暮らしを豊かに、未来を健やかに。GOOD LIFEフェア2025で見つけた「エシカル消費」の実践法

2025年9月26日から28日の3日間、東京ビッグサイトで「GOOD LIFE フェア 2025」が開催されました。本イベントは、「私たちにとっての『心地よく豊かな暮らし』とは何か? そして、それを持続可能な社会とどのようにすれば両立させられるのか?」という現代の問いに対するヒントが集まる、国内最大級の体験型イベントです。人や社会、環境を思いやる「エシカル消費」への関心が高まる中、会場には未来の暮らしを提案する全国各地の企業や団体が集結しました。
会場では、オーガニック食品やコスメ、作り手の想いが伝わる雑貨、フェアトレード製品といったエシカルな商品が並び、未来の住まいや働き方、地域創生に至るまで、サステナブルな社会の実現に向けた多彩な展示も行われました。
本記事では、3日間にわたって開催されたフェアの中から、私たちの暮らしと社会を豊かにする新しい選択肢の一部をご紹介します。
1. 未来を選ぶ消費のかたち、「エシカル消費」とは?

今回のフェアの基盤となっていた考え方の一つが「エシカル消費」です。これは直訳すると「倫理的な消費」という意味で、人・社会・地域・環境に配慮した商品やサービスを自らの意思で選び、購入・利用する行動のことです。
近年、気候変動や生物多様性の損失といった環境課題、また発展途上国における労働問題や貧困といった社会課題が世界的に深刻化しています。こうした問題に対し、私たちの日々の買い物を社会の未来を左右する「投票」だと捉え、より良い社会の実現に貢献しようという考え方が、今や重要な消費行動として注目されています。また、これは国連が掲げるSDGs(持続可能な開発目標)の達成にも繋がる取り組みです。
「エシカル消費」は決して特別なことではありません。例えば、生産者の生活向上を支える「フェアトレード製品」や、地域の経済を応援する「地産地消」、資源を大切にする「リサイクル素材の製品」を選ぶこと、さらには被災地の産品を購入して復興を支援することも、私たちにできる立派なエシカル消費です。
今回のGOOD LIFEフェア 2025は、こうしたエシカル消費を身近に体感し、日々の暮らしに取り入れるための具体的なヒントを得られる貴重な機会となりました。
2. 専門家たちが描く未来像:知見が交差したステージ・セミナー

フェアの中でも特に多くの来場者が足を運んだのは、多彩なゲストによる「ステージ・セミナー」です。「GOOD LIFE=心地よく豊かな暮らし」の未来について、様々な分野の専門家から新たな視点や気づきを得られる、まさに“知の交差点”と呼ぶにふさわしいセッションが繰り広げられました。
今年は、環境問題からウェルネス、新しい働き方に至るまで、各界を代表する専門家やインフルエンサーが多数登壇。特に、お笑い芸人の小島よしお氏やもう中学生氏らによるステージは立ち見が出るほどの盛況ぶりで、暮らしや社会について考えるヒントを求める多くの来場者の関心を集めました。
【ステージ①】ホテルが届けるGOOD LIFEとは? スーパーホテルが語る「エシカル消費」と「共創」の経営

ひとつのステージでは、「人も地球ももっと元気に」を経営理念に掲げる株式会社スーパーホテルの担当者が登壇。「GOOD LIFE」をいかにして宿泊客に届け、社会全体に広げているか、その先進的な取り組みについて語りました。
講演の中心は、ホテルというサービス業が、宿泊体験を通じて「エシカル消費」を身近なものにし、顧客や地域と共に持続可能な価値を「共創」できるかという点です。まず語られたのは、時代の要請に応え「ロハス(健康と環境への配慮)」へと進化したコンセプト」が語られました。それを「ナチュラル」「オーガニック」「スマート」という3つの柱で具体化し、現代の「GOOD LIFE」の実現を追求する姿勢を示しました。
続いて、そのコンセプトを体現する取り組みとして「オーガニックへの挑戦」を紹介。有機JAS認定野菜のサラダや、欧州のオーガニック認証パンの提供などを通じ、宿泊客が意識せずとも「エシカル消費」を自然に実践できる仕組みを構築していると説明しました。
さらに話題は、社会全体を巻き込んだ「共創」による価値創造へと展開されます。顧客参加型の「エコひいき活動」や、地域の飲食店と連携する「食泊プロジェクト」、さらには顧客との対話から真の価値を発見し商品開発に繋げた「ファンミーティング」の事例を紹介しました。これらの活動は、ホテルがハブとなり、顧客や地域と共に新しい価値を生み出すプラットフォームとなっていることを示しています。
この講演は、「一泊の宿泊」が個人のウェルビーイングを高め、社会貢献にも繋がる、すなわち「共創」の連鎖こそが企業の新たな使命であるという力強いビジョンを提示する場となりました。
【ステージ②】“所有”から“シェア”へ。AnotherADdress(アナザーアドレス)が提案する「GOOD LIFE」なファッションとの付き合い方

