規格外野菜がビジネスチャンスに?メリットとデメリット、販売サイトを徹底解説!
野菜の価格が高騰している一方で、野菜が大量に廃棄されているのをご存知でしょうか。
SDGsの意識が高まる中、規格外野菜の問題が注目されています。
この記事を読むと、規格外野菜をビジネスにするメリットやデメリットが分かります。
さらにお得に買える販売サイトもまとめました。
規格外野菜とは
規格外野菜とは、食べられるにもかかわらず、廃棄されてしまう野菜のことです。
定められた大きさや形、色などから外れているものが当てはまります。
規格外野菜の一部はカット野菜やレトルト、ジュースやお菓子などに加工されています。
けれども、不格好な野菜は機械で処理しづらかったり、数量が少なく買い手が見つからなかったりするなどの理由で、多くの野菜は畑へ捨てられているのです。
天候不良により規格外野菜が増加し、出荷できる量が3分の1程度まで落ち込むこともあるそうです。
物価高や食料不足が懸念されていると同時に、見えないところでもったいない野菜が大量に捨てられています。
持続可能な社会の実現のために、規格外野菜のあり方を見直すべきといえるでしょう。
規格外野菜の廃棄量
規格外野菜はどれくらい廃棄されているのでしょうか。
残念ながら、農林水産省は規格外野菜の具体的なデータやグラフを公表していませんでした。
今回は規格外野菜の廃棄量を明らかにするため、農林水産省の令和4年作況調査に記載された収穫量と出荷量をもとに、出荷されなかったものを規格外野菜と仮定した上で、廃棄量を割り出してみました。
野菜 | 収穫量 | 出荷量 | 廃棄量 | 廃棄量の割合 |
春野菜 | 187万7,000t | 174万6,000t | 13万1t | 約7% |
夏野菜 | 224万4,000t | 195万t | 29万4t | 約13% |
秋冬野菜 | 284万7,000t | 235万9,000t | 48万8t | 約17% |
指定野菜 | 219万9,000t | 189万4,000t | 30万5t | 約14% |
参照:農林水産省|令和4年産指定野菜(春野菜、夏秋野菜等)の作付面積、収穫量及び出荷量
農林水産省|令和4年産野菜(41 品目)の作付面積、収穫量及び出荷量(年間計)
これらのデータから考えると、令和4年における規格外野菜の廃棄量は15%前後といえます。
規格外野菜を減らすメリット
規格外野菜をビジネスで活用することで、どんな問題が解決できるのでしょうか。
3つのメリットをまとめました。
①フードロスの削減
「食べられるのに捨てる」と聞いて、「フードロス」を頭に浮かべた方もいるのではないでしょうか。
食べ残しや売れ残りのイメージが強いですが、規格外野菜を減らすことはフードロスの削減につながるのです。
世界各国の共通目標であるSDGsの中でも、フードロスの半減が求められています。
令和3年度に日本が廃棄している食料は523万トン。
このうち、規格外野菜が含まれる事業系は279万トンでした。
フードロスの認知度が高まっているものの、前年度より4万トンも増加しています。
規格外野菜を減らすことで、フードロス削減が期待できるのです。
参照:農林水産省|食品ロス量(令和3年度推計値)
②食料自給率の向上
輸入大国である日本が抱える問題の一つが、食料自給率の低さです。
規格外野菜を食べることで、野菜の食料自給率を上げられるかもしれません。
令和4年度のカロリーベース食料自給率は38%。そのうち、野菜は75%です。
日本全体の収穫量が減っていることや加工用や業務用の原料を輸入野菜に頼っていることなど、いくつか原因が挙げられます。
日本における野菜の収穫量はピークである昭和57(1982)年の1,699万トンでした。
けれども、令和元年の野菜の生産量は1,166万トンまで落ち込んでいます。
捨てられる野菜がある一方で、野菜の収穫量が減っているという矛盾が起きているのです。
農家の高齢化や労働不足で野菜の収穫量がさらに減ることが予想されるからこそ、規格外野菜の見直しが必要といえるでしょう。
参照:
農林水産省|知っている?日本の食料事情
③生産者の収入アップ
これまで売上に貢献できなかった規格外野菜を市場に出すことで、生産者の収入をあげることが期待できます。
- 加工食品やカット野菜の原料として使う
- ジュースやスムージー、スープなどに使う
- 地元の学校給食で使う
このように、そのままの形で卸せなくとも、ひと手間加えることで価値あるものへ生まれ変われるのです。
規格外野菜のデメリット
とはいえ、規格外野菜にもデメリットがあります。
野菜の価格低下に関する懸念です。
規格外野菜が安価で出回れば、供給が溢れて基準をクリアした野菜でさえも価格が暴落する可能性があります。
規格外野菜を売り捌くにはリスクも伴うといえるでしょう。
また規格外野菜を農家の家族や近所で分けあったり、畑の肥料として使ったりすることもあります。
このような捨てない方法から考えると、必ずしも「規格外野菜が与える環境負荷が大きい」とは言い切れません。
規格外野菜が買える販売サイト5選
規格外野菜を知っていくうちに、「買ってみたい」と興味をもった方もいるのではないでしょうか。
続いては、規格外野菜が手軽に買える販売サイトを紹介します。
①食べチョク
