペンギンの餌であるイワシの生態に大きな影響を与えました。

魚はその種に適した水温の海域に集まるため、水温の変化は魚の生息地に大きな影響を与えます。

また海水の温度が上昇すると水が軽くなるため、海の表面に留まろうとします。

すると、海面付近の水と深層の水が混ざりにくくなり、深海の栄養分が海面付近まで上昇しなくなり、魚の餌となるプランクトンが減少。

それによって、ケープペンギンの餌であるイワシそのものの個体が減ってきているのでした。

歴史に残る大掛かりなケープペンギンの卵の採取

1900年からわずか30年間、歴史に残る大掛かりな卵の採取により1,300万個ものケープペンギンの卵が乱獲されました。

また、「白いゴールド・ラッシュ」と呼ばれた肥料用のグアノ(鳥の糞の堆積物)の採取によって、わずか数十年の間に数千年にわたって積み重なっていたグアノが取り去られることに。

断熱がよく効いたグアノの中の巣穴に代わって、ペンギンはほとんどのコロニーで地表に営巣(えいそう)せざるを得なくなり、卵や雛は自然環境や捕食者にさらされることになりました。

これら二つの破壊的な行為によって、ケープペンギンは繁殖可能な個体が30万羽に減ったと言われています。

地球温暖化や環境汚染を防ぐための取り組みとは

地球温暖化や環境汚染を防ぐための取り組みとは

アフリカ大陸で唯一生息するケープペンギンが絶滅の危機に直面しています。

絶滅危惧種となった原因でもある地球温暖化や環境汚染を解消するため、現在1羽でも多くのペンギンを救おうと政府だけでなく、財団や民間の保護団体が活動を続けています。

それでは世界ではどのような活動が行われているのか、見ていきましょう。

温室効果ガスの排出を長期的、継続的に減らす

地球の表面を覆う大気には、二酸化炭素やメタンといった温室効果ガスが微量に含まれています。

温室効果ガスには太陽からの熱を閉じ込め、地表を暖める働きがあります。

温室効果ガスが全くないと地球の表面温度はマイナス19℃になると言われますが、逆に多過ぎると気温が高くなり過ぎてしまい、異常気象を引き起こす原因になるのです。

温室効果ガスが増えた原因には人類の産業の発展により石油や石炭、天然ガスといったエネルギーを大量に消費するようになったことが挙げられます。

産業革命以降、大気中の二酸化炭素の量は40%以上も増えたと言われています。

地球温暖化を防ぐためには、二酸化炭素を始めとする温室効果ガスの排出を抑制することが欠かせません。

既に世界各地で異常気象による大規模な災害が多数発生しているので、継続的に温室効果ガスを減らすことが求められています。

温室効果ガスの半分以上は石油や石炭などの化石燃料を燃やす時に発生するので、化石燃料の使用量を減らすことが温室効果ガスの削減につながります。

太陽光発電で生み出された電気を使うとか、石油から作られているプラスチックなどの製品をできるだけ使わないようにするといった方法があります。

残留性有機汚染物質の禁止や制限

化学物質の中には自然に分解されにくく、人や動物の体内に蓄積されやすい有害なものがあります。

残留性有機汚染物質と呼ばれており、食物連鎖を通じて遠くに拡散されることが分かっています。

生物の生殖器に異常をもたらし、免疫や神経にも影響を及ぼすと言われます。

ただし、どこまで悪影響が及ぶのかなどはっきり解明されていない部分も多いです。

日本では残留性有機汚染物質について規制が進んでいます。

汚染状況を調べるためのモニタリング等が行われ、処理体制の整備なども進められています。

ただし、発展途上国などでは化学物質管理がきちんと行われていないことも多く世界規模で影響が及ぶので、国際的に協調して問題に取り組むことが重要になります。

ケープペンギンは絶滅させない!私たちができることとは

ケープペンギンは絶滅させない!私たちができることとは

ケープペンギンを守るためには、SDGsなど個人で取り組めることも多いです。

電力プランの見直しや家電製品の使い方などによって、エネルギーの削減につなげることができます。

一人一人の意識が変わるだけでも、沢山の人が取り組むことで大きな効果が得られます。

地球に優しい電力プランを見直す

電力会社が自由に選べるようになったことで、選択できる電力プランも増えました。

電力会社の中には積極的に再生可能エネルギーに取り組んでいるところもあり、再生エネルギーを使用したプランを選択することで地球環境を良くすることにもつながります。

また、電気は人が活動している昼間に沢山消費されるので、電力会社はそれに合わせて発電を行っています。

蓄電池などを活用して昼間の使用量を減らし夜間に電気を使うようにすると、エネルギーの無駄を無くすことができます。

夜間に料金が割安になる電力プランなどがおすすめです。

冷蔵庫の整理しエネルギーの無駄遣いをやめる

賞味期限が切れた調味料が、いつまでも冷蔵庫に残ったままといった人も多いと思います。

不要なものが冷蔵庫に入っていると、それを冷やすためのエネルギーが無駄に消費されてしまいます。

冷蔵庫の整理をして不要なものを処分することで、エネルギーの消費量を削減することができます。

また、食材を取り出しやすいようにすることで、扉を開ける時間を短縮することにもなります。

扉を開けている時間が長いと、冷気が逃げてしまうので余計なエネルギーが必要になってしまいます。

エアコンの設定温度を低めに設定

エアコンは家庭で使用する電気の中でも、最も大きな電力が必要とされる家電です。

エアコンの設定温度を冬は低めに設定し、夏は高めに設定することでエネルギー使用を削減することができます。

炊飯器の保温機能を切り節電

炊飯器は、ご飯を炊く時と保温する時に電気を消費します。ずっと保温状態が続くと、その分エネルギーを消費し続けていることになります。

その場合、ご飯を炊いた後に電源をOFFにして、電子レンジで温め直す方が使用するエネルギーが少ないこともあります。

大体、目安になるのは4時間程で、4時間以上保温する場合には電子レンジを活用するのがおすすめです。

洗濯機は効率よく使いたくさん入れすぎない

洗濯機に入れる洗濯物を適量にするのが、最も効率が良い方法です。

節電しようと1回の洗濯に沢山入れ過ぎると、洗濯機を回転させるために電気の消費量が多くなってしまいます。

電気の消費量が増えて逆効果になることもあるので注意が必要です。

また、洗濯の回数が多くてもエネルギーの消費が増えるので、少量では洗わずある程度まとめて洗濯するのが効果的です。

絶滅危惧種のケープペンギンを救うためのSDGs活動まとめ

現在ケープペンギンを絶滅の危機から救い出そうと、世界中の人がケープペンギンのための取り組みを始めています。

このまま数の減少を止めることができなければ、遠く離れた地で暮らすケープペンギンを野生で見ることができなくなるでしょう。

ケープペンギンが絶滅の危機に瀕しているのは、紛れもなく私たち人間の責任です。

しかしそんなペンギンを救えるのも人間である私たちであることを忘れてはいけません。

このまま環境破壊が続くと、ペンギンだけでなくホッキョクグマやトラなど多くの動物が絶滅の窮地に立たされることになります。

野生で暮らす美しい動物たちを守るためにも、私たちができることから始めてみませんか。

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