スマートシティ候補地まとめ|注目エリアと営業先の選び方

スマートシティ関連の予算・事業が各地で動き出すなか、「どの自治体にアプローチすべきか」整理できていない営業担当者も多いのではないでしょうか。
本記事では、国が指定・支援するスマートシティに関する制度の概要から、注目の候補地・推進地域の最新動向、営業先を選ぶ際の評価のポイント、自治体の意思決定の流れまで、役立つ情報をまとめました。
スマートシティとは?

まずは、スマートシティの基本的な定義・目的と違いを押さえておくことが大切です。
ここでは、スマートシティの定義や目的、スーパーシティとの違いについて解説します。
スマートシティの定義と目的
スマートシティとは、IoT・AI・データ活用などの先端技術を使って、交通・エネルギー・医療・行政サービスなど都市の機能を効率化・高度化しようとする取り組みです。
国土交通省では「都市が抱える諸課題の解決に向けて、ICT等の新技術やデジタル情報を活用のうえ、計画、整備、管理・運営等のマネジメントを通じ、全体最適化が図られた持続可能な状態を目指す都市または地区における取組」と定義しています。
少子高齢化・財政難・インフラの老朽化などの課題を抱える自治体にとって、スマートシティは課題解決の手段として位置づけられています。
IT・インフラ・建設・通信・コンサルなど、幅広い企業に営業チャンスが生まれているのも、こうした背景からです。
スマートシティとスーパーシティの違い
スマートシティとよく混同されるのが「スーパーシティ」です。両者の違いは以下のとおりです。
- スマートシティ:交通・エネルギーなど特定の領域にテクノロジーを導入する取り組み。地域や規模を問わず全国で推進されている。
- スーパーシティ:AIやビッグデータ(都市OS)を活用し、移動・医療・教育・行政など生活全般のデータを連携させ、2030年頃の未来の生活を2020年代に先行実現する都市。現在はつくば市・大阪市が指定されている。
スーパーシティは規制緩和が伴うため、実証実験や新サービス導入のチャンスが特に大きい地域です。
国が指定・支援するスマートシティ関連制度一覧

どの自治体が国の支援を受けているかを把握することが、営業候補地を絞り込む第一歩です。主な制度を2つ紹介します。
- スーパーシティ型国家戦略特区(つくば市・大阪市)
- デジタル田園都市国家構想・国交省スマートシティ支援事業
スーパーシティ型国家戦略特区(つくば市・大阪市)
内閣府が認定するスーパーシティ型国家戦略特区は、現在つくば市(茨城県)と大阪市の2都市です。
- つくば市:研究学園都市としての強みを活かし、ロボットの導入・マイナンバーを活用したデータ連携・デジタル行政サービスなどを推進。国内外の企業との実証実験が活発に行われている。
- 大阪市:2025年大阪・関西万博を機にスマートシティの動きが加速。夢洲コンストラクション、大阪・関西万博、うめきた2期の3つのプロジェクトで、ヘルスケアとモビリティ分野を中心に「住民のQOL向上」「都市競争力の強化」を目指している。
デジタル田園都市国家構想・国交省スマートシティ支援事業
スーパーシティ以外にも、全国規模で自治体を支援する制度がいくつかあります。
- デジタル田園都市国家構想(デジタル庁・総務省):「心ゆたかな暮らし」(Well-Being)と「持続可能な環境・社会・経済」(Sustainability)を実現していく構想。デジタルを活用した新たなサービスやビジネスモデルを生み出しながら、デジタルの恩恵を地方にも届ける取り組み。
- 国土交通省スマートシティ先行モデルプロジェクト:スマートシティの実現に向けた先行モデル事業を15事業選定し、資金やノウハウ面で支援。これまで15以上の地域が採択されており、継続的な予算の投下が続いている。
参考:デジタル庁「デジタル田園都市国家構想」
参考:国土交通省「スマートシティの実現に向けた計画を策定~15の先行モデルプロジェクトにおける実行計画~」
参考:別紙1 先行モデルプロジェクト
注目のスマートシティ候補地ピックアップ

全国に多くのスマートシティ推進地域があるなかで、特に動きが活発で営業チャンスが大きい地域をエリア別に3つ紹介します。
- 関東エリア(つくば市・横浜市・柏市)
- 関西・中部エリア(大阪市・浜松市・豊田市)
- 注目の地方候補地(会津若松市・北九州市・札幌市)
参考:国土交通省「都市局で支援したスマートシティ実行計画・取組内容・実証実験結果」
参考:国土交通省「スマートシティモデル事業の選定について」
関東エリア(つくば市・横浜市・柏市)
- つくば市:スーパーシティの指定を受け、自動運転・医療・教育など幅広い分野で実証事業が集中。研究機関・大学との連携が強く、技術系ソリューションの実績づくりに最適。
- 横浜市:「横浜スマートシティプロジェクト」を推進し、エネルギー管理・交通の最適化・高齢者支援などを重点領域として設定。企業の規模を問わず参画のチャンスあり。
- 柏市:千葉大学との連携による「柏の葉スマートシティ」が全国的に注目されている。エネルギー・モビリティ・医療の3分野でのスマート化が進行中。
関西・中部エリア(大阪市・浜松市・豊田市)
- 大阪市:スーパーシティの指定に加え、万博跡地(夢洲)の開発も控え、中長期的な投資が続く地域。都市OSと連携できる企業に特にチャンスあり。
- 浜松市:「浜松スマートシティ協議会」を軸に、エネルギー・交通・農業分野でのスマート化が進行中。スタートアップとの連携にも積極的。
- 豊田市:自動車産業の集積を背景にモビリティ系の実証が活発。トヨタグループとの連携事業が多く、関連サプライヤーにとっても、入りやすい環境。
参考:NTT東日本「都市OSとは?スマートシティの基礎知識や特徴、活用メリットをわかりやすく解説」
注目の地方候補地(会津若松市・北九州市・札幌市)
- 会津若松市:
- 地方型スマートシティの成功モデルとして全国から注目される都市。市民データの活用・行政DX・観光分野での先進的な取り組みが続いている。
- 北九州市:「北九州スマートシティ推進協議会」を中心に、エネルギー・環境・モビリティの3分野での実装が進んでいる。九州全体のスマートシティ拠点として位置づけ。
- 札幌市:北海道全体のデジタル化をリードする都市として、行政DX・観光・農業×テクノロジーの領域で実証事業が進行中。
スマートシティ候補地・営業先を選ぶ評価軸

