エシカルライフ

プラスチック問題とは?現状・原因・私たちにできる対策まで、わかりやすく解説

プラスチック問題とは?現状・原因・私たちにできる対策まで、わかりやすく解説のアイキャッチ画像。

私たちの暮らしに欠かせない存在のプラスチックですが、便利さの反面、海洋生物や地球環境へ影響を及ぼす素材であることをご存じでしょうか。ポイ捨てや誤ったごみの出し方をされたプラスチックは、河川を通じて海へと流れているのが現状です。

流出したプラスチックごみは、海洋生物たちに影響を及ぼしているだけでなく、巡り巡って人間の健康にも悪影響を与えています。プラスチック問題は現代において、地球全体が直面している大きな課題といえるでしょう。

本記事では、プラスチック問題やその影響をはじめ、国内外で進められている対策、そして私たちが日常で取り組める具体的な行動について、わかりやすく紹介しています。プラスチックが引き起こす問題には何があるのか、地球環境にどのような影響を及ぼしているのか知りたい方は、ぜひ参考にしてみてください。

プラスチック問題とは?

プラスチック問題とは?

プラスチック問題とは、私たちの生活に欠かせないプラスチックが、環境や生態系・資源・人間社会にさまざまな悪影響を及ぼしている状況を指します。

プラスチックの使用には、主に以下の問題があります。

  • 地球温暖化への影響
  • 海洋汚染

プラスチックは主に石油から作られており、製造や焼却の過程で多くの二酸化炭素(CO2)を放出します。この二酸化炭素の排出が地球温暖化を引き起こす一因です。それにより異常気象や自然災害の発生リスクが高まっています。

また人間が使用したプラスチックごみが海に流出することで、海洋生物が誤って飲み込む事例も後を絶ちません。海の生態系全体に深刻な影響を与えています。世界では、大量に生産・消費されたプラスチックの製品が、ポイ捨てなどによって年間最大1,300万tものごみとなり、海に流出していると報告されています。

プラスチック問題は、世界全体で向き合わなくてはならない重大な課題です。私たち一人ひとりの意識と行動の変化が解決への鍵です。

参考:かんでん WITH YOU「プラスチックゴミ問題とは?現状や原因・対策を徹底解説」

参考:政府広報オンライン「海洋プラスチック問題は海洋汚染の要因にも きれいな海と生態系を守る!「プラスチック・スマート」キャンペーン」

プラスチック問題は何が原因か

プラスチック問題は何が原因か

プラスチックに関する問題が深刻化している背景には、いくつかの原因があります。主な原因は以下のとおりです。

  • ごみの不適切な処理やポイ捨て
  • 自然現象による流出
  • 自然分解されにくい物質的特性
  • 微細なマイクロプラスチックの蓄積

プラスチックは加工しやすい軽い素材です。低コストで大量生産が可能というメリットから、食品の包装材、家庭用品、工業製品など、幅広く活用されています。

その一方で適切な回収や処理がされないケースも多く、ポイ捨てや誤った廃棄方法によって風雨に流され、河川から海へ運ばれてしまいます。海に流れ着くプラスチックごみの約80%は陸地からの流出であり、国内からのものも少なくありません。

加えて、プラスチックは自然界で分解されにくく、素材によっては数百年も環境中に残り続けることが知られています。リサイクルや適切な処理が行われない限り、プラスチックは蓄積され続け、環境への負荷を高めてしまうでしょう。

さらに、洗濯時に衣類から出る繊維や歯磨き粉・化粧品などに含まれる微細な粒子の「マイクロプラスチック(粒径5mm以下のプラスチック粒子)」も、プラスチックごみの原因です。

プラスチックは私たちの生活に深く根付いた素材であると同時に、廃棄や分解に関する課題も多く抱えています。さまざまな要因が絡み合って環境問題を深刻化させている状況です。

