エシカルライフ

外食に求められるSDGsとは?海外や日本の事例から紐解く!

SDGsへの意識が高まる中、外食業界にも食の持続可能性が求められています。

今回は、外食企業が取り組むべきSDGsを解説します。

また海外や日本の具体的な事例もまとめました。

外食で貢献できる社会貢献について理解を深めましょう。

外食産業に求められるSDGsとは

SDGsの関心が高まるとともに、外食産業でも食の持続可能性が求められるようになりました。

SDGs(持続可能な開発目標)とは、2030年までに持続可能でよりよい社会の実現を目指す国際目標です。

2015年9月の国連サミットで採択されました。

発展途上国だけではなく、先進国も取り組むべき目標です。

外食企業においては、持続可能な生産消費を重視する「12.つくる責任つかう責任」が関係しているといえます。

この目標はさらに8つの達成目標に分かれており、特に以下2つが深く関わっています。

  • 12.3
    2030年までに小売・消費レベルにおける世界全体の一人当たりの食料の廃棄を半減させ、収穫後損失などの生産・サプライチェーンにおける食料の損失を減少させる。
  • 12.5
    2030年までに、廃棄物の発生防止、削減、再生利用及び再利用により、廃棄物の発生を大幅に削減する。

引用:外務省|JAPAN SDGs Action Platform

これからは、外食産業でも目先の利益ではなく、未来の豊かさを見据えた経営が欠かせません。

食品ロスの削減や持続可能な原料調達、代替肉の活用や自然保護など、社会貢献と事業をかけ合わせた取り組みが高く評価されるといえるでしょう。

続いては、国内外ではどのような取り組みが実施されているのかを紹介します。

【フランス】エコターブル

フランスでは、食の持続可能性を重視した飲食店が徐々に増えています。

その普及を後押ししているのが「エコターブル」です。

エコターブルとは、持続可能な外食を推進する民間認証制度です。

食のサステナビリティ化が進んでいるフランスでは、レストランや菓子店、ケータリングサービスなどの飲食店が、エコターブルを取得しています。

とはいえ、エコターブルはミシュランガイドのように料理の味を重視しているわけではありません。

ヴィーガン・オーガニック・地産地消・持続可能な漁業・持ち帰り可能・廃棄物ゼロなど、SDGsにかかわる観点をもとに格付けしています。

エコターブルの評価は3段階あり、ラベルにはマカロンの数が記載されています。

そのため、エコターブルラベルを見れば、どこの店がどの評価を獲得したのか判断できます。

環境意識が高い消費者にとっては、飲食店選びの役に立つといえるでしょう。

また、環境や社会に配慮した経営を目指している飲食店へのアドバイスもしていて、SDGsに貢献する飲食店の普及に尽力しています。

参照:ecotable

【イギリス】Sustainable Restaurant Association

Sustainable Restaurant Association(SRA)は、外食産業の持続可能性を高めることをビジョンに掲げ、2010年にイギリスで創設された団体です。

SRAは、サプライヤーや飲食店、消費者とコミュニティを構築しながら、10年以上も環境や社会に配慮した飲食店の普及を先導してきました。

SRAが定めた基準は、現在、世界中の15,000以上の飲食店の評価や認証に使用されています。

また、食のアカデミー賞と称される「世界のベストレストラン50」でサステナブル・レストラン賞の評価も行っています。

ロンドンにある数軒のレストラン同士での会話から始まった取り組みが、世界中の外食産業に影響を与えるまでに成長しました。

エコターブルとSRAは、飲食店がSDGsにどれだけ貢献しているのかを見える化する仕組みを確立させたといえるでしょう。

参照:Sustainable Restaurant Association

【日本】mottECO(モッテコ)

mottECO」は、外食時に食べ残した料理を持ち帰り、食品ロス削減を目指す活動のことです。名前の由来には「もっとエコ」と「持って帰ろう」という2つの思いが含まれています。環境省と消費者庁、農林水産省とが協力してロゴなどを製作しました。