候補地が多いなか、営業リソースを集中させるための評価軸を2つ紹介します。
- 予算規模・DX推進体制で絞り込む
- テーマ・課題(交通・医療・エネルギー)から探す
予算規模・DX推進体制で絞り込む
まず確認すべきは、「予算が動いているか」と「推進体制が整っているか」の2点です。
- 予算の確認方法:各自治体の総合計画・デジタル化推進計画・予算書を確認。国の補助金採択情報(デジタル庁・国交省・総務省のウェブサイト)も参考に。
- 推進体制の確認方法:「スマートシティ推進室」「デジタル戦略課」など専任部署の有無を調べる。担当者が明確な自治体ほど、意思決定がスムーズに進みやすい。
テーマ・課題(交通・医療・エネルギー)から探す
自社のソリューションが解決できる課題の領域で候補地を絞ることで、提案が通りやすくなります。
- 交通・モビリティ:自動運転・MaaS・公共交通DXに力を入れている地域(豊田市・柏市・福岡市など)
- 医療・介護:高齢化率の高い地方都市において、医療データ連携に取り組む地域(つくば市・会津若松市など)
- エネルギー:再エネ・マイクログリッド・省エネ管理に積極的な地域(浜松市・北九州市・横浜市など)
参考:スマートシティ官民連携プラットフォーム事務局「スマートシティプロジェクト」
参考:国土交通省「スマートシティモデル事業の選定について」
自治体営業で押さえるべき意思決定の流れと予算

候補地を絞ったあとは、自治体特有の意思決定の流れや予算について理解することが受注への近道となります。
主な2つを紹介します。
- 自治体の意思決定の流れ
- 予算編成のサイクル
自治体の意思決定の流れ
自治体の意思決定は民間企業と大きく異なります。
主な関係者と役割を押さえておきましょう。
- 首長(市長・知事):スマートシティ推進の旗振り役。首長のビジョンが強い自治体ほど予算がつきやすい傾向。
- 担当部署(デジタル推進課・企画課など):実際の事業者選定・仕様の策定を担当。窓口としての関係構築が最も重要。
- 議会:予算の執行には議会の承認が必要。議会の動向を把握しておくと予算スケジュールが読みやすくなる。
- 外部有識者・コンサル:計画の策定段階で入っていることが多く、早期に関係を築けると提案のチャンスが広がる。
予算編成のサイクル
自治体の予算編成のサイクルを理解することが、営業タイミングの最適化につながります。
- 9〜11月:翌年度の予算要求・概算要求の時期。新規事業の提案はこの時期までに担当者に届けることが大切。
- 12〜2月:予算案の確定・議会での審議。この時期は新規提案よりも既存の関係を深めることが有効。
- 4〜6月:新年度のスタートであり、採択事業の事業者選定・入札が動き出す時期。RFP(提案依頼書)の公募情報をチェックしておくとよい。
今後のスマートシティ候補地の見つけ方

既存の候補地に加えて、新たな営業先を継続的に見つけるための情報収集の方法を紹介します。
- 公的情報源の活用
- 入札情報・自治体ニュースの定期なチェック
公的情報源の活用(国土交通省・デジタル庁・総務省)
信頼性の高い公的情報源を定期的にチェックすることで、動いている事業をいち早く把握できます。
- 国土交通省「スマートシティプラットフォーム」:採択事業・参画企業・取り組み内容を一覧で確認できる。
- デジタル庁「デジタル田園都市国家構想交付金」採択情報:補助金が動いている自治体を効率よく把握できる。
- 総務省「地域情報化アドバイザー派遣事業」:デジタル化に関心のある自治体のリストとして活用。
参考:国土交通省「スマートシティに関する取り組み」
参考:デジタル庁「デジタル田園都市国家構想」
入札情報・自治体ニュースの定期なチェック
公的情報源に加えて、以下のルーティンチェックも効果的です。
- 入札情報サービス(NJSS・官公庁電子入札等):スマートシティ関連の調達案件を横断的に検索できる。
- 自治体の公式ウェブサイト・プレスリリース:新規事業の公募やパートナー募集の情報が掲載される。
- 地方紙・専門メディア(日経グローカル・自治体通信等):現場レベルの動向がいち早くキャッチできる。
まとめ
スマートシティ関連の営業チャンスは、国の制度整備を背景に全国各地に広がっています。
ただし候補地が多いため、関連制度や候補地などを選定してから選ぶことが大切です。
まずは国の指定制度・補助金採択情報で「予算が動いている自治体」を絞り込み、自社ソリューションのテーマ領域と掛け合わせて優先度の高い候補地を特定するとよいでしょう。
自治体の予算サイクルと意思決定の流れなどを事前に理解したうえで、最適なタイミングで関係構築を進めてみてください。
スマートシティへの理解を深め、評価軸や意思決定構造などをおさえて選ぶことが、効率化や高度化されたまちづくりにつながるでしょう。
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