生物多様性

密猟はなぜなくならない?絶滅危機の現状と私たちにできること

密猟や密輸など、野生動物を守るための国際協定や法令を無視して行われる違法取引は許されません。

ワシントン条約のような野生生物の取引を規制・禁止する国際条約が制定されたり、WWFジャパンが野生動物を絶滅危機から守るための啓蒙活動に取り組んでいても、なぜ密猟に歯止めがかからないのでしょうか。

密猟の犠牲になっているゾウの数は年間20,000頭以上。

種の増加を遥かに上回ります。

捕獲した象牙が資金となり武器購入へ繋がったり、その他犯罪行為への軍資金にもなっており、国際的な問題です。

密猟や違法取引で絶滅危機に瀕する動物が増えると、生態系の生物多様性がゆらぎ、他の生物や人間にとっても他人事ではなく影響があります。

本記事では、密猟がなくならない原因について理解を深めて今日から私たちにできるアクションを起こしていきましょう!

密猟がなくならない原因と絶滅危機に瀕する動物

国際自然保護連合が公表するレッドリストをみると、違法を含めて捕獲や採取による影響をうけている動植物は、野生動物や1,700種以上、植物が1,500種以上です。

ゾウやサイの角、ワニやカワウソの毛皮など、さまざまな目的に応じて野生生物が犠牲になっています。

密猟がなくならない原因を知るために、野生動物を捕獲する目的を見ていきましょう。

密猟の目的は?危機にさらされる動物たち

密猟や密輸のような違法取引が行われる原因として、野生生物の毛皮やツノを採取して販売するとお金になるので、経済的な豊かさを目的に行われています。

世界的な自然保護団体「WWFジャパン」の公式サイトで紹介されている密猟の主な原因は下記です。

  • 毛皮やアクセサリーを高級装飾品として販売するため
  • マニアに親しまれるペットとして販売するため
  • 漢方薬や伝統薬の原料にするため
  • 食用として自ら食べたり、販売するため
  • 剥製やトロフィーとして販売するため

象牙をつかった腕輪のようなアクセサリーやワニ革をつかったお財布、毛皮のコートなど、ショッピングセンターで見かけたことはありませんか。

野生生物の素材をつかったプロダクトは、希少性が高いので富裕層のシンボルとして高価格帯で取引されるため、密猟がなかなか減りません。

この問題から、ファッション業界では「アニマルフリー」の製品が注目を集めています。

関連記事:アニマルフリーとは?意味や意義を解説|ブランドの取り組み事例も紹介

こうした人間の欲によって、ゾウやサイ、トラ、カワウソなど貴重な野生生物が絶滅危機に貧している事実は無視できません。

開発途上国では自らの生活資金が乏しいために、密猟とわかっていながら野生生物を捕獲して食べたり、販売している人もいます。

筆者の私が通っていた幼稚園には、角が珍しい剥製の動物達がずらーっと展示されている部屋があったと記憶しています。

いま思えば、あの剥製となった動物達はどこから来ていたのでしょうか、と考えさせられます。

密猟されて日本へたどり着いたのだろうか。と気になってきました。

関連記事:生物を絶滅から守ろう!絶滅危惧種の現状と世界の取り組みとは

森林破壊も密猟を増やす原因に

動物のすみかの環境変化も動物や植物の密猟を増やす原因となっています。

地球温暖化により空気が乾燥して大規模な森林火災が起こったり、農地化や木材輸出を目的とした森林伐採など、動物や植物の生きる森林環境が減ると、ヒトの手が介入しやすく、 密猟の数が増えているのが現状です。

森林を保護することは、二酸化炭素吸収の環境的側面だけでなく、動植物の生物多様性を守る働きもあります。

関連記事:森林破壊が動物に与える影響と森を守る取り組み

観光客が減ると密猟が増えるって本当?

