格差・貧困・人権

すべての人に健康と福祉を!世界と日本の問題を解説

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世界には、医療や福祉サービスを受けられず命を落とす人が多くいます。

本記事では、SDGs目標3「すべての人に健康と福祉を」をテーマに、世界と日本の課題、国際的な取り組み、日本企業の事例、そして私たちにできる取り組みをわかりやすく解説します。

健康で安心して暮らせる社会づくりに向けて、今日から自分にできる一歩を見つけましょう。

SDGs目標3「すべての人に健康と福祉を」とは

SDGs目標3「すべての人に健康と福祉を」とは

すべての人に健康と福祉を」は、SDGs目標3で掲げられた文言です。

あらゆる年齢のすべての人々の健康的な生活を確保し、福祉を促進すること」を目的としています。健康や福祉は人の権利の一つであり、豊かな社会を築くために必要です。

SDGs目標3には、2030年までに達成すべき具体的なターゲットが次のように定められています。

  • 妊産婦死亡率の削減
  • 乳幼児の死亡率の削減
  • 感染症の予防・治療
  • 非感染性疾病(生活習慣病や心の病気など)の予防・治療の改善
  • 依存症への予防・治療の強化
  • 交通事故の削減
  • 性と生殖に関する健康の改善
  • ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)の達成
  • 環境汚染と健康
  • たばこの規制
  • 医薬品開発支援
  • 保健財政や保健サービスに関わる人材の増加
  • 公衆衛生危機対応

このように、世界全体で誰も取り残さない医療と福祉の実現を目指しています。

関連記事:SDGs3とは?世界や日本での現状と取り組み、私たちにできることを紹介
参考:外務省|我々の世界を変革する:持続可能な開発のための 2030 アジェンダ
参考:日本ユニセフ協会|3.すべての人に健康と福祉を

医療と福祉を取り巻く世界の現状と問題

医療と福祉を取り巻く世界の現状と問題

世界では、住む地域や経済状況によって受けられる医療の質に大きな差があります。特に開発途上国では、医療設備や専門医が足りず、けがや病気をしても十分な治療を受けられない人が多くいるのが課題です。

ここでは、医療と福祉を取り巻く世界の現状と問題について、詳しく解説します。

母子の死亡率と地域格差

妊娠や出産のときに命を落とす母親の数は、2000年以来、37%減少しています。東アジア、北アフリカ、南アジアでは、約3分の2に減少しました。

しかし、開発途上地域の妊産婦死亡率は、依然として先進地域の14倍です。医師や助産師が不足していることが主な原因として挙げられます。

また、望まない妊娠や性教育の不足により、健康を損ねる女性や若者が多くいるため、誰もが安心して出産し、自分の体を守るための選択ができるような教育や相談体制を整えることも求められています。

乳幼児死亡率と予防接種

世界の5歳未満児の死亡数は、1990年には年間1,250万人でしたが、2021年には500万人まで減少しました。その背景には、予防接種の普及が大きく貢献しています。

しかし、世界には、まだ基本的な医療や予防接種を受けられない人が多くいます。近年は新型コロナウイルスの影響で予防接種の機会が減り、約6,700万人の子どもがワクチンを受けられませんでした

特に子どもや妊婦は感染症にかかりやすく、ワクチン接種が命を守るうえで欠かせません。

感染症の現状

エイズや結核、マラリアなどの感染症は、今も多くの命を奪っています。

特にエイズは、全世界で10~19 歳の子どもにとっても2番目に多い死因です。エイズのまん延が始まって以来、3,540万人がエイズ関連の疾病で命を落としました。

感染症の拡大を防ぐためには、正しい知識の普及、差別の解消、そして安全な水と医療へのアクセスが必要です。

NCDs(非感染症疾患)と若年死亡の予防

非感染症疾患(NCDs)」とは、がんや心臓病、糖尿病など、感染ではなく生活習慣や環境が原因で起こる病気のことです。現在、世界の死者の約7割がNCDsによるものです。

