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サステナビリティ・トランスフォーメーション(SX)とは?日本・海外事例を紹介

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SXと表記されることも多い、サステナビリティ・トランスフォーメーションは、まだまだ新しい言葉である上に、よく分からないという方が大多数だと思います。

この記事では、そんな新しい概念である「サステナビリティ・トランスフォーメーション」について、分かりやすくかみ砕いてご説明します。

国内・海外事例も併せてご紹介するので、どんな概念なのかがイメージしやすくなれば幸いです

サステナビリティ・トランスフォーメーション(SX)って何?

「サステナビリティ・トランスフォーメーション」とは何のことなのでしょうか。

「持続可能性」を重視した新しい経営方針

「サステナビリティ・トランスフォーメーション」は「SX」と表現されることも多いですが、2020年に誕生したばかりの新しい言葉です。

具体的には2020年8月の「サステナブルな企業価値創造に向けた対話の実質化検討会」にて話題になったことで、世に広まるようになった言葉です。

今までの企業はとにかく「稼ぐ」ことに力を入れていて、稼ぐ力をしっかり付けることが企業として評価される基準の軸でもありました。

しかし、時代は移り変わり、多くの人が目を向けるのは単純に「稼いでいるか」「良い商品を作っているか」だけではなくなりました

これからの時代は「持続可能性(サステナビリティ)」を持った経営をしているかも大きく問われることになり、企業の経営戦略としては要になってきます。

そんな時に重要となるのが「サステナビリティ・トランスフォーメーション」という新しい経営方針です。

「サステナビリティ・トランスフォーメーション」3つの軸

サステナビリティ・トランスフォーメーションを展開していくには、3つの大きな軸が鍵となっています。

  1. 「稼ぐ力」の持続化・強化
  2. 社会のサステナビリティを経営に取り組む
  3. 長期の時間軸の「対話」によるレジリエンスの強化

企業が自分たちの利益だけを追い求めていた時代は終わりました。

もちろん①企業として潰れないように利益を出したり、発展していくことも重要です。

でも、それに加えて②地球環境とどのようにあうまく共存していくのかという点も大きなポイントとなります。

さらに③企業と投資家の間で、5年10年の長いスパンを見据えた対話が重要と定めています。

引用:「サステナブルな企業価値創造に向けた対話の実質化検討会について」

稼ぐこと&地球・社会との共存を目指す

稼ぐこととサステナビリティの両輪を回すというのは、昨今のSDGs目標の導入などでも話題になることが増えました。

大量生産・大量消費が良しとされていた時代には、とにかくたくさんのものを作って世に送り出すのが良しとわれていました。

しかし、それを可能にするためには裏側で地球や社会が踏みにじられていました

  • 森林伐採や自然のサイクルを無視した資源の乱獲などの環境問題
  • 安価な賃金で劣悪な環境で働く人たち(時には児童労働まで)の社会問題

これからは、稼ぐことはもちろん重要ですが、地球や社会とどうやって関わっていくかも、同じく重要であるという視点が不可欠です。

デジタル・トランスフォーメーション(DX)との違い

サステナビリティ・トランスフォーメーションは、似たような言葉であるデジタル・トランスフォーメーション(DX)と混同しがちです。

どちらも現時点で多くの企業が掲げ、推進を進めている取り組みですが、異なる取り組みです。

デジタル・トランスフォーメーション(DX)は「AIやIoT、クラウドなどのデジタル技術を活用して、新しいビジネスモデルを創造すること。また、他社より早く推進して競争優位性を確立すること」を掲げています。

一方で、サステナビリティ・トランスフォーメーションはスピードを求めるというよりは、長く持続していくために何ができるか?という長期目線を持った取り組みです。

サステナビリティ・トランスフォーメーションが求められるワケ

2020年以降で「サステナビリティ・トランスフォーメーション」が話題になるようになった理由を迫ってみましょう。

企業が中長期的に成長するため

世界的なパンデミックを受けて、未来とは全く予想ができないものだということを痛感しました

今までのように「一度ビジネスを作り上げたら、それなりに成長していくはず」と考えるのは危ないという危機感が、世界中に漂いました。

情勢を揺るがす原因は、突如発生するパンデミック、紛争、戦争のような要因もあれば、じわじわと変化している天候変化や環境変動などもあります。

これから先は、少し先の未来を見据えながら、必要に応じてフレキシブルに変化に対応していくことが企業にとって不可欠です。

消費者・社会の目線が変化しているため

今までの大量生産・大量消費時代は、消費者が目を向けていたのは「より安くて良いものを手にすること」でした。

その結果、市場にはたくさんのモノがあふれかえり、豊かになったかのように見えました。

しかし、その豊かさを実現するためには、多くの犠牲を払っていたことが分かり始めました。

今の消費者は「モノ」だけにこだわらず、「どのような思いで作られているのか」「どのような環境で作られているのか」といったものつくりのストーリーにまでこだわります

いくら販売している商品が美しくても、裏側で地球汚染をしていては、消費者に選ばれる商品ではなくなりました。

このような目線の変化を受けて、企業はよりクリーンな経済活動に向けて舵取りが求められています。

サステナビリティ・トランスフォーメーションはいつから話題に?

「サステナビリティ・トランスフォーメーション」ですが、いつ頃から話題になっているのでしょうか?

