エシカルライフ

【日本】深刻なフードロスの現状とは?削減に必要な3つの取り組み

現在、世界ではフードロスの問題が深刻化しており、日本でもフードロス削減のための取り組みが徐々に拡大してきています。

フードロスは私たちの生活にとって、非常に身近な問題です。
日本の場合、事業者と家庭から発生する食品廃棄量の割合はほぼ半々のため、今日からでも私たちにできることを実践していくことが重要です。

本記事では、フードロスの現状のほか、フードロス削減のための法律や取り組み、新しいフードシェアリングビジネスなどについて、世界と日本の事例を詳しく紹介します。

また、フードロス削減のために、一般家庭でもできることをいくつか紹介するので、ぜひ一緒に普段の生活を見直してみましょう。

SDGsの目標12「つくる責任つかう責任」とフードロス

SDGs(持続可能な開発目標)で掲げている12番目の目標「つくる責任つかう責任」は、持続可能な生産・消費を実現することがテーマです。

目標12「つくる責任つかう責任」 の中に、11項目のターゲットが設けられており、フードロスに関しては次のように言及されています。

【目標12・ターゲット3】2030 年までに小売・消費レベルにおける世界全体の一人当たりの食糧の廃棄を半減させ、収穫後損失などの生産・サプライチェーンにおける食糧の損失を減少させる。

引用:「我々の世界を変革する:持続可能な開発のための 2030 アジェンダ(仮訳)」(外務省)より

つまり、2030年までには個人や企業に関わらず、世界全体の食品廃棄を現在の半分にするということです。

まさに、目標の言葉どおり、作る側は必要な分を生産するように心がけ、使う側は無駄にならないように責任を持って消費することが求められます。

フードロス問題の現状

ここでは、フードロスの問題について詳しく解説します。

フードロスへの理解を深めて現状について考えていきましょう。

フードロスとは?

フードロスとは、まだ食べられる食品や食材が捨てられてしまう損失のことです。

さまざまな場面でフードロスが起こっており、大きくふたつの種類に分けられています。

・事業系フードロス
・家庭系フードロス

事業系フードロスとは、食品の製造や卸売、外食産業などで生じるものを指し、スーパーやコンビニの廃棄商品、お店での食べ残し、作る過程で出た廃棄物などが該当します。

一方、家庭系フードロスは、私たちが生活する中で無駄にしてしまっているものです。

買い過ぎて使い切れずに腐らせた食品や食材、作り過ぎて捨てられた料理、嫌いだからと食べなかった野菜など、誰にでも身に覚えがありませんか。

これら、食べられることなく捨てられていった食べ物は、すべてが世界的に問題視されているフードロスです。

ただし、もとから食用とされていない魚の骨や果物の種などは、この概念には含まれません。

フードロスの現状

フードロスの現状について最新情報を調査したところ、WWF(世界自然保護基金)と英国の小売り大手テスコが2021年7月に発表した報告書「Driven to Waste」において、世界で栽培・生産された全食品のうち約40パーセントに当たる25億トンの食品が年間で廃棄されていることがわかりました。

引用:「世界で捨てられる食べ物の量、年間25億トン。食品ロスを減らすためにできること|日本財団ジャーナル」

この「年間25億トン」という膨大な廃棄量は、従来の食品ロスの主な指標とされていた「国連食糧農業機関(FAO)が2011年に発表した「年間約13億トン」の約2倍の量に当たることとなり、およそ10年ほどで世界の食品廃棄量が約2倍に増えているということがわかります。

食品を作り出すのも、無駄に捨ててしまうのも、日本を含めた先進国が中心となっているのが現状です。

一方で、日本の最新の食品ロス量について、農林水産省のデータを見ると、「令和3年度の食品ロス量は523万トン(前年度比+1万トン)、このうち食品関連事業者から発生する事業系食品ロス量は279万トン(前年度比+4万トン)、家庭から発生する家庭系食品ロス量は244万トン(前年度比▲3万トン)」という結果が出ています。

引用:「最新の食品ロス量は523万トン、事業系では279万トンに|農林水産省」

全体の割合を見ると、事業者と家庭の食品ロスの発生量はほぼ半々の割合となっていますが、前年度からの推移を見ると、事業者の食品ロスが増加し、家庭の食品ロスは減少傾向にあることがわかります。

