格差・貧困・人権

世界規模で考える飢餓問題の現状!ひとりひとりができること

世界全体における食糧難や飢餓は、深刻な状態になっています。

私たちが生きるうえで欠かせない「食糧」は、当たり前にあるものではなく、手にすることができず命の危機にさらされている人が多くいる重要な国際課題のひとつです。

今回は「飢餓の現状」について、世界中で起きている深刻な食糧不足による影響や飢餓の原因を紹介しながら、今私たちにできることを考えていきます。

SDGsの目標2は「飢餓をゼロに」

SDGs(持続可能な開発目標)の目標2では「飢餓をゼロに」を目標として掲げています。

2030年までに、世界中の栄養不良をなくすことがゴールであり、すべての人に安全かつ栄養ある食糧が行き届く世界の実現に向けた取り組みを推進するものです。

たとえば、持続可能な農業の推進や農業技術の開発・提供による食糧生産性の向上、農業や漁業などを担う小規模食糧生産者の所得倍増、などが具体的な例として挙げられます。

世界で起きている飢餓の現状

飢餓をなくす取り組みに協力するためには、まず世界で起きている飢餓の現状やその影響について知ることが大切です。

ここからは、世界で起きている飢餓の現状や、私たちにも関わりがある飢餓によって引き起こされうる影響について紹介します。

飢餓とは

飢餓とは、最低限の体重維持や軽度な運動に必要なエネルギーが摂取できず、生命の維持が脅かされている状態のことを指します。

また、エネルギー不足が長時間にわたって慢性的に発生し、栄養不足が深刻な状態です。

飢餓によって、生きることそのものや収入を得るために必要な社会的活動が困難である状態は、世界中のあらゆる国や地域にいる多くの人々にとって喫緊の課題となっています。

世界の飢餓の現状

世界における飢餓の現状は、とくにアフリカやアジア地域で深刻化しています。

その中でもアフリカは、飢餓蔓延率が世界でもっとも高い地域といわれており、今もなお飢餓によって生活が困難になっている人が増加しているのも現状です。

東アフリカでは約1.6億以上の人々が栄養不足に苦しんでいます。

また、飢餓人口がもっとも多いのはアジア地域で、その数は5億人にのぼると指摘されています。

出典:「世界の飢餓人口は3年連続で未だ減少せず、肥満は依然増加傾向-国連の報告」(国連WFP)より

新型コロナウイルスによるパンデミックの影響も大きく、国連は2020年に世界の飢餓状況が劇的に悪化したと発表しました。

これらの現状から、飢餓への対策は深刻な国際課題のひとつであることがわかります。

飢餓による影響

飢餓に陥ると、さまざまな影響が広がることも課題のひとつです。

飢餓による子どもの発育障害は、健やかな成長を阻害し、慢性的な栄養不足によって「消耗症」などの疾患原因にもなります。

飢餓による影響は、低体重をイメージする方が多いかもしれません。

しかし、なかにはバランスの取れた栄養が摂取できず、栄養の偏りから、過体重(肥満)になる子どももいます。

また、飢餓の深刻な影響は、妊産婦の栄養失調にもつながります。

妊産婦の栄養不足は、出産や産後への影響が大きく、出産時の死亡率上昇や胎児の発育不良による低体重児の出産や乳児死亡率上昇にも関わるものです。

さらに、食糧の奪い合いから、紛争に発展することも少なくありません。

飢餓が起きる原因とは?