参考:SPORTS For Social「【3分解説】海洋プラスチック問題とは?事例とともに解説!」

参考:Ever Green「プラスチック問題とは?プラスチックごみがもたらす影響や家庭でできる取り組みなどを解説」

参考:大阪市「マイクロプラスチックについて」

参考:資源環境領域「ナノプラスチックの定義」

マイクロプラスチックの種類

マイクロプラスチックの種類

マイクロプラスチックは発生源や生成過程によって、「一次マイクロプラスチック」と「二次マイクロプラスチック」の2種類に分類されます。

それぞれの特徴を見ていきましょう。

一次マイクロプラスチック

一次マイクロプラスチックは、製造された当初から5mm以下の微細なプラスチックとして製造されたものです。主な用途は以下のとおりです。

  • 洗顔料や歯磨き粉、化粧品などに含まれるスクラブ剤(マイクロビーズ)
  • 工業用の研磨材
  • プラスチック製品の原料となる米粒大のプラスチック粒

これらは家庭や工場の排水を通じて下水処理場をすり抜け、川や海に流れ着いたプラスチックごみです。

参考:日本財団ジャーナル「【増え続ける海洋ごみ】マイクロプラスチックが人体に与える影響は?東京大学教授に問う」

参考:海ごみシンポジウム「洗顔料や歯磨きに含まれるマイクロプラスチック問題」

二次マイクロプラスチック

二次マイクロプラスチックは、大きなプラスチック製品が紫外線や波、摩耗などの外的要因で破壊され、5mm以下のサイズとなったものです。主な例は以下のとおりです。

  • ペットボトルやレジ袋、発泡トレイなどの廃プラスチック
  • 漁網(ぎょもう)や釣り糸、ロープなどの漁業用具

これらは主にごみの不適切な処理や自然環境での劣化によって発生し、海洋中に最も多く流出しているプラスチックごみです。

参考:海ごみシンポジウム「洗顔料や歯磨きに含まれるマイクロプラスチック問題」

参考:WATER STAND「マイクロプラスチックとは」

プラスチックごみが与える影響について

プラスチックごみが与える影響について

プラスチックごみが与える影響は複数あります。

  • 海洋汚染や生態系への悪影響
  • 地球温暖化の進行
  • 景観の劣化
  • ごみの回収や処理にかかるコスト増

海に流出したプラスチックごみは海洋汚染を引き起こし、海洋生物をおびやかしています。海に漂うプラスチックごみを、クジラやウミガメ、魚類などが餌と間違えて飲み込み、体内で消化できずに死に至るケースが世界各地で確認されています。

プラスチックの製造時や焼却時に大量の二酸化炭素(CO2)も放出するため、これが地球温暖化の一因です。気候変動への影響も無視できません。

プラスチックごみのポイ捨てなどにより、河川や都市の景観も大きく損なわれています。これらのごみの回収や処理には多額の費用もかかっており、世界全体で年間130億ドル(約1兆4,300億円)もの経済的損失があるといわれています。

このように、プラスチックごみが環境や経済に与える影響は、今や看過できない状況です。

参考:政府広報オンライン「海洋プラスチック問題は海洋汚染の要因にも きれいな海と生態系を守る!「プラスチック・スマート」キャンペーン」

参考:横浜市「プラスチック問題とは」

参考:環境省「第3節 海洋プラスチックごみ汚染・生物多様性の損失」

参考:日本財団ジャーナル「日本人のプラごみ廃棄量は世界2位。国内外で加速する「脱プラスチック」の動き」

SDGs14「海の豊かさを守ろう」でも提唱されるプラスチック問題

SDGs14「海の豊かさを守ろう」でも提唱されるプラスチック問題

海洋の生態系を維持するために、SDGs(持続可能な開発目標)の目標14「海の豊かさを守ろう」では、持続可能な形での海洋資源の利用を目指しています。「2025年までに海洋ごみや富栄養化(水中で、プランクトンなどの生物にとって栄養となる成分が増えすぎてしまうこと)を含む、特に陸上活動による汚染を防止し、大幅に削減する」目標が掲げられています。

G7やG20など国際的な会議でも、プラスチックごみ削減のための協力や目標設定が進められており、日本でもレジ袋有料化やごみの回収などの対策が実施されました。

ただし、この対策はまだ道なかばです。開発目標達成のためには、一人ひとりの意識付けと保全のための行動が求められています。

参考:みらいいメディア「【SDGs14.海の豊かさを守るために…】海洋プラスチックについて考えてみよう!」

参考:政府広報オンライン「海洋プラスチック問題は海洋汚染の要因にも きれいな海と生態系を守る!「プラスチック・スマート」キャンペーン」

プラスチック問題への世界の取り組み

プラスチック問題への世界の取り組み

世界では2022年以降、国連主導のもと、プラスチックごみによる汚染を防止するための国際条約策定が進められています。取り組みには170カ国以上が参加しており、プラスチックの生産・消費・廃棄のライフサイクル全体に対する規制や、必要な資金支援も話し合いが行われています。

2025年6月5日の世界環境デーでは、「プラスチック汚染の終結」がテーマでした。国連では、環境の健全性が人々の暮らしの質や経済発展に大きく関わる認識のもと、国際デーを定めました。この日を中心に、国連環境計画(UNEP)では以下を呼びかけています。

  • リフューズ(断る)
  • リデュース(減らす)
  • リユース(再利用)
  • リサイクル(再資源化)
  • リシンク(見直す)