今後は引き続き、消費者の食品ロスに対する意識を高めつつ、事業者の食品ロスについては、サプライチェーン全体でさらなる網羅的な取り組みを進めていくことが課題として求められます。

フードロスの原因

フードロスがなかなか改善に向かわないのには、ビジネス要素と消費者意識のふたつがあります。

まずは、事業系食品ロスの発生要因について見てみましょう。

事業系食品ロスは、「食品製造業」「食品卸売業」「食品業」「外食産業業」の4つに分けられます。

それぞれの廃棄量と発生要因をまとめたものが以下です。

食品ロス量(単位:万t) 発生要因
食品製造業 128 製造工程でのロス/返品
外食産業 103 食べ残し/仕込みロス
食品小売業 64 返品/納品期限切れ/売れ残り
食品卸売業 14 返品/納品期限切れ/売れ残り

出典:「食品廃棄物発生抑制推進事業報告書(平成22年度)」(一般社団法人日本有機資源協会)より

最も多い食品ロスが発生しているのは食品の製造業であり、発生要因は製造工程におけるロスがほとんどです。

「製造工程におけるロス」は、以下に分類されます。

  • 原材料の不可食部分、副産物
  • 可食部分の端材
  • 規格外品、試作品
  • 生産計画に伴わない生産

製造工程を辿ると、はじめに加工前の原材料を規定の形にするためのカット工程が存在し、その後の加工段階で切れ端などが除去されます。商品として市場へ出る前には規格外品をはじく作業もあるため、それらがロスとして発生します。

また、新商品開発の際の試作品や、需要を超えた生産した余剰分もロスになるでしょう。

*象印マホービン株式会社では、新しい炊飯器の開発で発生する試食時のごはんの余りを使って、「除菌ウェットティッシュ」にアップサイクルする取り組みを行っています。

関連記事:「【SDGs会社見学】象印マホービン株式会社のSDGsの取り組みを紹介|前編」

ただし、製造工程において、ロスを完全に減らすことはほとんど不可能といえます。
新商品における販売予測は難しく、生産計画を立てにくい特徴があるためです。また、常に販売予測以上の生産をしなければ、販売機会を損失するリスクが発生するでしょう。

あらかじめ、一定のロスを想定しておかなければ、事業として成り立たないのが実情です。

また、日本の食品製造は高い品質が求められるため、あらゆる加工段階で適さないと判断されて廃棄されるものが多いです。

厳しい基準を満たした食品でも、3分の1ルール(※)により、流通の段階で賞味期限切れや売れ残りとして廃棄される場合もあります。

また、飲食店や家庭系フードロスでは、主に作り過ぎや食べ残しが関わっていますが、調理せずに捨てる「直接廃棄」や調理段階で食べられる部位まで取り除く「過剰除去」も原因のひとつです。

(※)3分の1ルール…「製造した日から賞味期限までの期間のうち、3分の1を経過すると納品ができず、3分の2を過ぎると販売ができない」という商慣習的ルール

フードロスの問題点

フードロスの問題は、単純に食品が「もったいない」というだけではありません。

食材は自然からの恵みです。作り続けたとしても消費量が多すぎると追いつかなくなります。

将来的にフードロスが改善しない場合、世界規模で食物が足りなくなる可能性もあるのです。

現段階では、世界的に大量の食品が廃棄されていますが、その一方で食糧不足で飢餓に陥っている人たちも多く、食の不均衡が起こっています。

フードロスによって発生する大量のゴミは、廃棄処理される過程で温室効果ガスを排出するため、地球環境にとても悪影響です。

また、廃棄食品の処理には多額の費用がかかり、そのお金は税金で支払われています。

また、日本においては、前述のとおり規格や商慣習によって発生するロスも多いです。まだ食べられる商品が市場に出回らない問題を解決するには、消費者における鮮度志向も改善していく必要があるでしょう。
消費者一人ひとりの意識改革や正しい知識も必要とされます。

日本のフードロス削減に関する法律・取り組み


日本の食品廃棄物に関する法律は、「食品リサイクル法」と「食品ロス削減推進法」の2つがあります。

それぞれの法律の概要や違いのほか、全国的に実施されているフードバンクの取り組みについても紹介します。

食品リサイクル法

「食品リサイクル法」は2000年に制定、2001年5月に施行された法律で、正式名称は「食品循環資源の再生利用等の促進に関する法律」といいます。

食品関連事業者(食品メーカー、卸売・小売業者、 飲食店など)から発生する食品廃棄物の減量や、再生利用を目的とした法律です。廃棄物の減量目標や、発生抑制、再生利用の方法などを定め、「事業者」に対してその実施を促す内容になっています。