若い世代でも、運動不足や不規則な生活、ストレスなどからこうした病気を発症することがあります。予防のためには、食事や運動、睡眠などの生活習慣を見直すこと、早めに健康診断を受けることが大切です。

参考:国連広報センター|目標 3 あらゆる年齢のすべての人々の健康的な生活を確保し、福祉を推進する
参考:日本ユニセフ協会|世界子供白書2023すべての子どもに予防接種を
参考:国連広報センター|すべての人に健康と福祉を
参考:unicef|世界子供白書2024(要約版)

医療と福祉に関する日本の現状と問題

医療と福祉に関する日本の現状と問題

ここでは、医療と福祉に関して、日本が抱える課題を紹介します。

超高齢社会と社会保障

日本は急速に高齢化が進んでいます。2023年の日本の高齢化率は29.1%を記録しました。2070年には、現役世代1.3人で65歳以上の者を1人で支える比率になることが見込まれています。

高齢者1人を現役世代1人が支える構造は「肩車社会」と呼ばれ、医療や介護を中心とした社会保障では、給付と負担のバランスがますます崩れることが懸念されています。

超高齢社会では、国民一人ひとりの生活の質を維持し、健康寿命を延ばし、介護費を抑えることが社会全体の課題です。

介護人材不足・医師看護師不足

介護職員の必要数は2022年度の約215万人と比較した場合、2026年度には約25万人、2040年度には約57万人がさらに必要になると推計されています。

介護職員の処遇改善、外国人など多様な人材の確保・育成、離職防止、介護ロボットやICTなどのテクノロジー導入による生産性向上など、総合的な介護人材の確保が必要です。

また、医師・看護師の需要は都市と地方で偏りがあり、東京や神奈川、大阪や兵庫などの都市部では看護職員が不足しています。

看護職員の負担軽減のため、看護補助者の活用促進する「タスク・シフト」や働き方改革などを通じて、医療体制を維持することが必要です。

出産・育児・介護などのライフイベントを経験しても働き続けられるよう、筑波大学附属病院では、パートタイム常勤制度や病児・病後児保育の導入など、柔軟な勤務環境の整備が進められています。

自殺や孤独死・孤立死といった現代的課題

自殺者は年間約2万人に上り、先進国の中では極めて高い値を示しています。

自殺者の9割以上は、何らかの精神疾患の診断に該当する状態にありました。心の病の中でも、うつ病は最も自殺との関連が強いとされています。しかし、適切な治療を受けていた人は1〜2割程度にすぎませんでした。

自殺は、精神医学的観点だけでなく、心理学的、社会的、文化的、経済的観点など、多角的な検討と包括的な対策が必要です。

また、単身世帯の増加や高齢化の進行により、誰にも看取られず亡くなる孤独死・孤立死も増えています。日本政府は「孤独・孤立対策推進法」に基づき、心と体の両面から支える仕組みづくりを進めています。

関連記事:SDGsとメンタルヘルス|心の健康を守るための基本とセルフケア
参考:内閣府|令和6年版高齢社会白書(全体版)(PDF版)
参考:内閣府|令和6年版高齢社会白書(全体版)(PDF版)
参考:内閣府|(3)人口急減・超高齢化の問題点
参考:厚生労働省|第2章 担い手不足の不足に向けて
参考:厚生労働省|介護人材確保の現状について
参考:厚生労働省|令和6年中における自殺の状況
参考:厚生労働省|職場における自殺の予防と対応
参考:総務省|自殺予防に関する調査結果報告書
参考:内閣府|孤立死者数の推計方法等について
参考:厚生労働省|孤独・孤立対策について

世界の取り組み事例

世界の取り組み事例

世界全体で、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)の実現を目指した取り組みが拡大しています。

ユニバーサル・ヘルス・カバレッジとは、すべての人がお金を心配せずに必要な医療や予防接種を受けられる社会を目指す取り組みです。

ここでは、「すべての人に健康と福祉を」の実現を目指す世界の事例を解説します。

世界保健機関(WHO)

