PATCH THE WORLD編集長対談:サーキュラーエコノミーを後押しするためのサステナビリティメディアの役割
持続可能な社会を実現するため、今、企業や個人の行動は大きな転換期を迎えています。
そのなかで注目を集めているのが、資源を無駄にせず再利用・再循環させるとともに、資源消費の最小化や、そもそも廃棄物の発生を抑える「サーキュラーエコノミー」の取り組みです。
本記事では、パソコンのリユース・リサイクル事業を通して、資源循環に貢献している萬年を取り上げます。
萬年のサービスは、環境への配慮に加え、お客様の心配事を極力省く「ゼロステ」を掲げているのも魅力です。
萬年はメディア「PATCH THE WORLD(パッチ・ザ・ワールド)」も運営し、サステナビリティに関する情報を発信しています。
今回は「PATCH THE WORLD」の編集長の福田貴恵さんと、「GREEN NOTE(グリーン・ノート)」編集長の鈴木の対談をお届け。
メディア運営の使命と未来への展望を語ります。
企業活動とメディアの視点から、サーキュラーエコノミーをどのように推進し、次世代につなげていくべきかを深く掘り下げます。
提供:株式会社萬年
サステナビリティメディアの使命とは
サステナビリティメディアは運営者の方針が色濃く反映され、そのメディアの個性となります。
「PATCH THE WORLD」と「GREEN NOTE」の理念や使命に迫りました。
共通点は大きな目標を掲げながら小さな行動にもフォーカスしていること
GREEN NOTE 鈴木:まず「PATCH THE WORLD」の立ち上げの経緯を教えていただけますか。
PATCH THE WORLD 福田:メディアの運営会社である萬年は「『捨てる』をなくす」をビジョンに、中古PCを中心とする電子機器のリユースやリサイクルの事業を行っています。これにより、世界的な課題である「電子ゴミ問題」の解決に貢献しています。
世の中の課題は幅広く、全ての課題について、萬年が思い描く世界をメインの事業だけで実現するには限界があるため、メディア「PATCH THE WORLD」を立ち上げました。
なぜメディアなのかというと、多くの方に社会の課題をシェアできるからです。課題のシェアが豊かな世界の土台作りになると考えています。2023年秋頃から始動し、2024年から本格的に始動しました。
鈴木:ビジョン「『捨てる』をなくす」を実現するために、メディアを運営されているのですね。私たち「GREEN NOTE」を運営するGreenroomのビジョンは、「サステナビリティを、加速する」です。
サステナビリティについて情報開示する企業は増えてきましたが、具体的な製品・サービスの創造はまだまだ伸びしろがある状況です。サステナビリティ関連の商品を増やすには、生活者一人ひとりも変わっていく必要があると考えています。
生産と消費のどちらもサステナブルな形に変えていけるような記事を更新しています。
とはいえ、社会をすぐに変えるのはとても難しいこと。「今日の積み重ねが未来の地球を紡いでいく」をキャッチコピーに、今日の小さな1歩が明日の大きな1歩につながればという想いで発信しています。
福田:小さな行動にフォーカスすることが共通点だと感じました。環境・社会問題の大きな課題だけを見ると、なかなか行動に移せないことがあります。
しかし、大きな課題に対して小さなアクションや気づきが大事だと思っているので、「PATCH THE WORLD」でもそうした観点を重視して記事にしています。
例えば、社会をよりよくする自治体の小さな取り組みにフォーカスした取材記事などもあげています。
「PATCH THE WORLD」は個人の豊かさも含めたサステナビリティ情報を発信
鈴木:他にメディア運営で意識していることはありますか?
福田:「PATCH THE WORLD」はあくまで情報提供者であり、読者は一緒に考えていく仲間という意識を心に留めています。「これが正解です」のように情報提供してしまうと、読者の思考力を奪ったり、視野を狭めたりするリスクを感じているからです。
難しいバランス感覚ではありますが、メディアの立場や意見を表明しながらも、絶対的な正解ではないことも意識するようにしています。
鈴木:「GREEN NOTE」でも「こういう意見もあるし、こういう意見もあるよ」という具合で、中立的な立場で記事を更新するようにしています。
「PATCH THE WORLD」には、どのような記事の種類があるのですか?
