子どもの自主性を育む「パイオニアキッズ」の最先端保育とは?
SDGsの目標4「質の高い教育をみんなに」は、未来の子どもたちのためにも取り組みたい目標の一つ。
東京都調布市と狛江市に拠点を置く保育園「パイオニアキッズ」は、ニュージーランドをはじめとする海外の教育の考えや方法を取り入れています。
今回は、そんなパイオニアキッズを運営する社会福祉法人 調布白雲福祉会 理事長の宮武慎一さんに、パイオニアキッズの取り組みについてお話を伺いました。
(右)社会福祉法人 調布白雲福祉会 理事長の宮武慎一さん
パイオニアキッズはどんなことを大切にしている保育園ですか?
パイオニアキッズでは、「子どもは有能な学び手である。親は優秀な教育者である。」という考えを前提としたニュージーランドの教育法「テ・ファリキ」をベースに、
個性を育みながら、子どもが自分で考え、自分で行動できるよう「生きる力の基礎をつくる」ことを保育理念にしています。
先生と子どもという関係ではなく、一緒になって考え、学び、成長できる保育を大切にしています。
型にはめるのではなく、子ども一人ひとりの得意、不得意や好き、嫌いを見出して、いかに得意なことを伸ばしてあげるかを意識して、保育を実践しています。
ニュージーランドの教育法「テ・ファリキ」とは?
「テ・ファリキ」とは、織物・編み物という意味をもち、家族と地域社会を含むさまざまな人との関わりから学ぶことを重視するニュージーランドの教育法です。
日本の教育は、○歳になったらこんなことができるといった発達心理学がベースとなっており、大人が子どもを教え導くような子ども観が特徴です。
しかしテ・ファリキは、子どもは産まれながらにして学ぶ意欲を持った「有能な学び手」として、一人ひとりの主体性を尊重する活動がメインとなっていることが特徴。
そしてテ・ファリキには、4つの原則と5つの要素があります。
主体性:Empowerment……自ら学ぶこと
包括的発達:Holistic Development……物事を関連付けること
家族と地域社会:Family and Community……つながりを持つこと
関連性:Relationships……他社や物から学ぶこと
福利健康:Well-being……心身の安全と健康
所属感:Belongings……つながりと居場所
貢献:Contribution……自他を尊重する
コミュニケーション:Communication……伝える・解釈する
探索:Exploration……冒険と試行錯誤
テ・ファリキは、自ら考え、行動するというプロセスの中で、学びを得ていくことができる教育法の一つです。
この園の1日のスケジュールを教えてください。
1日のスケジュールには、束縛される決まりはありません。
前週の金曜日に、「来週はどんなことをやろうか」と、子どもたちのやりたいことや知りたい意見をだしあい、次の1週間の計画を相談し、子どもたちと一緒にスケジュールを作っています。
その計画に沿って、天気予報を調べたり、どこへ出かけるかなどを決めています。
また、テ・ファリキが個人の成長過程として身の回りの環境から学ぶ、知るという考え方があります。
例えば、日本の暦は「二十四節気七十二候」あり、それらの暦から日本の伝統や生活、文化のつながりを日常の生活の中から学ぶべく、季節の行事を踏まえた活動も行っています。
12月は「正月事始め」「餅つき」「しめ縄づくり」などを生活の中で行いました。
この取り組みの中で子どもたちはどのような成長がみられますか?
子どもたちは自分で疑問に思ったことを、本やインターネットで調べていく中で、もっと理解したいという気持ちから自然と文字も覚えて、読むことができるようになっていきます。
答えのある知識を学ぶ(課題解決)のではなく、そもそも何が問題か?という疑問から「学び方(プロセス)」を学習(問題発見→課題解決)していきます。
例えば、暦に「玄鳥至(つばめきたる)」というものがあります。
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というように、関係のないように感じる事柄でも、子どもたちの中で繋がっていき、当事者意識を持ちながら学んでいきます。
この取り組みを始めたきっかけは?
すでに卒園していますが、当時自分の子どもが保育園に在籍していたことから、「未来を生きるための教育をしてあげたい」と思ったことがきっかけです。
「テ・ファリキ」とは、日本の教育指針の改定が何年かごとにあり、その改定の前にするタイミングで、世界で一番教育がすごいのはどこだろうと調べていたときに出会いました。
また、OECDのスターティング・ストロングという研究で、”生まれたばかりの時ほど力強く支援していこう”という考えがあり、研究をリードされていたニュージーランドのマーガレット・カー教授が、「テ・ファリキ」という教育指針を作りました。
20年以上前の話ですが、テ・ファリキは世界の保育についてあらゆることを研究した中の集大成であるという理解で、私はニュージーランドに行きました。
その視察をした際に、偶然ワイカト大学でマーガレット・カー教授がテ・ファリキについてレクチャーをしてくださり、そのときプレゼントしていただいたテ・ファリキの本からの学びをパイオニアキッズの保育に活かしています。
どんな先生たちが園で活躍されていますか?
パイオニアキッズでは、子どもと一緒に学んでいく姿勢を持っている先生が活躍しています。
先生というと、ピアノが弾けて、読み聞かせができて、というような”万能な教育者像”を求められがちですが、パイオニアキッズの先生たちに対しては、できないこと、分からないこともいっぱいあっていい、その人の個性を発揮すれば良いという考えを持っています。
むしろ保育者同士でお互いの得意、不得意がわかっているので、役割分担できていて、尊重し合える先生が多いです。
今後どんな方にパイオニアキッズに加わってほしいですか?
子どもに寄り添い、
- なんでそうしたいの?
- どうしてそうしようと思ったの?
ということを聞いてあげられる、物事の主語を子どもで話す人です。
例えば、連絡帳を書く時に「私が何かをさせたらできるようになった」という事を書くのではなく、
「子どもが何かに挑戦しようとして、今こういう状態です。」という事を書くような、
パイオニアキッズはそういう人の集まりでありたいなと思っています。
パイオニアキッズ採用情報はこちら:https://www.shiragumo.jp/recruit
パイオニアキッズ基本情報
パイオニアキッズは下記の7カ所で保育園を運営しています。
- 菊野台園
- つつじヶ丘園
- 仙川園
- 西野川園
- 第2仙川園
- 柴崎園
- ちょうふ園
パイオニアキッズ公式サイト:https://www.shiragumo.jp/pioneerkids
まとめ
SDGsの目標4にも設定されている教育は、子どもの未来にとって必要不可欠です。
日本の幼児教育の枠にとらわれず、ニュージーランドをはじめとした海外の教育法を積極的に取り入れている保育園「パイオニアキッズ」。
一人ひとりの個性を尊重し、自由行動の中から子どもの自主性を育み、子どもの可能性を広げることができる「テ・ファリキ」は、子どもだけでなく大人も一緒に学び、成長できる教育法であると感じました!
パイオニアキッズで働いてみたいという方は是非公式サイトにお問い合わせください。
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