食品ロス削減推進法

「食品ロス削減推進法」は、2019年に制定、2019年10月に施行された法律で、正式名称は「食品ロスの削減の推進に関する法律」といいます。

先ほど説明した「食品リサイクル法」と「食品ロス削減推進法」の大きな違いは、“対象者が誰か”ということです。

食品リサイクル法が、「事業者」に対する法律であるのに対して、 食品ロス削減推進法は「国、地方公共団体、事業者、消費者」を対象としており、事業者だけでなく、国民全体が主体的に連携をとって取り組むことを目指す内容となっています。

参考:「食品ロスの削減の推進に関する法律」(消費庁)

農林水産省では、食品ロス削減国民運動(NO-FOODLOSS PROJECT)を立ち上げてフードロスについての情報を発信しています。

また、ロゴマークの「ろすのん」を公開して、一般的にもフードロスのイメージを普及させるような取り組みが開始されました。このロゴマークは、申請すると企業や団体での取り組みに活用できます。

参考:「食品ロス削減国民運動(NO-FOODLOSS PROJECT)」(農林水産省)

フードバンクの取り組み

フードバンクは、流通できない食品や食物を福祉施設や生活困窮者へ無償で提供する活動です。

日本国内のフードバンクの活動は2000年頃から始まり、 2019年11月時点で110団体が国内で活動しています。すべての都道府県で最低ひとつ以上の団体が活動しており、フードバンクの取り組みは全国的に広がっています。

日本では製造時の品質チェックが厳しく、食品自体の品質や安全性には問題がない場合でも、規格外や包装にトラブルがあると廃棄されることが多くあります。

そこで、食品として問題のないものは、フードバンクを活用することで子ども食堂や福祉施設などに寄付でき、廃棄を減らすと同時に多くの人の手助けになるのです。

食費の負担を軽減できるという点では、経済面をサポートすることにもなり、貧困問題の改善にも役立っています。

世界のフードロス削減に関する法律・取り組み


つづいて、世界各国の主要なフードロス削減に関する法律や取り組みを紹介します。

日本と比較すると、「国レベル」での先進的な取り組みを行っている事例も多いので、参考として見ていきましょう。

フランス

フランスでは2016年2月、世界で初めて「食品廃棄禁止法」を制定しました。
店舗面積が400平方メートルを超える大型スーパーを対象に、売れ残った食品の廃棄を禁止する法律です。売れ残った食品は、フードバンクなどの団体に寄付したり、飼料として活用することが求められます。なお、違反した場合は罰則が科せられます。

さらにフランスでは、2023年より、スーパーマーケットや卸業者、ケータリング業者など、小売業者の食品ロス削減の取り組みを評価する、国家レベルでの「認証ラベル制度」を導入しました。

これによって、食品関連事業者のフードロス削減のための取り組みについて新たな付加価値が生まれ、一般消費者にとっても、新たな選択の指標が生まれたと言えるでしょう。

フランスのAGEC法(循環型経済のための廃棄物防止法)では、食品流通分野では2025年までに、消費・加工・生産・外食分野では2030年までに、食品ロスを50%減らすという目標が掲げられています。

イギリス

イギリスでは、「Courtauld Commitment 2030」という、全英の食品チェーンから農家までをつなぐ自主的な協定を策定しています。フードロスのほか、温室効果ガスや水質汚染の削減などの目的も含まれており、フードロスについては、2030年までに2007年の半分の量に削減することを目標に掲げています。

またイギリスでは、フードシェアリングアプリの「OLIO」が有名です。2015年にサービスを提供開始してから、現在ではイギリス以外にも、50か国以上でサービスが展開されています。

OLIOの特徴は、食品を提供する側も、受け取る側も、「無料」で利用できる点です。食品に対しての代金は発生せず、無料で譲る・受け取ることができます。受け渡しもすべてユーザー間で行う流れとなり、ピックアップ方法などもアプリで設定することができます。

