気候変動・脱炭素

世界最大級の環境アクション「EARTH HOUR 2024」に参加!エプソンの環境への取り組みに迫る

世界最大級の環境アクション「EARTH HOUR 2024」のリアルイベントが3月23日(土)にららぽーと豊洲で開催されました。

「EARTH HOUR(アースアワー)」は世界自然保護基金(以下、WWF)による国際的なキャンペーンであり、世界各地での消灯をはじめとする各種イベントを通して、地球温暖化防止や生物多様性保全に向けたアクションを促すことが目的です。

「EARTH HOUR 2024」ではセイコーエプソン株式会社(以下、エプソン)が、民間企業として初となるインターナショナルパートナーシップを締結しました。

「EARTH HOUR 2024」の日本におけるリアルイベントはWWFジャパンが主催しており、今回はそのイベントの様子とエプソンの環境への取り組みについて深掘りしていきます。

提供:エプソン EARTH HOUR 2024ページ

エプソンが初のインターナショナルパートナーとして「EARTH HOUR 2024」にブース出展

WWFマスコットのコパンダ、その奥にはエプソンと「EARTH HOUR」のパートナーバナー

まずは「EARTH HOUR 2024」イベント開催の経緯について紹介します。

「EARTH HOUR」とは

WWFは、世界各地を消灯のリレーでつなぐ世界最大級の環境アクション「EARTH HOUR」を2007年から開催しています。

「EARTH HOUR」とは、世界中の人々が同じ日、同じ時刻に消灯を行い、地球温暖化防止と生物多様性保全への意思を示す取り組みです。

日付変更線に近い南太平洋諸国から始まり、現地時間の20時30分を迎えた地域から1時間の消灯を行います。

消灯リレーとともに人々の想いが地球を1周します。

この活動の目的は、多くの人にかけがえのない地球の大切さと、そのために残された時間の制約を思い起こしてもらい、気候変動と生物多様性の喪失という2つの危機にスポットを当てることです。

エプソンが初のインターナショナルパートナーに

左:セイコーエプソン株式会社 代表取締役社長 小川恭範氏 右:WWFジャパン事務局長 東梅貞義氏

エプソンは「EARTH HOUR 2024」で、民間企業としては初となるインターナショナルパートナーシップを締結しました。

その背景には「地球を友に」を経営理念に掲げ、継続的に環境活動を進めてきた企業文化があります。

記者発表でもエプソンの小川恭範社長は次のように述べています。

『EARTH HOUR』初のインターナショナルパートナーとして活動できることを嬉しく思います。エプソンは、創業当初より『地域との共生』を掲げ、自然環境を敬い継続的に環境活動を進めてきました。企業として使命を果たすと同時に、社会の一員である私たち一人一人が行動を起こすことも重要だと考えています。小さな行動であっても、数が集まることでいずれ大きな変化につながります。このパートナーシップを通じ、環境活動に対する理解や共感を広げ、一人でも多くの方が行動を起こす機会にしたいと考えています。

2024年2月22日プレスリリースより引用

エプソンがEARTH HOURインターナショナルパートナーになった背景にはこのような理念や文化があると知り、納得しました。

地球のために行動した時間を表す「Hour Bank」

エプソンの「私たち一人一人が行動を起こすことも重要」だという考え方は、「EARTH HOUR 」にも共通の考え方であり、オンラインアクティビティ「Hour Bank(アワーバンク)」にも双方の姿勢が示されています。

