リメイクでサーキュラーエコノミーを実践!海外と日本の事例を解説
SDGsやサーキュラーエコノミーの意識が高まる中、リメイクがエコなアクションとして注目されています。
けれど「リメイクはSDGsの目標何番になるのか」「具体的にどのような事例があるのか」と疑問に思う方もいるのではないでしょうか。
今回は、リメイクとSDGsの関係性、海外や日本の事例などを幅広く解説します。
限りある資源を有効活用するために、まずはリメイクのポイントをおさえましょう。
リメイクはSDGsの目標何番?
リメイクは、SDGsの目標「12.つくる責任、つかう責任」に貢献するアクションです。
リメイクとは、もともとある製品の特性を生かして、新しいものへ作りかえることで、「お直し」という意味でも使われます。
目標「12.つくる責任、つかう責任」は、持続可能な生産や消費を確保することを目指しており、2030年までに廃棄物の発生防止や削減について明記されています。
古くなったり不要になったりしたものを再生させるリメイクは、廃棄物の発生を防止することが可能です。
リメイクとアップサイクルの違い
「リメイク」と聞くと、「アップサイクル」とどう違うのかと疑問に思う方もいるのではないでしょうか。
リメイクもアップサイクルも、もとの製品の素材や特徴を生かして別のアイテムに作りかえることを意味します。
異なる点は、アップサイクルは、ただ直すのではなく、新しく生まれたアイテムに付加価値がプラスされているかが重視されます。
一方のリメイクをしたアイテムは、もとの製品と価値が同じだったり、下がったりする場合も含まれます。
例えば、着物の場合で考えてみましょう。
着物を修繕する場合はリメイクとはいえますが、アップサイクルといえません。
一方、不要になった着物でカバンや靴を作る場合は、新しい価値を付与しているのでアップサイクルに該当します。
このようにリメイクのほうが、広義的意味で使われるといえるでしょう。
なぜリメイクが注目されるのか
廃棄予定のものを新たな製品に活用することは、循環型社会の構築に貢献すると注目されています。
例えば、家庭でよく捨てられる衣料品で考えてみましょう。
国内において焼却・埋め立て処分される洋服の量は年間約45万トンといわれています。
大型トラック約120台分の洋服を毎日焼却・埋め立てしているのが現状です。
エレン・マッカーサー財団の報告書においても、2015年の時点では世界全体で「1秒ごとにトラック1台分」の衣料品が焼却、あるいは埋め立て処分されているといわれています。
世界全体で、衣料品や生活用品の廃棄物は社会問題になっています。
不要になったものを捨てるのは簡単です。
手間かもしれないけれど、リメイクをすれば、あと1年もしくは10年使えるかもしれません。
限りある資源を有効活用して環境負荷を減らすために、リメイクという選択肢が必要になるといえるでしょう。
【海外事例】フランス政府が服や靴のお直し費用を支援
2023年10月から、フランス政府は衣類や靴の修理費用への支援を開始しました。
お直しの支援制度は、2020年2月に施行された「循環経済法」に基づいて導入されたものです。
消費者の修理代の一部を負担することで、2028年までに国全体の修理される衣類や靴の量を35%引き上げることを目指しています。
この制度を利用する場合は、認定を受けた修理業者への依頼が必要です。
割引額は、6ユーロから25ユーロで、例えば以下のケースが挙げられます。
- 洋服の破れを修繕する:6ユーロ
- 靴のかかとを修理する:7ユーロ
- 靴のソールを修理する:8ユーロ
- 靴底を張り替える:25ユーロ
今後は、スポーツ用品や家具などにも対象が拡大される予定です。
【日本事例】リメイクを活用したプロジェクト
日本でも、リメイク事業に取り組み、サーキュラーエコノミーの構築に貢献する企業が増えています。
ものを大切にする思いが伝わるプロジェクトを以下にまとめました。
循環型の服づくり「RE H」
