革新的なデザインとサステナブルな歩みを続けるJW アンダーソンとは?
画像:iStock | Iryna Sukhenko
JW アンダーソン(JW Anderson)は、北アイルランド出身のデザイナー、ジョナサン・アンダーソンが手掛けるファッションブランド。
日本では、ユニクロとのコラボレーションが有名です。
ジェンダーレスなデザインとサステナビリティな視点にも注力し、余ったファブリックや端切れを使用したコレクションや、リサイクル素材を活用したアイテムが注目されています。
特にペットボトルを再利用した素材を使った「ベルトトートバッグ」は、JW アンダーソンのロゴを模したアイコン的バッグです。
毎年サステナブルな視点をバージョンアップさせている点でも人気です。
そこで今回は、JW アンダーソンのジェンダーレスやサステナブルな取り組み、そしてデザイナーであるジョナサン・アンダーソンについて紹介します。
JW アンダーソン(JW Anderson)とは
JW アンダーソンは、2008年にイギリスの北アイルランド出身のデザイナー、ジョナサン・アンダーソン(Jonathan Anderson)によって設立されたイギリスのファッションブランドです。
独自の型にはまらない自由な感性によって作られたラグジュアリーな世界観が特徴です。
ジョナサン・アンダーソンは、現代のラグジュアリーブランドの早い展開の流行や手間をかけないデザインに疑問を持っていました。
彼は流行りとは対極にあるような人々に長く愛され、価値が続くブランド作りを目指しました。
彼は、デザインの裏にメッセージを潜ませるのではなく、デザインを「見る」ことをテーマとし、直接的な表現を重視しています。
JW アンダーソンは、独創的なデザインと文化への貢献を通じて、ファッション業界に新しい価値観をもたらし続けているブランドです。
参考:KLD「JW Andersonってどんなブランド?|JWアンダーソン」
ジェンダーレスなデザインが特徴
JW アンダーソンが注目される理由は、ジェンダーレスなデザインを採用していることにあります。
メンズとウィメンズの境界線を曖昧にした服作りが特徴的です。
そのため、ジョナサン・アンダーソンは「ジェンダーレスの先駆者」ともいわれています。
彼は過去のインタビューで、「昔は固定概念が強く、自由に身動きができない場面が多かった。しかし、私はファッションの民主化を求めてデザインしてきた結果、今ではそのバリアが崩れ去っている」と語っていました。
ジェンダーに対する固定概念を再定義している彼のコレクションでは、フェミニンとマスキュリンが融合した独創的なデザインを生み出しています。
例えば、男性向けのデザインとしてスカートやドレス、女性向けにはオーバーサイズのスーツやジャケット、またユニセックスで着られるシルエットのトップスやボトムスなどを展開しています。
デザインだけでなく、使用する素材やディテールの融合にもジェンダーレスを表現し、レース素材やフリルをメンズウェアに取り入れたり、マスキュリンな素材や構造をウィメンズウェアに採用したりするなど独創的です。
JW アンダーソンでは従来の性別による服の区分けを超えた、自由で革新的なファッションを提案しています。
参考:KLD「JW Andersonってどんなブランド?|JWアンダーソン」
参考:the fasion post「「対話しながら、ゆっくりと」 ジョナサン・アンダーソンが語るブランドの未来」
JW アンダーソンが追求する「シェアド・ワードローブ」とは
「シェアド・ワードローブ」とは、従来の性別の枠にとらわれず、男女を問わず着用できるアイテムを指します。
シェアド・ワードローブは、LGBTQやジェンダー、ダイバーシティといった観点でも、近年注目されているトレンドです。
ジョナサン・アンダーソンは「性別はデザインする上で重要ではなく、余分なものを削ぎ落とすとジェンダーレスなアイテムに仕上がる」と語ります。
シェアド・ワードローブはこれからも多様性を尊重するアイテムとして、さらに注目されていくでしょう。
参考:F.M.J「創刊8周年「WWD ビューティ」が男女の”シェアドコスメ”新提案、エストネーションでポップアップストア開催」
参考:WWD「「J.W. アンダーソン」が提案する「シェアド・ワードローブ」とは?」
サステナブルでエココンシャスな考えを取り入れたJW アンダーソン
JW アンダーソンは、ジェンダーレスの視点以外にもサステナブルでエココンシャスなアイテム作りにも取り組んでいます。
ここでは、環境に配慮したJW アンダーソンのアイテム作りについて紹介します。
9本のペットボトルを再利用した素材を使用!人気の「ベルトトートバッグ」
JW アンダーソンの象徴である錨(いかり)ロゴを模したベルトトートバッグは、ブランドの人気アイテムの1つです。
このベルトトートは、JW アンダーソン初のエココンシャスなアイテムとして、2018年春夏コレクションで初登場しました。
1つのバッグには、500mLのペットボトル約9本をリサイクルしたキャンバス素材が使用されています。
JW アンダーソンを代表するサステナブルなアイテムです。
参考:GQ「エコがいい! ペットボトルで作ったJW Andersonのトートバッグ」
