絶滅動物が存在する理由は人類のせい?すべての命を守るためにできること
絶滅動物が生まれる理由は何でしょうか。
長い地球の歴史の中では自然淘汰により絶滅した生物も存在します。
しかし近年多くの絶滅危惧種の動物を生んでしまっているのは、人間の利益追求による経済活動と無縁ではありません。
多くの生物が共存し多種多様な生態系を育むからこそ、私たち人間の生活も豊かになるのです。
人間の都合による絶滅危惧種の増加は食い止めなくてはいけません。
なぜ絶滅動物が存在するのか理由や原因を知り、地球上のあらゆる生命を守るために何ができるかを考えていきましょう。
なぜ動物は絶滅する?理由と原因を解説
絶滅動物はなぜ生まれてしまうのでしょうか。
3つのポイントから解説していきます。
進化の過程における絶滅
生物は環境に適応して進化しますが、進化に適応できなかった生物はその過程で絶滅していきます。
約4万年前に絶滅したネアンデルタール人は、人類の直接の祖先となったホモ・サピエンスが繁栄したのが原因といわれています。
地球環境変化による絶滅
大規模な環境変化による生物の大量絶滅はこれまでの地球の歴史の中にも多くありました。
恐竜などがその代表的な例と言えるでしょう。
白亜紀には巨大隕石の衝突により地球環境が激変し、生物の70%以上が死滅したと言われています。
人類の影響による絶滅
現代の動物たちの絶滅の最大の理由は、人間の経済活動によるものといっても間違いではありません。
近年の動物たちの絶滅のスピードは、前述の白亜紀の恐竜たちを上回り、年間1,000〜1万種が絶滅していると言われています。
どのような原因があるのか、以下に具体的に解説しましょう。
森林破壊
地球にとって森林はなくてはならない生命をはぐくむ場所で、多くの生物の種が存在しています。
また二酸化炭素を吸収し酸素を作り出す森林は、いわば地球の肺と同じです。
しかし人間のエゴによりこの大切な森林が恐ろしい勢いで伐採され消滅し、森林の消滅とともに多くの種が絶滅しています。
化学物質や廃棄物による汚染
人間が食料を得るための農地には多くの農薬がまかれ、それにより土が汚染され、土壌の生物がたくさん死んでしまいます。
またシャンプーやリンスには合成洗剤をはじめとする化学物質が使用されているため、それらが海や川に流れ出て水を汚染します。
近年ではプラスチックゴミによる自然への環境破壊も深刻です。
人間の大量の化学物質使用や汚染物の廃棄が、生物への負担となっていることを知らなくてはいけません。
酸性雨・地球温暖化
環境汚染による酸性雨の影響も多大です。
酸性雨により沼や湖が酸性化し、生物が住むことのできない状況を作り出しています。
人間の経済活動で大量のCO2が排出され引き起こされる地球温暖化も大きな問題です。
急激な気温上昇は、生態系のバランスを狂わせてしまうため、適応できない生物は絶滅してしまう恐れがあります。
乱獲・密猟
人間のエゴによる動物たちの乱獲や密猟も世界的に大きな課題です。
特に希少動物は価値が高いため密猟が後を絶たず、国際的な問題となっています。
絶滅した動物たちの海外・国内事例紹介
ここからは実際に人間によって絶滅してしまった動物たちの事例をご紹介します。
海外動物絶滅事例
ガラパゴス諸島に生息していた「ピンタゾウガメ」は19世紀に食用肉として乱獲されました。
また人が持ち込んだヤギや豚のせいで島の環境が激変したことも「ピンタゾウガメ」の減少に拍車をかけました。
その後1970年代に再発見され保護されていましたが、繁殖に成功せず2012年には絶滅したのです。
その他に海外で絶滅した動物には、「キタシロサイ」「カリブモンクアザラシ」「タスマニアタイガー」などがいます。
日本の動物絶滅事例
日本で絶滅した動物で有名なのは「ニホンオオカミ」です。
19世紀までは東北地方から九州にまで存在していました。
明治維新以降、銃による狩猟が発達し人為的な駆除が行われたことと、西洋犬の導入による狂犬病の流行などが絶滅した原因です。
日本にはその他にも川に住んでいた「ニホンカワウソ」が、川の開発や汚染により絶滅したと言われています。
地球上の絶滅危惧種は41,000種以上
絶滅危惧種とは、絶滅しそうな危険性のある生物の種のことを指します。
現在世界では植物、動物、昆虫などの41,000種以上の生物が絶滅危惧種に指定されています。
なぜ動物を絶滅させてはいけないのか?さまざまな論点
動物が絶滅することで地球にはどのような現象が引き起こされるのでしょうか。
具体的な例を解説していきます。
また絶滅危惧種の保護に関しては、専門家でもさまざまな議論が交わされています。
正しい保護の在り方とはなんなのか。
あらゆる観点から絶滅危惧種について学ぶことも重要です。
生物多様性が失われ生態系が破壊する
生物はさまざまな相互関係を築くことで、多種多様な生態系を作り出しています。
生物は生態系のなかでそれぞれの重要な役割を果たし、絶妙なバランスを保っているのです。
