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水質汚染の原因や影響は?きれいな水を守るために家庭でできること

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アメリカのフロリダ州では、マナティの大量死が起きています。

2021年には1年間で1100頭が死んだともいわれており、過去10年間でもっとも多い数です。

原因は、水質汚染で海藻が減ったことによる飢えや栄養不足だと考えられています。

水質汚染の影響を受けているのはマナティだけではありません。

ホッキョクグマなどの大型哺乳類、そして私たち人間にも影響が生じているのです。

本記事ではなぜ水質汚染が起きるのか、その原因と、私たち一人ひとりができる対策について紹介します。

水質汚染の3つの原因を知ろう!

水質汚染の原因は、以下の3つです。

  • 地球温暖化
  • 産業排水
  • 生活排水

それぞれの原因が、どのように水質汚染につながるのかみていきましょう。

1.地球温暖化

地球温暖化の影響で水温が上昇すると、植物プランクトンが増殖し、アオコが異常発生することがあります。

湖沼などの水面が緑色の粉末をまいたようになることがありますが、それがアオコです。

アオコが異常発生すると、水中の酸素濃度が低下し、生態系に影響を与え、それが水質の悪化につながると考えられています。

また、地球温暖化によって海面の水位が上昇することも、河川取水障害や地下水の塩水化の原因となっています。

関連記事:海面上昇は地球温暖化が原因!2100年に日本は沈む?

2.産業排水

工場や農場などから排出される汚水も水質汚染の原因となっています。

過去には、産業排水に含まれる有害物質が、水俣病やイタイイタイ病などの公害病を引き起こしました。

日本における水質汚染問題が表面化した背景には、1955年から積極的に公共投資が行われたこと、また重化学工業化が進んだことが挙げられます。

加えて、臨海地帯には大規模なコンビナート建造も進むなど、公害の発生源が集中したことも関係しています。

3.生活排水

生活排水とは、風呂や洗濯、炊事、トイレなどで日常的に家庭から出る排水のことです。

生活排水には、「生活雑排水」と「し尿」の2種類があります。

「し尿」とは、生活排水のうちトイレから出るもので、「生活雑排水」はトイレを除く排水で、風呂や洗濯、炊事などにより出されるものです。

これらの生活排水が川に流れ込むことにより、水質汚染が進んでいます。

日本における水質汚染が大きな問題となったのは、大阪万博の翌年(1971年)のことで、富栄養化(ふえいようか)が表面化しました。

富栄養化とは、河川や湖沼、海水に含まれる栄養分(リン・窒素・炭素など)が増えすぎてしまうことです。

富栄養化が進むと、藻や植物プランクトンが大量発生し、アオコや赤潮が発生しやすくなります。その結果、水中の酸素濃度が低下し、魚や貝などの大量死などが起こります。

富栄養化の主な原因とされたのが洗剤による影響で、対策として1980~1985年にかけて洗剤の無リン化が進みました。

また、下水道設備の問題もあります。

下水道には「合流式下水道」と「分流式下水道」があり、昭和40年代以前に設置されたのが1本の管で雨水と家庭の生活排水を一緒に集める合流式下水道です。

合流式下水道は建設費が割安であるものの、雨が降って管きょや処理場の能力を超えると、未処理の水が河川に放流されてしまいます。

合流式下水道を分流式下水道に整備し直せば、水質の悪い水が放流されることはないものの、それには多くの工事と事業費が必要です。

東京や大阪、名古屋などの大都市をはじめとした全国191都市では、合流式下水道が採用されています。

生活排水はどのくらい汚れているの?

