エシカルライフ

その服は本当に必要?ファッション業界が取り組むSDGsを紹介

いま、私たちが着ている服がどのような材料で、どこの国の誰がつくっているか考えたことはありますか?

また、SDGsというワードも最近よく耳にしませんか?

実は服・ファッションとSDGsは深い関係があったんです!

今回はSDGsと服(ファッション業界)の関係性、私たちにできるアクション、SDGsの取り組みに力を入れているアパレル企業を紹介していきます!

ファッション業界とSDGsの関係

ファッション業界は、服の原料調達・製造・輸送・廃棄の過程で環境や人にさまざまな悪影響を及ぼしています。

その影響を、

  • 環境問題
  • 大量生産と大量廃棄
  • 労働問題

の3つに分類しました。

それぞれについて1つずつ解説していきたいと思います。

環境問題

服をつくるための天然繊維・合成繊維は、原料調達や製造段階で多くの二酸化炭素を排出し、水を消費します。

原料の調達から製造段階までに排出される環境負荷の総量を服1着あたりに換算すると、

二酸化炭素排出量:約25.5kg
水消費量:約2,300ℓ

になります。

これは言い換えれば、二酸化炭素排出量は500mlのペットボトル約255本分、水消費量は湯船約11杯分の量です。

服を1着つくるのにそんなに二酸化炭素を排出していて、なおかつ大量の水を使っていたとは、私自身も正直驚きました!

服1着を作るのにもたくさんの環境資源を使う必要があり、ファッションがいかに環境に負荷をかけているかわかります。。。

さらに日本の店舗やオンラインで販売されている服は、約98%が海外から輸入している服のため、輸送の際にも大量の二酸化炭素が排出されているんです。

大量生産・大量消費(廃棄)

ファッション好きの味方であるファストファッション。

[st-mybox title=”” fontawesome=”” color=”#757575″ bordercolor=”#f3f3f3″ bgcolor=”#f3f3f3″ borderwidth=”0″ borderradius=”5″ titleweight=””]トレンドに合わせてコーディネートも変えたいし、たくさん買ってしまう。。。
トレンドが過ぎるとゴミ箱へ。。。[/st-mybox]

そんな経験はありませんか?

日本国内の服の供給数は年々増えています。

価格が安くライフサイクルが短くなることで、大量生産・大量消費のサイクルが生まれているのです。

1人あたりの服の消費・利用状況(年間平均)は、

購入する服:18枚
手放す服:12枚
着用されない服:25枚

となっています。

ファッション好きだとさらに多い数字になりそうですよね。

たしかに私のクローゼットには全然着ていない服がたくさんありました。。。
(計40着以上。。。)

また、手放される服の約7割が可燃ごみ、不燃ごみとして捨てられています。

ゴミとして捨てられた服のうち約5%は再資源化されますが、ほとんどは焼却処分となり埋め立てられています。

これによって1日あたり約1,300トン(大型トラック約130台分)の二酸化炭素が排出され、そして焼却でも多くの二酸化炭素が発生することになります。

毎日トラック130台分も服が捨てられているなんてもったいなさすぎる。。。

服は大量生産されて安く私たちの手元に届き、手放される際にはほとんどがゴミとして捨てられています。

環境にも大きな負荷がかかり、悪循環となっています。

参照:https://www.env.go.jp/policy/sustainable_fashion/

労働問題

服のタグの部分を見てみると、ほとんどが海外で作られていて、生産国のほとんどがアジアに集中しているのがわかると思います。

そのワケは工場を設置しやすく低賃金で労働力を確保でき、低コストで大量の服を生産できるためなんです。

インドのコットン生産地などでは多くの子どもたちが、家庭の貧困によって働かなければならないという現状にあります。

そのため雇い主からより低賃金で労働させられるなど、児童労働も大きな問題となっているのです。

最近では「フェアトレード商品」を扱う企業も増えてきました。

フェアトレード(公平貿易)とは、途上国でつくられた商品や原料に対して適正な価格・報酬を支払い、立場の弱い生産者や労働者の生活を守る貿易の仕組み

SDGsの目標8「働きがいも経済成長も」のターゲット7にも、2025年までに児童労働をなくすことを目指すという項目があります。

これは子どもたちの明るい未来のための目標になっています。

2013年4月には、バングラデシュの首都ダッカ近郊で8階建て商業ビル「ラナ・プラザ」が崩壊する事故が起きました。

この事故による行方不明者は500名以上、負傷者は2500名以上、死者は1100名以上と、稀に見る大惨事でした。

このビルには世界的なアパレルブランドの下請け縫製工場が入っており、

  • 低賃金での労働
  • 劣悪な労働環境
  • ずさんな安全対策・管理体制

が浮き彫りとなりました。

この事故は、ファッション業界の労働問題を見直すきっかけとなりました。

関連記事:フェアトレード商品とは?できることや問題点をわかりやすく解説!