WHOは、すべての人々の健康を実現することを目指す専門機関です。各国が信頼できる医療制度を整えられるように支援しています。

病気の予防や治療に欠かせない医薬品やワクチンをまとめた「モデル・リスト」を作成し、定期的に改定しています。これにより、低所得国でも安全で効果的な薬を安く手に入れられるようになりました。

さらに、医療データの収集や分析をサポートし、根拠に基づいた政策づくりを進めることで、世界全体で健康格差の縮小を目指しています。

国連合同エイズ計画(UNAIDS)

UNAIDSの最大の目的は、2030年までにエイズの流行を終わらせることです。エイズの予防や「抗レトロウイルス療法(ART)」の普及などに取り組んでいます。

2023年末時点で約3,070万人が「抗レトロウイルス療法(ART)」を受け、命を救う治療を受けられるようになりました。

世界エイズ・結核・マラリア対策基金(TheGlobalFund)

世界エイズ・結核・マラリア対策基金は、エイズ、結核、マラリアを撲滅し、すべての⼈にとってより健康で安全、かつ公平な未来を確保するために、毎年最大50億ドルを投資しています。

2024年には、2,560万人分の抗レトロウイルス療法、740万人分の結核治療に貢献しました。また、1億6,000万以上の蚊帳を配布し、マラリアの予防を支援しました。

関連記事:SDGs3「すべての人に健康と福祉を」|世界・日本の現状と取り組み事例
参考:国連広報センター|すべての人に健康と福祉を
参考:unicef|世界子供白書2024(要約版)
参考:WHO
参考:UNAIDS
参考:UNAIDS|FACT SHEET 2025
参考:TheGlobalFund
参考:TheGlobalFund|Results Report2025

日本の企業事例

日本の企業事例

日本では、高齢化に伴う人手不足を解決するため、テクノロジーや地域とのつながりを生かした介護の取り組みが進んでいます。

ここでは、日本の企業事例を解説します。

シルバーウッド

高齢者住宅・銀木犀(ぎんもくせい)を運営するシルバーウッドでは、入居者が駄菓子屋の店番をするなど、地域との交流を通じて生きがいを育んでいます。

鍵をかけず自由に外出できる仕組みを導入し、認知症の方も自分らしく過ごせる環境を実現しました。

このような自由な生活が成り立つのは、職員が地域と一体となって入居者を見守る体制を構築しているためです。

参考:シルバーウッド

社会福祉法人奉優会

奉優会は、外国人介護職員の受け入れを積極的に行い、EPA介護福祉士候補者や技能実習生、特定技能の在留資格を持つ外国人介護職員が多く働いています。

SNSを活用した相談受付や日本語教育のサポートを行い、外国人職員が管理職として活躍する事例も生まれています。

参考:福祉・介護・支援 社会福祉法人奉優会

未来企画

宮城県仙台市にある「アンダンチ」は、未来企画が運営する多世代交流型の複合施設です。

高齢者住宅や介護施設、保育園、障害者就労支援事業所、食堂などが一体化しており、世代や立場を超えて支え合う地域づくりを進めています。

施設内には「暮らしの保健室」もあり、住民が健康や介護の相談を気軽にできる場所として地域に開かれています。

働く人の子どもが優先的に入園できる、企業主導型保育園も併設され、仕事と子育ての両立を支援することも実現しました。

参考:アンダンチ 仙台市にある医、食、住と学びの多世代複合施設
参考:厚生労働省|第2章 担い手不足の不足に向けて

「すべての人に健康と福祉を」を実現するために私たちにできること

「すべての人に健康と福祉を」を実現するために私たちにできること

SDGs目標3「すべての人に健康と福祉を」は、すべての人が健康に暮らせる社会を目指す目標です。健康と福祉の実現は、私たち一人ひとりの意識と行動から始まります。

まず、自分や家族の健康を守るために、バランスのよい食事・適度な運動・禁煙を意識しましょう。

うつ病などの心の不調に気づくことも健康予防の一部です。家族や同僚の変化に気づいたら声をかけ、必要に応じて専門機関に相談するなど、支え合う姿勢を持つことが大切です。

安心して笑顔で暮らせる未来につながるように、今できることを一歩ずつ始めましょう。

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