以前は産業排水が水質汚染の主な原因でしたが、工場などへの規制が厳しくなったことで、産業排水による水の汚染は減少しています。

現在においては、生活排水が水質汚染の原因の多くを占めているのが実情です。

たとえば、水に味噌汁をおわん1杯捨てると、魚が棲める水質にするには浴槽4.1杯分の水が必要とされています。

ラーメンの汁1杯分なら浴槽8.2杯分、牛乳コップ1杯分なら浴槽16杯分の水が必要です。

味噌汁やラーメンの汁、牛乳などは私たちが口にするものなので、水を汚す原因になるとは考えにくく感じるかもしれません。

しかし、これらのものを流すと、浄化するためには多くの水が必要です。

水質汚染がもたらす影響について

水質汚染がもたらす影響は世界各地で深刻な問題となっており、早急な対策が迫られています。

実際に、水質汚染によってどんな影響が引き起こされているのかみていきましょう。

魚やホッキョクグマなど生態系への被害

水の汚染は、水棲生物とそれを補食している野生動物に影響を与えます。

汚染水は植物プランクトンの体内に入り、それを動物プランクトンが食べ、さらに小魚が動物プランクトンを食べるという流れで伝わります。

そして、水棲生物の食物連鎖をとおして生物濃縮(※)が起き、徐々に汚染が濃くなります。

汚染の影響を受けた海の生物を食べるアザラシやホッキョクグマなどの大型哺乳類、そして私たち人間も危険にさらされているのです。

※生物濃縮…汚染物質が生物の体内で濃縮されていく現象

関連記事:絶滅危惧種「ホッキョクグマ」の悲惨な現実。私たちができる6つのこと

人間への被害

水質汚染は、人々にも影響を与えています。

発展途上国では、水道施設や浄化施設が整っていないために汚染された水を利用せざるを得ない状況があり、毎日多くの子どもが命を落としています。

また、汚染水が健康被害や重篤な感染症を引き起こす原因ともなっています。

きれいな飲料水が簡単に手に入る日本では考えにくいことですが、世界では不衛生な水による被害を受けている人も多くいるという現状があるのです。

日本における水質汚染を防ぐ取り組み

水質汚染を防ぐために、日本でも法整備による対策が行われています。

公害対策基本法

公害対策基本法は、1967年に制定された公害対策の基本となる事項を定めた法律です。

この法律では公害を、「大気汚染、水質汚濁、土壌汚染、振動、騒音、地盤沈下、悪臭により人の生活環境や健康に被害が生じること」と定義しています。

そして、以下のような内容について定めました。

  • 公害原因となる事業者の責務
  • 国や地方自治体の責務
  • 政府による環境基準の設定
  • 公害発生源への規制措置
  • 公害防止計画の策定
  • 公害紛争の処理と被害の救済
  • 公害対策会議の設置 など

1993年11月19日まで施行された法律ですが、1993年に環境基本法が制定されたことで廃止されました。

水質汚濁防止法

1970年に水質汚染への対策として制定されたのが水質汚濁防止法です。

この法律では、工場や事業場からの排水に対して、排水基準以下の濃度で排水することを求めています。

工場や事業場からの排出水に関する基準は、大きく分けると以下の3つです。

  • 一律排水基準:全国一律の基準
  • 上乗せ排水基準:汚染源が集中している地域における一律排水基準よりも厳しい基準
  • 総量規制基準:濃度規制だけでは環境基準の達成が困難な水域において、排出水の濃度規制に加えて汚濁負荷量の許容限度として適用される基準

また、水質汚染の大きな要因となっている生活排水については、重点地域を指定し、浄化槽の設置や対策を行っています。

湖沼水質保全特別措置法

水の流れがない湖沼は、水質汚濁が起きやすく、また水質汚濁が生じると元に戻りにくい性質があります。

湖沼については水質汚濁防止法による規制だけでは十分とはいえず、規制を強化する目的で湖沼水質保全特別措置法が制定されました。

この法律により、湖沼への環境負荷の規制、下水道・浄化槽の整備といった施策が行われています。

水質汚染を防ぐために家庭でできること

私たち一人ひとりが意識を変えることで、水質汚染の予防に貢献することができます。

水質汚染を防ぐために以下のことを実践してみてはいかがでしょうか。

浄化槽にする

浄化槽は、公共の下水道が配管されていない家庭に設置される汚水処理設備です。

浄化槽を設置すると、家庭から出る生活排水を浄化槽に生育している微生物によって浄化して排水することができます。

公共の下水道がなくても、各家庭で生活排水をきれいにして河川や海に流せば、水質汚染を防ぎ、地球環境に貢献できます。

洗剤は適量を使う

シャンプーや洗剤を使いすぎないよう意識することも大切です。

シャンプーや洗剤に含まれている有機物や化学物質は水質汚染の原因となります。

洗剤はたくさん使っても洗浄力が高まるわけではありません。

適量を使うことを心がけましょう。

米のとぎ汁を再利用する

米のとぎ汁にはリンや窒素などの栄養分が豊富に含まれています。

リンや窒素は現在の処理方法で十分な処理ができず、 そのまま流すと水の汚染につながります。

米のとぎ汁は植木の水やりに使うなどして、流さないようにしましょう。

まとめ

水質汚染の原因は、地球の温暖化、産業排水、そして生活排水です。

法の整備によって、産業排水や地球温暖化による影響は軽減されつつありますが、生活排水による汚染はまだまだ課題が多い現状があります。

各家庭で汚れた水を排出しないような工夫を行い、水質汚染の予防に貢献していきましょう。

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