現在、全国のロイヤルホストやデニーズなどで実施されています。

外食先のお持ち帰りは、アメリカやイギリスなどの海外ではよく行われています。

一方、日本では持ち帰りは食中毒や衛生上の理由から持ち帰りの習慣があまり浸透していませんでした。

しかし、食品ロスの削減が重要視されるようになり、日本でも環境省が中心となって、お持ち帰りの文化を広めようとしています。

ただし、自分が食べ残した料理を持ち帰るのは自己責任です。

持ち帰る場合は、十分に加熱された食品であるか、再加熱できるかどうかを確認してください。

持ち帰った料理を安全においしく食べることは手間もかかりますが、食品ロスや環境負担の軽減に貢献します。

日本の食品ロスは年間約523万トンです。

この量はWFP(国連世界食糧計画)が世界中の飢餓と貧困に苦しむ人々に援助している食料の約1.2倍に相当します。

外食産業の食品ロスの多くを占める食べ残しを減らすことは、環境や社会に与えるメリットが大きいといえます。

では、外食でSDGsに貢献するには、どのような飲食店に足を運べばいいのでしょうか。

次の章では、チェーン店をメインとした具体的な事例を紹介します。

参照:農林水産省
参照:認定NPO法人国連WFP協会

プラントベースメニュー

プラントベースの食事を取り入れることも、SDGsへ貢献するアクションです。

プラントベース食品とは植物由来の原材料を使った食品をいい、肉類や乳製品に比べると、野菜や果物の生産で排出される二酸化炭素は低いといわれています。

さらに水資源やエネルギーの消費も低く、プラントベース食を日常に取り入れれば、環境負荷の低い食習慣が実現するでしょう。

また、積極的に野菜を食べることは食生活の改善も期待できます。

ここ数年、代替肉である大豆ミートや豆類を原料としたメニューを提供する飲食店が多く見られるようになりました。

参照:環境省|環境白書

モスバーガー

モスバーガーでは、野菜と穀物を主原料に作った「グリーンバーガー(てりやき)」を販売しています。

ほうれん草ピューレを練り込んだバンズ、大豆由来のパティ、卵の代わりに枝豆を使用したマヨネーズを使用し、植物性由来のハンバーガーを完成させました。

モスバーガーでは、SDGsへの取り組みを積極的に進めています。

グリーンバーガーのように社会課題の解決につながる施策を「モスSDGsアクション」とし、カラフルなシンボルアイコンを通じて情報を発信しています。

参照:モスバーガー|グリーンバーガー

フレッシュネスバーガー

フレッシュネスバーガーでは、環境保護の取り組みとして、牛肉を使用しない大豆パティを販売しています。

さらにより手軽に食べてもらえるよう、2022年3月からビーフパティバーガー5種類を対象に、大豆パティへの変更を無料にしました。

ビーフパティバーガー5種類は次の通りです。

  • ガーデンサラダバーガー
  • フレッシュネスバーガー
  • チーズバーガー
  • サルサバーガー
  • テリヤキバーガー

ココナッツオイルを配合した大豆パティは、大豆独特の風味を抑え、まるで肉を食べているような食感に仕上げています。

参照:フレッシュネスバーガー|美味しく食べて、環境問題に貢献しよう無料でSOY(大豆)パティに変更可能になりました!

焼肉ライク

焼肉ライクでは、2020年10月から一部店舗で代替肉「NEXTカルビ」を提供しています。

肉の専門店でありながら、代替肉を出したことは大きな反響を呼びました。

焼肉ライクが独自に開発した植物性のタレをかけて食べる代替肉は、肉好きでも満足できる食感や食べ応えになっています。

また、一般的な牛カルビと比べると脂質が約8分の1、タンパク質は2倍以上なので、栄養面においてもメリットが大きいといえるでしょう。

参照:焼肉ライク|焼肉用代替肉「NEXTカルビ」がバージョンアップ
参照:PRTIMES|より肉に近づいた代替肉を焼肉店で!大人気焼肉チェーンの焼肉ライク全店舗にて「NEXT大判カルビ2.0」を発売

