持続可能な未来を育む!木のおもちゃが担う役割とは
木のおもちゃは、出産祝いや誕生日プレゼントとしても人気です。
子どもの健やかな成長を願い、木のおもちゃで遊ばせたいと考える親も多いでしょう。
子どもに豊かな心を育むアイテムとして注目されている木のおもちゃは、環境面においてもメリットが多く存在します。
今回は、木のおもちゃが持つメリットを、教育面と環境面の両方から解説します。
また、木のおもちゃの開発に取り組む企業事例も紹介します。
木育につながる!木のおもちゃ
木のおもちゃを見たり触れたりすると、心が温かくなるような感覚を覚えたことがある方も多いのではないでしょうか。
木は無数の穴が多くあるため、断熱性や保温性に優れた素材です。
そのため、木のおもちゃを通じて自然のぬくもりを感じられるのです。
これは、木のおもちゃならではの魅力でしょう。
遊びを通して自然のぬくもりを感じることで、木のおもちゃは木育(もくいく)にもつながるといわれています。
木育とは
木育とは、五感を使った木との触れ合いを通して、自然の豊かさや森林と共存する心を育む教育です。
子どもの頃から木を身近に感じることで、自然の多様性や環境問題などを自分ごととして捉え、主体性や多面的な視点を育むことが期待されています。
この木育の概念は、2004年に北海道庁が提案したものです。
現在では、林野庁や全国の都道府県で木育活動が推奨され、木育の輪は日本各地に広がっています。
木育のはじめ方
木育で重要視されているのは、木のおもちゃを触ったり、音を鳴らしたりして、五感で木に親しむことです。
難しく考える必要はありません。木のおもちゃを用意し、子どもと一緒に遊ぶだけで良いのです。
木のおもちゃは壊れにくく、何でも口に入れる0歳の赤ちゃんからでも安心して取り入れられます。
しかし、木のおもちゃは大量生産できない分、プラスチック製のものに比べて価格が高い傾向にあります。
そのため、気軽に買えるものではありません。
木のおもちゃに触れられるワークショップやおもちゃ美術館に行くのも、木育の一つです。
おもちゃ美術館とは、郷土の自然や文化と遊びが融合した交流型ミュージアムで、木育を推進しています。
東京おもちゃ美術館をはじめ、全国に12館あります。
温かい木の香りに包まれて過ごす経験は、子どもの成長を促す貴重な機会になるでしょう。
参考:木育ラボ
参考:木育ラボ|SDGsの取組
参考:北海道|北海道の『木育(もくいく)』
参考:林野庁|木育
環境問題から考える木のおもちゃ
木のおもちゃは、子どもの教育面だけでなく、環境問題においても大きなメリットがあります。
ここでは、木のおもちゃと環境問題との関係について、具体的な根拠をもとに解説します。
環境保護
木のおもちゃに使用される木材は、持続可能な森林管理がなされている場合、再生可能な資源として利用できます。
持続可能な森林管理とは、適切な管理のもと木を伐採し、伐採後も植林するなどして、森林が再生するように努めることです。
例えば、FSC認証(Forest Stewardship Council)のついた木のおもちゃは、環境保護と社会的責任を持つ森林管理が行われていることを示しています。
このように、木のおもちゃは、環境に優しい選択肢として注目されているのです。
参考:FSC認証
二酸化炭素の削減
森林や木材は、二酸化炭素の吸収源としても機能します。
樹木は、成長の過程で二酸化炭素を吸収し、炭素を固定します。
そのため、木材製品を長く使用することは、二酸化炭素の大気中への排出を抑える効果があります。
また、森林を適切に管理すれば、二酸化炭素の吸収量が高まるといわれています。
例えば、適切に手入れされている36〜40年生のスギ人工林1ヘクタールが、1年間に吸収する二酸化炭素の量は約8.8トンと推定されます。
持続可能な森林管理のもとで生まれた木のおもちゃを長く使用することは、気候変動対策にも有効といえるでしょう。
参考:林野庁|森林はどのぐらいの量の二酸化炭素を吸収しているの?
