シェアリングエコノミーを簡単に解説!5分野を事例とともに紹介
シェアリングエコノミーをご存じでしょうか。
この単語を聞いたことがなくても、シェアリングエコノミーサービスを利用している人は多いかと思います。
シェアリングエコノミーとは、自分の持っている資産を共有して、他人と一緒に使う仕組みです。
分かりやすいモノだと、カーシェア(車の共有)や民泊(部屋のシェア)がありますね。
これまでは、欲しいものがあれば購入したり、企業のサービスを利用したりすることが一般的でした。
しかし今は、必要な時だけ借りる、それも個人の人から借りることができるのです。
この記事では、シェアリングエコノミーが広まった経緯やメリットを分かりやすく簡単に解説します。
シェアリングエコノミーの5つの分野は事例とともに紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
シェアリングエコノミーは「共有する経済」
シェアリングエコノミーは英語で「sharing economy」と表記され、日本語では「共有経済」と訳されます。
個人の持つ遊休資産(保有しているものの何らかの理由で利用していないもの)を他人に貸し出し、共有する経済の仕組みです。
遊休資産には、土地や車、家などの目に見えるものだけでなく、時間やスキル、お金などの無形なものも含まれます。
高度経済成長から始まった大量生産・大量消費は時代の移り変わりとともに見直され、「欲しいものを所有する」より「欲しい時だけ所有する」と考える人が増えています。
また、サステナビリティやエシカルなどの価値観が広まったのも、シェアリングエコノミーが注目される要因の一つでしょう。
シェアリングサービスはネットの普及とITの進歩により広まった
シェアリングサービスが広まった大きな要因には、インターネットの普及とIT技術の進歩があります。
これまでのビジネスモデルは、企業から個人へのサービスが一般的でした。
いわゆる「BtoC(Business to Customer)」と呼ばれるものです。
しかし、ここ数年は個人同士の取引が増えています。
インターネットの普及により、個人が簡単に資産情報を共有し、やりとりできるようになりました。個人間のやりとりは「CtoC(Customer to Customer)」に当てはまります。
スマートフォンを持つ人が増え、場所や時間にとらわれずに利用可能になったこともシェアリングサービスの普及に繋がっています。
さらに、IT技術の進歩により、インターネット上で決済が行えるようになっています。
翻訳機能があることで、言語がわからない海外の人も気軽に利用できるのです。評価制度により、安心して利用することもできます。
シェアリングエコノミーと「サーキュラーエコノミー」の違い
シェアリングエコノミーと似ている言葉に「サーキュラーエコノミー」があります。
サーキュラーエコノミーは、モノを捨てない経済システムです。
製造・販売・使用したモノを回収し、再度資源として活用することで、循環経済と呼ばれることもあります。
サーキュラーエコノミーは製造・販売・使用において資源を循環させる仕組みですが、シェアリングエコノミーは使用部分に特化した仕組みです。
どちらも資源を無駄にすることなく、環境にやさしい方法であることは同じですね。
以下の記事では、サーキュラーエコノミーについて詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。
シェアリングエコノミーの3つのメリット
シェアリングエコノミーには3つのメリットがあります。
- 眠っている資産を有効に活用できる
- 格安でサービスやモノが利用できる
- 経済効果が期待できる
それぞれのメリットを詳しくみていきましょう。
メリット①眠っている資産を有効に活用できる
家にあるけど使っていない、状態はいいのに誰も住んでいない、など余っている資産をお持ちの方はいると思います。
提供者側は、そのような遊休資産を有効に活用できます。
また、場所や車などの有形資産だけでなく、時間やスキルなどの無形資産も活用できるのが特徴です。
ゴミにせず、資源を無駄にしないため、環境や社会にやさしい点も嬉しいポイントです。
メリット②格安でサービスやモノが利用できる
利用者側には、格安でサービスやモノが利用できるというメリットがあります。
シェアリングサービスは仲介手数料がかからないことが多く、企業のサービスを利用するよりもリーズナブルに利用できます。
また、購入前のお試し期間として利用することも可能で、実際に使ってみてから購入するという人も多いようです。
必要な時に必要な期間だけ利用できるため、利用後の保管が不要です。余分なモノを持ちたくない人にもぴったりのサービスでしょう。
メリット③経済効果が期待できる
シェアリングエコノミーには、経済効果が期待できます。
例えば車は高額なので、購入を躊躇する人は多いかもしれません。
しかし、シェアリングサービスなら安い金額で利用可能です。
このようにシェアリングサービスを利用する人が増えれば、お金を使う人が増え、経済発展につながるのです。
シェアリングエコノミーの市場規模は、取引額ベースだと2018年度で2兆円弱でした。
そして2025年には約5.5兆円、2030年度には約11兆円にもなると予想されています。
5分野のシェアリングエコノミー
シェアリングエコノミーは、遊休資産の種類により5つの分類に分けられます。
- 空間のシェア
- モノのシェア
- 移動のシェア
