生物多様性

海洋汚染が人間や魚に及ぼす影響とは?恵みの海を取り戻すための努力を!

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海洋汚染による影響の深刻さは、年々増しています。原因のひとつである海洋プラスチックごみは、2050年には海に棲む魚の量より増えるといわれています。

海洋汚染の影響は魚介類を食べる私たち人間にもあり、マイクロプラスチックが人間の血液から発見されるというショッキングなニュースまでありました。

原因はプラスチックごみだけではなく、工場や家庭から排水される有害物質、船舶の事故による油などさまざまです。このまま海洋汚染が進めば、海の豊かさが完全に失われてしまう危機的状況は避けられません。

海洋汚染の原因や現状と人間や生物に及ぼす影響、海洋汚染を防ぐための取り組み事例を紹介します。

海洋汚染はどうして起きる?

海洋汚染の原因は複数ありますが、究極の原因は人間の経済活動や日常生活によるものと言えます。人間が社会生活を営むためには、エネルギーを使用し、物資を消費しなくてはいけません。それらの行為すべてが海洋汚染に関わっています。

経済・生活排水による汚染

私達は毎日の生活で、料理や洗濯、お風呂などで水を使います。そのときに排出される水には、合成洗剤や油、調味料、シャンプーなどが混ざっており、これらが汚染排水となって海を汚します。

生活排水は汚水処理がされ、問題ないと思っている方もいるかもしれません。しかし下水道が発達している日本でも、汚水処理の普及率は91.7%(令和2年9月時点)です。およそ2割の汚染排水が処理されず、川や海に流れ出ているのです。

参照:「令和元年度末の汚水処理人口普及状況について」(環境省)

海に浮かぶプラスチックごみ・マイクロプラスチックによる汚染

生活にもはや欠かせない便利なプラスチック製品。しかしそのプラスチック製品が、海を危機的状況に追い詰めています。

世界のプラスチック消費量は、年間でおよそ2億8000万トンです。大半が使い捨てられ、環境中に放棄されやがて海にたどり着きます。プラスチック製品は、人工物なので自然に分解されることはありません。30年以上前のプラスチック容器が海底から発見されたこともあります。

なかでも深刻なのは、サイズが5mm以下のマイクロプラスチックによる被害です。マイクロプラスチックには以下の2種類あり、すでに世界中の海に流出されています。

■一次的マイクロプラスチック
歯磨き粉や洗顔料、化粧品、工業用研磨剤などに使用されているビーズサイズのプラスチック。

■二次的マイクロプラスチック
環境中に放り出されたさまざまなプラスチック製品が、外的要因により削られ劣化してマイクロサイズになったもの。

マイクロプラスチックは、海の生き物や海鳥が餌と間違えて誤飲するだけでなく、化学物質による毒性があることも懸念されています。

海難事故の原油流出による汚染

海路を使って物資を運ぶためには、船やタンカーが必要です。しかし、事故が起きた場合、油の海への流出は甚大な被害を発生します。

ニュースでタンカーから流出した原油によって、真っ黒に汚れた海鳥などの姿を見たことのある人は多いでしょう。

海難事故による被害は海を汚すだけではなく、そこに住む生き物たちの生存も脅かします。

海洋汚染の現状

ここでは日本や世界の海洋汚染の現状を紹介します。

日本の現状

日本の海上保安庁の報告によると、2020年度における海洋汚染の確認件数は453件で、汚染物質別に見ると油によるものが最も多く、次いで廃棄物が多くなっています。

廃棄物に関しては一般市民によるものがほとんどです。太平洋側の海岸では、ペットボトルが多く漂着しているという報告があり、何気ないポイ捨てが確実に海を汚していることがわかります。

参照:「令和2年の海洋汚染の現状について」(海上保安庁)

世界の現状

プラスチックごみは、遠い北極や南極でも観測されたという報告があり、海洋プラスチックごみによる影響が、地球規模で広がっていることは間違いありません。

OECD(経済協力開発機構)の報告によると、2019年には、610万トンのプラスチック廃棄物が水生環境に流出して、そのうち1.7 万トンが海に流れ込んだといわれています。

今後深刻化している海洋のプラスチックごみに対しての対策が行われなければ、海はプラスチックで溢れてしまうでしょう。

参照:「OECD Global Plastics Outlook 2022」(OECD)

