エシカルライフ

サステナブルフードの定義とは?種類や企業の取り組み事例を紹介

「自然・社会・地球の持続可能性」という意味を持つサステナブルという言葉。

サステナブル消費、サステナブル経営などを耳にする機会が増えました。

そして今、注目されているのが「サステナブルフード」です。

サステナブルフードは、自然環境や社会問題に配慮した食品です。

欧米を中心に広まり、現在では日本国内でもサステナブルフードを手に入れられるようになりました。

今回は、サステナブルフードの種類や取組事例などを紹介します。

サステナブルフードは「環境や社会に配慮した持続可能な食品」

サステナブルとは、英語でsustabableと表記し、「長く続く」「持続可能」と訳されます。

近年では環境や社会問題に焦点をあて「環境や社会における持続可能性」を意味するようになりました。

そしてサステナブルフードはサステナブルな食品、つまり「環境や社会に配慮した持続可能な食品」を意味します。

サステナブルフードには、海や土壌などの自然環境に配慮された食品、生産者の人権や生活に配慮した食品などが当てはまります。

サステナブルフードが注目される3つの理由

サステナブルフードが注目されるようになったのは、食品業界の問題が関係しています。

  • 食品ロス(フードロス)
  • 食肉による環境破壊
  • 将来予測される食糧危機

食品ロス(フードロス)

食品ロス(フードロス)とは、「本来食べられる状態なのに捨てられる食品」のことです。

農林水産省によると、2019年における食品ロスの量は570万トンでした。

日本人一人当たり年間45kgで、お茶碗一杯分の食品を毎日捨てている計算になります。

570万トンの内訳は事業系食品ロスが54%、家庭系食品ロスが46%です。

食品ロスが出る原因は状況により異なりますが、家庭系食品ロスの原因は主に3つあります。

● 直接廃棄:買いすぎ、長持ちしない保存方法
● 食べ残し:作りすぎ、好き嫌い、冷蔵庫に放置する
● 過剰除去:過度な健康志向、皮やヘタの取りすぎ

食品ロスは、食べずに捨てているのと同じことです。

環境や資源を無駄にしているだけでなく、自らのお金も無駄にしていることになります。

下記記事でフードロスの現状や取り組みを紹介していますので、合わせてチェックしてみてください。

【日本】深刻なフードロスの現状とは?削減に必要な3つの取り組み

食肉による環境破壊

食肉が環境破壊の原因の一つであることをご存知でしょうか?

特に工業型畜産は、環境負荷が高いとされています。

工業型畜産とは、効率性を重視し、工業的にお肉を生産するシステムのことです。

日本をはじめ経済的に豊かになった人々が、安く美味しい肉を大量に求めるようになったことから、工業型畜産は生まれました。

2019年のアマゾン大火災は、家畜用の穀物や放牧地を確保するための人為的な焼き畑が原因の一つと言われています。

また、家畜は温室効果ガスを大量に排出します。

これは、飼料の生産や排泄物の処理、加工処理などの工程で大量のエネルギーが使われているためです。

EWGは、食品1kgあたりの二酸化炭素排出量を以下のように発表しています。

● 羊肉:39.2kg
● 牛肉:27.0kg
● 豚肉:12.1kg
● 鶏肉:6.9kg

一方で豆腐やナッツ、野菜類の二酸化炭素の排出量は2.0kg以下で、畜産と比較すると10倍近く差があります。

参考:EWC「Climate and Environmental Impacts」より

将来予測される食糧危機

「食糧危機」とは、必要な量の食糧が確保できなくなることです。

人口増加や気候変動などが原因で将来、食糧危機が起きると言われています。

2050年までに世界人口は97億人(2021年時点で78億人)、食糧需要は2010年の1.7倍である58.17億トンと予想されます。

参考:農林水産省「2050年における世界の食糧需給見通し」より

また化学肥料による土地の汚染や気候変動により、十分な量の食材が生産できなくなるという意見もあります。

2020年にはCOVID-19のパンデミックの影響もあり、最大8億1,100万人が栄養失調に陥ったと推定されています。

この数字は、世界人口の10分の1に当たります。

サステナブルフードに関する認証ラベル・マーク

サステナブルフードは「環境や社会に配慮された食品」と説明しましたが、実際にどの食品が当てはまるのか判断が難しい場合もあります。

そんな時に目印となるのが、認証ラベル・マークです。

ここでは、代表的な4つの認証ラベルをご紹介します。

● 有機JASマーク
● MSC「海のエコラベル」
● 国際フェアトレード認証
● レインフォレスト・アライアンス認証

※「サステナブルフードには認証ラベルが絶対に必要」という意味ではありません。

有機JASマーク

「有機JASマーク」は、農薬や化学肥料などの化学薬品を使用していない食品を示します。

主に、農産物や加工食品、飼料、畜産物及び藻類に付けられます。

JAS規格に適合した生産がされているかを第三者機関が検査します。

認証された事業者だけが有機JASマークを商品につけることができます。

有機JASマークがない商品に「有機」や「オーガニック」という名称をつけるのは禁止されています。

参考:農林水産省「有機食品の検査認証制度」より

MSC「海のエコラベル

MSC「海のエコラベル」は、水産資源と環境に配慮した持続可能な漁業であることが審査によって認められた、MSC認証取得漁業で獲られた水産物に付けられる認証ラベルです。