OLIOは、すぐ受け取りに行ける距離の範囲内で利用されることから、ローカルコミュニティの形成にも一役買っています。

一般ユーザーだけでなく、企業との連携もされており、一部のパートナー企業から支払われているサービス費用がOLIOの収益源となっています。

アメリカ・カリフォルニア州

アメリカ・カリフォルニア州では、2022年1月から、食品ロス削減の取り組みを義務付ける法律が施行されました。
スーパー、レストラン、食品流通業者などの事業者は、まだ食べられる食品については、食品ロス削減に取り組む団体に寄付し、それ以外については、「堆肥化できる生ごみ」と「他のごみ」に分別することが求められます。

さらに特筆すべきなのは、今回の法律では、事業者だけでなく、一般家庭も対象となっていることです。事業者だけでなく、一般家庭も含めて、生ごみはコンポストに入れて堆肥化する必要があります。

カリフォルニア州では、「2025年までに州全体の生ごみを75%削減すること」を目標に掲げています。今回の法律では、埋め立て処理される生ごみを減らし、それによって発生する温室効果ガスを削減することが主な目的です。

カリフォルニア州では2024年以降、生ごみを分別しないで廃棄した場合、罰金が科せられるようになります。
事業者だけでなく、一般家庭も対象としたフードロス削減のための法律は、世界的にも先進的な取り組みといえるでしょう。

参考:「アメリカ・カリフォルニア州で食品ロスを減らす法律がスタート」

コンビニ大手3社のフードロス削減の取り組み


では、日本の企業のフードロス削減のための取り組み事例をいくつか見ていきましょう。

本記事では、私たちの生活の身近な例として、国内のコンビニ大手3社である「セブンイレブン」、「ファミリーマート」、「ローソン」から、主な取り組み事例を紹介します。

セブンイレブン

セブンイレブンの全国店舗では、2020年5月から、食品ロス削減を目的とした「エシカルプロジェクト」として、おにぎりやパン、総菜、スイーツなど合計7つの分類において、販売期限が近づいた対象商品に、店頭税抜価格の5%分のnanacoボーナスポイントを付与する取り組みを行っています。

商品の製造段階の取り組みとしては、チルド弁当やパン類、お惣菜などのデイリー商品について、「安全・安心の確保」と「味・品質の向上」だけでなく、「消費期限延長」を実現するための研究・開発が行われています。

2022年4月末時点で、オリジナルデイリー商品に占める24時間以上の販売期限がある商品の比率は、約84%と高い水準になっています。

参考:「食品ロス・食品リサイクル対策|セブン&アイグループ」

ファミリーマート

ファミリーマートでは、商品を長持ちさせるための包装を実施しています。サラダや惣菜の一部商品を対象に、特殊な包装技術であるガス置換包装を採用。商品パッケージの中をそれぞれの食品に適したガスに置き換え密封することで、おいしさをそのままに消費期限を最大3日延長しました。

またファミリーマートでは、規格外の食材を使用したオリジナル商品を多数開発しています。
2023年8月に新たに発売した「サーモン三昧丼」は、同ブランドの「サーモンづくし」という「にぎり寿司」の商品をつくる際に、サーモンスライスの製造工程で出た切り落としを約15t使用する予定です。

そのほか、ファミリーマート店内では、消費期限の近いおむすびや弁当にシールを貼って値下販売(ファミマのエコ割)をしているほか、商品棚に「てまえどり」のポップを掲示し、消費者に対して、すぐに食べる商品は手前に置いてある商品(消費期限が近い商品)から選ぶように推進しています。

参考:「食品ロスと廃棄物への取り組み|ファミリーマート」

ローソン

ローソンでは、食品廃棄物の発生を抑制するため、製造段階で原材料の投入量や盛り付け量などを細かく計算する「生産加工管理システム」を導入しています。形が不揃いの野菜は、漬物やサラダのほか、ペットフードに活用しています。

また2019年8月からは、納品期限の切れたお菓子や加工食品、日用品を、一般社会法人全国フードバンク推進協議会へ寄付する取り組みも行っています。寄付した商品は、全国各地のフードバンク団体へ送られ、児童養護施設や障がい者福祉施設などに提供されています。

店舗では、売れ残り商品を減らすために、消費期限の近い商品の値引きの実施や、「てまえどり」を推奨。それでも出てしまう売れ残り商品については、肥料や飼料として再利用しています。

参考:「環境ビジョン LawsonローソンBlueブルーChallengeチャレンジ 2050! 2050年 食品ロス・CO2・プラスチックを減らすローソンの取り組み」

