エシカル就活とは?注目される理由や企業が気を付けるポイントを解説
「エシカル就活」という言葉を知っていますか?
エシカル就活とは、人や地球、社会に配慮した企業への就職活動のこと。
今、Z世代を中心にエシカルな就活を行う人が増えています。
学生など就職活動を行う側にとっては社会に貢献できる企業に参加する機会になる上、企業は自社のエシカルな取り組みをアピールできます。
双方にメリットがある就職活動スタイルだと言えるでしょう。
この記事では、エシカル就活の概要や注目されている理由などを分かりやすく解説します。
就活生が考えるエシカル企業のポイントも紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
エシカル就活とは?
「エシカル就活」という言葉は、2021年ごろから使われるようになりました。
Allesgood代表取締役CEOの勝見仁泰氏が「エシカル就活」という採用プラットフォームをスタートさせたのがきっかけです。
採用プラットフォーム「エシカル就活」では、社会課題の解決に取り組みたい学生と社会課題解決に取り組む企業をWeb上でマッチングします。
この採用プラットフォームによって「エシカル就活」という言葉が広まり、そのプラットフォームだけでなく、エシカルな企業への就職活動も「エシカル就活」と呼ばれるようになりました。
エシカルは「倫理的な」という意味
エシカル就活の「エシカル(ethical)」とは、日本語では「倫理的な」と訳されます。
倫理という言葉は、以下のように説明されています。
人として守り行うべき道。善悪・正邪の判断において普遍的な規準となるもの。道徳。モラル。
引用:デジタル大辞泉「倫理」
簡単にいうと「自分にとっての損得だけでなく、周囲への影響、つまり社会・人・環境などにやさしいこと」を意味します。
エシカル就活は、社会・人・環境などに配慮した企業への就職活動ということになります。
倫理的な商品を購入・消費する「エシカル消費」という言葉がきっかけでエシカルという考え方が広まりました。
エシカル就活だけでなく「エシカルファッション」や「エシカルフード」など、さまざまなエシカル〇〇が登場しています。
エシカルとサステナビリティの違い
エシカルと似た言葉に「サステナビリティ(sustainability)」があります。
サステナビリティの日本語訳は「持続可能性」です。
環境や社会、経済などが長期にわたり続いていくことを指します。
目先の利益や成績を追記有するのではなく、将来的にどう影響していくかを考えながら行動していくことが重要です。
例えば、木材が必要だからといって木が成長するスピードよりも速く伐採をしてしまったら、森林は減少してしまいます。
環境や社会が持続できるような仕組みで事業を続けることがサステナビリティです。
エシカルは倫理的な行動と価値観に焦点を当て、倫理的な原則に従うことを強調する一方、サステナビリティは環境、社会、経済の3つの側面を総合的に考慮し、資源の持続可能な管理と未来の世代のニーズを満たすことに焦点を当てています。
エシカルとSDGsの違い
また、エシカルと間違いやすいのが「SDGs」です。
SDGsは「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」の頭文字をとったもので、2030年までに持続可能な社会を目指す国際目標のこと。
2015年の国連サミットで採択され、日本も積極的に取り組んでいます。
SDGsはサステナブルな社会を実現する手段であるのに対し、エシカルは「よい考え方」「よいとする概念」であると言えるでしょう。
エシカル就活では、社会貢献度の高い企業が人気ですが、その多くがSDGsのいずれかの目標に取り組んでいます。
「エシカル」も「サステナビリティ」も「SDGs」も意味は異なりますが、向かう方向は同じ。
より良い未来や社会を作るための考え方であり、方法です。
エシカル就活が注目されている4つの理由
今、なぜエシカル就活が注目されているのでしょうか。その理由は、以下の4つが考えられます。
- 就活生が企業名や規模よりも社会貢献度を重視するようになった
- SDGsの認知拡大や取り組む企業の増加
- ダイバーシティ経営が重要になってきている
- 社会起業家の増加
それぞれの理由を、詳しく説明します。
理由①就活生が社会貢献度を重視するようになった
大きな理由の一つに、就活生が社会貢献度を重視して就職活動を行うようになったことが挙げられます。
株式会社学情が、2024年3月卒業(終了)予定の大学生・大学院生に「SDGs」をテーマとした調査を行いました。
その結果、半数以上の学生が「企業のSDGsへの取り組みを重視している」、約7割の学生が「企業がSDGsに取り組んでいると志望度が上がる」と回答しました。
