スローファッションとは?環境にやさしい持続可能なファッションを楽しもう!
エコロジカルな場面で、スローフード、スローライフ、スローリビングなどの言葉を耳にするようになりました。
他にスローファッションという言葉もあるのをご存じでしょうか。
スローファッションとは、サステナブルなファッションの在り方のひとつです。
忙しく時間に追われ、モノを使い捨てるように消費する現代人は「スロー」という言葉の持つ意味の大切さを、よく考えなくてはいけないのかもしれません。
この記事ではスローファッションの意味や必要性を、メリットやデメリットも含めて解説。
また企業やブランドの取り組みについてもご紹介します。
スローファッションについて解説
ここではまずスローの言葉の意味や、スローファッションとは何かを具体的にご紹介しましょう。
スローってどういう意味?
スローとは英語で「slow」と書き、「時間がかかる」「ゆっくりした」という意味があります。
エコ関連でスローがつく代表的な言葉に、和製英語の「スローライフ(slow life)」があります。
意味は「時間に追われることなくゆっくりとした暮らしを楽しむ」こと。
スローの逆は、ファスト(fast)で意味は「迅速」。
ファストフードは「早くて安くてお手頃」ということです。
スローはファストの反対として使用されることが多いと単語と言えます。
スローファッションとは?
スローファッションは、短期間に大量生産・大量消費を行うファストファッションの反対語として用いられていますが、この言葉は2007年にイギリスのサステナブル・ファッションセンターのケイト・フレッチャーが作ったと言われています。
スローファッションの基本的な考え方を、メーカー側、消費者側、それぞれの視点からわかりやすくお伝えしましょう。
メーカー側
アパレルのデザイン、製造から消費までを地球に負荷をかけないサステナブルな方法で行うこと。
また生産現場で働く人の人権の尊重、正当な報酬を補償すること。
消費者側
安いからとすぐに飽きる物を次々購入するのではなく、サステナブルな素材のものやフェアトレードの商品を選び、長く愛着を持って大切に着ること。
また服を買う時に、環境に良い素材を選んだり作った人のことを想像したり、「買う過程」そのものにも時間をかける。
なぜスローファッションが大切なのか
なぜスローファッションが注目されているのでしょうか。
それには現代の生活で当たり前になってしまった大量生産・大量消費について考える必要があります。
日本では一人当たりの年間平均の衣服の購入は約18枚、そのうちすぐに廃棄される服は12枚、そして着ることもなくそのままになっている服の量は25枚にもなると言われています。
消費者は必要だから買うのではなく、ただ消費の快感のために服を購入していると言われても否定できません。
ファストファッションはなにが問題なのかを解説
大量生産・大量消費の背景には、ファストファッション問題があります。
ここではファストファッションがどのようなもので、どんな問題点があるのかを解説していきます。
ファストファッションとは
ファストファッションの語源の由来は「ファストフード」から来ています。
ファスト(迅速)の言葉通り、大量生産した最新トレンドの衣類を短いサイクルで大量に消費する販売方法 のことで、世界中のメーカーが展開。
しかしこのような大量生産・大量消費の仕組みは背景に多くの問題を抱えています。
ファストファッション問題【1】大量のゴミ・環境汚染問題
トレンドが終わり在庫となった衣類は、いずれ廃棄され多くのゴミとなります。
捨て場のなくなった先進国の衣類が、開発途上国の砂漠に大量に捨てられているショッキングなニュースを見たことはありませんか。
砂漠を埋め尽くすほどの大量の衣類がゴミになっているのです。
その他にも安価な石油素材で作られた衣類は、環境汚染の原因ともなります。
ファストファッションは環境に大きな負荷をかけていることを知らなくてはいけません。
ファストファッション問題【2】実は非経済的
トレンドの服を安く購入できるのでお得!と、思うかもしれませんが、 低価格の衣類は、すぐに穴が空いたり破れたりして長持ちしません。
またトレンドが過ぎると見向きもしなくなり、次々と新たな商品を購入することになります。
きちんとした素材で自分の本当に気に入ったデザインの服なら長く着用するでしょう。
どちらが長期的にみて経済的かは明らかです。
ファストファッション問題【3】罪悪感を持たなくなる
大量消費・大量生産の功罪は、まだ使えるものも罪悪感も持たずに捨ててしまう 「使い捨て」という文化を生み出してしまったことではないでしょうか。
かつては祖母や母が「もったいない」と古い服や布をとっておき、服を大切にする心や愛着を持つことを子供や孫に伝えました。
しかし現在の「使い捨て」の文化は、そのように服を長く大切にするという思いはどこにもありません。
スローファッションのメリットと課題を解説
ここからはスローファッションのメリットと課題を解説していきます。
メリットと課題を両方知ることでスローファッションへの理解を深めましょう。
サステナブルでやさしい
スローファッションは、サステナブルなファッションを目指すものなので、 環境や自然にやさしい素材を使用しています。
農薬を使用しないオーガニックコットンや自然由来の染料など、人の体にもやさしく安心です。
材料だけではなく、工場で製造するときに使用するエネルギーを再生可能エネルギーに変更する企業も現われました。
「好きな気持ち」にやさしい
トレンドに振り回されるのではなく、 「自分の本当に好きな服を着る」という気持ちを大切にできます。
本当の豊かさは流行に乗りたくさんの 服を所有することではなく、マインドフルネス(自分の内を見つめ注意を払う)を持って過ごすという大切さに気付けます。
スローファッションの課題は?