プラスチック削減
木のおもちゃは、製造から廃棄までの環境負荷がプラスチック製のおもちゃに比べて低いといえます。
プラスチック製のおもちゃの主な原料は石油です。
製造過程で大量のエネルギーを消費し、温室効果ガスを排出します。
また、プラスチックは生分解性が低く、分解に数百年を要するため、廃棄物としても環境に大きな負担をかけます。
一方で、木のおもちゃは生分解性が高く、自然に土に還る素材です。
廃棄された場合でも、プラスチック製品に比べて土壌や水質に与える影響は少ないといえます。
また、木材は耐久性が高いため、リサイクルやリユースも容易です。
世代を超えて使用できるため、廃棄量の削減にも貢献するでしょう。
木のおもちゃの開発に取り組む企業事例
未来を担う子どもたちのために、木のおもちゃの開発に取り組む企業事例やプロジェクトを紹介します。
トヨタ
トヨタは、森林や生物の多様性を守るために、「トヨタ三重宮川山林」の間伐材を活かして使うプロジェクト「はじめてのとよた」を立ち上げました。
この活動の一つが「間伐材モビリティ」です。
間伐材を使って、乳幼児向けの木製の乗り物を完成させました。
「間伐材を使うからには、長く使いたい」というSDGsとの考えのもと、木馬から三輪車、そして二輪車へと変身できるモビリティを制作しました。
さらに、子どもにモノづくりの楽しさを伝えるため、親子で部品を付け替えられるように設計しています。
トヨタは、環境保護への活動を強化し、子どもたちとその家族に木のおもちゃの価値を提供していきたいと考えています。
参考:PR TIMES|トヨタ 新たな間伐材プロジェクト「はじめてのとよた」を発表トヨタ三重宮川山林の間伐材から誕生した乳幼児向けの木製玩具「間伐材モビリティ」が11月26日(日)に完成!
エド・インター
エド・インターは、幼児教室のノウハウを生かし、子どもの才能を伸ばす木のおもちゃを制作しています。
木を伐採し、使用し、植えることを繰り返し行うことで、環境に配慮した持続可能な企業を目指しているのです。
環境や社会に大きな負荷をかけずに生産されたFSC認証の木材を使用し、国内外の安全基準を満たした木のおもちゃを製造しています。
これにより、子どもの適切な発育にも貢献しています。
エド・インターの木のおもちゃは、環境と教育に配慮した社会貢献の一例として評価できるでしょう。
参考:株式会社エド・インター|エド・インターが考えるSDGs
IKONIH(アイコニー)
アイコニーは、人と木を育む木のおもちゃを開発する玩具メーカーです。
木目の表情や温かな手触り、爽やかな香りを遊びながら感じられるように、安心と安全のために無塗装で人の手をなるべく加えないことにこだわっています。
また、日本の森林サイクルを健全化させるために、国産材を活用したり、植林したりするなどの活動にも取り組んでいます。
脱炭素社会への実現だけでなく、SDGs(持続可能な開発目標)の達成にも貢献しているといえるでしょう。
参考:IKONIH
参考:IKONIH|IKONIHとは
ここにある
ここにあるが手掛ける「komorebi」プロジェクトでは、徳島県上勝町のスギの端材を使った「ななめに積めるつみき」を制作しています。
上勝町で製造される「てるぺん」というつみきを作る際に発生する端材をどうにかして活用できないか、という想いから誕生しました。
貴重な国産木材を無駄なく使用することは、環境保護にもつながっています。
また、つみきの磨き上げや箱詰めは、兵庫県尼崎市の就労継続支援事業所「NPO法人サニーサイド」と連携して行っています。
障がいのある方の雇用創出にも役立てられているのです。
木のおもちゃで子どもたちに豊かな未来を
木のおもちゃは、単なる遊び道具ではなく、未来の環境や社会に貢献する重要な存在です。
木材という持続可能な資源を使うことで、自然環境を守ることや二酸化炭素の削減にもつながります。
木のおもちゃを通じて、子どもたちは木のぬくもりを感じたり、環境保護の大切さも学べたりなど、自然素材に触れる機会も得られるでしょう。
さらに、耐久性の高い木のおもちゃは、長く使用したりリユースしたりしやすく、使い捨ての文化に対抗して循環型社会を構築する一助となるでしょう。
このように、木のおもちゃは、子どもたちにとって環境について考えるための教材であり、豊かな自然を守るための重要な一歩となります。
持続可能な未来を築くために、木のおもちゃを選んだり、商品開発に取り組んだりしてみてはいかがでしょうか。
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