「Hour Bank」とは参加者が地球のために行動した時間を集計するオンラインカウンターです。

「EARTH HOUR」のウェブサイト上で具体的な環境アクションが提案され、参加者が身近に行える環境アクションを登録する仕組みになっています。

登録された時間の合計は、ウェブサイト上のカウンターに表示されており、誰でも確認できます。

「Hour Bank」の目的は気軽に取り組める環境アクションを促すことで、一人でも多くの方が環境問題に目を向け、取り組むきっかけにしてもらうことです。

エプソンは「EARTH HOUR 2024」に向けて、世界各地のグループ会社と協力し、26言語で参加を呼びかけることで省エネ意識の向上を促進しました。

2024年の「Hour Bank」では、世界の総計で140万時間を超える時間が登録されました。

編集部も実際「Hour Bank」に登録してみました。登録すると「EARTH HOUR」のスマホ用壁紙がダウンロードできます。

これを待ち受けにすることで「電気をちゃんと消したかな」「省エネにできることってなんだろう」と考えることが増えました。

Hour Bankに登録することで日々の考え・行動の小さな変化が生まれ、多くの人が参加することで大きな変化を生み出せそうだと実感しました。

日本でのリアルイベント「EARTH HOUR 2024」のハイライト

会場:アーバンドック ららぽーと豊洲

 

日本の「EARTH HOUR 2024」リアルイベントは2024年3月23日に「アーバンドック ららぽーと豊洲」にて開催されました。

このイベントではWWFジャパンの他に、エプソンなどのEARTH HOURに賛同する企業のブースが数多く出展。

自転車発電体験や電気自動車の仕組みを学ぶ講座、ペーパークラフト、ぬり絵、ソーラーライトやペンダントづくりなど、気候変動や生物多様性にまつわるワークショップが開催され、子どもから大人まで楽しめるイベントとなりました。

編集部も「EARTH HOUR 2024」に参加し、地球環境を身近に感じられるワークショップやイベントを体験してきました。当日の様子をお届けします。

スゴロクから自転車発電まで!?地球環境について楽しく学べるイベントブース

「コパンダのおつかいスゴロク」を楽しむご家族

WWFジャパンのブースでは、写真パネルやグッズの展示ブースのほか、オリジナルの「コパンダのおつかいスゴロク」で遊びながら、 親子で楽しく“地球にやさしいアクション”を学ぶワークショップを実施していました。

子どもたちはマス目のイベントを楽しみつつ、環境にまつわるトピックを学んでいた様子。

現在では小学校でも環境保全について教えているため、「これ知ってる!」と誇らしげに両親に伝える様子も垣間見えました。

自転車発電でランタン点灯のために蓄電

エプソンブースの自転車発電のコーナーには多くの人で列ができていました。

参加者が自転車を漕ぐことでエネルギーが蓄電され、そのエネルギーを使って日の入り後にランタンの灯りをつける試みです。

「一人ひとりの力が集まれば大きなパワーになる」というメッセージが込められています。

また、自転車を漕ぐことで、電気を生み出すためには多くの労力が必要ということが体感できます。

自分が貯めた電気量の表示を見て、「これしか発電できないのか」という声も。普段使用する電気への意識も変わりそうです。

日が落ち始めて18時近くになると、ランタンの前で灯りをつけるカウントダウンが始まりました。

「5,4,3,2,1、点灯!」という掛け声とともにカラフルなランタンが夜に浮かびました。

日中、自転車発電をしてくれた来場者の想いが光となって現われ、とても美しかったです。

みんなで蓄えたエネルギーでランタンが点灯

エプソンブースには他にも「再生紙でつくろう、ペーパークラフト」コーナーがありました。

使用済みの紙から新たな紙をつくりだす乾式オフィス整紙機「PaperLab(ペーパーラボ)」によって作られた再生紙を用いた動物の紙工作体験ができる内容でした。

「PaperLab」はオフィスや学校などの設置場所で紙を再生する装置です。

製造工程で大量の水や、新たな木材を使用しないほか、紙の処理や購入のための輸送を減らすこともできるそうです。

使用済みの紙がその場で再生紙に生まれ変わることで、多方面で地球環境の保全に貢献しているのだと理解できました。

ブースでは、子どもたちが「PaperLab」の再生紙での動物づくりに夢中になっていました。

親子一緒に環境や生物多様性を楽しく学んだことは素敵な思い出となって子どもたちの記憶に残っていくでしょう。

次世代へつなぐこうした活動は「持続可能な開発のための教育」ともいえます。

「PaperLab」の再生紙で動物を制作

また、イベントの様子をSNSでつぶやくとタンブラーをプレゼントする企画も実施されていました。

なんと飲み口の部分はコーヒー抽出後のコーヒー粉を再利用して作られています。

イベントが終わってもこのタンブラーを見るたびに環境や生物多様性の大切さを思い出すことができますね。

コーヒー抽出後のコーヒー粉を再利用して作られたタンブラー

ステージイベント:出張ラジオ「スナックSDGs」で語られた「地球のためにできること」

TBSラジオで放送中の「スナックSDGs」の公開収録も行われました。

SNSで身近なサステナビリティの話題を発信している18歳の俳優・タレントの村山千夏さん※1や、エプソンのサステナビリティ推進室部長の藤崎康二郎さん※1などが登壇しました。

