ESG

SDGsはビジネスチャンス!成功のための事業アイデアを紹介

国際目標としてSDGsが掲げられて約6年が経ち、現在もあらゆるメディアで進捗状況や課題が取り上げられています。

SDGsが創出する市場機会価値は年間およそ年間12兆ドル、日本円で約1200兆円にもなり、2030年までに創出される雇用は世界で約3億8000万⼈だと推計されています。

引用:講談社「企業が取り組むSDGs 〜目的と効果、ステップを知る〜」

実はSDGsへの取り組みには、現代ならではのビジネスチャンスが隠れています。

SDGsに取り組むことが、どのようなビジネスチャンスにつながるのか紹介します。

ビジネスとしての「SDGs」とは?

SDGsとは「Sustainable Development Goals」の略で、日本語に訳すと「持続可能な開発目標」のことです。

SDGs は、2015年9月に国連サミットで国際目標として定められました。

「2030年までに持続可能で多様性と包摂性のある社会を実現する」ことを目指しています。

世界には教育や収入の格差、人権侵害、環境破壊など、さまざまな問題が存在しています。

政府・民間企業・自治体・個人がこれらの課題を自分ごととして捉え、近年、多くの国や企業がSDGsの達成を考慮した政策や施策に取り組んでいます。

SDGs達成に向けて積極的に取り組むために設定されたのが、SDGsという17の目標からなる課題です。

SDGsは企業にとっても重要

SDGsは環境問題だけではなく、経済など社会問題に関する目標も多く盛り込まれています。

国際的な目標として国が主導することが多い一方で、SDGsの経済目標は、企業の協力なしには達成できないものばかりです。

たとえば人々が適正報酬や就業環境を得るためには、企業の働きが欠かせません。

2017年1月のダボス会議でも、「SDGsを達成することによって12兆ドルの経済価値がもたらされ、最大で3億8,000万人の新規雇用が生み出される」と公表されています。

企業にとっても、SDGsに取り組むことは、以下のように多くのメリットが期待できます。

  • 新しいビジネスの機会が生まれる
  • コスト削減につながる
  • 企業のイメージアップにつながる
  • 自社の製品やサービスに付加価値を付けられる
  • 環境問題・社会課題に興味関心の強い、優秀な若年層人材の獲得

また、資源やエネルギーには限りがあります。

事業の中・長期的な維持と発展のためには経営における持続可能性を高めていかなければなりません。

SDGs含め、サステナビリティやESGは企業の経営の根幹に据えられることが望ましいと考えられています。

SDGsは17の目標に基づいた、169のターゲットも掲げられています。

17の目標や169のターゲットに対応するために、製品やサービスの開発が進められれば、新しいビジネスが誕生するでしょう。

取り組み内容によってはコスト削減や、企業のイメージアップも期待できます。

投資先としての判断材料になっている

企業によるSDGs達成への取り組みは、多くの投資家も注目しており、投資先を決めるひとつの判断材料となっています。

ESG投資やインパクト投資がそのひとつです。

ESG投資・・・環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)の観点から、持続可能な経営をおこなっている企業へ投資をすること。
インパクト投資・・・社会的、環境的な影響や効果を目的とした投資をおこなうこと。

企業のイメージアップにつながるような取り組みで、投資家からの評価が高くなれば、より多くの資金確保が可能です。

ただし、このような投資行動からグリーンウォッシュやブルーウォッシュなどの社会課題が生じていることも事実です。

広告や企業活動において環境や人権に配慮していると見せかけ、実態が伴っていないことを指します。

SDGsへの配慮を謳う情報は、科学的根拠や事実、関係する他の側面もふまえて判断していく必要があります。

EUタクソノミーに準じた取り組み

企業によるSDGsの取り組みは、EUタクソノミーの基準も考慮できます。

タクソノミーとは、「環境面でサステナブルな経済活動(=環境に良い活動とは何か)」を示す分類のことです。

EU域内に限られる規定ですが、グローバルスタンダードとして導入される可能性も示唆されています。

EUタクソノミーでは、6つの環境目的を定義しています。

  1. 気候変動の緩和
  2. 気候変動への適応
  3. 水資源・海洋資源の持続可能な利用と保全
  4. 循環型経済への移行
  5. 環境汚染の防止と管理
  6. 生物多様性および生態系の保全・回復

そして、下記4つの適合要件を規定しています。

  • 6つの環境目的のうち、1つ以上に貢献している
  • 6つの環境目的のうち、いずれにとっても重大な害を及ぼさない
  • 人権など、最低安全策に準拠している
  • 専門的な選定基準を満たしている

