エシカルライフ

プラスチックフリーとは?意味や生活の中で今日からできる実践アイデアを紹介

画像:iStock | EyeEm Mobile GmbH

 

プラスチックによる環境問題が深刻化する中、世界中でプラスチックフリーの動きが加速しています。「○○フリー」とはグルテンフリーやアルコールフリーなどのように「~がない」という意味で、プラスチックフリーは「プラスチックがない(生活や社会)」を指します。

本記事ではその具体的な内容や重要性、今日からすぐに始められる実践方法や取り組みの事例について解説します。

プラスチックフリーは環境負荷を軽減するライフスタイル

プラスチックフリーとは、プラスチック製品の使用を減らし、環境への負荷を軽減することを目指すアクションや生活スタイルのことです。同じような言い方として、「脱プラ(脱プラスチック)」「ノープラ(ノープラスチック)」「プラなし」などと表現されることもあります。

プラスチックは安価で便利なため、日常のあらゆるシーンで使われています。プラスチックの使用量は増加傾向にあり、2050年には海洋中のプラスチック量が魚の量を上回ると危惧されています。

こうした状況の中で、プラスチック製品が自然環境に与える影響を少しでも小さくしようと生まれたライフスタイルがプラスチックフリーなのです。

参考:環境省|プラスチックを取り巻く国内外の状況

プラスチックフリーの取り組みが生まれた背景

プラスチックフリーの考え方が生まれ、加速している背景として、マイクロプラスチックによる海洋汚染やプラスチックごみによる環境問題の深刻化が挙げられます。

それぞれの背景を詳しく見ていきましょう。

マイクロプラスチックによる生態系への影響

海洋には膨大な量のプラスチックごみが漂流しています。プラスチックは紫外線で劣化しやすいため、波の力で細かく砕け、最終的には5mm以下のマイクロプラスチックになります。

このマイクロプラスチックを、海洋生物がエサと間違えて誤飲し、死亡する例が多数報告されています。また、マイクロプラスチックが体内に蓄積した魚を、海鳥や、ひいては人間が食べる恐れもあるでしょう。

プラスチックは吸着性が高い素材で、海水に溶け込んだ有害物質を引き寄せてしまう特性があります。そうした有害物質は食物連鎖によって濃度が高まるため、最終的には上位捕食者である人間にも何らかの健康被害が出る可能性があります。

参考:公益財団法人 日本野鳥の会|第9回 マイクロプラスチック汚染の脅威2 “化学物質による生物への影響”

プラスチックごみによる環境問題

海洋だけにとどまらず、プラスチックごみの廃棄問題は地球規模の課題となっています。埋立地の不足だけでなく、焼却処理をした場合の有害物質やCO2の排出も問題です。

使用済みのプラスチック製品を回収し、ペットボトルや食品トレイ、化学繊維などに再利用するリサイクルによって、プラスチックごみの問題にある程度は対処することができます。しかし、問題の根本的な解決を図るには、「最初からプラスチックを使わない」という考え方や取り組みが大きな意味を持ちます。

日本はプラスチックごみ大国

日本人1人あたりのプラスチック廃棄量は、米国に次いで世界第2位といわれています。実は、日本は世界的に見てもプラスチックごみ大国といえるのです。

ペットボトルをはじめとしたプラごみのリサイクルが普及し、確かに日本のペットボトルリサイクル率は8割以上と高く、欧州の約4割、米国の2割弱と比べても高水準を達成しています。

しかし実際には、ペットボトルを含むプラスチック製品のすべてがリサイクルされているわけではなく、またそもそもの流通量が多いことから、廃棄量はなかなか減らないのが実情です。

プラスチックごみを中国や東南アジア諸国へ輸出し、焼却処理をしていたこともありますが、2021年からこうした輸出も規制され、プラスチックごみの廃棄は日本では深刻な問題となっています。

参考:大和ハウス Sustainable Journey|脱プラスチック、プラスチックフリーはなぜ必要?本当の理由を高田秀重教授に聞きました〜解説編〜

「プラスチックフリージュライ」とは?