福田:「自然環境」「ゼロウェイスト」「社会」「フード」「ウェルビーイング」の5つのカテゴリーに分類しています。
「自然環境」「ゼロウェイスト」「社会」は外的要因と捉え、環境問題から社会課題まで幅広く取り扱い、「フード」「ウェルビーイング」は内的要因と捉え、一人ひとりの体や精神の豊かさにつながるようなトピックを取り上げています。
鈴木:福田さんのお話を聞いて、私が修士課程で学んだサステナビリティ学を思い出しました。サステナビリティは、地球システム・社会システム・人間システムの3つのバランスが大切だと習いました。
サステナビリティの推進では、人間システムに含まれる個人の豊かさが抜けがちです。しかし、「PATCH THE WORLD」では、「フード」「ウェルビーイング」で個人の豊かさも取り扱われ、サステナビリティ学の重要な観点が入っていると思いました。
福田:「GREEN NOTE」は、どのような記事を作られているのですか?
鈴木:主に3つの記事コンテンツがあります。「サステナビリティのキーワードに関する記事」「企業とのタイアップ記事」「リサーチ記事」です。
「サステナビリティのキーワードに関する記事」は、読者の行動を促すように意識しています。企業事例を盛り込んだり、個人でできるアクションを盛り込んだりといった具合です。
「企業とのタイアップ記事」は、サステナビリティに関する製品やサービスについて、企業への取材を通して発信しています。
開発の背景や担当者の想いなどを深掘りし、魅力を伝え、読者に製品やサービスについて興味をもってもらえるように心掛けています。
「リサーチ記事」は読者に対しサステナビリティの消費行動に関するアンケートを実施し、内容をまとめたものです。
「実際に消費されているのか」「どのように購買しているのか」「いくらで購入しているのか」などの実態を掘り起こして、記事にしています。
福田:確かに、商品やサービスの裏側には担当者の想いが詰まっていますよね。PATCH THE WORLDでも、今後は自治体の取り組みの背景にある職員の方々の想いを伝えられるような記事制作に注力していきたいと考えています。
サーキュラーエコノミーを後押しするための取り組み
続いて、サーキュラーエコノミーを推進するための双方の事業についても詳しく伺いました。
電子機器分野でのサーキュラーエコノミーを推進
鈴木:本事業では電子デバイスのリユース・リサイクルを行っているとお伺いしましたが、萬年のパソコンのリユースやリサイクルを手掛けるサービスについても、詳しく教えていただけますか。
福田:企業・病院・自治体などから、廃棄予定のパソコンを回収し、リユースやリサイクルを手掛けています。使わなくなったパソコンは、産業廃棄物として捨てられるものが大半です。
しかし、なかには金属資源をはじめリサイクル可能な部品が含まれていたり、少し手を加えればそのまま使用できたりするパソコンもあります。近年、都市鉱山の問題に注目が集まっていますが、電子機器分野でのサーキュラーエコノミー推進は非常に重要です。
使われなくなったパソコンは、そのままごみとして捨てられてしまうことが多いでしょう。しかし、リユースやリサイクルという新しい選択肢を提供しています。
大半のパソコンが捨てられてしまう理由の1つに、情報漏えいのリスクがあります。企業・病院・自治体は重大な機密情報を扱っているので、情報の取り扱いにはとても気を遣っているからです。
鈴木:確かに個人であっても、情報漏えいが怖いので、大事な情報が入っている古いパソコンはそのまま家に置いたままにしています。復元できてしまう場合もありますから。
福田:そこでセキュリティ面でも心配事を取り除けるように、萬年では第三者認証のプライバシーマークやISO9001を取得したり、国際基準のデータ消去フローでデータを取り扱ったりしています。
鈴木:それなら安心ですね。萬年では、どのようにパソコンをリユースやリサイクルをしているのでしょうか。
福田:「修理」「分解」「選別」の順で、パソコンのリユースやリサイクルを行っています。
福田:使用済みのパソコンは、まず修理できないか確認します。リユースが一番環境への負担がかからないからです。