- スキルのシェア
- お金のシェア
それぞれの分類を事例とともに紹介します。
①空間のシェア
空間のシェアとは、レンタルオフィスや貸し会議室、コワーキングスペース、民泊などが当てはまります。
駐車場や家の貸し出しも空間のシェアの一つです。
普段利用されていない空間や、オフシーズンの旅館やホテル、週末のオフィス、定休日の飲食店などが利用できます。
空間のシェアの事例だと、レンタルスペースの「SPACEMARKET(スペースマーケット)」やレンタル駐車場の「akippa(アキッパ)」などが有名です。
専用のプラットフォームに提供者が情報や画像、金額を提示し、利用者はその中から自分の希望に合うサービスを見つけます。
基本は貸し手と借り手のやりとりで、決済はプラットフォーム上で行われます。
「Airbnb(エアービーアンドビー)」は、世界中で利用されている民泊サービスです。
ホテルのような部屋から、一軒家までさまざまなタイプの物件があるため、旅行のスタイルに合わせて選べます。
②モノのシェア
モノのシェアは、所有しているモノを貸し出したり売買したりするサービスです。
フリマアプリやレンタルサービスが当てはまります。
モノのシェアで有名なのは、フリマアプリ「mercari(メルカリ)」です。
利用した経験がある方も多いのではないでしょうか。
個人の不要なモノを出品し、利用者は購入します。
出品者と購入者がお互いの名前や住所を公開することなく取引ができる匿名配送システムもあり、安全性も高いと言われています。
傘のレンタルサービス「アイカサ」は、東京都内を中心に利用されているシェアリングサービスです。
必要な時だけ利用でき、好きなところで返却できます。
日本は世界で最もビニール傘を消費する国であり、放置される傘や置き忘れなども問題になっています。
③移動のシェア
移動のシェアには、カーシェアリングやシェアリングサイクルなどがあります。
自動車を相乗りするライドシェアリングでは、車の空席を活用し、ガソリン代などを負担し合って利用します。
カーシェアリングの「タイムズカーシェア」は、2005年から始まったサービスです。
15分220円〜と気軽に利用でき、買い物や近場へのお出かけにも便利。
車を自分で保有すると保険料やガソリン代、駐車場代がかかりますが、カーシェアリングなら維持費は不要です。
ちなみに、車を自分で所有しない選択肢としてはカーリースもあります。
以下のサイトではカーリースの仕組みや、おすすめポイント、リース会社の紹介が掲載されていますので、関心のある方は参考にしてみてください。
私のカーリースおすすめランキング作ってみた。どこがいいか比較して。 | アシタマガジン (mynavi.jp)
自転車のレンタルができる「HELLO CYCLING(ハローサイクリング)」は、各地域のレンタルサイクリングと利用者を繋げるサービス。
出張先や旅行先で自転車が必要な際、予約して利用します。
提携ステーションなら返す場所も自由なので、乗り捨て利用もできます。
④スキルのシェア
スキルのシェアでは、家事や介護・育児、知識など、人の持つスキルをシェアします。
スキマ時間にベビーシッターをしたり、デザインの仕事を請け負ったりできます。
コンサルティングや講師として、スキルをシェアする方法もあります。
事例では「ココナラ」が有名ですね。個人が出品したスキルを売買できるサービスです。
ココナラでは、イラスト・漫画、Webサイト制作、動画作成のほかに、占いや悩み相談などのスキルも出品されています。
内容や費用は出品者によってさまざまで、依頼主が仕事を募集することも可能です。
家事代行のシェアリングサービス「CaSy(カジー)」では、家事代行が利用できます。
主な対応業務は掃除と料理で、仕事が忙しかったり妊娠中・子育て中だったり、家事をする時間がない方や家事ができない方などの生活を支えてくれます。
提供側は週1日2時間〜働くことができるため、スキマ時間で働きたい人におすすめです。
⑤お金のシェア
お金のシェアには、クラウドファウンディングが当てはまります。
クラウドファウンディング(略称:クラファン)は、特定の目的のためにインターネットを通じて不特定多数の人が資金提供を行うことです。
特定の目的には、個人の夢を叶えたり、商品開発を行ったり、サービスを開始したりとさまざま。
銀行からの融資を受けられない場合でも、クラウドファウンディングで集まった資金を元手に、起業することも可能です。
お金のシェアの事例では「CAMPFIRE(キャンプファイア)」が有名です。
初心者でも掲載可能で、全プロジェクトが審査されるので利用者は安心して支援できます。
プロジェクトオーナーの横領や倒産があった場合、支援者に支援額の80%を上限にCAMPFIREが保証金を支払う「あんしん支援保証制度」もあります。
まとめ
シェアリングエコノミーについて理解いただけたでしょうか。
モノやサービスを購入・保有するよりも経済的でエコなシェアリングエコノミーは、今後も拡大していくでしょう。
日常生活から旅行、働き方、スキルのすべてでシェアリングエコノミーが利用できるようになりました。
今後、さらに新しいサービスが登場するかもしれません。
自分ならどんなモノをシェアしたいだろう…と考えてみると面白いかもしれません。
今までシェアリングサービスを利用したことがない人は、この機会に利用してみてはいかがでしょうか。
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