先述のとおり、国連の持続可能な開発目標(SDGs)にある目標14「海の豊かさを守ろう」も、世界的なプラスチック問題に対する取り組みの1つです。

このように、世界では国連や各国政府が中心となり、多方面からのアプローチでプラスチック問題の解決に向けた行動を進めています

参考:UNEP「6月5日 世界環境デー2025 #プラスチック汚染をなくそう」

参考:Science Portal「世界のプラごみ規制へ条約の早期実現を 海洋汚染対策は待ったなし」

参考:ユネスコ未来共創プラットフォーム「「世界環境デー」(6/5)」

参考:みらいいメディア「【SDGs14.海の豊かさを守るために…】海洋プラスチックについて考えてみよう!」

プラスチック問題への日本の取り組み

プラスチック問題への日本の取り組み

Plastic Pollution Cleanup on Beach

日本では、政府・企業・市民が連携して、プラスチックごみ削減や資源循環の推進に向けたさまざまな施策が進められています。プラスチック問題に対応するため、「プラスチック資源循環促進法」を制定し、プラスチックのリデュース(減らす)、リユース(再利用)、リサイクル(再資源化)を推進しています。

環境省主導で、誰もが参加可能な「プラスチック・スマート」キャンペーンや海岸清掃活動も全国で展開。WEBやSNSを通じて取り組みを発信し、啓発活動を進めています。

さらに、プラスチックごみ削減の取り組みを積極的に実施する企業も増えており、プラスチック製のストローやカトラリーを木製や紙製にする動きも活発です。

このように、法制度の整備や行政・市民の協働による活動、企業の自主的な取り組みなど、多方面からプラスチック問題の解決に向けた努力が進められています

参考:REVER「2022年4月スタート ~10分で分かる「プラスチック資源循環促進法」~」

参考:政府広報オンライン「海洋プラスチック問題は海洋汚染の要因にも きれいな海と生態系を守る!「プラスチック・スマート」キャンペーン」

参考:地球未来図「2025年に知りたいプラスチック削減の取り組み・日本、海外の具体事例」

プラスチックごみを減らすために私たちにできること7選

プラスチックごみを減らすために私たちにできること7選

先述のとおり、世界や日本でのプラスチック問題に関する取り組みを見てきましたが、私たち個人では何ができるのでしょうか。

ここでは、プラスチックごみを減らすために私たちにできることを7つ紹介します。

  • マイボトルやマイバッグを持参する
  • 中身を詰め替えてごみの量を減らす
  • ポイ捨てしない
  • 過包装を控える
  • マイクロビーズ入りの商品を買わない
  • プラスチック製の使用を控える
  • 地域の清掃活動やごみ削減イベントへの参加

①マイボトルやマイバッグを持参する

マイボトルの利用で、ペットボトルや使い捨てカップなどのプラスチックごみが削減できます。またマイバッグの持参で、レジ袋などの使い捨てが軽減できるので、不要なごみが抑えられます。

マイボトルとマイバッグの活用はごみの削減だけでなく、飲み物代やレジ袋代も節約できて一石二鳥です。誰にでもすぐに始められるプラスチックごみ削減の方法です。

参考:佐倉市「マイバッグ・マイボトルを使いましょう!」

②中身を詰め替えてごみの量を減らす

詰め替えパックは本体容器に比べてプラスチックの使用量が約70〜80%も少なく、資源の節約とごみの減量に貢献できます。詰め替えパックは容積も小さく、使用後は薄く折りたためるのでごみのかさも大幅に減らせます。

シャンプーや洗剤など、詰め替え製品の利用は日本でも定着しつつあり、販売されている日用品全体の約80%が詰め替え可能商品です。

中身を詰め替える商品の購入は、プラスチックの使用とごみの量の両方を大幅に減らせるので、環境負荷軽減に貢献できる消費行動の1つです。

参考:Plastics Smart「プラスチックを”まわり続ける”資源に。神戸市と企業、市民がタッグを組む全国に先駆けたチャレンジ」

③ポイ捨てしない

もしプラスチックごみをポイ捨てした場合、それらは雨や風によって河川に流れ込み、最終的に海へと流れていきます。これがプラスチックごみとなり、海や生態系に深刻な影響を及ぼしかねません。

ポイ捨てを防いで適切に分別・回収してリサイクルすることで、海洋への流出を防げます。小さなごみでもポイ捨てせず、正しく分別して捨てることがプラスチックごみの削減につながります。

参考:政府広報オンライン「海洋プラスチック問題は海洋汚染の要因にもきれいな海と生態系を守る!「プラスチック・スマート」キャンペーン」

参考:イオン1%クラブコラム「【ゴミ拾いボランティアのススメ】世界で起きてるゴミ問題を解決しよう!ゴミ拾いボランティアについて解説」

④過包装を控える

過包装とは、商品を必要以上に多重に包んだり、装飾的なパッケージを多用したりすることです。過度な包装を控えると、商品1つあたりに使われるプラスチックの量を大幅に減らせます。消費者としても、プラスチックの使用量が少ない商品の購入や簡易包装にすることで、プラスチックごみ削減の一助となります。