製造年月が古いものや画面が割れているものなどリユースが難しいパソコンは、次の手段として分解を行い、内部のパーツを取り出し、パーツごとにリユースをしています。
そして最後に、リユース可能なパーツを取り出した後に残ったパーツを、素材ごとに選別しリサイクルをします。
鈴木:加えて、お客様の廃棄にかかるコストをかけない「最低0円保証」も打ち出されていますね。どのような仕組みでしょうか。
福田:回収したパソコンはリユース品として生まれ変わったり、金属資源としてリサイクルしたりすることで換金できるため、最低でも0円保証される仕組みになっています。
多くの場合、データ消去費を含めて無料にしています。有料のケースは、パソコンの引き取りなしでデータ消去のみの場合や、データ消去の証明書を発行する場合などです。
「情報漏えいリスクゼロ」「コストゼロ」「手間ゼロ」の「ゼロステ」で安心
鈴木:パソコンを引き取ってもらいたい場合は、「ゼロステ」に問い合わせるだけで良いのでしょうか。
福田:基本的にはそうです。お問い合わせいただければ、こちらから引き取りに伺います。郵送の場合は、梱包作業をしてもらうことになります。
「ゼロステ」という「情報漏えいリスクゼロ」「コストゼロ」「手間ゼロ」の3つを掲げています。「手間ゼロ」は、お客様の手間をなくすことです。
例えば、他社のケースでは大量のパソコンを引き取る場合はリスト化しなければいけない場合があります。しかし、「ゼロステ」はリスト化の必要がありません。
鈴木:「ゼロステ」は企業にとって手間がかからないですね。ごみを出してしまう罪悪感もゼロにしていると思います。
福田:そうですね。企業のサステナビリティが求められている世の中で、多くの企業ができるだけ環境への負担を減らしたいと思っているはずです。
事実、パソコンを廃棄する場合と比べてリユースをする場合は、大幅にCO2排出量を削減できます。「ゼロステ」を活用すると、古いパソコンを処分できるだけではなく、環境への負荷も軽減できるのです。
「ゼロステ」の詳細はこちらから詳しくご覧いただけます。
サーキュラーエコノミーの促進は消費者を巻き込むことが鍵
福田:Greenroomではサーキュラーエコノミー推進に向けて、どのような取り組みをされているのですか。
鈴木:私共では、メディア事業の他に月間約100万人の読者に対してアンケートを行うリサーチ事業も展開しています。サーキュラーエコノミー推進に関連したリサーチ事業の例を紹介します。
これまでのリニアエコノミーでは、企業は商品を販売したら消費者との関係性がほとんどなくなっていました。しかし、サーキュラーエコノミーでは、使用済みの商品を消費者から回収して再利用することが求められています。
そのため、消費者を巻き込んだ施策が鍵です。
そこで、Greenroomのリサーチサービスを活用いただき、消費者はサーキュラーエコノミーにどのくらい関心があるのか、現在どのような行動をしているのか、どうしたら協力してくれるのかなどを調べることで、より適格なビジネスを展開できます。
福田:確かに消費者心理を知ることで、効果的なプロジェクトを進められますね。
電子デバイスのサーキュラーエコノミーをけん引していきたい
鈴木:サーキュラーエコノミーを縁の下で支えるようなリサーチ事業を展開していきたいです。萬年は、リユース・リサイクル業界での立ち位置をどのように考えていますか。
福田:電子デバイス分野でのサーキュラーエコノミーの仕組み作りで、リーダーシップを発揮した役割を目指します。
他の業界では、プラスチックのリユース・リサイクル事業をはじめ、さまざまなスタートアップが次々と登場し、多様な取り組みが展開されています。
しかし、国内で電子ごみに特化した事業は、あまり見当たりません。多くの実績を積んできた私たちが、データ消去の技術も含めてけん引していきたいです。
鈴木:それは素敵ですね。Greenroomもメディア事業やリサーチ事業を通じて、サーキュラーエコノミー関連の製品・サービスの開発や改善、促進の一助になりたいと考えています。
循環型経済のために一人ひとりができること
鈴木:福田さん個人として、サーキュラーエコノミーのためにどのようなことを心掛けていますか。
福田:サーキュラーエコノミーは、技術にフォーカスが当たりがちです。しかし、思考の面がとても重要だと考えます。
