リユースとリサイクルの違いは?循環型社会を目指す企業事例も紹介!
地球上において、今の生活を維持するためには1.7個分の地球が必要だといわれています。
つまり、地球の資源はすでに限界に達しています。
限りある資源を有効活用する方法の一つが、リユースです。
今回は、循環型社会の形成に不可欠なリユースについて解説します。
リサイクルとの違いを明らかにするとともに、リユース事業を拡大している企業事例も紹介します。
リユースを通じて、消費者や企業ができることをわかりやすくまとめました。
リユースとは
リユースとは、そのままの形で再利用することです。
例えば、不要になった洋服を他の人が引き取って着るのがリユースにあてはまります。
他にも以下の例が挙げられます。
- 互いに必要なものを交換する
- 使用しなくなったものを寄付し、貰い手が使用する
- 不用品を売却し、買い取った企業が再販する
日本では高度経済成長期以降、大量生産・大量消費が加速し、消費者が新商品や使い捨て商品を購入することが一般的となりました。
経済的に豊かになった一方で、廃棄物の増加やごみの最終処分場の不足、環境汚染などの問題が顕在化しています。
2000年代から現在にかけて、リユースやリサイクルなどの循環型の仕組みが重視されるようになりました。
しかし、洋服の場合、手放したもののうち68%が処分されているのが現状です。
リユースは形を変えずに繰り返し使用するため、新たな天然資源やエネルギーを必要としません。
また廃棄物の削減にも大きく貢献します。
循環型社会を実現するためには、これまでの大量生産・大量消費・大量廃棄から脱却し、リユースをはじめとする「3R」を実施することが不可欠です。
3Rについて詳しく知りたい方は、こちらをご覧ください。
関連記事:リサイクルだけじゃない!一人ひとりができる3R の取り組みは?
参照:消費者庁|令和2年版消費者白書 第1部 第2章 第1節 (2)消費と資源についての動き
参照:環境省|サステナブルファッション
リユースとリサイクルの違い
リユースという言葉を聞くと、「リサイクルとは何が違うのだろう?」と疑問に思う方もいるかもしれません。
実際、リユースとリサイクルは両方とも3Rの取り組みの一環ですが、意味には違いがあります。
リサイクルは、ごみを資源に変えて新たな製品の原料として利用することを意味します。
例えば、本の場合を考えてみましょう。
- 本を古紙として回収し、トイレットペーパーに再生する場合はリサイクル
- 本を古本として売却し、他の人が購入する場合はリユース
環境負荷の視点で見ると、リサイクルよりもリユースの方が環境にやさしいといえます。
リユースはSDGsの目標12に貢献
リユースは、SDGsとも密接に関連しています。
廃棄物の削減に該当する目標は、「12: つくる責任つかう責任」に属します。
その中で、目標12.5では、「2030年までに、廃棄物の発生防止、削減、再生利用及び再利用により、廃棄物の発生を大幅に削減する。」と明記されています。
現在、世界全体では、地球が再生産できる1年分の資源を1年待たずして使い切っていると指摘されています。
つまり、将来に必要な資源を先取りして使用している状況です。
この資源の過剰消費は、気候変動や自然災害など、さまざまな問題の原因となっています。
持続可能な社会を未来に残すためには、不要になったものを積極的にリユースし、資源の消費や廃棄物の削減に取り組むことが必要といえるでしょう。
続いては、リユース事業を展開する企業事例を紹介します。
リユースの企業事例1:MEGLOO
飲食店でのテイクアウトは便利ですが、使い捨て容器が増えることに罪悪感を持ったことはありませんか。
「MEGLOO」は、地域共通のリユース容器を会員や対応店舗でシェアするサービスです。
そのため、食べ終えたあとに使い捨てのごみが出ることはありません。
サービスはスマホで簡単に利用できます。LINE公式アカウントから店舗を探して予約し、店舗で支払後、商品を受け取ります。
容器の返却先は、購入した店舗でなくてもMEGLOOの対応店舗ならどこでも可能です。
リユース容器をより多くの人でシェアすればするほど、環境にやさしい循環となるサービスといえます。
公式サイト:https://megloo.jp/
リユースの企業事例2:Loop
「Loop」は、アメリカ・イギリス・フランス・日本各地で展開するリユースプラットフォームです。
日用品や食品などさまざまなアイテムをリユース容器で販売することを実現しています。
例えば、イオンの場合の具体的な流れを見てみましょう。
- 取り扱い店舗でLoop商品を購入する
- 商品を利用する
- 使用後、Loop専用アプリを使って容器を返却ボックスに入れる
- 容器代がLoop専用アプリに返金される
- 回収後、再利用のため容器は洗浄・補充される
Loopのサービスが普及すればするほど、廃棄物とともに容器を捨てる概念もなくなっていくといえるでしょう。
リユースの企業事例3:CLOSETtoCLOSET
古着のポップアップショップである「CLOSETtoCLOSET」は、自宅に眠る衣類を3着持参すれば、気に入った3着を持って帰れるサービスです。
ただし、参加するには予約と購入費3000円が必要となります。
CLOSETtoCLOSETを手がける「energy closet」は、洋服を売るのではなく交換する場を提供するアパレルブランドとして注目を集めています。
洋服の循環を体現したサービスといえるでしょう。
リユースの企業事例4:メルカリ
「メルカリ」は、フリマアプリ事業を通してリユースの推進に努めています。
最新テクノロジーを活用し、スマホをはじめとした機器を使うことで、場所や年齢を問わずだれもがリユースに参加できるサービスが実現しました。
メルカリを利用して衣服を取引することで、日米合計で年間推計約48万トンの二酸化炭素の排出を回避したともいわれています。
リユースを通じて、限りある資源をみんなで協力して循環させることに成功した企業事例といえるでしょう。
リユースの企業事例5:ゲオホールディングス
リユース業界トップのゲオホールディングスは、年間約9300万個の商品を循環させることで、廃棄物の削減に大きく貢献しています。
年間20万トン以上の二酸化炭素の削減効果があるともいわれています。
主に展開しているブランドは以下のとおりです。
- レンタルやゲームの売買を中心に展開する「ゲオ」
- 総合リユースショップ「セカンドストリート」
- 豊富なリユーススマホ(中古スマホ)を扱う「ゲオモバイル」
- 各ブランドの余剰在庫などの新品商品を低価格で販売する「ラックラック」
- ハイブランド商品の買取・販売を展開する「OKURA」
これまでアメリカ、マレーシア、台湾、タイで「セカンドストリート」の出店に成功しました。
今後はさらなる海外進出が期待されています。
リユースを通じてごみのない社会を
リユースとは、そのままの形で再利用することです。
廃棄物を減らすだけではなく、新たな資源やエネルギーの消費を回避できます。
持続可能な社会の実現のためには、大量生産・大量消費・大量廃棄から脱却し、限りある資源を循環させる仕組みの構築が求められています。
消費者は不要になったら捨てるのではなく、リユースする使い道を考えることが不可欠です。
不用品を処分する割合がいまだ高いということは、企業にとってはリユース事業を拡大させるチャンスともいえます。
リユースを普及させることは、ごみを捨てる概念をなくし、未来に豊かな資源を残す希望につながるのではないでしょうか。
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