日本で広がるフードシェアリングビジネスの事例


「フードシェアリング」とは、食品ロスを回避するために、余った食品をほかの人々と共有することを意味します。

日本でもフードシェアリングサービスの成長が拡大しており、アプリや通販サイトを通じて、気軽にフードシェアリングに参加できるプラットフォームが増えてきています。

そこで本記事では、いま注目のフードシェアリングサービスを3つ紹介します。

飲食店の食品ロスと消費者をつなぐ「TABETE」

株式会社コークッキングが運営するフードシェアリングサービス「TABETE」は、パン・ケーキ店、ホテル、飲食店、スーパーなどのお店で、食品ロスの危機に面している“食べもの”と、“ユーザー”をマッチングするアプリです。全国2500以上の店舗で導入されている実績があります。

店舗側は、売り切りが難しい商品をリアルタイムで出品して廃棄を抑えることができ、ユーザー側は、味や品質に問題のない商品を、通常よりもリーズナブルな価格で購入できるメリットがあります。購入者はクレジットカード決済後に、店舗まで商品を受け取りに行く仕組みです。

購入者は、登録料や月額料金、サービス料などは一切かからず、商品代金のみを支払う形なのでわかりやすいです。店舗側にとっても、事前決済システムのため、店舗での金銭のやり取りがないのがポイントです。

特筆すべきなのは、TABETEを導入した結果、事業者は食品ロス削減効果だけでなく、新規顧客獲得にも繋がっているということです。

同社が、TABETEを複数店舗以上で導入している法人(26社)に対して行った調査によると、「食品ロス削減以外に得られた効果」について、42%以上が「TABETE導入が新規顧客獲得につながった」と回答しています。

実際のTABETEのユーザーからは、「気になっていたお店を利用するきっかけになった」「TABETEがきっかけで通常来店もするようになった」という評価もあり、お店と消費者の双方でWin-Winの関係が実現したサービスといえるでしょう。今後はさらなる導入店舗の拡大が期待されます。

参考:「国内最大級の食品ロス削減サービス「TABETE」の登録者数が50万人を突破|PR TIMES」

“訳あり商品”特化型の格安通販サイト「Kuradashi」

フードロス削減の新たなビジネスモデルとして、「訳あり商品」に特化した格安通販サイトが拡大しています。

賞味期限が近づいている商品や、規格外品・B級品、パッケージの印字ミスなどの理由で、通常の店頭に並べることができない「訳あり品」を全国の企業から集めて、通常価格よりも割安でネット販売するもので、消費者にとっては、味に問題のない商品をいつもよりお得に購入できるメリットがあります。

例えば、国内最大級のフードロス削減型通販のKuradashi(クラダシ)は、半額商品はもちろん、定価の70%~80%OFFで買える商品も多く、価格の安さと商品数の多さが魅力です。

大手メーカーの商品だけでなく、産地直送の生鮮食品も販売しているため、普段はなかなか買えないような食品を購入できるのも魅力のひとつです。

産地直送の商品の販売に特化した「産直サイト」は、以下の記事で詳しく紹介しています。

関連:「生産者から商品が届く「産地直送」の魅力とは?いま注目の産直サイト5選」

パンのお取り寄せ「rebake(リベイク)」

合同会社クアッガが運営する「rebake(リベイク)」は、パンに特化したフードロス削減通販サイトです。2023年4月9日時点で、「rebake(リベイク)」に登録しているパン屋さんは全国累計1,500店舗を突破。

rebakeでは、品質にはまったく問題ないものの、やむを得ずロスになりそうな「ロスパン」をまとめて冷凍した状態で販売・配送します。

いちばん人気の「rebakeおたのしみ便」は、どこのパン屋さんのパンが届くかは、届いてからのおたのしみ。
リピート注文の場合は、基本的に都度違うパン屋さんから届くようになっています。rebakeでは、北海道から沖縄まで、全国47都道府県すべてのパン屋さんを網羅しているので、注文するたびに「どこのパン屋さんから届くのか」、わくわく感を感じられるのが魅力のひとつです。

サイズはSサイズ、Mサイズ、Lサイズ、XLサイズの4種類を展開。Sサイズの箱には、最低10個以上のパンが入っています。価格は送料込みで3,000円〜ほどで、お得な定期便も展開しています。