海洋汚染による影響は何を及ぼすのか

ここからは海洋汚染によって、どのような影響があるのかを具体的に解説していきます。

四方を海に囲まれ海鮮料理を好んで食べる日本人は、あらゆる面において海洋汚染の影響が高いことを認識しましょう。

人間の食生活や健康への影響

海洋汚染の原因のひとつであるマイクロプラスチックは、すでに魚や鳥やクジラの体内から検出されています。

マイクロプラスチックが具体的に人体にどのような影響を及ぼすのかは、まだ明らかになってはいません。しかし、海洋プラスチックからは「PCBs」「DDTs」などの有害な化学物質が検出されることが判明しています。これらを取り込んだ魚を食べたときに、人体に危険がないと断言はできないのです。

また、化学物質はプラスチックだけに限りません。工場・生活排水による有害な化学物質も海には流れ込んでいます。化学物質は体内に蓄積する可能性があり、それが人間の免疫機能に影響するともいわれています。将来にわたって人体に影響を及ぼす可能性も、否定できません。

海の生態系の破壊

海難事故による油の流出による生態系の破壊は甚大で、プランクトンから海鳥に至るまで多くの生物が死に至ります。

マイクロプラスチックをはじめとした化学物質は、プランクトンからも発見されており、食物連鎖に大きな影響を与えていることもわかっています。

また、漁業の漁具の網やカゴが海に廃棄されたものが、多数の水生生物に危害を加えていることも問題です。

海洋汚染が拡大すれば、当然ながら海洋生物は減少していきます。海洋生物が減少するということは、地球の生態系にも大きな影響を与えるということです。

このままでは、いずれ私たちは海からの恵みを受け取ることができなくなってしまうかもしれません。魚を食料としている生物や人間の生活にも関わる大きな問題です。

海洋汚染を防ぐための取り組み例

海洋汚染を防ぐために実際にどのような取り組みが行われているのでしょうか。

世界と日本における取り組み事例を見てみましょう。

世界の取り組み

世界の国や地域ごとで行われている取り組みを紹介します。

欧州(EU)

EUでは、2020年までに「良い環境状況」(Good Environmental Status; GES)を達成することを掲げています。各都市の下水処理の整備やマイクロプラスチック規制案、漁具の処理費用の負担を導入するなど、海洋ごみの削減に取り組んでいます。

アメリカ

アメリカは、2020年に「海洋ごみ抑制・回収法」を改正し国内の調査・研究事業を促進するとともに、国際的なプラスチックごみの削減と流出防止を推進することを掲げています。

アジア諸国

中国ではプラスチック汚染の対策の強化をはじめ、インドネシアは海洋プラスチックごみの削減計画、ベトナムでは海洋プラスチックごみを管理するための国家行動計画政策など、アジア諸国での取り組みも次々と開始されています。

参照:「海洋プラスチック汚染対策の国際協力」(環境省)

日本の政府・企業の取り組み

日本では、環境省が2019年に「海洋プラスチックごみ対策アクションプラン」で、下記の6つの分野において対策をたて、具体的に取り組むことが制定されています。プラスチックごみだけではなく、海洋汚染に関わるあらゆることに向けて、政府は対策を開始しています。

  1. 廃棄物回収・適正処理
  2. ポイ捨て、流出防止
  3. 陸域でのごみ回収
  4. 流出ごみの回収
  5. イノベーション
  6. 国際貢献・実態把握

また、日本の企業も自然に分解される植物由来のプラスチック開発や、船外機に取り付け可能なフィルター式を開発しマイクロプラスチックを回収できるようにするなど、海洋ごみを削減する努力を行っています。

参照:「海洋プラスチックごみ対策アクションプラン」(環境省)

足元からできることを考えよう

海洋汚染を防ぐために一人ひとりができることを具体的に考えていきましょう。

大袈裟に考えることはありません。自分の生活のなかで「これは海を汚しているのかも?」と、思うことがあれば、それに気をつけることからはじめればいいのです。

生活のなかでできる取り組みは、以下のとおりです。

  • 食器の油汚れは、拭き取ってから洗うようにする
  • 洗剤の使用は少量に抑える
  • プラスチック製品はきちんと分別して捨てる
  • 道端でごみを見つけたら拾う
  • 海の生き物に会いに行き、海について考えてみる

まとめ

海洋汚染から海を守るというと、個人で何ができるのか、と悩んでしまう方もいますが、難しく考えずに身近でできることからはじめてみましょう。

「レジ袋を貰わずにエコバックで買い物する」、

「お皿の油汚れを紙で拭いてから洗う」といったことでも

充分です。

水族館に行って海の生き物たちに触れて、海の大切さを考えることでもよいでしょう。

まずは自分のできる小さなアクションを起こすことです。私たち一人ひとりの取り組みが、海を美しく守ることにつながります。

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