新型コロナウイルスはアフリカの豊かな観光産業を直撃しました。

南アフリカでロックダウンが発令された途端、観光客がおおはばに減少。

観光客が減るとともに増えたのが密猟です。

開発途上国では特に、新型コロナウイルスによる都市封鎖の影響で収入が安定しない人が増えているため、生計を立てるために象牙やサイの角を密猟したり、食肉として野生動物を捕獲する 件数が増えています。

自然保護官(レンジャー)だけでなく環境保護団体が協力して、密猟者の撃退など保護区を守る活動をしていますが、資金は減る一方で、密猟者との耐久レースになっている現状が否めません。

密猟を防ぐ方法!法律や私たちにできること

SDGsの目標15「陸の豊かさも守ろう」が掲げられています。

ゾウやサイ、トラなど大切な動物の命を守るために、密猟を防ぐための法律や私たちが具体的にできることについて見ていきましょう。

法律や条例で取り締まり強化

密猟に関する法律で世界的にもっとも有名なのは、ワシントン条約(CITES)です。

正式名称を「絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引における条約」と言います。

法律によって取引が制限され、野生生物の絶滅を防ぐだけでなく、持続可能な利用が理念として掲げられています。

国内に目を向けると生物多様性が豊かな沖縄奄美大島では、希少な動植物を守るために法律や条例で昆虫採取や植物採取が規制されています。

日本や世界ではこうして法律や条例を活用した取り締まりが強化されています。

一方で、法律や条例が整備されていない地域では、なかなか密猟の件数が減りません。

原因としてたとえば、狩猟に使われる小道具が糸電話のように小型でどこへでも収納可能なツールが使用されているため、取り締まりを強化しても発見が難しいケースが多いです。

密猟を根本的に減らすためには、法律や条例で規制するだけでなく、地域一体として希少な動植物を守る意識や取り組みが必要です。

参照:外務省「ワシントン条約」

自然保護活動への寄付

世界的に密猟をへらす取り組みをしているWWFジャパンに、毎月1,000円から10,000円の希望金額に応じて支援ができるマンスリーサポーターを実施していたり、 単発での寄付も可能です。

密猟が行われている環境へ行って、密猟物資の流通を止めたり、現地の経済的に貧しい方々を支援したり、現地で働くスタッフの方を応援する資金サポートとして考えてみてはいかがでしょうか。

コロナの状況下でなかなか海外に行けない…という状況が続くと、上述の通り、観光地(特にサファリ)での密猟は進んでしまいます。

寄付は現地で活動しているレンジャーの応援に繋がります。

国内でも、日本野鳥の会をはじめ生物多様性を守る活動への寄付ができるので、守りたい動植物などを中心に1番ピンと 来る団体に寄付してみるのもアクションのひとつです。

参照:WWFジャパン

ボランティア参加と密猟をなくす声を上げよう

密猟の問題を「問題」として声を上げ続けることが大切です。

アフリカで密猟の被害にあっているゾウやヒョウ、ライオンのような動物を保護する海外ボランティアや日本の野生動物の減少 に歯止めをかける保護活動など興味があればぜひ参加してみてください。

百聞は一見にしかず。

原体験が原動力となり、あなたの行動や発言が密猟を世界から無くす力になりますよ。

まとめ

密猟がなくならない原因と私たちにできるこを紹介しました。

土用の丑の日に日本人にとって身近なウナギも密猟の被害を受けています。

福岡でウナギが有名な柳川に先日行く機会があり、川下りを体験した時に、船頭さんが密猟の深刻さを語ってくれました。

川沿いのウナギ密漁は取り締まりがとても難しいそうで、 天然のウナギの数は年々減っているそうです。

動植物の密猟は生物多様性にとって影響が大きいですし、私たち日本人にとっても他人事ではないと感じた出来事でした。

密猟の被害に対して、私たちが出来ることは少ないかもしれません。

それでも、象牙のアクセサリーや毛皮のファーコートなどをお店で見かけたら、密猟の被害にあってないか?と考えて、 密猟由来の製品は買わないという行動が大切です。

1人1人が意識して行動することで世界的な密猟にSTOPの声を上げ続けていきましょう!

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