産地直送で知られる食べチョクでも、規格外野菜を購入できます。
検索画面に「規格外野菜」を打ち込むと、現在販売中のものが出てきました。
訳ありではあるがおいしい野菜を購入することで、全国の農家の方を応援できます。
②ロスヘル
ロスヘルは、全国各地から調達した規格外野菜を宅配サービスで提供しています。
一般的なスーパーマーケットより最大30%安く購入できるそうです。
フードロスだけではなく、プラスチックゴミの削減にも努めています。
そのため、リサイクルしやすいダンボールや新聞紙を採用し、最低限の包装で配達しています。
地球に優しい宅配通販サービスであるため、「日本サブスクリプションビジネス大賞2022」を受賞。
多数のメディアでも取り上げられました。
③みためとあじがちがう店
「食べ物を大切に、フードロスをなくす」という思いを大切にしながら、規格外野菜の美味しさを届けています。
歪な形や傷がある規格外野菜はデリケートで、配送が難しくコストがかかると言われてきました。
みためとあじがちがう店では配送の改善に力を入れています。
長年受け継がれてきた野菜や果物に適した保存方法を勉強することで、長持ちさせながら届けることに成功しました。
④らでぃっしゅぼーや
「見た目より中身がごちそう」を合言葉に、ふぞろいな規格外野菜や果物を提供しています。
フードロス削減と生産者支援のため誕生しました。
色ムラや傷はあるものの、品質は正規品と同じです。
らでぃっしゅぼーやが定めた厳しい基準「環境保全型生産基準RADIX」を守っているため、安心して食べられます。
筆者自身もおためしセットを利用しました。
規格外野菜とはいうものの、どれも美味しそうな野菜や果物で驚きました。
ふだん選ばない品種もあるため、食の楽しみが広がるのも魅力に感じます。
無料で規格外野菜をもらえるサイト
応募形式ではありますが、無料で規格外野菜を楽しめるサイトも紹介します。
興味があるけれど、買う勇気が出ない方にもおすすめです。
①タダヤサイ
タダヤサイでは、応募して当たれば規格外野菜をもらえます。
無料なのは嬉しいけれど、生産者は損していないのかと心配になるかもしれません。
実は、一度利用した消費者が規格外野菜の美味しさを知ることで、今度は自分がほしいものを購入するという仕組みが隠れています。
また生産者のサイト登録料金はかかりません。
さらに一回10万円相当のメルマガ広告が無料で利用できるそうです。
広告料を負担することで、生産者の経営を応援しています。
②フリフル
間近で大量に廃棄される白菜をみてショックを受けた代表が「生産者も消費者もみんなが損をしない仕組みを作りたい」と決意。
7年間も試行錯誤をした末、「フリフル」が生まれました。
フードロス削減や生産者を応援するフリフルサーポーターになると、規格外野菜や果物をもらえる企画に応募できます。
馬鈴薯2kgや4000円相当の詰め合わせなど、内容も充実しています。
2023年1月〜8月の期間で、11,770kgの食料を救うことに成功しました。
規格外野菜ビジネスの鍵は「アップサイクル」
規格外野菜が市場に出回るデメリットは、基準をクリアした野菜の価格が下がる可能性があることでした。
けれども、生鮮食品から市場をずらせば、不安要素を解消した上で新たなビジネスチャンスを得られます。
その鍵は「アップサイクル」です。
アップサイクルとは、本来捨てられるものに、デザインやアイディアなどの付加価値をつけて、新しいアイテムに生まれ変わらせることを意味します。
規格外野菜をアップサイクルした事例をまとめました。
①スナックミー
おやつのサブスクが人気のスナックミーが「スナックミーとアップサイクルおやつプロジェクト」を2022年3月2日(水)から開始しました。
全国で廃棄されている野菜や果物をおやつにすることがねらいです。
ヒビが入ったトマトで作ったトマトジュースやクレーターで廃棄予定のじゃがいもで作ったポテトチップスなど、子供から大人まで楽しめる事例といえるでしょう。
②OYAOYA
行き場の失った野菜を乾燥野菜にした商品を販売しています。
スープや炊き込みご飯、お菓子をつくる時に使える万能アイテムです。
日持ちするため、鮮度を逃さずに採れたてのおいしさを味わえます。
ドライトマトや乾燥玉ねぎなどが人気です。
公式サイトには使い方やアレンジレシピも紹介されていました。
③ベジシート
規格外野菜を使った野菜のシートを開発しました。
規格外野菜を定価で買い取ることで、農家を支援しています。
パンやホットケーキ、おにぎりに加えるだけで、簡単に野菜を取れる優れものです。
栄養満点で長期保存できるため、非常食としても注目されています。
規格外野菜で生活を豊かに
規格外野菜とは、美味しいにもかかわらず、傷や形などを理由に廃棄される食材のことでした。
生産者が丹精込めて作ったことが無駄になっているのです。
このようなもったいない野菜をなくすことで「フードロスの削減」「食料自給率の向上」「生産者の収入アップ」が期待できます。
消費者としてできることは、規格外野菜の現状を知り、買って食べるアクションを起こすことです。
もし興味をもった方は、今回紹介した販売サイトやアップサイクル商品をチェックしてみてはいかがでしょうか。
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