飢餓が起きる原因には、どのようなものがあるのでしょうか。

ここからは、飢餓の発生につながる3つの原因について解説します。

自然災害

干ばつや洪水、台風、地震などあらゆる自然災害が、飢餓を引き起こす要因のひとつです。

食糧不足に苦しむ8割以上が自然災害の発生しやすい環境にあるといわれるほど、自然災害の発生は深刻な食糧危機につながります。

特に、世界のなかでも干ばつの起きやすい乾燥地域はアジアの内陸部、西アジア、アフリカ北部に位置します。

現地では雨水や川など、自然に依存した農業や放牧を行っているため、自然災害による大きなダメージを受けてしまいます。

自然災害による深刻な被害は、とくに発展途上国ではすぐに回復できず、飢餓の発生につながります。

また、経済的に食糧を確保できない国では、食糧へのアクセスが困難になることも飢餓が広がってしまう原因です。

紛争

飢餓は、紛争による影響も大きく受けます。

飢餓人口が多いアフリカや南アジアなどの紛争地域では、住まいを追われる人々が多いためです。

安定した住まいを確保できなければ、安定した収入を得ることや農作物をつくることもできず、飢餓状態に陥ります。

また、紛争によって住まいを追われ、避難した人々が生活する難民キャンプでは、満足な食事や水分補給ができないことも少なくありません。

紛争による食糧難から奪い合いなどの治安悪化をまねき、飢餓を深刻化させる要因となっています。

慢性的な貧困

慢性的な貧困も、飢餓を引き起こす原因のひとつです。

貧困は、食糧の確保だけでなく、農業生産の維持をも困難にさせます。

貧困が原因で種や肥料が購入できず、飢餓に陥ることがあるためです。

また、貧困は飢餓に陥る上に、飢餓によって社会活動が行えなくなることから、収入を得ることができず慢性的な貧困を引き起こす原因でもあります。

貧困から暴動や紛争につながれば、さらに生活が困窮してしまうため、飢餓のスパイラルから抜け出せなくなるのです。

飢餓に対する世界の取り組み

深刻化する飢餓に対して、世界ではどのような取り組みが行われているのでしょうか。

ここからは、世界中で行われている飢餓を抑止するための取り組み例を紹介します。

農業支援

世界中のさまざまな国や地域、団体が飢餓に苦しむ地域の農業支援に取り組んでいます。

日本も例外ではなく、農業の技術協力の提供や指導などを通じた支援に積極的です。

また、気候や環境の変化に適応する持続可能な農業技術の開発や、品種改良なども世界的な取り組みとして進められています。

フードロス対策

フードロス対策も、飢餓抑止につながる対策として推進されています。

フードロスによって出たごみを処理する際に発生する温室効果ガスは、干ばつなどの自然災害を発生させる原因にもなっているためです。

フードロスを減らすことで飢餓に苦しむ人々にも食糧を行きわたらせるため、とくに先進国を中心にフードロスを減らす取り組みが活発化しています。

フランスとイタリアでは、新たにフードロスに関する法律が定められました。

法整備によって、慈善団体への寄付や肥料、飼料への再利用などにも努めています。

飢餓の現状を知って自分たちにできること

飢餓の現状を知ったうえで、私たち自身に協力できることはあるのでしょうか。

ここからは、飢餓をなくす取り組みとして自分たちにできることの例を紹介します。

フードロスの再分配

ひとつは、フードロスの再分配につながる活動です。

実は、世界中の食糧を平等に分配すれば、全人口の必要な栄養分を賄うことができます。

それにもかかわらず飢餓問題が解消しないのは、貿易上、経済力と消費が見込まれる先進国に物が集中しやすい傾向があるためです。

つまり、需給の不均衡が生じているのです。

飢餓問題を解決するには、このような構造的な課題を解決していかなければなりません。

また、日本は国内の食糧のほとんどを海外輸入に依存しています。

先進国の中でも食糧自給率が低く、アメリカやフランスで約120~130%、カナダやオーストラリアなど200%を超える国もある一方、日本は37%というデータがとれています。

出典:「世界の食糧自給率」(農林水産省)より

発展途上国からの輸入が多い項目と割合は以下のようになります。

項目 鶏肉 コーヒー豆 生鮮・果実 海老 コーヒー豆
発展途上国からの輸入割合 97.6% 86% 63.8% 40.6% 34.3%

出典:「農林水産物輸出入概況 2020年(令和2年)」(輸出・国際局輸出企画課)より

80~90%を超える割合で発展途上国から輸入している項目もあります。

そのうえ、日本は食品廃棄物が発生している主要国のうち、3番目に廃棄量の多い国です。

出典:「海外における食品廃棄物等の発生状況及び再生利用等実施状況調査」(公益財団法人流通経済研究所)より

そのため、国内で発生したフードロスを再分配できれば、飢餓で苦しむ途上国を支援できます。

日本では、一般社団法人コネクトライフエイドという団体が、日本の有志企業から余剰生産やフードロスを集め、飢餓に苦しむ途上国の人々へ無償で提供を行う活動をしています。

このような活動に参加したり、宣伝を行ったりすることで、食糧需給の不均衡を解決することにつながるでしょう。

支援団体へ寄付する

飢餓をなくす取り組みを行っている支援団体へ寄付をすることも、私たちにできる取り組みのひとつです。

寄付金が多く集まれば集まるほど、飢餓を救う助けになります。

「国連WFP」や「国境なき医師団」など、支援を行っている団体に直接寄付することも意味のある行動です。

支援事業を展開している企業の商品やサービスを購入することも、間接的な活動支援につながります。

フェアトレード商品の購入

フェアトレードとは、平等な貿易を実現するために、開発途上国で生産された商品を適正価格で購入する取り組みのことです。

フェアトレード商品を購入することは、生産現場の安定的な収入につながります。

得た利益を、生産現場への設備投資や技術力の向上に充てることも可能です。

そのため、現地の農村や生産者の自立支援や貧困の解決にもつながるでしょう。

「食糧はあっても経済力がなく入手できない」といった事態を防ぐことができます。

フェアトレード商品として認証されているものは、以下のようなものがあります。

  • コーヒー
  • 果物(バナナ、りんご、レモン、オレンジなど)
  • スパイス(バニラ、コショウ、シナモンなど)
  • ハーブ(ルイボス、カモミールなど)

下記記事で身近なフェアトレード商品について紹介しています。

フェアトレード商品とは?できることや問題点をわかりやすく解説!

まとめ

世界中で飢餓による影響は深刻化しており、社会的生活の維持だけでなく、生命の危機に瀕している人々も少なくありません。

飢餓の現状を少しでも良くする行動は、私たちにもできます。

普段の生活にできることを取り入れて、飢餓の抑止に協力していきませんか。

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