ファッション業界が取り組むSDGs

ファッション業界では、

  • 「サステナブルな素材の調達とみんなで取り組む3R」
  • 「ファストファッションからサステナブルファッションへ」

の取り組みに力を入れています。

そして「SDGs」はブランド価値を高める重要なキーワードとなっています。

サステナブル素材の調達とみんなで取り組む3R

サステナブル素材とは、環境への負荷が少ないオーガニック栽培の綿やリサイクルによる再生繊維など、環境に配慮した素材のことをいいます。

また、ファー(毛皮)、革(レザー)などの動物素材を避ける、もしくは使わない「アニマルフリー」の動きもファッション業界で広がっています。

3R(スリーアール)とは

  • REDUCE(リデュース):ゴミ(廃棄物)そのものを減らす
  • REUSE(リユース):再使用
  • RECYCLE(リサイクル):再資源化

の3つの頭文字を取ったSDGsにおいて重要なキーワードです!

服を手放すときにゴミとしてではなく、フリマアプリや回収などで再使用、再資源化させることにより、廃棄量を減らしていこうという取り組みです。

ファストファッションからサステナブルファッションへ

近年の企業や消費者のSDGsへの理解によって、服は大量生産・大量消費される製品ではなく、徐々に長期的に着られる製品へとシフトしています。

これはSDGsの目標12「つくる責任 つかう責任」に当てはまります。

ファストファッションブランドの服って、ペラペラですぐダメになる印象ありませんか?

徐々にですが、丈夫で長く着られてデザインにも飽きがこないアイテムも増えていくと思います!

ぜひ注目したいですね。

このようにファッション業界では、サステナブル素材の使用と、製造した服への3Rの取り組みに力を入れています。

その効果をより高めるためには、私たちの協力が必要になります!

関連記事:サステナブル素材とは?種類・生地の特徴を解説

私たちにできること:「服の選び方」

①その服は本当に必要?

そもそもその服は本当に必要なものなのでしょうか?

どうしてもほしい!

そんなときは新品ではなく、メルカリなどで古着を購入したり、服のレンタルサービスを利用したりする手もあります!

私の場合、結婚式のドレスなど着る回数の少ない服に関しては、メルカリで古着のワンピースドレスを購入して、着終わったものをまたメルカリで売ったりしています。

②長く着られる服?

購入しようとしている服が長く着られるものか考えてみましょう。

  • いろんなコーディネートで着まわせる?
  • 飽きないデザインやシンプルなもの
  • 素材などは丈夫?

など、自分のライフスタイルとも照らし合わせてみるといいかもしれません!

また素材に合った洗濯方法や毛玉クリーナーを使えば、きれいな状態で服をキープでき、末永く着ることができるようになります。

ちなみに私はAmazonで約2,000円の毛玉クリーナーを購入して以来、コートを10年以上、お気に入りのトップスを5年くらいきれいな状態でキープできています!
(毛玉クリーナー神!)

⇒Amazon

③エシカル消費になるか考えてみよう

エシカル(ethical)とは、直訳すると「倫理的な」という意味です。

エシカル消費とは環境や社会、人などに配慮されたものを選んで購入することをいいます。

  • フェアトレード商品
  • サステナブル素材を使っている

など、購入を考えているファッションブランドが、服のリサイクルや働いている人々の労働環境、服をつくる際の環境保全などに積極的に取り組んでいると良い印象を持ちますよね。

後ほど積極的にSDGsへの取り組みをしているアパレル企業を紹介するので、合わせてチェックしてみてください!

私たちにできること:服の処分は「捨てる」以外を選ぼう

  • メルカリなどのフリマアプリ
  • リペアする
  • 古着買い取りを依頼
  • アパレル企業の回収ボックス
  • 自治体の回収
  • 寄付

など「捨てる」以外にも方法はたくさんあります!

あくまでも私の意見ですが、まだ服がきれいな状態であれば出品が少し手間ですがフリマアプリの利用がいいと思います!

環境を守りつつ、お金に換えられるので一石二鳥です!笑

SDGsに取り組む企業の事例

SDGsに対して取り組んでいる企業が増えている中でも、特にSDGsへの取り組みが熱心なアパレル企業6社をご紹介します!

パタゴニア

パタゴニアは、地球環境と労働環境において両者を守るプログラムに積極的に取り組んでいます。

  • 製品ラインの72%がリサイクル素材
  • 製品にオーガニックコットンのみを採用
  • 製品の83%がフェアトレード・サ―ティファイド縫製を採用
  • 衣料品製品工場の39%が平均的に労働者へ生活賃金の支払い
  • 米国内のパタゴニアの電力の100%を再生可能エネルギーで供給/li>
  • 自然環境の保護/回復のために売上の1%を寄付

エネルギーと水の無駄な消費を抑えるために製品自体の耐久性を重視したり、南米の漁業コミュニティから回収された使用済みの漁網を100%リサイクルしたりと、地球と人に優しい取り組みを行なっています!