世界の流れは2015年のSDGs目標制定頃から

「SDGs」はある程度社会に浸透した言葉になってきました。

SDGs目標は、2015年の国連総会にて、加盟国が一丸となってより持続的可能な(サステイナブル)な社会に向けて採択した目標です。

この採択を受けて、加盟国ではそれぞれ自国での対応すべき課題を洗い出し、進む方向性の検討を掲げてきました

日本は少し出遅れた2020年頃から

サステナブルな指針作成については、正直なところ日本は少し出遅れ感がありました。

2015年の採択を経てから、5年後の2020年ころから、本格的に耳にするようになったといっても過言ではありません

この「サステナビリティ・トランスフォーメーション」という単語が経済産業省の会議にて登場したのも、2020年8月のことです。

サステナビリティ・トランスフォーメーション導入の課題

これからの時代に企業が成長していくためには「サステナビリティ・トランスフォーメーション」という経営指針を意識することが大切だ、ということはあちこちで言われるようになりました。

だがしかし、言われたからと言って、すぐに実践できるワケでもありません。

  • サステナビリティ・トランスフォーメーションへの理解が難しく進まない
  • どれだけこの経営指針が意味があるのか腹落ちしていない
  • 新しいチャレンジをすることへの心のハードルが立ちはだかる

このような理由によって、カタカナ語だけが独り歩きしてしまっているような状況が現状です。

少しずつ理解が進むこと、そして具体的な事例が出てくることで、より多くの企業にとってメリットが伝わり、取り組みが加速するのではと考えられます。

サステナビリティ・トランスフォーメーションの事例

多くの企業がどうやってサステナビリティ・トランスフォーメーションに取り組むべきかと悩んでいる中で、さっそくアクションを起こした団体もあります。

国内・海外の事例を見てみましょう。

国内事例:MEGURU BOXとは

2021年に福岡県で実践されたMEGURU BOXプロジェクト。

家庭から出るペットボトルの容器を公共施設で回収し、再利用に向けて活用するという取り組みです。

面白いのが、リサイクルをすることで、消費者にはポイントが付与され、それを地域の社会支援につなげる仕組みを作った点です。

また、複数の日用品メーカーがこの企画に賛同することで、プラスチック容器の統一化を進めたり、リサイクル意識を高めることに繋がりました。

参考:「MEGURU BOXについて」

環境・企業・地域・個人に貢献する仕組み

このMEGURU BOXプロジェクトがサステナビリティ・トランスフォーメーションの例として最適なのが、プロジェクトに参加する多方面においてメリットがあるという点です。

  • 環境面のメリット:リサイクルが進められることで、プラスチック使用料を減らすことができる
  • 企業面のメリット:使用済容器のリサイクルを高められる&回収した資源を使いよりよいリサイクル方法を検証したり、環境負荷の低い商品開発に役立てることができる
  • 地域面のメリット:回収ボックスにリサイクル容器が入るごとに、地域にある社会支援団体へ寄付金を届けることができる
  • 個人面のメリット:リサイクル意識が高められる&容器の返却ごとに「地域にあるどの団体に寄付をしたいか」を自分で選択する仕組みによって、寄付への意識も高められる

「企業だけが儲かる仕組み」ではなく、「企業も嬉しいし、環境も、地域も、個人も嬉しい」仕組みとして、MEGURU BOXは注目されています。

海外事例:BAYER(バイエル社)の農業サイエンス

ドイツに本社のあるバイエル社は、ヘルスケアと農業関連のライフサイエンスをサポートする国際企業です。

この企業は従来の経験や勘、そして天候面などの運に任せる農業を一新するべく「農業イノベーション」に力を入れています。

環境負荷を減らしながら、地域の農業をより効率よく活性化できるように、最新のテクノロージーを駆使したソリューションを提供しています。

参考:「Bayer社について」

環境・企業・地域・個人に貢献する仕組み

バイエル社は、何かと泥臭いイメージのある農業を、テクノロジーと掛け合わせることで、環境にも農家にも優しい形で改善を続けています

まだ新しい「デジタル農業」の世界ですが、これもまた一つのサステナビリティ・トランスフォーメーションの形です。

  • 環境面のメリット:より環境に優しい肥料や殺虫剤の開発により、農業による環境負荷を軽減できる
  • 企業面のメリット:グローバル企業として世界中の農業データを集め、より具体的な分析、適切な提案ができる
  • 地域面のメリット:より少ない資源や労力で、最大限の作物を生産することができ、地域経済を潤すことができる
  • 個人面のメリット:農業従事者の高齢化が進む地域が多い中で、経験値の乏しい若者でも、デジタルを駆使することで農業に挑戦できるようになる

代々続いている農業には確かに知見はたくさん継承されていますが、それ以上に気候変動などの不安要素が高まる現在。

過去の知見に合わせて、デジタルツールを取り入れることで、より効率的な農業が可能になります。

ポストコロナ時代のキーワード:サステナビリティ・トランスフォーメーション

全世界で猛威を振るった新型コロナウィルスもあり、「先のことは予想できない」という点が強く浮き彫りになりました。

絶好調に見えていた企業ががたがたっと崩れ落ちていくのを目の当たりにして、これからの企業経営は大きく舵を切り直す必要があるとひしひしと感じた方も多いのではないでしょうか

そんなコロナ禍真っただ中に生まれた「サステナビリティ・トランスフォーメーション」は、これからの時代に企業が生き延びていくために重要な指針となります。

「自分たちがしっかりと稼ぐ力をもって、時代に立ち向かっていけること」に加えて、「環境・社会に対してどのようなインパクトを与えているか」も考えないといけない時代に入りました。

まだまだ耳慣れない単語であり、国内事例も少ないサステナビリティ・トランスフォーメーションですが、どの企業も避けては通れない通過点となることは間違いありません。

少し先をいく海外事例から学びながら、どのように自社に取り入れられるのかを考えてみませんか。

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