市場拡大中?植物性ミルクと牛乳を比較!メリットやデメリットも解説!
牛乳の代替品として活用される植物性ミルク。世界的にみても、その市場は拡大傾向にあります。
とはいえ、「植物性ミルクのデメリットはないのか」「牛乳と比較するとどうなのか」と疑問に思う方もいるのではないでしょうか。
今回は、植物性ミルクの種類やメリット・デメリットを解説します。
さらに、植物性ミルクを使用しているハーゲンダッツやクーリッシュなどの日本の企業事例もまとめました。
ヴィーガンの方からも人気が高い植物性ミルクの魅力をみていきましょう。
植物性ミルクとは
植物性ミルクを牛乳と比較!
では、植物性ミルクと牛乳は具体的にどのような違いがあるのでしょうか。
食品成分の比較は以下のとおりです。値は、可食部100g当たりに含まれる成分を表しています(ただし、植物性ミルクについてはメーカーなどによって若干数値が異なる)。
牛乳 | 豆乳 | アーモンドミルク(無糖) | オーツ
ミルク |
マカダミアナッツミルク | ココナッツミルク(無糖) | ライス
ミルク |
|
エネルギー | 61kcal | 43kcal | 約22kcal | 約44kcal | 約32kcal | 約20kcal | 約57kcal |
たんぱく質 | 3.3g | 3.6g | 約0.7g | 約0.6g | 約0.3g | 約0.2g | 約0.5g |
脂質 | 3.8g | 2.8g | 約1.7g | 約1.2g | 約2.6g | 約1.5g | 約1g |
炭水化物 | 4.8g | 2.3g | 約1.2g | 約8.3g | 約2.4g | 約1.9g | 約12g |
※上記表は複数メーカーのデータを集めて平均値をとったもの(GREEN NOTE編集部調べ)
成分比較をもとにそれぞれの特徴もまとめました。
豆乳
豆乳とは、大豆を原料とした植物性ミルク。
牛乳と比べると、高たんぱくで低脂質です。
基本的に大豆固形分が8%以上のものを豆乳、大豆固形分が6%以上のものは調製豆乳といいます。
調製豆乳は糖分などを入れて飲みやすくしています。
出典:マルサン|豆乳
アーモンドミルク
ナッツの風味を楽しめるアーモンドミルクは、主にアーモンド、食塩、水を原料とした植物性ミルクです。
植物性ミルクの中でも低カロリーで、ビタミンEが豊富に含まれています。
オーツミルク
オーツミルクは、オーツ麦を原料としています。
やさしい自然な甘さで、コーヒーや紅茶との相性も抜群。
他の植物性ミルクよりも炭水化物が豊富なので、腹持ちのよさを重視したいときにもおすすめです。
マカダミアナッツミルク
マカダミアナッツは、マカダミアナッツを原料とした植物性ミルクです。
クリーミーな味わいを楽しめます。
食物繊維とビタミンEが豊富に含まれています。
ココナッツミルク
ココナッツを原料としています。
無糖の場合は、牛乳と比べると低カロリーで低糖質。
ただし、ココナッツミルクには、血中コレステロールを上げるといわれる飽和脂肪酸が多く含まれているため、飲み過ぎにはご注意ください。
ライスミルク
ライスミルクとは、お米が原料の植物性ミルクで、さらりとした喉ごしです。
お米に含まれるアミノ酸やビタミンB群、ブドウ糖を摂取できます。
出典:マルサン|植物性ミルク
出典:イソラビオ|オーガニック植物性ミルク
出典:キッコーマン豆乳|マカダミアナッツミルク
出典:福光屋オフィシャルサイト|発酵ライスミルク
植物性ミルクのメリット
環境負荷が小さい
植物性ミルクは、環境負担の軽減が期待できます。
2020年10月、日本政府は2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにし、カーボンニュートラルを実現させることを宣言しました。
また、SDGsの目標「13.気候変動に具体的な対策を」にも、気候変動の対策をすることが記載されています。
世界的にも、よりエコな食材を選ぶ動きが活発化しています。
食品ごとの二酸化炭素の排出量で比較すると、酪農は畜産の次に環境負荷が高い食材です。
牛乳や乳製品の生産・加工だけではなく、家畜のげっぷなども温室効果ガスの原因になることが指摘されています。
植物性ミルクは、エコな食生活の選択肢としても一役買うでしょう。
環境負荷の小さい植物由来の食品については、以下の記事も参考にしてみてください。
Green Meat(グリーンミート)で人と環境に優しい食生活を!話題の植物肉を徹底解説
大豆ミートとは?メリットとデメリットやおすすめレシピを紹介!