ユニクロ・GU

ユニクロ・GUを展開するファーストリテイリングは、「よい服をつくり、よい服を売ることで、世界をよい方向へ変えていくことができる」という考えをもとに、社会課題を解決するための取り組みに力を入れています。

  • 環境負荷の低減、責任ある原材料調達とサステナブルな商品開発
  • 全商品をリサイクル、リユースする「RE.UNIQLO」の取り組み
  • 自社の店舗、サプライチェーン、商品使用における温室効果ガス排出量削減への取り組み
  • 取引先工場の労働環境や人権を守るための「生産パートナー向けのコードオブコンダクト(行動規範:遵守すべき基本事項)」を定める
  • 難民の人々を雇用するプログラムの立ち上げ
  • 世界各地の店舗で障がい者雇用を推進

いらなくなった服(ユニクロ・GUの商品が対象)を無料で回収し、世界中の服を必要としている人たちに届ける、素晴らしい取り組みを行っています!

 

ZARA・Bershka

人気ファッションブランドのZARAとBERSHKAを展開するインディテックス(INDITEX)は、サスティナビリティをいっそう推進する取り組みに力を入れています。

  • 服の生産地と過程が確認できるプログラムの導入
  • サステナブル・オーガニックな原料を使用し、リサイクルを推進
  • 従業員の人権を尊重するための「センターにおける労働者 2019-2022」プログラムを策定
  • ビニール袋の使用を完全廃止
  • オフィスや店舗で出たごみを2023年までに全て再利用またはリサイクルする
  • 2025年までに世界中の店舗、物流センター、オフィスで使用されるエネルギーの80%が再生可能エネルギーに

トレンドも取り入れつつSDGsへの取り込みもしていて、早い時期からビニール袋を廃止していたZARA、さすが!

H&M

H&Mを展開するヘネス・アンド・マウリッツは、「循環型ファッション」を目標に下記の取り組みを行っています。

  • 古着回収BOXの設置とポイント付与
  • リサイクル素材などの、サステナブルな素材のみを使用
  • AI活用によるサプライチェーンの見直し
  • 労働者の給与支給
  • 店舗の再生可能エネルギーの使用

服の素材にパイナップルやバナナなどフルーツの葉っぱ、ペットボトルから作られた繊維やワインの製造工程で出る廃棄物を使うなど、ユニークでおもしろい商品がたくさん!

服を回収してもらえて、なおかつポイントがもらえるのも嬉しい!

 

UNITED ARROWS(ユナイテッドアローズ)

UNITED ARROWS (ユナイテッドアローズ)は「生活文化のスタンダードの創造」を目指し、持続可能な社会と環境の実現に向け、SDGsへの取り組みに力を入れています。

  • 「REDUCE SHOPPING BAG ACTION」包装資材削減への取り組みによる環境保全
  • UNITED ARROWS LTD. ONLINE STORE ポイント募金
  • 「グリーンダウンプロジェクト」不要になったダウンウエアを回収・リサイクルする
  • 店舗運営による環境負荷の削減
  • 修繕受付サービス (ユナイテッドアローズの商品のみ)

購入時にショッピングバッグの使用を辞退すると、1回につき10円を森林保全団体に寄付するプログラム「Reduce Shopping Bag Action」や、長く愛用できるように製品を修繕するサービスを実施するなど、

私たち消費者と協力したSDGsへの取り組みに積極的です!

URBAN RESEARCH(アーバンリサーチ)

URBAN RESEARCH(アーバンリサーチ)は、

・Clothing Innovation(衣料資源の有効活用)
・Clean Earth (地球環境負荷の軽減)
・Community Building (コミュニティの形成)

の「3C」のテーマを中心に、SDGsへの取り組みに力を入れています。

  • 「Green Down Project」羽毛製品の回収とリサイクルされた羽毛での商品企画
  • 「commpost」サステナブルマテリアル・プロダクトブランド
  • 「JAPAN MADE PROJECT」日本各地の企業やクリエイターとのコラボ
  • 「TO BLACKWEAR」衣料品の染め替えプロジェクト
  • マイバック持参でポイント付与
  • 障がい者雇用の推進
  • 一部自社倉庫と店舗において再生エネルギーを採用

素材分別が容易ではない衣料品のアップサイクル商品「commpost」や、日本の文化や伝統の技とコラボした、より自分の服に愛着が沸くようなプロジェクト(TO BLACKWEAR)、地域活性化の活動(JAPAN MADE PROJECT)などと、個性豊かな取り組みがたくさん!

 

まとめ

服を1枚つくるには多くの資源を必要としていて、なおかつ大きく環境に負荷をかけているという現状。

また従来の大量生産・大量消費(破棄)によって、環境負荷がさらに大きくなるという悪循環も。。。

そんな悪循環から少しでも抜け出すためには、服にかかわる企業とひとりひとりが協力・意識をしていくことが大切になってきます!

環境と人に優しい服選び、そしてごみに出す以外の服の手放し方を、今後の生活で参考にしていただければ嬉しいです。

GREEN NOTE
GREEN NOTE編集部

『GREEN NOTE(グリーンノート)』は環境・社会課題をわかりやすく伝え、もっと身近に、そしてアクションに繋げていくメディアです。SDGs・サステナブル・ESG・エシカルなどについての情報や私たちにできるアクションを発信していきます!

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