出典:「タクソノミー(環境省_資料)」より

SDGsの市場規模

先に紹介したとおり、SDGsの達成は12兆ドルの経済価値がもたらされるといわれるほど壮大な国際的プロジェクトです。

経団連の試算によると、2030年におけるSDGsの経済効果、社会的な効果は日本のGDPを250兆円押し上げると言われています。

分野ごとの市場規模は以下です。

次世代ヘルスケア スマートモビリティ ものづくりのデジタル化 次世代エネルギー フィンテック/保険テック スマートリビング スマート農業
市場規模

(単位:兆)

95.1 64.4 108.0 37.4 35.1 46.0 15.1

出典:「ESG投資の進化、Society 5.0の実現、そしてSDGsの達成へ」(経団連)より

SDGsビジネスの具体例を紹介

ビジネス的にもメリットの多いSDGs達成ですが、実際に取り入れようとすると「何からはじめれば良いか分からない」という方は多いでしょう。

そこでここでは、SDGsビジネスの具体的な取り組みについて、体系的に紹介します。

SDGsは17の目標があり、取り組み方や内容次第で、複数の目標に対応することもできるのが特徴です。

そのため以下のように、それぞれの目標に対応したビジネスが見つかる可能性があります。

番号 目標 関連するビジネスや活動の例
1 貧困をなくそう 職業訓練、災害保険、防災関連製品など
2 飢餓をゼロに 給食サービス、農業資材、食品包装や容器など
3 すべての人に健康と福祉を 医療機器、医薬品、フィットネスサービスなど
4 質の良い教育をみんなに 学校教育、生涯教育、Eラーニングなど
5 ジェンダー平等を実現しよう 家電製品、美容品、保育など
6 安全な水とトイレを世界中に 水質管理システム、水道管、公衆トイレなど
7 エネルギーをみんなに

そしてクリーンに

発電、ガス、エネルギー開発など
8 働きがいも

経済成長も

ベンチャーキャピタル、産業ロボットなど
9 産業と技術革新の基盤をつくろう 防災インフラ、港湾インフラなど
10 人や国の不平等をなくそう 通信教育、送金サービス、ハラルフードなど
11 住み続けられるまちづくりを 災害予測、バリアフリー、エコリフォームなど
12 つくる責任

つかう責任

リサイクル、食品ロス削減サービスなど
13 気候変動に具体的な対策を 林業関連製品、再生可能エネルギー発電など
14 海の豊かさを守ろう 油濁清掃、海洋汚染監視システム、養殖など
15 陸の豊かさも守ろう 農業資材、エコツーリズムなど
16 平和と公正をすべての人に セキュリティサービス、SNS、内部統制監査など
17 パートナーシップで目標を達成しよう 上記のような事業取り組みのためのグローバル、パートナーシップの活性化など

【例】SDGs目標10「人や国の不平等をなくそう」

たとえば目標10の「人や国の不平等をなくそう」は、政府が国策として取り組むことのようなイメージをもつ方も多いでしょう。

発展途上国における収入の国際的不平等の解消には、企業による適正な価格設定を通じた公平性の担保も重要です。

そのため、フェアトレード商品の生産によって、対等な取引を実現していく取り組みも必要とされています。

通信教育や送金サービスによる距離的な格差をなくすことも、SDGsへの取り組みのひとつです。

ハラルフードの開発も、宗教や文化的な事情で特定の食材を口にできない方が、ほかの人と同じ飲食店で食事できる機会の提供につながります。

エコ事業や福祉事業をメインとしていない企業も、このようにSDGsの達成に関わるビジネスチャンスをもっている可能性があります。

中小企業のビジネスチャンスは?

日本の中小企業においては、SDGsを踏まえた大企業のビジネスモデルの変化からビジネスチャンスを拾うことが期待できます。

例えば、大手の自動車メーカーは近年、廃車や廃パーツをリサイクルして新車を製造して市場に戻す、といったサーキュラーエコノミーの実現を目指しています。

これは主に目標12「つくる責任・つかう責任」でいわれる、リサイクル、資源利用量の削減に貢献します。

EV (電気自動車)への転換は目標13「気候変動に具体的な対策を」に直接的に貢献しますが、EVに必要なバッテリーや部品など、これまでのガソリンエンジン車には不要だった新たなパーツが必要になる事も考えられます。

消費財産業では、目標12「つくる責任・つかう責任」に加え、目標14「海の豊かさを守ろう」に関連して脱プラの議論が加熱しており、リサイクラーとの協業や新素材への開発投資が加速しています。