参考:FOOD LAB「過剰包装と海洋プラスチック問題」

⑤マイクロビーズ入りの商品を買わない

マイクロビーズとは、数ミクロン(0.001mm)〜数百ミクロン(0.1mm)程度の目に見えないほどの小さな球状のプラスチックです。マイクロプラスチックは「5mm以下の微細なプラスチック粒子」の総称なので、厳密にはマイクロビーズとマイクロプラスチックは異なります。

マイクロビーズは洗顔料や歯磨き粉、スクラブ剤などの化粧品や日用品に使われており、生活排水を通じて海洋に流出します。マイクロビーズは自然界で分解されにくいため、海洋への蓄積が懸念される物質です。使用を控えることで、海洋へのマイクロプラスチックの流出削減に貢献できます。

参考:リジェネ旅「マイクロビーズとプラスチック削減の最前線|海外・日本の取り組み」

⑥プラスチック製の使用を控える

プラスチック製の使用を控えることは、プラスチックごみを根本から抑えられます。コンビニなどでプラスチック製のストローやカトラリーを受け取らずマイ箸などの使用で、ごみ自体を削減できるからです。

日々の小さな選択が、地球環境の改善・維持につながります。

参考:政府広報オンライン「海洋プラスチック問題は海洋汚染の要因にもきれいな海と生態系を守る!「プラスチック・スマート」キャンペーン」

⑦地域の清掃活動やごみ削減イベントへの参加

清掃活動によるプラスチックごみの回収で、風や雨によって川や海へ流出するのを未然に防げます。海洋ごみの約80%は陸から流出したものであり、プラスチックごみ削減の根本的な対策になるからです。

また、清掃活動への参加で、プラスチック問題やリサイクルの重要性の理解も深まります

身近な場所での小さな一歩が、海だけでなく地球全体の環境保護につながります。

参考:SPORTS For Social「【3分解説】海洋プラスチック問題とは?事例とともに解説!」

参考:ELECOM「海洋プラスチックごみ問題を解決!ビーチクリーン活動とリサイクルの効果的な取り組みとは」

プラスチック問題のために、できることから始めよう

プラスチック問題のために、できることから始めよう

プラスチック問題は、私たち一人ひとりの暮らしの選択と行動が未来を左右する重要な課題となっています。

地球温暖化や海洋汚染などの問題を解決するためには、プラスチックごみの現状を知り、まずはできることから始めることが大切です。マイバッグやマイボトルの活用、ポイ捨ての防止、ごみ削減イベントや地域の清掃活動への参加がごみの削減につながるはずです。

まずは少しでもプラスチックごみの削減に役立つよう、小さなことから始めてみませんか。

GREEN NOTE
GREEN NOTE編集部

『GREEN NOTE(グリーンノート)』は環境・社会課題をわかりやすく伝え、もっと身近に、そしてアクションに繋げていくメディアです。SDGs・サステナブル・ESG・エシカルなどについての情報や私たちにできるアクションを発信していきます!

みんなで紡ぐサステナブル

一人ひとりの小さなアクションの積み重ねで
サステナブルを実現していく。
まずはたくさんの人に知ってもらうことから一緒に始めてみませんか?

SNSでシェアする
クリップボードにコピーしました

知ってほしい「GREEN NOTE」の
大切にしていること

サステナビリティとSDGsが
すぐわかるニュースメディア
  • 分かりやすく
    伝える
  • もっと
    身近に
  • アクション
    に繋げる
GREEN NOTE
(グリーンノート)アプリ

GREEN NOTEスマホアプリでエシカル・サステナブルをアクションに変えていきませんか?

  • ◎サステナビリティ/ SDGsに関する国内・海外の最新動向および話題のニュース情報を厳選して毎日お届け!
  • ◎あなたの声を企業に届けよう!大手企業との共創プロジェクトに参加できる!
  • ◎プロジェクトへの参加でポイントをGET!貯まったポイントをサステナブルな特典に交換しよう!
スマホ版のGREEN NOTEアプリの画像
GREEN NOTE APP
Contact
  • 記事掲載についての
    お問い合わせ

    GREEN NOTEへの記事掲載をご検討の方は
    こちらよりご連絡ください。

  • 消費者リサーチ
    についてのお問い合わせ

    「エシカル・サステナブル関心層への消費者リサーチ」について
    のお問い合わせはこちらよりご連絡ください。