今まで当たり前のように捨てていた行為を疑うことから、サーキュラーエコノミーは始まります。「知る」「疑う」という考え続けるプロセスが、とても大切です。
私は読書が好きなので、図書館に行った際は知らない分野の本を最低1冊は借りて読むようにしています。
鈴木:私もメディアの編集者として、アンテナを張るようにしています。情報収集はSNSや本、他のサステナビリティ系のメディアなどです。
他に具体的な取り組みとしては、私には小さな子どもがいるので、おもちゃのサブスクリプションを始めました。
届いたおもちゃが気に入らなかったら返せて、気に入ったものは継続して借りられて、満足度が高いです。ごみも出ないので、罪悪感がありません。
福田:同じ母親として共感します。
鈴木:一方で、一人ひとりの行動が大切だと分かりつつ、実現できなかった経験もあります。例えば、私は布おむつを断念しました。
紙おむつは、大量のごみを発生させます。布おむつを試した時期があったのですが、産後の肥立ちが悪く、毎日寝不足のなかで洗濯する体力が必要だったり、衛生的に不安だったりして、泣く泣く諦めました。無理が出ると続かないと、実感しました。
福田:同感です。「PATCH THE WORLD」の5つのカテゴリーで、個人的には「ウェルビーイング」が一番大切だと考えています。個人の無理が重なれば、社会全体で見てもうまくいかないと思うので、無理なく続けるのが一番大切です。
先程ご紹介した萬年の「ゼロステ」のサービスも、お客様の負担をできるだけ減らして、無理なく環境へのアクションを促せるように設計しています。
新しい価値と出会える場所にしたい
鈴木:今後、どのように「PATCH THE WORLD」を育てていきたいと考えていますか。
福田:一番大切にしていきたいのは、「新しい価値観との出会い」と「今までの価値観の破壊」です。先ほどの話につながりますが、サーキュラーエコノミーは「知る」と「疑う」から始まるので、考える人を増やしていきたいと思っています。
また、柔軟な自分らしさを一人ひとりがもてるサポートもしていきたいです。さまざまな課題や解決策が社会にあふれている世の中で、アイデンティティを見失っている人々がいると思います。
一人ひとりが自分を保ちつつ、社会の課題を当事者意識として考えられるようなメディアでありたいです。まだアイディアの段階ですが、同じ課題に興味をもっている人同志を結びつけ、アクションにつなげるようなプラットフォームを構想しています。
鈴木:「GREEN NOTE」もつながりを作っていきたいと思っているので、共通する部分を感じました。
展望としては、消費と生産の形を考えるメディアとしてサステナビリティに関する素晴らしい製品・サービス・取り組みをできる限り多く広く発信していきたいです。
そして、消費者が利用することで消費者が変わっていき、企業に利益をもたらし、企業がサステナビリティに関する製品やサービスをもっと生み出せるような流れを作り出せたらと考えています。
本日は話を伺って、同じサステナビリティのメディアとして勇気づけられました。ありがとうございました!
まとめ|地球と人のウェルビーイングを目指して
「PATCH THE WORLD」編集長の福田さんとの対談をお届けしました。
「PATCH THE WORLD」の運営会社である萬年は、デジタルデバイスのリユース・リサイクル事業を行い、サーキュラーエコノミーを後押し。
加えて「ゼロステ」を掲げ、お客様の心配事やリスクを極限まで抑えた仕組みを確立しています。
「PATCH THE WORLD」では、個人個人が無理なく持続可能な形でアクションを起こしていけるようにという想いを込めて、「環境配慮」関するテーマだけでなく、サステナビリティでときに忘れられがちな「個人の幸福」や「ウェルビーイング」を含めたバランスの取れたサステナビリティ情報を届けています。
読者に具体的なアクションを提案する共通点をもつ「PATCH THE WORLD」と「GREEN NOTE」の今後の更新をご期待ください。
提供:株式会社萬年
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