※1:年齢・所属ともに2023年3月23日時点

藤崎さんは、企業の環境への取り組みについて解説。エプソンは自然豊かな長野県で創立され、地域との共生の想いのもと、地域の環境に負荷をかけないことを創業以来貫いているそうです。

エプソン サステナビリティ推進室部長 藤崎康二郎さん

また「『省・小・精』から生み出す価値で、人と地球を豊かに彩る」というエプソンのパーパスについても語ってくれました。

この「省・小・精」とはエプソン独自の考え方であり、大きいこと、量が多いことだけが豊かさではない。省くこと、⼩さくすること、精緻さを突き詰めること、これこそが、人々のこころを豊かにでき、「省・小・精」から生み出す、より大きな価値で、人と地球を豊かに彩っていきたい、との想いがあり、それを実現していく、とのこと。

1980年代に、オゾン層破壊が問題になり、エプソンはいち早くその原因となるフロンを生産工程から排除しました。そして、2023年からWWFとつながり、海洋保護や森林保全を支援しています。

村山さんから「なぜそんなに長い間環境問題に取り組んでいられるのですか?」と質問が。

藤崎さんは「環境問題は時間をかけなくてはいけないトピック。我々がしっかり引っ張っていこうという意識がトップにあるのだと思います。これからも継続して活動していく意識でいます。」と回答しました。

創業当時から環境問題に取り組み、これからも解決へ貢献しようとする強い意思を感じました。

編集部は企業の取り組みについて幅広くリサーチしていますが、まだまだSDGsの各目標がどの事業とつながっているかを示すだけのラベル張りに留まってしまっている企業は少なくありません。

しかし、エプソンは創業当時から環境問題について意識を向け、経営理念から製品・サービスに至るまで一貫してその意識が浸透していることに驚きました。

日本のサステナビリティ経営のリーディングカンパニーといえるのではないでしょうか。

消灯イベント:暗闇に現れた星が教えてくれること

20時30分には会場の照明がすべて消灯する「Switch Off」が行われました。

消灯の数分前からステージで地球についてのトークが繰り広げられ、数秒前からカウントダウンがスタート。

消灯後、LEDキャンドルの灯りが会場を包み込む

消灯後、配布されたLEDキャンドルが灯され、温かい光で会場が神秘的な雰囲気に。

普段街灯の明るさで見ることができなかった星も現れました。

地球上で行われている「消灯のリレー」に自分が協力できていると思うと嬉しい気持ちに。

スペシャルライブを聞きながら、「地球のためにできることは何だろう」と考える時間となりました。

「EARTH HOUR」に向けたエプソンのグローバルな取り組み

このような「EARTH HOUR」のアクションは世界規模で実施され、エプソンの環境保全への取り組みをグローバルに広める貴重な機会となりました。

エプソンは日本のほか、シンガポールでもブース展示やイベントを催し、参加者に環境について考えるきっかけを作りました。

その中で、参加者の注目を集めたのは植物を植えるワークショップです。

インクボトルのリサイクルによって生まれたプラントポット※2を用いたワークショップの様子

※2:インクボトルのリサイクルによって生まれたプラントポットは、写真内のグレーのプラントポットです。

このワークショップで、参加者はエプソンの大容量インクタンクプリンターのインクボトルをリサイクルして作られたプラントポットに、植物を植えて持ち帰ることができました。

自分で植えた植物やポットを家で見るたびに、イベントのことを思い出し、日々の行動が変わることを期待しています。

私たち一人ひとりが気候変動や生物多様性保全へアクションを

「EARTH HOUR 2024」で来場者に配布されたLEDキャンドル

 