「プラスチックフリージュライ」は、毎年7月に世界中で開催される使い捨てプラスチックの削減を目指す活動で、2011年にオーストラリアで始まりました。現在では190か国以上に広がりをみせています。

プラスチックフリージュライの公式サイトやインスタグラムでは、プラスチックフリーを実践するための具体的なアイデアや、各地のイベント情報などを発信しているほか、公式サイトでチャレンジ期間の選択と参加表明をすることができます。誰でも自分のペースでプラスチックフリーに取り組める活動となっています。

参考:Plastic Free Foundation

日常生活ですぐに実践できるプラスチックフリーのアイデア4選

<1>詰め替え用パックを選ぶ

シャンプーや洗剤、化粧品などを購入する際は、詰め替え用パックがあるかどうかで選ぶと良いでしょう。

同じボトルを繰り返し使用することで、プラスチックごみを大幅に削減できます。環境負荷を減らしながらお財布にも優しいため一石二鳥です。

<2>保存容器を見直す

プラスチック製の保存容器は便利ですが、ほかの素材に置き換えられないかを検討してみましょう。例えば、シリコン・ガラス・ステンレス・木材などの選択肢が考えられます。

<3>マイボトルや水筒を持参する

日本では街中にコンビニや自動販売機があり、いつでも簡単にペットボトル飲料が手に入りますが、使い捨てのペットボトルを減らすためマイボトルや水筒を持ち歩いてみてはいかがでしょうか。一部のカフェでは、マイボトルや水筒を持参することでドリンクが割引になるサービスもあります。

また、マイボトルや水筒のほかにも、マイ箸・マイスプーン・マイフォーク・マイバッグなど、持ち歩くことで実践できるプラスチックフリーの取り組みがあります。

<4>消耗品を天然素材のものに置き換える

キッチンや浴室などの水回りには、以下のように置き換え可能なプラスチック製品が多いものです。

  • ラップ→蜜蠟(みつろう)ラップへ
  • スポンジ→ヘチマスポンジやセルローススポンジへ
  • 歯ブラシ→柄が木の素材のものや、動物の毛を使用した歯ブラシへ
  • マイクロファイバークロス→麻や綿の布巾へ

また、液体洗剤は粉洗剤に、ボディソープは石鹸に置き換えることで、容器に使われるプラスチックの使用量を削減できます。

プラスチックフリーの取り組みの事例

多くの企業でも、プラスチックフリーに向けた取り組みが進んでいます。私たち消費者にとって身近なBtoC企業の事例を紹介します。

すかいらーく

すかいらーくホールディングスは、プラスチック製ストローの廃止をいち早く実施した大手外食チェーンです。2018年よりガストで開始し、2019年7月までにグループ全店でプラスチック製ストローの使用中止を完了しました。

2022年1月からは、すかいらーくグループ各店舗でFSC認証Ⓡの紙製ストローの使用に切り替えています。

参考:すかいらーくホールディングス|脱プラスチック

IKEA

IKEAもプラスチック製品の使用量削減に取り組んでいる企業で、2020年1月よりホームファニシング製品から使い捨てプラスチック製品を廃止しました。

消費者向け包装へのプラスチック使用も、2028年までに段階的に廃止するとしています。

また、そのほかのプラスチック製品は2030年までに再生可能素材、またはリサイクル素材のみの使用へ移行すると発表しています。

参考:イケア|2030年までに、イケア製品に使用するプラスチックをリサイクルプラスチックまたは再生可能ベースのプラスチックのみにする

エティーク

ethique(エティーク)は、2012年にニュージーランドで誕生した環境に優しい天然原料を使ったビューティーバーのブランドです。

シャンプー・コンディショナーなどのヘアケア商品をはじめ、ボディソープ・洗顔料・クレンジング・スクラブなど、バスルームで使うほとんどのアイテムを「バー」と呼ばれる石鹸のような固形にして提供しているのが特徴です。

そのためプラスチック製のパッケージを用いる必要がなく、プラスチックフリーを体現した商品となっています。商品自体も生分解性で、開発時に動物実験も行わず、人工香料や合成着色料なども不使用で、「包装紙まで完璧なサステナブル製品」として注目されています。

参考:P.S.International|ethique
参考:ethique|公式サイト

まとめ

プラスチックごみやマイクロプラスチックが引き起こす環境問題や健康リスクが、現代社会では大きな課題となっています。プラスチックフリーは、そうした状況に対して持続可能な社会を実現するキーワードといえるでしょう。

プラスチックフリーは身近なことから誰でも気軽に始められます。今回紹介した取り組みも参考にしながら、ぜひ実践してみてください。

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