漁業がMSC認証を取得するためには、以下の3つの原則からなる要求事項を満たす必要があります。

原則1:資源の持続可能性

過剰な漁獲を行わず資源を枯渇させないこと。枯渇した資源については回復を論証できる方法で漁業を行うこと。

原則2:漁業が生態系に与える影響

漁業が依存する生態系の構造、多様性、生産力等を維持できる形で漁業を行うこと。

原則3:漁業の管理システム

原則12を満たすための地域や国内、国際的なルールを尊重した管理システムを有すること。また、持続可能な資源利用を行うための制度や体制を有すること。

MSC認証の目的は、過剰漁獲の根絶です。

国連食糧農業機関(FAO)の『世界漁業・養殖業白書 2022年』によれば、現在、世界の水産資源の3分の1以上は持続可能なレベルを超えて漁獲されていると言われています。

参考:MSCウェブサイト「MSC『海のエコラベル』とは」より

国際フェアトレード認証

フェアトレードとは、公平・公正な貿易の仕組みのことです。

開発途上国の小規模生産者や労働者などの労働環境の保護や生活水準の向上、自立などを目的としています。

国際フェアトレード認証」とは、基準を満たすフェアトレードが行われた商品であることを示すラベルです。

原料の生産から輸出入、加工、製造までの全工程で、国際フェアトレードラベル機構が定めた基準を満たす必要があります。

参考:「フェアトレードジャパン」より

下記記事でフェアトレード商品について紹介しているので、参考にしてみてください。

フェアトレード商品とは?できることや問題点をわかりやすく解説!

レインフォレスト・アライアンス認証

「レインフォレスト・アライアンス認証」は、持続可能性の強化につながる手法を用いて生産されたものを認証します。

基準は、3つの柱(環境・社会・経済)だけでなく、以下の問題にも配慮されています。

● 森林保護
● 気候変動対策
● 生産者の人権の尊重
● 生活水準の向上

レインフォレスト・アライアンス認証は、小さな緑のカエルが目印です。

コーヒーやチョコレート、バナナなどでこの認証を見つけることができます。

参考:「Rainforest Alliance」より

サステナブルフードの種類

サステナブルフードには、具体的にどんな種類があるのでしょうか?

● オーガニック(有機)の食材
● 代替肉
● フェアトレード商品
● スマート米
● サステナブルシーフード
● 昆虫食

サステナブルフードの代表的なものを6つ紹介します。

地球を傷付けない「オーガニック(有機)の食材」

オーガニック(有機)の食材は、農薬や殺虫剤などを使用せずに生産されます。

一部、オーガニック栽培に対応した農薬もありますが、天然由来の農薬などに限られています。

自然に寄り添った栽培を行うので、地球に優しいと言えるでしょう。

化学薬品の長期的な使用は、害虫だけでなく土の中の微生物にも影響を与え、その土壌が持つ栄養を奪ってしまうのです。

オーガニックの食材を購入する際は、有機JASマークを目印にしましょう。

二酸化炭素の排出が少ないお肉「代替肉」

大豆を原料とした大豆ミートは、日本のスーパーやカフェでも見かけるようになりました。

欧米では、エンドウ豆から作る「ビヨンドミート」が人気です。

植物性のお肉は動物性のお肉と比較すると、温室効果ガスの排出量や使用する水の量が少ないという特徴があります。

また「培養肉」というお肉もあります。

培養肉とは、名前のとおり培養されたお肉です。

動物の細胞を培養することでお肉を作ります。

従来の家畜と比べて環境負荷が低いこと、広大な土地が不要であるなどのメリットがあります。

発芽大豆を丸ごと使った「Soycle(ソイクル)」は、お肉に引けを取らない「うま味と栄養価の高い」大豆ミートです。

カラダと環境にやさしい食材でハンバーグや餃子、から揚げなどにもアレンジできるおすすめな商品なのでぜひチェックしてみてください。

公式サイト:https://soycle.com/

生産者の人権を守る「フェアトレード食品」

私たちが安いコーヒーやチョコレートを購入できるのは、低賃金で働く生産者がいるからです。

彼らの多くは発展途上国に住んでおり、長時間の労働や児童労働などが行われている場合もあります。

「フェアトレード食品」は、貧困に苦しむ労働者の生活や労働環境改善のために、正当な価格で取引が行われた食品です。

フェアトレード食品はコーヒーやチョコレート以外にも、ハチミツ、ナッツ、スパイスなどさまざまな種類があります。

農薬を最小限に抑えた「スマート米」

「スマート米」とは、株式会社オプティムと全国の生産者が協力して栽培しているお米です。AIやドローンを使ってピンポイントで農薬を散布するなど、テクノロジーを駆使した栽培を行っています。

