グリーンウォッシングの7つの問題点を解説|企業の事例や対策も紹介
グリーンウォッシングという言葉を聞いたことはあるでしょうか。
グリーンウォッシングとは企業が環境問題に関する活動を行っているように見せかけながら、実態が伴っていないことを指す言葉です。
この記事ではグリーンウォッシングの言葉の意味から、何が問題なのかまでわかりやすく解説。
さらには実際にあった企業のグリーンウォッシングの具体例を紹介しながら、企業と消費者のそれぞれの視点で、グリーンウォッシングを行わないための対策や方法をお伝えします。
これから環境問題に取り組みたいと考えている方は、グリーンウォッシングについて学ぶことは非常に重要なので、是非参考にしてください。
グリーンウォッシングの意味と問題点とは?
まずはグリーンウォッシングの言葉の意味と、グリーンウォッシングの問題点とは何かを解説していきます。
グリーンウォッシングの意味について
グリーンウォッシングはグリーンウォッシュとも呼ばれ、英語では「Green Washing」になります。
汚れを白いもので覆い隠しごまかす言葉として「ホワイトウォッシング(White Washing)」があります。
その言葉から「環境(グリーン)」を「ごまかす(ウォッシング)」するという意味で派生した造語です。
グリーンウォッシングの何が問題なのか
グリーンウォッシング最大の問題は、企業が環境問題に取り組んでいるように見せかけながら、実は何も行っておらず、それどころかむしろ環境に負荷をかけるような活動を行っていることです。
これは企業の消費者に対する裏切りであると同時に、持続可能な社会構築に対しての妨害ともなります。
グリーンウォッシュの7つの問題点を詳しく解説
グリーンウォッシングには7つの問題点があると言われています。
これはカナダのグリーンマーケティング・エージェンシーの「Terrachoice」が、2010年に発表したものです。
ひとつひとつ解説していきましょう。
隠れたトレードオフの問題
すべてのプロセスにおいての配慮を行っていないのに、ある部分だけを強調することで、その商品が環境に良いと主張すること。
たとえば持続可能な素材を使用していると謳いながら、工場では汚染物質を垂れ流しているなど。
証明しないことの問題
環境に配慮しているといいながらも具体的な証明をしないこと。
「この製品はエコです」と書かれているのに何がエコなのかが表示されていない商品など。
曖昧でいい加減であることの問題
人によってはどちらとも取れるような曖昧な表現を使用すること。
例えば「エコフレンドリー」や「クリーンな」などの言葉を使用して消費者の誤解を招くなど。
偽のラベルを信用する問題
正式な第三者機関の認定を受けたものではない、信用に値しないラベルを製品に貼ること。
ラベルを貼ることでさも環境に配慮した商品かのように消費者に誤解を与える。
的外れの問題
厳密に言うと嘘ではないが、環境負荷軽減にとっては全く意味のない、実際の役には立たないことで環境配慮をしているように見せかけること。
例えばある化学物質を使用していないと強調しているが、その化学物質は既に禁止されているものであるなど。
「かろうじてよい」という問題
カテゴリー内では良いと見えることで、消費者にまだマシという印象を与えて注意をそらし誤解を招くこと。
タバコでエコフレンドリーなタバコと謳えばカテゴリー内での評判はいいが、環境に対してはなんの配慮にもなっていないなど。
嘘をつく問題
そのとおり嘘をつき消費者を騙すこと。
例えばノートなどの商品に再生紙100%と表示しながら再生紙は使用していないなど。
過去のグリーンウォッシング企業事例
それではここからは、過去に実際あった企業のグリーンウォッシングの実例を具体的にご紹介していきます。
マクドナルド
イギリスの店舗で、プラスチックではなく100%リサイクルの紙製のストローに切り替えたが、実際にはリサイクルされずに廃棄されていたことがわかり、大きな批判を浴びました。
これは「嘘をつく問題」に当てはまります。
コカ・コーラ
コカ・コーラは自社の宣伝の中で「大切な地球」や「無駄のない世界」と謳いながらペットボトルなどのゴミを世界一排出していると言われています。
さらに実際の削減内容が具体性にかけるため、「証明しないことの問題」に当てはまるでしょう。
肉加工会社JBS
世界最大の食肉企業であるJBSは、「ネットゼロ・エミッションのベーコンやステーキは可能」といいながらも、食肉のための牧場開発のためにアマゾンの森林を違法伐採していることがわかって大きな批判を浴びました。
これはまさに「嘘をつく問題」です。