「EARTH HOUR」は人々が「気候変動」と「生物多様性保全」に目を向け、アクションすることをテーマにしています。

そもそも地球上でどんなことが問題になっているのでしょうか。

気候変動の危機とは

昨今、大雨や猛暑などの気候変動が問題になっています。

温室効果ガスの過剰な発生により加速している地球温暖化は気候変動を深刻化させています。

欧州連合(EU)の気象情報機関「コペルニクス気候変動サービス」は、2023年の世界平均気温が1850年以来の観測史上最も高く、産業革命以前と比べて1.48℃も高くなったと報告しているのです。

生物多様性保全の重要性

地球温暖化により、生物多様性も脅かされています。生物多様性とは、生き物の種や遺伝子、ならびに生態系の豊かさのことです。

きれいな空気を呼吸するためには、光合成をする植物が必要です。体の中には、大腸菌などがいてくれないと生きていけません。

海や森からの恵み、清浄な水、土の力、安定した気候、全てが「生物多様性」の恩恵として、もたらされています。

「生物多様性」とは、単に動植物の種類が多いということだけを意味するものではなく、地球の長い歴史の中で育まれてきた生きものの相互のつながりをも指し示す言葉です。

私たちの暮らしは食料や水の供給、気候の安定など、生物多様性を基盤とする生態系から得られる恵みによって支えられています。

これらの恵みは生態系サービスと呼ばれ、もし生物多様性が崩れれば、人々が生態系サービスの恩恵を受けられなくなるでしょう。

現在、地球が生産・吸収できる生態系サービスの供給量に対して、人類のエコロジカル・フットプリント(人類が地球環境に与えている「負荷」の大きさ)は75%も超過しています。

世界が今の生活水準を続けるためには、地球1.75 個分の自然資源が必要となり、中長期的には持続可能ではない状態に陥っています。

「EARTH HOUR」では、このような地球の現状を多くの人々に知ってもらい、アクションを取ってもらうことを目的にしています。

エプソンの環境への取り組みと未来への展望

最後にエプソンの環境への取り組みを紹介します。

エプソンは2021年に「環境ビジョン2050」を改定し、「カーボンマイナス」および「地下資源※3消費ゼロ」を目指しています。

※3:原油、金属などの枯渇性資源

再生可能エネルギーの活用を脱炭素の達成目標に向けた重要なテーマとして位置づけ、2021年3月に、全世界のエプソングループ拠点※4において使用する電力を2023年までに100%再エネ化することを宣言。

2021年11月には国内での再エネ100%を達成し、2023年12月にグローバルでも計画通り達成しました。

※4:一部、販売拠点などの電力量が特定できない賃借物件は除く

また、長野県飯田市にエプソンの自社発電所として初めてとなるバイオマス発電所の建設計画を開始し、2026年度中の稼働開始を目指しています。

さらに、大気中の二酸化炭素を除去する技術の開発も進めています。そのひとつが、二酸化炭素を優先的に透過するフィルターの開発です。

さらには、二酸化炭素を固定化する微細な藻に着目し、変異技術などを活用しながら培養技術を開発しています。

エプソンのこうした事例から、環境への取り組みはリスクを低減するだけでなく、新たなビジネスチャンスを生み出していることが分かります。

経済的価値と環境的・社会的価値の両立を図ることで企業にとっても地球にとっても持続可能なイノベーションを生み出すことができると感じました。

まとめ:地球の未来へ貢献し続ける企業を目指して

地球について考えるイベント「EARTH HOUR 2024」​​。消灯や各種ワークショップを通して、当たり前になりがちな地球の恩恵について改めて意識する機会となりました。

インターナショナルパートナーであるエプソンが、創業以来、環境問題に取り組んでいることがよくわかりました。

全世界のグループ拠点※4における使用電力の再生エネルギー転換などの活動に積極的に取り組むエプソンが、今後どのように持続可能でこころ豊かな社会の実現に貢献していくのか、目が離せません。

私たちも地球の未来のためにできることからまず始めてみましょう。

提供:セイコーエプソン株式会社

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