RE H(リアッシュ)は、循環型ファッションプロジェクトです。
再利用が難しいアイテムに古着をかけ合わせて、新たなアイテムを作っています。
個性豊かなデザイナーの手によって再生されたアイテムは、自分らしさを演出します。
例えば、肩ひもが壊れたキャミワンピースと袖に穴があいたブラウスをかけ合わせたワンピース、パーカーとスエットを融合させたトップスなど、ユニークなデザインが魅力です。
ファッション業界は、これまで新しいものを生み出すのが当たり前とされてきました。
リメイクを活用した商品開発は、一石を投じる事例といえるでしょう。
参照:RE H
ランドセルのリメイク「土屋鞄」
人気ランドセルを手掛ける土屋鞄は、ランドセルのリメイクにも取り組んでいます。
小学校卒業後に不要になるランドセルを、職人の手によってペンケースやパスケースなどにリメイクをすることが可能です。
6年間、子どもの成長を支え続けた思い出のランドセルが、リメイクによって一生の宝物へと生まれ変わります。
リメイク事業は、環境配慮だけではなく、大切な思い出をつなぐ役割も果たしているといえるでしょう。
PASS THE BATON
PASS THE BATONは、「NEW RECYCLE」をコンセプトにしたセレクトリサイクルショップです。
企業の倉庫に眠るアイテムやB級品などに、PASS THE BATON独自のノウハウやアイディアをかけ合わせて、新たな商品を開発しています。
リメイクも事業の一つです。
これまでに、DEAN & DELUCAのトートバッグにオリジナルの刺しゅうやプリントを加えたり、RHODIAのメモカバーにオリジナルイラストを描き足したりして、リメイク商品を生み出してきました。
廃棄予定のアイテムをもう一度輝かせられないかを日々模索しながら、ものづくりに励んでいます。
リメイクを体験できる場を紹介
自分でリメイクをしたいけれど、「難しそう」と感じる方もいるかもしれません。
初心者の方でも、気軽にリメイクを体験できる場やイベントが設けられています。
気になる場所へ足を運んでみてはいかがでしょうか。
nu cafe(ヌーカフェ)
自由が丘にあるnu cafeは、洋服のお直しやリメイクをコンセプトにしたカフェです。
お直しとおいしいコーヒーの両方を楽しめます。
東京まで行くのは難しい方に向けて、郵送のお直しへの対応も実施しているそうです。
参照:nu cafe
ソーイングカフェ縫い
神奈川県茅ヶ崎市にあるソーイングカフェ縫いは、ミシンが使えるカフェです。
洋服のお直しも対応しています。
リメイクに挑戦したい方に、ミシンや作業スペースを貸し出しています。
「ここはどう縫えばいいのか」と気軽に相談もできるそうです。
参照:ソーイングカフェ縫い
SewingCafe LUNA
東京都杉並区にあるSewingCafe LUNAでは、古着を子ども服や入園グッズなどへリメイクをする教室を開催しています。
リメイクに使いたい洋服を持っていけば、デザインや型紙選びから完成までサポートしてくれます。
洋服のリメイクを通して、親から子へ受け継がれる体験ができるのが魅力です。
リメイクを楽しむ時間が未来を変える
リメイクは、もとの製品を修理したり、デザインを加えたりして、新たなものに作りかえることです。
廃棄物の削減とサーキュラーエコノミーの構築に大きく貢献しています。
環境先進国であるフランスでは、政府がお直し費用を支援する制度を開始しました。
世界中で、リメイクの習慣がより浸透することが期待されます。
すでにあるものを大切にするリメイクは、環境と人の思い出に寄り添ったアクションといえるでしょう。
これまでの大量生産・大量消費・大量廃棄の時代から、循環型経済が求められている今、お直しやリメイクに時間とお金をかける必要性が一層高まるといえます。
洋服や家具などを捨てようと思ったときは「リメイクができないか」と立ち止まってみてください。
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