キンバリー・クラーク
「環境にやさしい、ピュアでナチュラルなおむつ」と掲げて販売した商品の中身が実は石油製品であることがわかり、消費者を不当にだますイメージアップを図ったとして批判されました。
これも消費者を騙す「嘘をつく問題」になります。
H&M
アパレル業界の王手企業としてグローバルに展開するファッションブランド・H&Mでは、2019年に発表した「コンシャスコレクション」が、ノルウェー消費者庁によって「根拠不十分な販促はグリーンウォッシュにあたる」という指摘を受けました。
「コンシャスコレクション」は、オーガニックコットンやリサイクルポリエステルを使用した“環境にやさしい持続可能なファッション”という名目で世界的に展開されていましたが、実際のところ、「どの商品のどの生地に何%リサイクル素材を使用したのか」といった具体的な根拠が明記されていませんでした。
これは、「証明しないことの問題」に当てはまります。
さらに、リサイクルポリエステルを使った環境にやさしいTシャツを謳っていた一方で、製造工程で約2万リットルの多量の水を使っていたことも批判されました。
こちらは、「隠れたトレードオフの問題」に当てはまります。
格安航空会社ライアンエアー(アイルランド)
アイルランドの格安航空会社・ライアンエアーでは、2019年9月に「自社こそがヨーロッパの大手航空会社の中で最も環境負荷が低い」とPRする広告を公開。
しかし、イギリスの広告基準局(Advertising Standards Authority)によって、「この広告の内容は誤解を招く恐れがあり、正当な根拠がない」と断定されました。
さらに2020年2月には、この広告がグリーンウォッシュであることを理由に、イギリスの監視委員会によって禁止処分を受けました。
これは、「証明しないことの問題」に当てはまります。
世界のグリーンウォッシング規制の例
つづいて、世界のグリーンウォッシング規制の例をみていきましょう。
フランス「グリーンウォッシングを排除する広告規制を開始」
フランス政府は、2023年1月から、金融商品や消費財等の製品・サービスに「カーボンニュートラル」「ネットゼロ」等を表示する際、国連の専門家グループがまとめた国際共通の「ネットゼロ・グリーンウォッシュ」を排除する勧告に基づく規制を導入しました。
同勧告では、「コア事業(石炭、石油・ガス等)を除外したネットゼロ誓約は『虚偽の誓約』」とされており、例えば、石炭火力発電を継続しながら、再エネ事業を導入して「カーボンニュートラル」を目指すといった内容の企業広告は、明確なグリーンウォッシュと判断されることになります。
引用:「フランス政府、国連のハイレベル専門家グループの報告を受け、金融商品を含む製品・サービスの広告から「グリーンウォッシング」を排除する広告規制を、年初から開始」
イギリス「グリーン・クレーム・コードの制定と広告規制」
イギリスでは2021年9月20日、競争・市場庁(CMA)によって、「グリーン・クレーム・コード」が制定されました。
このガイドラインは、企業が環境対策をうたう際の表現に関する指針を示したもので、策定の背景には、CMAの調査でランダムに選んだWebサイトのうち、40%で消費者に誤解を与えかねないような表現が見つかったことがきっかけにあります。
企業向けの「グリーン・クレーム・コード」では、消費者法に基づいて、以下の6つの原則を定めています。
- 真実かつ正確であること
- 明瞭であること
- 重要な情報を省略・隠蔽しないこと
- 公平で意味のある比較のみを行うこと
- 製品の全ライフサイクルを考慮すること
- 立証されていること
さらにイギリス・広告基準局(ASA)では、前述したフランスの規制導入の動向を踏まえて、2023年後半から「ネットゼロ」「カーボンニュートラル」「ネイチャーポジティブ」といった用語の使用について、さらに厳しい取り締まりを始めるといいます。
内容としては、「カーボン・オフセットによって、自然環境を悪化させることなく製品を購入できると主張する企業に対し、実際に効果があることを証明できない限り、措置を講じる」というもので、カーボン・オフセットが消費者に誤解を与えるグリーンウォッシュにつながりかねないとして、対策を講じる考えです。
引用:「オフセットでの「カーボン・ニュートラル」をアピールする広告、英国で禁止へ」
韓国「虚偽・誇張した環境配慮を掲げる企業に罰金を科す法案を立案」
韓国では2023年1月、企業の環境配慮に関する取り組みについて、虚偽や誇張した表現を掲げる企業に対して罰金を科す法案が初めて立案されました。