参考:PR TIMES「半数以上が、就職活動でSDGsを意識。7割弱の学生が「企業がSDGsに取り組んでいることを知ると志望度が上がる」と回答。「仕事を通して、社会に貢献したい」の声/2024年卒対象アンケート」
就職活動を行うにつれ、SDGsに興味を持ったり社会貢献したいと考えるようになった就活生もいるでしょう。
理由②SDGsの認知拡大や取り組む企業の増加
2019年に採択されたSDGs。
小学校は2020年度から、中学校は2021年度から、高校は2022年度からSDGs教育が指導要領に導入されています。
また、大学によっては採択後すぐに学習する機会があったかもしれません。
就活生の多くは、就職活動を始める前からSDGsに触れる機会が多く、世界が抱える問題や深刻な環境問題への理解を深めてきました。
またリーマンショックや東日本大震災をはじめとする震災を経験したことも、エシカルな企業への就職を後押ししていると考えられます。
また、2030年までの目標に向け、多くの企業がSDGsへの取り組みを表明しています。
企業のホームページでSDGsへの取り組みをアピールしているところもあります。
SDGsの目標8には「働きがいも経済成長も」という目標もあります。
SDGsへの興味をきっかけに、さまざまな社会問題に関心をもつ就活生も少なくありません。
理由③ダイバーシティ経営が重要になってきている
ダイバーシティ経営が重要視されていることも、エシカル就活が注目されている理由の一つです。
ダイバーシティ経営とは、多様な人材を活かし、それぞれの能力が最大限発揮できる企業経営のこと。
性別や国籍、障がいの有無、宗教などの違いはすべて、多様な人材にあてはまります。
市場のグローバル化や顧客ニーズの多様化、少子高齢化などを背景に、ダイバーシティ経営が重要視されるようになりました。
ダイバーシティ経営には、人材の獲得や業績の向上、企業のブランド化という狙いがあります。
ダイバーシティについては、以下の記事で詳しく解説しています。ぜひご覧ください。
理由④社会起業家の増加
エシカル就活が注目される4つ目の理由として、社会起業家の増加があります。
社会起業家は、社会問題への取り組みを事業として起業する起業家です。
学生の中にも、社会起業家として活動している人は多くいます。
社会起業家の特徴には、会社の利益ではなく社会への利益を優先する、というものがあります。
社会問題を解決するためには、一時のインパクトではなく、持続可能なビジネスモデルが必要です。
SNSなどでも情報を手軽に得ることができるようになった現代。
就活生にとっては、社会起業家は身近な存在であり、自らも社会問題に携わりたいと思う人も少なくありません。
就活生は企業のどんなエシカルな部分を見ている?
- グリーンウォッシュやSDGsウォッシュではないか
- 社員のモチベーションや社風
企業は、上記2つのポイントを意識しましょう。
グリーンウォッシュやSDGsウォッシュではないか
就活生は、グリーンウォッシュやSDGsウォッシュではないかを見ています。
グリーンウォッシュとは、環境配慮やエコをイメージする「グリーン」とごまかしを意味する「ホワイトウォッシュ」を組み合わせた言葉です。
環境に配慮していると見せかけて、実はそうでないことを指します。
SDGsウォッシュはグリーンウォッシュの派生で、SDGsに取り組んでいるように見せて、実はそうでないことを意味します。
企業がホームページなどでアピールしている内容が、事業として打ち出されているのか、また具体的な目標や行動計画の有無はサステナビリティやCSRに関するページから判断できます。
また、更新頻度なども重要です。
社員のモチベーションや雰囲気
社員のモチベーションや社内の雰囲気も重要です。
経営層が社会問題への取り組みを打ち出していても、社員が社会問題を理解していなかったり、設定された目標を知らなかったりしたら、それはエシカルな企業とはいえません。
就活生はOB訪問や座談会などで、社員に質問する機会があるでしょう。
社員への目標共有や教育、モチベーションの維持も欠かせません。
社員が同じ目標を共有し、解決に向けて行動することで、社内の雰囲気も活気あるものになるでしょう。
まとめ
エシカル就職は、社会問題への関心を集めるきっかけになります。
就活生にとっては、自分が知らなかった問題に目を向けるきっかけになり、社会の構造などが理解できます。
また、企業にとってはエシカルな取り組みを行うきっかけになり、企業という大きな力で社会にインパクトを与えることができるでしょう。
就活生にとっても企業にとっても、今後ますます重要になるであろう、エシカル就活。
今後の動きに注目していきたいですね。
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