農薬利用を最小限に抑えることで、環境・生産者・消費者のすべてに優しいお米となりました。2019年時点で1000件以上の団体が参加、農家も増え続けています。

株式会社オプティムでは、お米以外に黒枝豆の栽培も行っているようです。

参考:「株式会社オプティム「スマート米」」より

海を守る「サステナブルシーフード」

「サステナブルシーフード」とは、先ほど紹介したMSC認証を取得した水産物や、植物性の水産物のこと。

人口増加や健康志向などにより、水産物の消費量は右肩上がりなのに対し、過剰漁獲により水産資源は減少しています。

海を守るためには、漁獲量の適切な管理が必要です。

また代替肉のように、植物性の水産物も開発されています。

大豆が原料のツナ缶やトマトから作られるマグロ、海藻と植物性タンパク質から作るエビなどが有名です。

培養肉と同じく、魚の細胞を培養する「クリーンミート」などもあります。

海外では広がりつつある!?「昆虫食」

国際連合食糧農業機関(FAO)は2013年の報告書において、食用や家畜の飼料として昆虫を推奨しました。

コオロギやバッタなどの昆虫は、畜産よりも温室効果ガスの排出が少ないだけでなく、栄養価も高いとされています。

日本には昔から昆虫食の文化があり、現在でも長野県や岐阜県などではイナゴや蜂の子が食べられています。

世界では現在も20億人が、昆虫を常食しているとの調査もあります。

近くのスーパーやコンビニに、昆虫が並ぶ時代が来るかもしれません。

関連記事:昆虫食のメリット・デメリット、食糧危機を救う理由とおすすめ商品を紹介

サステナブルフードの取り組み事例

多くの企業が、サステナブルフードを取り入れています。

スーパーやカフェでも、サステナブルフードを扱うところが増えてきました。

実際にサステナブルフードを取り入れている企業を3つご紹介します。

● IKEA
● コメダ
● KURADASHI

気になるお店があれば、是非利用してみてください。

IKEA:充実したプラントベース食品

北欧発、シンプルかつおしゃれな家具などを扱うIKEA。

IKEAではプラントベースの食品を数多く扱っています。

プラントベースとは、「動物由来の原材料を使用せず、植物由来の原材料を使用した食品のこと」です。

植物性の肉団子「プラントボール」は人気商品の一つです。

他にはプラントラーメン、ベジタブルホットドックなど豊富なラインナップです。

店内にあるレストランでは、プラントカツカレーやチョコレートムース、ケバブなどもあります。

どの商品も”本当に植物性?”と疑うほど美味しく、おすすめです!

参考:IKEA「イケアレストランへようこそ」より

コメダ:プラントベース専門の「KOMEDA is □」

モーニングが有名なコメダのプラントベース専門店が「KOMEDA is □」です。

名物のシロノワールやバーガー、パンケーキ、ボロネーゼなどが楽しめます。

大豆のサラダ「贅沢具レインズ」など、KOMEDA is □でしか食べられないメニューもあります。

もちろん、コメダ名物のモーニングもプラントベースです。

トーストのトッピングは、ジャム、小倉あん、豆乳クリームチーズ、ミネストローネから選べます。

現在、KOMEDA is □は東銀座店の1店舗のみ。

お近くの方は是非行ってみてください!

参考:「KOMEDA is □」より

KURADASHI:サステナブルフードの国内最大通販サイト

「KURADASHI」は食品ロス削減を目的とした、日本最大級のショッピングプラットフォームです。

賞味期限の近い食品をメーカーが提供し、消費者は最大97%オフで商品を購入します。

また、売上の一部は環境や動物の保護団体やクラダシ基金など、さまざまな社会福祉団体へ寄付されます。

KURADASHIでは食品を中心に、さまざまな商品を扱っています。

● 食品
● スイーツ・お菓子
● 飲み物
● お酒
● 日用品
● 美容・健康用品 など

社会貢献すると共に節約もできる、サステナブルな仕組みです。

参考:「KURADASHI」より

私たちにできるのは「サステナブルフードを選ぶこと」

サステナブルフードは少しずつ認知されていますが、まだまだ知らない人も多いです。

オーガニック食品の値段が高いと感じている方も多いのではないでしょうか。

オーガニック食品だけでなく、サステナブルフードは値段が高めです。

フェアトレードのように公正な取引のために値段が担保されている場合もありますが、需要の少なさから値段が上がっている場合もあります。

サステナブルフードをもっと身近にするために、私たちにできるのは「選択」です。

多くの人がサステナブルフードを選ぶことで、生産者を応援するだけでなく、企業へサステナブルフードの必要性を伝えることができます。

まとめ

環境・社会・経済に配慮した持続可能な食材である、サステナブルフード。

国内外で少しずつ、増えています。

サステナブルフードを選ぶことは、社会貢献につながります。

毎日食べるものだからこそ、地球や他の誰かのためになったら嬉しいですよね。

サステナブルな社会を実現するための第一歩として、サステナブルフードを選んでみませんか?

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