トムソン・ロイター財団が運営するニュースサイト「コンテクスト」の取材によると、韓国のグリーンウォッシュ規制法案には、最大2300ドル(約31万円)の罰金が科されるとの記載があり、2023年上半期中に成立される見通しだといいます。
罰金については少額ではあるものの、これまで韓国では「行政指導」による取り締まりだけだったことを踏まえると、社会的には大きな変化の兆しが見えてきたと言えるでしょう。
引用:「焦点:豪アジアでグリーンウォッシュ取り締まり強化、罰則も」
日本「グリーンボンドガイドラインの発行」
日本では、環境改善への向上が見込まれる事業や投資に関して自治体や企業が発行している「グリーン・ボンド債券」があります。この債券は何よりも社会的な信頼が重要です。
そのためグリーンウォッシュ債券(環境改善が見込まれない、調達資金が適正に環境事業に割り当てられていないなど)が、グリーン・ボンド債券として市場に出回ることのないように充分に注意が払われています。
2022年7月には、環境省から「グリーンボンドガイドライン及びサステナビリティ・リンク・ボンドガイドライン、グリーンローン及びサステナビリティ・リンク・ローンガイドライン2022年版」が発行されました。
2017年3月に、最初のグリーンボンドガイドラインが作成されてから2回目の改訂となり、国際原則の改訂に合わせた形の策定となります。
2022年版のガイドラインでは、グリーンウォッシュを排除するために、グリーン性のKPIの例を示したことが大きな特徴です。別表には、判断指針やKPI、発行後のレポーティングの例が記載されており、別表の内容は継続的に見直すこととしています。
上記のように、日本ではグリーンウォッシュを排除するためのガイドラインはあるものの、現状、世界各国のように直接的な規制法が整っているわけではありません。世界と比較すると、いまだに“ガイドライン止まり”で遅れをとっていることがわかります。
アジア各国でも近年、グリーンウォッシュに関する規制や監視が強くなってきた世相を踏まえると、日本国内でも、今後さらに具体的な規制案などが検討されるのは、時間の問題かもしれません。
グリーンウォッシング企業にならないための対策
過去のグリーンウォッシング企業の実例にもあるように、グリーンウォッシングが発覚すると、国によっては行政措置を取られるだけでなく、世間的な企業イメージの悪化にもつながります。
では、世界的にグリーンウォッシングの規制や監視の目が厳しくなるなかで、それぞれの企業ができることは何でしょうか。
イギリスに本社を置くコンサルティング会社の「Futerra社」が、グリーンウォッシュの見分け方「グリーンウォッシュの10のサイン」を発行していますので、参考にしてください。
- 曖昧な言葉を使用していないか
- 環境製品を作りながら環境を汚染している企業ではないか
- 環境配慮をしているようなイメージ写真を使用しているだけではないか
- 環境改善にはあまり関係のない点を主張していないか
- 企業の分野の中での環境配慮を謳い優位に立っていないか
- そもそも信頼できるか
- 専門用語を多用し誤解を招いていないか
- 信頼に値しない第三者機関を作り上げていないか
- 環境配慮に対する確実な証明がされているか
- 全く事実ではない嘘である
引用:BSR『Understanding and Preventing Greenwash「A Business Guide」』
前述した「グリーンウォッシュの7つの問題点」と重なる部分も多くあるので、これらを注意することでグリーンウォッシングを避けることが可能です。
企業としてもグリーンウォッシングについての知識を持ち、対策を講じることで環境配慮への貢献が可能になります。
また、消費者の信頼を得るという意味でも、今後企業はさらに正しい情報公開の必要性や、根拠のある広告表現が求められてくると考えられます。
消費者がグリーンウォッシングを見分ける方法
では続けて、私たち消費者ができることとして、グリーンウォッシングを見分けるポイントを紹介します。
- 自然の写真やグリーンカラーなど視覚情報だけに騙されない
- 「サステナブルな言葉」を鵜呑みにしない
- エビデンスを確認する
- 製造から廃棄までの全体像を考える
自然の写真やグリーンカラーなど視覚情報だけに騙されない
商品パッケージや広告のほか、Webサイトのバナー画像やSNSの画像など、ぱっと見のデザインだけで「環境にいい」とすぐに判断しないように心がけましょう。