また別のステージでは、大丸松坂屋百貨店が手がけるファッションレンタルサービス「AnotherADdress(アナザーアドレス)」の田村氏と、スタイリストの川村氏が登壇しました。「クローゼットはいっぱいなのに着たい服がない」という多くの人が経験する矛盾を切り口に、「エシカル消費」と「GOOD LIFE」を実現する新しい洋服との関係性について語った内容です。
講演では、現代のファッション消費が直面している課題が示されました。年間50万トンもの衣類が廃棄されている現実に対し、果たしてこれが心地よい暮らしと言えるのか、という問いが投げかけられました。そして、その解決策の一つとして提案されたのが、「レンタル」という選択肢です。
AnotherADdress(アナザーアドレス)は、高価なブランド服も自由に試せる「無限のクローゼット」を提供しており、これにより消費者は“所有”に縛られず、ファッションにおける「失敗」をなくせると強調しました。さらに、スタイリストの川村氏からは、定番品は“所有”し、着用機会の少ない「チャレンジアイテム」は“シェア(レンタル)”するという賢い使い分けが推奨されました。
また、この講演では単なるサービスの紹介に留まらず、レンタル後に利用できなくなった洋服をアップサイクルする「roop(衣類循環アップサイクルプロジェクト)」の取り組みも紹介。資源を最後まで大切にするという循環型社会への強い意志を示し、「所有」と「シェア」の組み合わせが私たちのファッションライフをより豊かにするというビジョンを提示しました。
3. テクノロジーが拓く、サステナブルな暮らし

ステージで未来のビジョンが語られる一方、展示会場では、そのビジョンを暮らしの中で具現化する具体的な製品や技術が注目を集めていました。今回は「食」の体験を革新するキリンホールディングスの佐藤氏に、最前線での取り組みについて伺いました。
【ブース取材】食の体験を革新する、キリンの新技術「エレキソルト」

会場で多くの来場者が足を止めていたのが、キリンホールディングスのブースでした。そこでは、減塩食の味わいを豊かにするという新しいフードテック製品「エレキソルト」の体験会が行われていました。このユニークな新規事業について、担当者の佐藤氏にお話を伺いました。
編集部: こちらはどのような製品なのでしょうか。また、今回GOOD LIFEフェア 2025に出展された背景についてお聞かせください。
佐藤氏: 「エレキソルト」は、減塩をサポートするための食器型の電気機器です。お食事中に食器から微弱な電気を流すことで、塩味やうま味をより強く感じさせ、満足感を高めることができます。(※体感には個人差があります。また、料理によっても体感が異なる場合があります。)言葉だけではこのユニークな体験は伝わりづらいため、実際に味わっていただく機会を増やしたいと考え、今回出展しました。昨年は一風堂様と減塩ラーメンのイベントも実施しましたが、より広く皆様に知っていただくきっかけになればと思っています。
編集部: 「GOOD LIFE」や「エシカル消費」といった観点から、エレキソルトはどのような価値をもたらすとお考えでしょうか?
佐藤氏: この事業は、皆様に健康的なお食事を無理なく、そして美味しく続けていただきたいという思いから生まれました。健康増進はもちろん、サステナビリティにも貢献できる製品だと考えています。我慢を強いるのではなく、美味しさを維持しながら健康的な選択をサポートすることが、心身ともに豊かな人生、すなわち「GOOD LIFE」に繋がるでしょう。また、自分自身や大切な人の体を思いやり、長期的な健康を選択する行動は、広い意味での「エシカル消費」の一環であると捉えています。
編集部: 今後の展望や、どのような方に使ってほしいかについてお聞かせください。
佐藤氏: まずは減塩を始めたい方や、継続することに難しさを感じていらっしゃる方にお届けしたいです。それだけでなく、この製品が食を通じた健康に目を向ける「きっかけ」になればと願っています。実際、ご自身の健康維持だけでなく、ご家族やご友人へのギフトとして購入される方も多くいらっしゃいます。健康を気遣う気持ちを伝える「コミュニケーションツール」として、この製品が活用されることが私たちの理想です。
今回の取材を通じて、テクノロジーが私たちの「味覚」に働きかけることで、健康的な食生活をより楽しく、持続可能なものへと変えていく可能性を感じました。誰かの健康を思う「ギフト」という側面は、個人のウェルネスだけでなく、人と人との繋がりも豊かにする「GOOD LIFE」の新しいかたちを提案しているように感じました。
4. 心地よい暮らしと、持続可能な未来の融合へ
自分自身の心地よい暮らしを追求することと、人や社会、地球環境に配慮したエシカルな選択をすること。一見すると両立が難しい二つの価値を調和させることこそが、私たちが目指すべき「GOOD LIFE」のビジョンです。
その実現には、宿泊やファッション、移動や食といった身近な領域におけるテクノロジーの進化だけでなく、私たちの価値観やライフスタイルそのものの変革が不可欠です。また、今回ご紹介した講演や取り組みからも、企業と生活者が連携し、個人のウェルビーイングと社会全体の豊かさを繋げる「共創」の姿勢が、ますます強く求められていることが分かりました。
「GOOD LIFEフェア2025」は、まさにこのビジョンを共有し、その実現に向けた多様なヒントや具体的な選択肢が全国から集う、非常に貴重な場となりました。
今回のフェアで生まれた新たな出会いや発見が、一時的な関心で終わることなく、私たちの日常に豊かさをもたらし、未来をより良くするための確かな一歩となることに、今後ますます期待が高まります。
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