参考:SPUR「エココンシャスにアップデート! JW アンダーソン「ベルト トート」がリサイクルキャンバス地に」
余ったファブリックや端切れを使用したカプセルコレクション「Made in Britain」
2020年にローンチされた「Made in Britain」は、これまでのコレクションで余ったファブリックや端切れを素材として使用し、イギリスの工場で生産することにこだわったコレクションです。
ストーンウォッシュをかけたリネンやピンストライプのシャツ生地など、JW アンダーソンでよく使われる素材がコレクションアイテムとして使用されています。
世界的にコロナ禍真っただ中であった時期に、JW アンダーソンではコンセプト設定やサンプル制作を隔離期間中のロンドンで行いました。
パタンナーやソーイングスタッフ、フィッティングモデルといったコレクション作りに欠かせないメンバーも、デジタルコミュニケーションツールを用いながら作り上げたコレクションです。
参考:Highsnobiety「JW ANDERSON、サステナブルな英製コレクション「Made in Britain」限定発売」
廃棄物や再生プラスチックPETから生まれたサステナブルルック
JW アンダーソンの2021の秋冬メンズ&ウィメンズコレクションでは、LVRSustainabl※1が厳選したサステナブルルックがローンチされました。
コレクションでは、トートバッグが2つ、キャップバッグが2つ、アシンメトリーバケットハットの5つが展開されました。
これらのアイテムは、リサイクルされた使用済みコットンの廃棄物70%、リサイクルされた再生プラスチックPET※2 30%をベースに作られた「コンシャスデニム」という素材が使用されています。
※2再生プラスチックPET:ペットボトルに代表されるプラスチック類を使用後に回収し、容器や繊維などとして再利用できるようにした素材
参考:LUISA VIA ROMA「JW Anderson 21秋冬サステナブルルック: エクスクルーシブプレローンチ」|https://www.luisaviaroma.com/ja-jp/lvr-magazine/sustainable/the-exclusive-pre-launch-jw-andersons-sustainable-looks-from-fw21
参考:MARKLESS STYLE「サステナブル素材の再生PETとは?特徴やSDGs・環境配慮との関係を解説」
ロエベ(LOEWE)のクリエイティブディレクター、ユニクロとのコラボレーションで一躍有名に
最後にデザイナー、ジョナサン・アンダーソンの活躍を紹介します。
彼は自身のブランド立ち上げ後、2010年に英国の若手デザイナー支援プログラム「NEWGEN」のスポンサーシップを獲得しました。
その後、彼の才能に目をつけたロエベは2013年に、彼をクリエイティブディレクターに就任させます。
ここからロエベは生まれ変わり、「パズル」や「ハンモック」と命名されたバッグはロエベを代表するアイコンバッグとなりました。
また、2017年、ファーストリテイリングからオファーを受け「ユニクロ」の協業デザイナーとなったジョナサン・アンダーソンは日本でも大きな話題を呼びました。
コラボレーションによって、ユニクロの実用性とJW アンダーソンの遊び心のあるモダンなデザインが手頃な価格帯で展開され、ブランドの知名度が飛躍的に上がりました。
毎シーズン新しいデザインや商品が発表されており、日本でも継続的な注目を集めています。
実店舗は、2021年9月に伊勢丹新宿本店の3階にオープン後、現在は伊勢丹メンズ館の6階でメンズコレクションを展開しています。
2023年には渋谷パルコ3階に直営店をオープンしています。
メンズ・ウィメンズともにフルラインナップのコレクションを展開している日本唯一の店舗です。店舗以外では、オンラインストアで購入が可能です。
参考:fashionsnap「「JW アンダーソン」とは?——人気の「ユニクロ」コラボからロゴバッグ、最新コレクションまで」
参考:PR TIMES「渋谷PARCOが今年開業50周年を迎えフロア改装 ~ 日本初、ウィメンズ&メンズのフルコレクション『JW ANDERSON』10月13日(金)OPEN~」
参考:MODESCAPE「LOEWEの歴史、そしてLOEWEの快進撃の立役者 、デザイナー「ジョナサン・アンダーソン」とは」
まとめ
JW アンダーソンは、ジェンダーレスが特徴のブランドです。
「シェアド・ワードローブ」という男女を問わず着用できるコンセプトは、従来の性別の枠を超えて、多様性の時代にあった価値観を提供しています。
また、エココンシャスな素材使用で、流行りとは対極にある人々に長く愛され価値が続くようなブランド作りを目指しています。
余ったファブリックやペットボトルを再利用したデザインを取り入れることは、決して簡単なことではありません。
しかし、環境問題に向き合い、取り組むことこそが持続可能な未来を築く鍵となります。
私たちもJW アンダーソンの視点を取り入れ、できることから始めながら、共にサステナブルな世界を作っていきませんか。
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