食品産業でも、目標13「気候変動に具体的な対策を」目標2「飢餓をゼロに」の観点から植物性代替肉(プラントベース)への注目が集まっています。

シンガポールでは培養肉の販売が世界で初めて認可されるなど、これまでに無かった新たなビジネスが生まれています。

SDGsビジネス成功のためのポイント

SDGsビジネスの機会は多くの企業に与えられていますが、取り組めば必ず成功するとは限りません。

積極的にSDGs達成に取り組んでいると宣伝しても、実態がともなわなければ、企業のイメージダウンにつながるおそれもあります。

企業イメージは社会的信用に大きく影響を与えます。

顧客の不安や不満によって不買運動が起こると、業績や株価が低下し、企業としての競争力が下がってしまう可能性があります。

採用活動にも悪影響を及ぼすなど、中・長期的な企業価値の低下につながります。

ではSDGsビジネスを成功させるには、どのような部分に気を付ければ良いのでしょうか。

最後に、SDGsビジネス成功のために押さえておきたい、4つのポイントを紹介します。

情報収集を行う

まず大切なのは、SDGsおよび関連するビジネスについて、しっかりと情報収集を行うことです。

市場を分析してリアルタイムの情報を得たうえで、自社の事業にとって正しいSDGsの分野へ参入しましょう。

分析結果に基づいて正しく市場と戦略を策定できれば、事業としてもSDGs達成の取り組みとしても成功が期待できます。

SDGsを意識すると、既存事業の延長線上に無い新しい分野に参入することもあるでしょう。

新しい分野では情報収集が難しくなりやすいものですが、可能な限りでのデータ収集や分析が重要です。

たとえば先進国と開発途上国では、同じ分野での事業参入でも、市場規模やニーズは大きく異なります。

さらに、開発途上国は明確な数値としてのデータが集まりにくいことも多いため、数値以外から読み取る判断力や洞察力が必要です。

状況や市場を考慮して正しい判断を行うためにも、しっかりと多角的に情報収集を行いましょう。

例えば、以下のような方法が考えられます。

  • 新聞
  • テレビ
  • インターネット
  • SNS
  • SDGsに関するセミナー、ワークショップ
  • SDGs関連の国際イニシアティブに参加する

情報収集では、SDGs/サステナビリティ関連ニュースアプリ「GREEN NOTE(グリーンノート)」がおすすめです。

100以上のメディア、ニュース媒体から良質なニュースを厳選し、配信しています。

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また、下記記事では、国内外のSDGsに取り組む企業の事例を紹介しています。

国内&海外企業が行うSDGsの面白い取り組み10選

長期的な視点での計画と取り組み

SDGsは、2030年の達成を目指しており、達成後も持続可能な取り組みであることが求められています。

短期間に結果を出すことや、単発的な目標達成を考えるのではなく、長期的な視点で計画を立てることが大切です。

ゴールの設定のみでは目標とのズレに気づきにくいため、定期的に進捗を確認する必要もあります。

10年単位で目標、計画を立てたり見直しを行ったりして、長期的に持続可能なSDGsビジネスを目指しましょう。

新しい分野に参入する場合も、市場調査や地域での関連事業の経験を長年積むことで、成功しやすくなります。

顧客の声を大事にする

ビジネスとしてSDGsを取り入れる以上、自社の利益を出すことも考えなくてはなりません。

きちんと利益を出していくためには、顧客の声と向き合ったうえでの製品やサービスの開発が必要です。

売り手目線だけではなく、顧客とともに製品やサービスを改善する意識をもって、時代や地域ごとのニーズに合ったものを提供していきましょう。

先にあげた情報収集も、顧客の声を事業に反映させる効果的な対策のひとつです。

ただし、吸い上げる意見の取捨選択は必要です。

顧客といっても、年齢や置かれている状況、環境は異なり、SDGsに対する理解度や捉え方にも差があります。

情報収集をおこなう経路もテレビ番組やWebサイト、新聞などさまざまで、中には偏った意見もあります。

顧客のなかには過激な意見をもつ人もいることを理解しておく必要があるでしょう。

近年は若年層におけるSDGsの認知度や関心がより高まっています。

既存の製品やサービスに執着せず、顧客が本当に求めているものを考えた開発や改善が、SDGsビジネスを成功させます。

ネットワークの構築

SDGsの17番目の目標は、「パートナーシップで目標を達成しよう」です。

このことからも分かるように、SDGsビジネスを行うためには、ネットワークの構築が求められます。

インターネットや輸送などグローバルビジネスを活発化させる技術が発展している現代では、国外にも目を向ける必要があります。

国内だけではなく海外企業とも関係を構築することができれば、グローバル展開に欠かせない強固な信用を得られるでしょう。

大切なのは、現地企業を単純に取引相手として見るのではなく、現地での事業拡大パートナーと考えることです。

自社だけでは展開できない事業も、パートナーと協力しあうことで実現できる場合があります。

まとめ

国連が定めたSDGsを達成するためには、国策だけではなく、企業による協力も欠かせません。

企業にとっても製品やサービスの新たな付加価値の創出や、イメージアップなど、多くのビジネスチャンスがあります。

時代に合った事業を取り入れるためにも、ビジネスにSDGs達成を盛り込んだ計画を立ててみてはいかがでしょうか。

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