マクロビオティックとは?ヴィーガンとの違いやSDGsとの関係を解説
健康的な食生活をしたいけれど、肉や魚を禁止するのは避けたいと考えている方もいるのではないでしょうか。
今回は、玄米菜食を中心とした食事法であるマクロビオティックを紹介するとともに、ヴィーガンとの違いや期待できる効果なども解説します。
マクロビオティックを上手に取り入れて、自然と調和する健康な暮らしを実現させましょう。
マクロビオティックとは
マクロビオティックとは、玄米菜食を中心とする食事法で、その土地で採れた旬の食材を食べることを重要視しています。
「マクロビオティック」は「マクロ=大きな」「ビオ=生命」「ティック=術、学」の3つの言葉から成り立っています。
広い意味で考えると、自然と調和した生き方といえるでしょう。
アメリカを中心に広まったことで知られていますが、実は日本が発祥です。
桜沢如一が提唱したもので、明治時代に食医と讃えられた石塚左玄が考案した「食養生」に着想を得て、中国の「易」における陰陽を組み合わせました。
そして、玄米菜食を基本とする「正食」という食事法が確立されました。
例えば、マクロビオティックの一食の食材バランスは、以下が目安とされています。
- 玄米など未精製の全粒穀物:50~60%
- 野菜:25~30%
- 豆や海藻:10~15%
- その他(ナッツや果物など):5~10%
実践するのは難しそうに感じる方もいるかもしれませんが、基本的には玄米、お味噌汁、煮物など、昔ながらの和食に近いイメージです。
マクロビオティックは、人の健康だけではなく、自然環境にも配慮した食事法としてますます注目を集めています。
マクロビオティックの三大要素
マクロビオティックを実践する前に、3つの要素を理解することが大切です。それぞれのポイントを解説します。
①身土不二
身土不二(しんどふじ)とは、身体と環境は切り離せない関係であるという考え方です。
私たちの身体は、食べたものや周りの自然環境から大きな影響を受けています。
マクロビオティックでは、健康的な生活を送るためには、暮らす土地で採れたものを食べるのが理想とされています。
地産地消や国産のものを意識して食材を選びましょう。
また、旬の時期を考えた食材選びも大切です。
例えば、夏野菜は体内の熱を下げる働きがあり、寒い地域で採れる野菜は身体を内側から温める作用があります。
旬の食材を食べると、身体の調子を整える効果が期待できます。
さらに、旬の時期は、その時期に最も適した条件で栽培されるため、余計なエネルギーを必要としません。
そのため、サステナブルフードとも深く関係しています。
サステナブルフードについて詳しく知りたい方は、こちらをご覧ください。
関連記事:サステナブルフードは「環境や社会に配慮した持続可能な食品」
地元で採れた旬の食材を積極的に食べることは、身体と自然環境に配慮しているといえます。
②一物全体
一物全体(いちぶつぜんたい)とは、食材を余すことなく丸ごと食べるという考え方です。
例えば、野菜や果物の場合、皮や根、種などすべてを食べることを意味します。
これにより、食材に含まれる栄養を無駄なく摂取可能です。
また、米に関しても、精白していない玄米を食べることが推奨されています。
食材を余すことなく食べることは、栄養価アップに加えて、自然の恵みに感謝することにもつながるでしょう。
③陰陽調和
マクロビオティックには、すべてのものが「陰」もしくは「陽」に分類されるという考え方があります。
- 陰性の食材:火をあまり通さないもの・冷たいもの・水分の多いものなど
- 陽性の食材:じっくり煮込むもの・熱いもの・水分の少ないものなど
マクロビオティックでは、陰と陽のバランスが調和した状態を重視しています。
陰性の食材は上に向かって成長し、身体を冷やす作用があるとされる一方、陽性の食材は地中に向かって成長し、身体を温める作用があると考えられています。
陰陽のどちらかに偏るのではなく、双方バランスよく取り入れることが大切です。
献立を考える際には、サラダなどの冷たい料理と一緒に、お味噌汁などの温かい料理も積極的に取り入れましょう。
ヴィーガンとの違い
マクロビオティックでは、ヴィーガンと違って、特定の食べ物を完全に禁止することはありません。
ただし、肉、卵、乳製品などの動物性たんぱく質は、分解・吸収がされにくく、消化器官に負担がかかりやすいため避けるべきとされています。
他にも、精製された白砂糖や化学調味料などの使用も控えるべきとされています。
代わりに、マクロビオティックでは、大豆やひよこ豆、小豆などの豆類、大豆発酵食品などが主なたんぱく質源です。
SDGsの目標3「すべての人に健康と福祉を」との関係性
マクロビオティックの根底にある考え方は「自然と調和しながら、健康な暮らしを実現する」というものです。
この健康的な食生活は、SDGsの目標3「すべての人に健康と福祉を」と深く関係しています。
目標3では「あらゆる年齢のすべての人々の健康的な生活を確保し、福祉を促進する」と示されています。
玄米菜食がもたらす具体的な効果の一つは健康維持です。
ここでは、食品成分データベースをもとに玄米と白米を比較してみましょう。
【玄米(水稲めし)】
- エネルギー:152cal
- たんぱく質:2.8g
- 食物繊維:1.4g
- カリウム:95mg
- カルシウム:7mg
- マグネシウム:49mg
- 鉄:0.6mg
【精白米(水稲めし)】
- エネルギー:156cal
- たんぱく質:2.5g
- 食物繊維:1.5g
- カリウム:29mg
- カルシウム:3mg
- マグネシウム:7mg
- 鉄:0.1mg
このように、玄米は白米に比べて低カロリーでありながら、高い栄養価を示します。
栄養バランスを重要視するマクロビオティックは、持続可能で健康的な生活をサポートする有効な手段といえます。
参考:外務省|目標3.すべての人に健康と福祉を
参考:文部科学省|食品成分データベース|穀類/こめ/[水稲めし]/玄米
参考:文部科学省|食品成分データベース|穀類/こめ/[水稲めし]/精白米/うるち米
マクロビオティックの注意点
マクロビオティックを実践する際に注意すべき点は、不足しがちな栄養素があることです。
まず、たんぱく質不足には気をつけましょう。
肉や魚を避けて食事するため、たんぱく質の摂取量は少なくなりがちです。
そのため、玄米や大豆製品を積極的に取り入れることが重要です。
また、ビタミンB12は魚介類やレバーなどの動物性食品に多く含まれるため、菜食中心の食事だと不足しやすくなります。
ビタミンB12の欠乏は、貧血や疲労感、不眠症やむくみなどの症状を引き起こす可能性があるため、あさりやしじみなど、ビタミンB12が豊富な食材をバランスよく取り入れましょう。
自分を労わる「マクロビオティック」
玄米菜食を中心とするマクロビオティックは、人の健康と自然環境の両方を大切にする食事法です。
例えば、暑い季節には身体を冷やす夏野菜を食べるなど、自然のリズムに調和する生き方を推奨しています。
ヴィーガンとは違い、食べ物に厳しい規制はありません。難しく考えずに、旬の食材と玄米を中心とした食事を心がけることが大切です。
玄米菜食を基本とすることで、自然と栄養バランスの取れた食事につながります。
今日から少しでもマクロビオティックを意識して、内側から自分を大切にしてみてはいかがでしょうか。
『GREEN NOTE(グリーンノート)』は環境・社会課題をわかりやすく伝え、もっと身近に、そしてアクションに繋げていくメディアです。SDGs・サステナブル・ESG・エシカルなどについての情報や私たちにできるアクションを発信していきます!