ひとつの種でも欠けることがあれば、多くの種の存在を脅かす可能性があります。
当然、そうなったときに人間だけが無事でいられる保証はどこにもありません。
人間のエゴによる犠牲は倫理的に問題
古来、人間は生存するために他の動物を犠牲にしてきました。
人類の長い歴史の中ではそれが必然だった時もあるでしょう。
しかし近年の多くの動物たちは、人間の欲望のために犠牲になっているといっても過言ではありません。
美しい毛皮を着たい。おいしい肉をたくさん食べたい。
ペットとして飼ったけど飽きたので捨てた。
これらはすべて人間の欲望による犠牲です。
このような人間のエゴによる動物たちの犠牲は倫理的にも問題であり、ましてやそのために動物が絶滅するなどあってはならないことです。
絶滅の歴史を学ぶ重要性
これまでも多くの動物が人の手によって絶滅し、剥製も残っておらず文献でしか存在を確認できないものもいます。
例えば「不思議の国のアリス」に登場する「ドードー鳥」などがそうです。
そのような絶滅動物の歴史を学ぶことは、人類の反省を促すためにも非常に重要です。
私たちは同じ過ちをくり返さないためにも、動物の絶滅の歴史をしっかりと学ぶ責任があります。
正しい保護の在り方とは
絶滅危惧種に指定され保護されている動物の保護の在り方については、専門家の間でもさまざまな議論があります。
例を挙げると「キハンシヒキガエル」という希少なカエルは絶滅させないために研究室のテラリウムに閉じ込められ、虫を与えて生き延びさせられています。
希少な生物を守るためとはいえ、本来の自然の姿から遠ざかった保護はただの人間のエゴと言えなくもありません。
またすでに絶滅した生物を復活させるために、遺伝子操作などのバイオテクノロジーを駆使することも本当に正しいことなのでしょうか。
絶滅危惧種の増加を防ぐとともに、そういった問題にもきちんと向き合うことが必要です。
命の多様性を守るためにできることは
地球という惑星に多様に存在する生命を、人間の利益のために犠牲にすることは許されません。
あらゆる生物が共存し、豊かで持続可能な社会を築くためにはひとりひとりの努力が不可欠です。
絶滅危惧種に対しての海外と日本の取り組みをご紹介します。
世界の取り組み
絶滅動物に対しての海外の取り組みをいくつかご紹介します。
国際自然保護連合(IUCN:International Union for Conservation of Nature)
ICUNは「絶滅の危機にある野生生物種のリスト(通称レッドリスト)」を作成しています。
また世界遺産条約へのアドバイスなど自然保護に関する多くの活動を行う組織です。
世界160カ国から約11,000人の科学者・専門家が所属し協力して活動を行っています。
WWF
野生生物を保護するために保護区の整備、レンジャーの育成、そして密猟者に対する監視などを行っています。
WWFは政府や公的機関から支援を受けていないため、より柔軟に活動を行うことが可能です。
しかしそのためには多くの人の支援が必要です。
ワシントン条約
ワシントン条約は「絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約」です。
アメリカのワシントンD.C.にて採択されたことからワシントン条約という通称で呼ばれています。
この条約により、絶滅の恐れがある野生動物たちの国際取引が規制されることになりました。
日本の取り組み
日本では絶滅危惧種の保全のために1993年に「種の保存法」が制定。
さらに「絶滅のおそれのある野生生物種の保全戦略」が2012年に制定され、2020年までに「絶滅危惧種保全カルテ」の作成を行いました。
また各自治体が独自に地域のレッドリストやレッドデータを作成し、自然環境や野生生物への保全への取り組みを行っています。
参照:環境省「絶滅のおそれのある野生生物種の保全戦略」
参照:環境省「種の保存法の概要」
ひとりひとりができることは?
身近にいる動物たちを慈しむことはもちろんですが、以下のように個人でも取り組めることはたくさんあります。
はじめられることからはじめましょう。
- 動物素材を使用していない製品を選ぶ
- お肉や魚を食べ過ぎない・無駄にしない
- 動物園に行って動物たちのことを学ぶ
- 動物保護を行っている支援団体に寄付をする
- 自然の中にゴミを廃棄しない
まとめ:動物たちの生命を守ることは地球の命を守ること
なぜ絶滅動物が生まれてしまうのかを、さまざまな角度から解説しました。
失ってしまった動物たちを元に戻すことはできません。
自然の大きなプロセスの中で起きたことなら仕方ないと言えますが、人間の欲望のために動物が絶滅することは許されません。
同じ地球上に住むすべての生物が豊かに共存し多様な生態系を維持するためにも、私たちひとりひとりが絶滅危惧種について学び、行動することが大切です。
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