一風堂

博多豚骨ラーメンで有名な一風堂では、プラントベースラーメン「プラントベース赤丸Ver.2.0」を販売しています。

一風堂の通常の中華麺は、卵白をはじめとした動物性食材を使っていません。

なめらかなすすり心地と歯切れの良さ、そしてプラントベースのスープと相性が良い麺を自社で開発。

動物性由来の食材を使用せず、とんこつラーメンの旨味とまろやかなコクを再現した植物性100%のラーメンに仕上げました。

スープには、豆乳や昆布出汁、ポルチーニ茸などを使用し、麺は卵を使用せず、小麦粉の他に食物繊維や全粒紛などが練り込まれています。

参照:PRTIMES|一風堂の動物性食材不使用のとんこつ風ラーメン「プラントベース赤丸」が12月4日から復活!オンライン販売も新たに開始し全国の方が購入可能に
参照:一風堂|プラントベース

環境保護

地球上の資源は限りがあるため、持続可能な原料調達やサーキュラーエコノミーの構築が欠かせません。

環境保護に配慮したメニュー提供や取り組みをしている外食企業を以下にまとめました。

マクドナルドの海のエコラベル

マクドナルドのフィレオフィッシュには、海のエコラベルMSC認証」を取得したスケソウダラを使用しています。

MSC認証とは、水産資源と環境に配慮した持続可能な漁業で獲られた天然水産物であることを証明するものです。

過剰漁獲の抑制や海の生態系の保護に貢献しています。

マクドナルドではこの他にも、持続可能なパーム油の生産と利用促進を目的としたRSPO認証を取得しているフライオイルを使用。

コーヒーは、自然環境や労働者の保護を目的としたレインフォレスト・アライアンス認証を取得した農園で栽培されたコーヒー豆を100%使用しています。

さらに、容器や包装類は、森林環境や地域社会に配慮して作られたFSC認証を取得した紙・木材を使用するなど、SDGsへの取り組みを積極的に行っています。

マクドナルドは水産資源を守るために、持続可能な原料調達に努めています。

参照:マクドナルド|責任ある調達
参照:MSC|MSC「海のエコラベル」とは

びっくりドンキーの油のアップサイクル

びっくりドンキーで廃棄される油は、1店舗で1ヶ月あたり約120kgにのぼります。

これまで大量の油は廃棄されていましたが、現在はリサイクルやアップサイクルするようになりました。

店舗や家庭から廃棄される油は、バイオディーゼル燃料や工業用オイル、ハンドソープやインク原料などのリサイクル原料として活用されます。

廃棄物を出さない仕組みづくりは、サーキュラーエコノミーの構築に貢献しているといえるでしょう。

参照:びっくりドンキー|環境

くら寿司のさかな100%プロジェクト

くら寿司の「さかな100%プロジェクト」は、獲れた魚を余ることなく使い切る活動です。

一般的な漁業では、獲れたにもかかわらず市場価値がない未利用魚は低価格で販売されたり廃棄されたりしています。

しかし、くら寿司は、年間契約した船で獲れたものをすべて買取り、寿司ネタや養殖の飼料として活用しています。

国産天然魚の骨やアラなど、食べられない部位を養殖魚の飼料にしたり、魚粉を農業用肥料にしたりして活用することで、廃棄物を出さない仕組み「循環フィッシュ」を完成させました。

参照:くら寿司

新たな選択肢!SDGsな外食を楽しもう

気候変動や環境破壊など、さまざまな社会問題の解決が急がれる今、外食産業にもSDGsへの貢献が求められています。

国内の外食企業も、プラントベースのメニュー開発や持続可能な原料調達、サーキュラーエコノミーの構築に尽力しています。

個人としても、外食時に適切な量を注文する、食べ切る、持ち帰ることは大切なアクションです。

飲食店と私たち一人ひとりが手を取り合ってはじめて、SDGsの目標「12.つくる責任つかう責任」に貢献するといえるでしょう。

今度外食するときは、SDGsに貢献できるかどうかで選び、食事を楽しんでみてください。

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