例えば、森林や花、植物、動物、海などの自然に関する画像や、グリーンカラーやアースカラーなどの色合い・デザインなど、「環境にやさしそうなイメージ」を演出できる要素はさまざまあります。
視覚的なイメージだけでなく、実際にどんな点が環境に配慮されているのか、科学的な根拠を確認することで、グリーンウォッシングを見分けることができます。
「サステナブルな言葉」を鵜呑みにしない
上記の「画像」や「デザイン」に関連して、キャッチコピーやスローガンなどで使われる「サステナブルな言葉」についても、注意深く判断する必要があります。
「サステナブル」「エコ」「SDGs」といった言葉は、“世間的に需要が高いキーワード”として、マーケティング目的として使われる傾向があります。
“聞こえのいい曖昧な言葉”だけに惑わされることなく、どのような根拠があって、そのように謳っているのかを個別に確認してから購入を検討しましょう。
エビデンスを確認する
企業は「サステナブルな根拠」を科学的に立証する責任があります。
気になる商品やサービスがあれば、まずはその企業の公式サイトを見てみましょう。
その商品の詳細ページや、企業全体の環境への取り組みに関する情報を確認して、具体的なデータや根拠が明記されているか確認しましょう。
企業によっては、定期的に独自の環境レポートを作成して公表しているところもあるので、参考にしてみてください。
製造から廃棄までの全体像を考える
商品を選んで購入するときは、原料の生産ルートから加工、製造、流通、廃棄まで、トータルで環境に配慮されているか、という視点を持つことが重要です。
例えば、現状すべての段階において100%環境にやさしいとは言えなくても、どの段階がネックとなっているのか、そして今後いつまでに、どのように改善していくのかなど、問題点を公表しながら、具体的なデータに基づいて、取り組みの目標を掲げている企業は、比較的信頼できると言えるでしょう。
また、「廃棄」までを想像してモノを「買う」という心がけは、私たちが普段買い物をするときに、「無駄な買い物をしない」ことにもつながります。
「この買い物は本当に必要なのか」を客観的に判断する基準にもなるので、ついついモノを買い過ぎてしまう癖のある人は、是非日常生活の心がけとして取り入れてみてください。
イギリスの買い物客向けの「グリーン・クレーム・コード」の例
イギリスにある競争・市場庁(CMA)では、2021年9月、グリーンウォッシングに関して消費者向けに以下の5つのガイドラインを制定しました。企業から商品を購入する立場として参考にしてください。
- スローガンや曖昧な言葉だけを信用しない
- 主張を裏付ける証拠を探そう
- 過去の活動も知ろう
- 製品の廃棄方法を忘れずに
- 全体像を考えよう
上記で紹介した「消費者がグリーンウォッシングを見分ける方法」と重なる部分もありますが、CMAの「買い物客向けのグリーン・クレーム・コード」では「過去の活動も知ろう」という項目があります。
企業のこれまでの環境活動への取り組みの遷移を知ることで、その企業の価値観や、取り組みの信頼性などを確かめることができると言えます。
グリーンウォッシングではない本物の環境配慮でサステナブルな社会を
グリーンウォッシングに関してどのような問題があるのか、どのような対策方法があるのかを解説しました。
環境問題に取り組むことは簡単なことではありません。
そのため環境活動を掲げながらも中身の伴わない企業は残念ながら多く存在します。
グリーンウォッシングを実際に見かけたら私たち消費者はどうすればいいのでしょうか。難しく考えずにこれまでの内容を参考に以下の3つを心がけてみましょう。
- グリーンウォッシング企業に対して声をあげる
- グリーンウォッシングの内容を周りに知らせる
- グリーンウォッシングを行っていない企業を応援する
グリーンウォッシングを正しく回避するためには、個人単位での確認や選択が重要です。さらに、グリーンウォッシングを世界から排除するためには、消費者が一致団結することが求められます。
実際に、グリーンウォッシングの規制は年々厳しくなっており、例えば韓国では、罰金などが定められたグリーンウォッシュ規制法案が2023年度中に成立される見通しです。
国際的な動きをみても、日本でも今後さらに具体的な規制などが検討される可能性は十分にあります。
企業においても消費者においても、真の環境配慮とは何かを常に頭におき、環境問題について考えることが大切です。
そして手を携えてサステナブルな社会を築いていくことが何より必要でしょう。
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