スローファッションに課題がないわけではありません。
スローファッションの服は、 まだ高額なものが多く、手に入れるためにファストファッションと比較すると素材を確認するなど選ぶのに時間が必要 です。
また自然素材なのでお手入れにも手間がかかります。
スローファッションを選んで楽しんでみよう!
ここではスローファッションを選ぶ時のポイントをお伝えします。
スローファッションは決して我慢するためのファッションではありません。
ポイントを抑えて自分なりに楽しむことが可能なファッションです。
スローファッションを選ぶ時の大切なポイント
以下にスローファッションを選ぶ時のポイントをお伝えします。
この他にもなにがあるのかを、ぜひ考えてみましょう。
考えることがスローファッションに取り組む第一歩です。
- 本当に必要で自分が欲しいデザインの服を選ぶ
- 今持っている服も大切にする
- オーガニックコットンなど、自然や天然素材の服を選ぶ
- フェアトレード製品か、環境に配慮しているのかなどを確認する
- 品質をしっかり確認する
- 着回しして楽しめるかを確認する
- この服を作ってくれた人たちのことを想像して買う
スローファッションに取り組むおすすめブランド紹介
ここではスローファッションに取り組むブランドをご紹介します。
世界的に有名な企業もスローファッションに取り組んでいます。
【世界】グッチ
世界的なブランド、グッチのCEOのマルコ・ピッザーリは 「少しでも地球を助ける努力をすべきである」と、ファッション界のリーダーたちにCO2削減のプロジェクトを率先して提案 しました。
製品製造時は廃棄物を低減し、循環型アプローチの拡大を目指したスローファッションを展開しています。
【世界】Patagonia(パタゴニア)
さまざまな環境問題に積極的に取り組んでいるアウトドアブランドPatagonia(パタゴニア)。
オーガニックコットンの使用だけではなく、リサイクルコットンやリサイクルポリエステルの使用など、素材からしっかりとスローファッションに取り組んでいます。
また労働者が生活するためにふさわしい賃金やフェアトレードにも積極的に取り組んでいます。
【日本】hap株式会社
「COVEROSS®︎(カバロス)」という、サステナブルで多機能な素材を開発したhap株式会社は、コットンUSAというサステナブル農法で綿花を栽培する協会から、日本企業として初認定された企業です。
サステナブルとライフスタイルの快適さを追求したスローファッションを推進しています。
参照:hap株式会社
【日本】EQUALAND
日本のファッション業界を率先してサステナブルな取り組みを行っている「EQUALAND (イコーランド )」は、 2021年度からはファッションアイテムを本格的に受注生産に切り替えるプロジェクトを開始。
ファッションの廃棄ゼロを目標に、スローファッションを推奨しています。
参照:EQUALAND
スローファッションは誰もが幸せになるファッション
サステナブルなファッションの一番の目的は、誰も傷つけず持続可能なファッションを楽しむこと。
スローファッションはそれを可能にするファッションです。
なにより「購入した服を大切にする」という思いが根底にあれば、あなた自身の素敵なスローファッションを得ることができ、毎日の生活が豊かになるでしょう。
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