日本伝統のアップサイクル!金継ぎとは?メリットや事例を解説
環境への関心が高まる中、「金継ぎ」が注目を集めています。
「金継ぎはやってみたいけどよくわからない」と思う方も多いのではないでしょうか。
この記事では、金継ぎの意味、メリットやデメリットについて紹介します。
また金継ぎを普及するための事例や個人でできる取り組みもまとめました。
金継ぎの魅力をより深く理解するために、ぜひ最後までお読みください。
金継ぎとは
金継ぎとは、割れたり欠けたりした陶磁器や漆器などを漆で修復し、金粉や銀粉で装飾する技法です。
文字通り金で継ぐため、「金繕い」「金直し」とも呼ばれています。
漆は、ウルシ科の落葉高木であるウルシの木の表面に傷をつけた際、分泌される樹液です。
植物由来の接着剤のような役割を果たします。
使えなくなったものをただ直すのではなく、金粉などで装飾することで新たなデザインや芸術性を生み出せるのが金継ぎのメリットです。
一方で、壊れる前よりも耐久性が下がるのはデメリットといえます。
陶磁器は土に還らない?
「土や粘土が原料である陶磁器は、廃棄しても土に還るのでは?」と疑問に思う方もいるのではないでしょうか。
しかし、陶磁器は土に還りません。
一度高温で焼成されると硬くなるので、自然の力で分解するのが困難になります。
そのため、陶磁器を土に埋めると環境に負荷をかけてしまいます。
金継ぎは日本伝統のアップサイクル
発掘された縄文土器には、漆で継いだ形跡が見られることから、金継ぎは古くから日本人にとって身近な存在でした。
金継ぎは日本伝統のアップサイクルといえます。
アップサイクルとは、廃棄されるものにデザインやアイデアといった新しい付加価値を加え、別のアイテムに生まれ変わらせる方法です。
この方法は、想像力や技術力を駆使して廃棄物を減らし、環境負荷を軽減する行動につながります。
修復した箇所を新たなデザインとして表現する金継ぎは、まさにアップサイクルを体現しています。
アップサイクルについて詳しく知りたい方は、こちらをお読みください。
関連記事:不用品の価値を向上させる【アップサイクル】とは?意味や取組事例も解説
また金継ぎはSDGsとも関わっています。
とくに、器の廃棄物を減らすため、SDGsの目標「12.つくる責任つかう責任」に貢献します。
目標12は、持続可能な生産消費形態を確保することを目指すものです。
具体的な内容として、2030年までに廃棄物の発生防止、削減、再生利用および再利用を通して、廃棄物の発生を大幅に削減するよう記載されています。
金継ぎの普及は、器の廃棄物を減らすことになり、持続可能な社会の実現への一歩にもなるでしょう。
金継ぎの普及に取り組む事例
では、金継ぎを普及させるために、どのような取り組みが実施されているのでしょうか。国内における事例をまとめました。
日本金継ぎ協会
日本金継ぎ協会は、金継ぎ教室の開催、飲食店への金継ぎの無償提供など、金継ぎを普及させる活動を実施しています。
業務用陶磁器販売会社「京橋白木株式会社」の4代目は、自分たちが納入した器がゴミ箱に当たり前のように廃棄されている現状に衝撃を受けました。
安価な輸入品が使い捨てにされる日本の現状を変える必要があると感じたのです。
そこから、「飲食店でも金継ぎの器を提供できないか」「飲食店のサステナビリティ推進を後押ししたい」と考えるようになり、2020年に日本金継ぎ協会を設立しました。
現在では、B品を金継ぎして定価で販売することで作家さんの成長を支援したり、全国の都道府県で金継ぎ師を育成したりなど、多方面から金継ぎの普及に尽力しています。
参考:日本金継ぎ協会
つぐつぐ
株式会社つぐつぐは、金継ぎを通して「器」「人」「伝統」をつなぎ、新しい価値や新しい体験を提供しています。
とくに注目すべきサービスは、金継ぎ器のレンタルです。
「手間暇かけて手作業で作っている、一点ものの金継ぎ器を買うのは勇気がいる」「ホームパーティーやイベントのためだけに、高級な器をそろえるのは難しい」といった悩みを解決すべく生まれました。
金継ぎを気軽に体験できるだけでなく、必要な時だけ使用できるため、ものを増やすこともありません。
環境にも家計にもやさしいサービスといえるでしょう。
参考:つぐつぐ
無印良品
無印良品では、新宿通り店限定で金継ぎサービスを提供しています。
陶磁器の器、置物、花瓶などが修理の対象で、月に50件以上の注文があるほど好評です。
金継ぎ修理は、先ほど紹介した「株式会社つぐつぐ」と連携して実施しています。
無印良品が提供する金継ぎサービスは、金継ぎ初心者にとって金継ぎを始めるきっかけになるでしょう。
また、有名企業との連携も、金継ぎの普及に重要な役割を果たします。
個人でできる!金継ぎの普及に貢献する4ステップ
個人としても金継ぎの普及に貢献できます。具体的な行動をステップごとに紹介します。
①知る
金継ぎの意味、メリットやデメリットを知ることが、貢献の第一歩です。
金継ぎに興味を持ち、インターネットや本などで調べることは大切なアクションといえます。
②体験する
次は、実際に金継ぎを体験してみましょう。
器が壊れた場合は、体験教室に参加したり、キットを使って自分で補修してみたりするのがおすすめです。
自分が愛用していたものなら、余計に愛着がわくはずです。
・播与漆行 金継ぎ初心者セット
・ 鹿田喜造漆店 金継ぎスターターセット
・堤淺吉漆店 金継ぎコフレ
時間を確保するのが難しい方は、金継ぎの修理サービスを依頼したり、金継ぎの器を購入したりしてみてはいかがでしょうか。
③使用する
金継ぎの器を使用することで、器の寿命を延ばすことに貢献できます。
ただし、金継ぎしたものは耐水性や耐久性が十分に保証されない場合があるため、使用にはご注意ください。
芸術性の高い金継ぎの器は、食卓を華やかにしてくれるでしょう。
④発信する
金継ぎは、古くから活用されてきた修繕方法ではあるものの、現代人にとってあまり馴染みはないかもしれません。
そのため、金継ぎを体験したり使ったりすることは、金継ぎの普及に大きく貢献します。
ぜひ、友人や家族に、金継ぎを通して学んだことや感じたことを伝えてみましょう。
金継ぎで器の寿命を延ばそう
金継ぎは、割れたり欠けたりした箇所を漆で修復し、金粉や銀粉で装飾する技法です。
壊れた器を修復しながら、芸術芸術作品として新たに生まれ変わらせることができます。
「一点もの」という付加価値を与える金継ぎは、アップサイクルの一つです。
壊れた器に手を加えることで器の寿命を延ばし、廃棄物の量を減らすことに貢献します。
最近では、金継ぎのレンタルや販売も増えており、自分に合う形で取り入れてみてはいかがでしょうか。
また、飲食店などで金継ぎの器を活用することで、サステナビリティの推進にもつながります。
消費者と生産者の双方に、金継ぎを活用して器の寿命を延ばす努力が求められています。
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