フードロス削減に向けて私たちができること

フードロス削減のためには家庭内で発生する廃棄物を削減することも重要です。

最後に、私たちが普段の生活で意識すべき、フードロスの削減方法について紹介します。

買いすぎないようにする

買いすぎや保存ミスをすると、食品が腐ったり傷んだりしてしまい、調理せずに直接廃棄することになります。

そのため、買い物前には必要な材料をメモするなど、適切な量を買う意識を持って廃棄を減らすことが大切です。
買い物に行く前に、冷蔵庫の中身を確認する癖をつけるのがおすすめです。また、スーパーやコンビニなどのお店では、すぐ食べるものは陳列棚の「てまえどり」を実施して、賞味期限の早いものから消費するように心がけましょう。

余った食材が出た場合は、レシピサイトなどを利用して具材を検索することでレシピを調べられます。

少しずつ工夫しながら食品を使い切るように努めることが、フードロス削減につながるのです。

作りすぎないようにする

調理する際は、食べ切れる量に調節することが大切です。

好き嫌いで食べ残しがないようにすることでも、廃棄する量が減らせます。

もし作りすぎたり食べ切れなかったりする場合には、冷凍保存などで対応して、できる限り消費するように心がけましょう。

食品を正しく保存する

食品をそれぞれ適切な方法で保存・保管することで、食品をできるだけ長持ちさせることができます。

例えば、トマトやキュウリ、ナス、ピーマンなど、温かい環境で育った野菜は、基本的に冷蔵保存には向いておらず、風通しのいい室内の暗所などでの常温保存に適しています。

ただし、夏場など上記の環境がなかなか作れないときは、野菜をラップや新聞紙で包んで冷蔵庫に入れるのがおすすめ。最近は100円ショップなどで、緑色の「野菜が長持ちするビニール袋(鮮度保持袋)」が売っているので、筆者はそちらもあわせて使っています。

また、大根、にんじん、ごぼうなどの根菜類や、白菜、ほうれん草、ネギは、基本的に立てて保存するのがおすすめです。

精肉は封を開けたらできるだけ早く使い切り、すぐに使わない分は小分けにしてラップに包み、ジップロックなどの冷凍保存用袋に入れて冷凍するのがおすすめです。

食べられる部分を余計に取り除かないようにする

野菜や果物を洗ってカットするときに、必要以上に皮を剥きすぎたり、食べられる部分を余計にカットしてしまうこと(過剰除去)に注意しましょう。

野菜の皮などは栄養豊富で美味しく食べられるものもありますので、食材についての知識を深めることも大切でしょう。

また、農薬などを気にしすぎている場合、表面などを必要以上に削っている可能性もあります。

しかし、実は危険性がほとんどなかったり、無農薬であったりするケースが多いため、正しい情報を得ることも必要です。

アプリを使って自宅の食材を管理する

自宅の食材をすべて管理しきれない、覚えきれない、という人は、アプリを使って手軽に管理する方法がおすすめです。

例えば、献立アプリの「pecco(ぺっこ) 」は、買った食材を登録することで、冷蔵庫の食材を使ったおすすめの献立を提案してくれるアプリです。食材の賞味期限を管理することもできるので、自宅の食材のフードロスを避けたい人におすすめのアプリです。

また、自宅でフードロスが出たときに「何をどれくらい(重さ)捨ててしまった」のかを記録できる「食品ロスダイアリー」というWebサービスもあります。画面の指示に従って、日記感覚で記録できるので、普段からどんな食品を買いすぎているのか、“自分の購買の癖”を客観的に把握して改善することができます。

最近は、大手家電メーカーから内蔵カメラ付きの冷蔵庫などもいくつか販売されているので、効率的に冷蔵庫のフードロスを削減したい人は、あわせてチェックしてみてください。

まとめ

フードロスは、世界中で多くの食品が廃棄されている問題のことを指し、SDGsの目標12「つくる責任 つかう責任」にも関係しています。

日本でも法律の施行や改善のための取り組みが進められていますが、それでも年間に523万トン(令和3年)ものフードロスが発生している状態です。
そのうち、約半数が家庭系食品ロスといわれているため、家庭内での廃棄量を減らすことも解決の一歩につながります。

食品廃棄は規格や商慣習も原因のひとつになっているため、ひとり一人が消費における鮮度志向を見直すことも重要です。

コンビニやスーパーでは「てまえどり」を意識して、買った食材は適切に保管して使い切り、ひとつも無駄にしないことを心がけましょう。フードシェアリングサービスも、気になる人はぜひ使ってみてください。

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