出典:環境省|代替食
出典:環境省|カーボンニュートラルとは
出典:外務省|13: 気候変動に具体的な対策を
牛乳アレルギーの方でも飲める
牛乳アレルギーの方でもミルクの味や風味を楽しめるのも植物性ミルクの良さです。
アレルギーの発症例をみると、牛乳は鶏卵の次に高い割合を占めています。
これまで食べられなかったものでも、植物性ミルクを代用することで安心して食べられるでしょう。
しかし、大豆やナッツのアレルギーがある方は、摂取を控えるべき植物性ミルクがあるので、ご注意ください。
出典:令和3年度食物アレルギーに関連する食品表示に関する調査研究事業 報告書
ヴィーガンの方でも飲める
ヴィーガンとは、卵や乳製品、はちみつなどの動物性の食材を口にしない食生活を意味します。
ヴィーガンの方にとっても植物性ミルクがあることで、食の選択肢が広がっています。
常温保存や長期保存に向いている
牛乳の場合は、冷蔵保存が基本です。
一方、植物性ミルクは未開封ならば常温保存できるものが多くあります。
また、牛乳よりも長期保存が可能であるため、ストックできるのも良さの一つです。
植物性ミルクのデメリット
続いては、植物性ミルクのデメリットをみていきましょう。
食の選択肢を増やしてくれる植物性ミルクにも、懸念すべき点があります。
価格が割高
植物性ミルクは牛乳よりも価格が割高な傾向があります。
植物性ミルクは抽出するのに手間がかかるため、牛乳のような大量生産ができません。
給食で活用されたり、多くの家庭で買われたりする牛乳に比べると、植物性ミルクの需要がまだ少ないことが理由として考えられます。
カルシウムが少ない
牛乳といえば、カルシウムを頭に浮かべる方も多いのではないでしょうか。
【牛乳(可食部 100 g当たりの数値)】
- カルシウム:110mg
- ビタミンD:0.3μg
【豆乳(可食部 100 g当たりの数値)】
- カルシウム:15mg
- ビタミンD:0μg
このように牛乳にはカルシウムもカルシウムの吸収を促進させるビタミンDも豊富に含まれています。
しかし、牛乳と比べると、豆乳はカルシウムの量は少なく、ビタミンDも含まれていません。
カルシウムを摂取するための食材としては、牛乳の方が適しているといえるでしょう。
加糖のものもある
植物性ミルクのなかには、飲みやすくするために加糖など甘く加工して販売されているものもあります。
無糖のものとパッケージも似ているため、間違えて加糖のものを購入することがあります。
よりヘルシーな植物性ミルクを選びたいときは、原材料やパッケージをしっかり確認しましょう。
植物性ミルクの市場拡大中?日本企業の事例
海外における植物性ミルクの市場は、拡大傾向にあります。
EUでは植物性ミルクの売上高が2018年から2020年の2年間で36%増加。
アメリカでは2018年から2021年の3年間で33%増加しました。
日本でも豆乳の生産量は、ここ10年の間に2.5倍以上も消費が拡大しています。
同じく、アーモンドミルク市場も拡大中です。
2022年の販売金額は155億円、販売量3.2万kl。
前年比で販売金額5%増、販売量8%増と着実に伸びています。
さらに、植物性ミルクを使用した商品も増加傾向です。
以下に植物性ミルクを原料とした商品開発に成功した事例をまとめました。
出典:牛乳消費促進・拡大に向けた消費者調査報告書
出典:日本豆乳協会
出典:アーモンドミルク研究会
ハーゲンダッツ「GREEN CRAFT」
ハーゲンダッツでは、2023年5月に「ハーゲンダッツ GREEN CRAFT(グリーン クラフト) ミニカップ」を発売しました。
「豆乳バニラ」「豆乳チョコレート&マカデミア」の2種類を展開しています。
クリーミーでコクのある豆乳と、すっきりとした味わいの豆乳の2種をブレンドすることで、なめらかな口溶けや濃厚な味わいを実現させました。
日本市場で長く親しまれている豆乳に着目した事例といえるでしょう。
出典:ハーゲンダッツ|ハーゲンダッツ GREEN CRAFT(グリーン クラフト) ミニカップ『豆乳バニラ』『豆乳チョコレート&マカデミア』
ロッテ「Greenクーリッシュ」
ロッテは植物性ミルクで仕上げたクーリッシュを発売。
隠し味に厳選した醤油を使用した結果、牛乳不使用でも変わらない美味しさを実現させました。
クーリッシュGreenバニラ継続購入意向者の95%が、美味しさを実感したそうです。
ロッテ「グリーンガーナ」
人気チョコレートであるガーナから、オーツミルクを使用したグリーンガーナが登場しました。
包装も環境に優しい素材を採用し、環境配慮に努めています。
身体にも地球にも優しい商品開発をした事例といえるでしょう。
グリコ「アイスの実 濃いアーモンドミルク」
グリコでは、人気商品「アーモンド効果」を使用したアイスの実を発売。
アーモンドミルクの美味しさが凝縮された一粒になっています。
おやつにビタミンEと食物繊維を摂取できるのはうれしいですよね。
マルサン「豆乳グルト」
マルサンは、ヨーグルトの代替品となる豆乳グルトを発売しました。
乳成分不使用で、植物由来の乳酸菌が含まれています。
豆乳グルトは、お通じを改善する機能性表示食品としても注目されています。
そのまま食べるだけではなく、料理やお菓子作りなどに幅広く活用できるのも魅力の一つです。
出典:マルサン|豆乳グルト
身体と環境にやさしい植物性ミルク
牛乳の代替品として活用される植物性ミルクは、環境や健康に対する意識が高い消費者から注目されています。
日本では豆乳が最も馴染みがありますが、最近では植物性ミルクの種類も広がっています。
- アーモンドミルク
- オーツミルク
- マカダミアナッツミルク
- ココナッツミルク
- ライスミルク
どれも植物由来ではあるものの、成分や味などは異なります。
自分の好みや用途に応じて使い分けることも楽しみの一つになるのではないでしょうか。
今後も市場拡大が見込まれる植物性ミルクは、さらに重宝される食品になるかもしれません。
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