地方創生

防災と地方創生で持続可能に|SDGs目標11「住み続けられるまちづくりを」

昨今の状況から、「今の場所に住み続けていいのか」「地方へ移住しようか」など、住む場所について考えた方も多いのではないでしょうか。

SDGsには、目標11「住み続けられるまちづくりを」という目標があります。

これは、すべての人が生活しやすいまちをつくることを目指しています。

とはいうものの、「目標11とはどのような内容なのか」「政府や企業はどのような取り組みをしているのか」など疑問に思う方もいるかもしれません。

この記事では、SDGsの目標をわかりやすく解説するとともに、企業や個人の取り組みをくわしく紹介します。

SDGs目標11「住み続けられるまちづくりを」とは

SDGs目標11「住み続けられるまちづくりを」では、だれもが安心・安全に生活できる災害に強いまちづくりを目指しています。

世界では、ここ40年で移住を余儀なくされる大規模な自然災害が増えました。

干ばつや豪雨などの災害の増加は、移住を強いられたり、食糧危機にさらされたりする原因になります。

国や自治体の防災も非常に重要ですが、一人ひとりが防災意識を高めることも欠かせません。

一人ひとりが安心して暮らせるように環境保護やインフラ整備をしながら、持続可能なまちづくりをすることが求められています。

SDGs目標11「住み続けられるまちづくりを」のターゲット

目標11「住み続けられるまちづくりを」を達成するために、7つのターゲットが明記されています。

11-1 2030年までに、すべての人が、住むのに十分で安全な家に、安い値段で住むことができ、基本的なサービスが使えるようにし、都市の貧しい人びとが住む地域(スラム)の状況をよくする。
11-2 2030年までに、女性や子ども、障害のある人、お年寄りなど、弱い立場にある人びとが必要としていることを特によく考え、公共の交通手段を広げるなどして、すべての人が、安い値段で、安全に、持続可能な交通手段を使えるようにする。
11-3 2030年までに、だれも取り残さない持続可能なまちづくりをすすめる。すべての国で、だれもが参加できる形で持続可能なまちづくりを計画し実行できるような能力を高める。
11-4 世界の文化遺産や自然遺産を保護し、保っていくための努力を強化する。
11-5 2030年までに、貧しい人びとや、特に弱い立場にある人びとを守ることを特に考えて、水害などの災害によって命を失う人や被害を受ける人の数を大きく減らす。世界の国内総生産(GDP)に対して災害が直接もたらす経済的な損害を大きく減らす。
11-6 2030年までに、大気の質やごみの処理などに特に注意をはらうなどして、都市に住む人(一人当たり)が環境に与える影響を減らす。
11-7 2030年までに、特に女性や子ども、お年寄りや障がいのある人などをふくめて、だれもが、安全で使いやすい緑地や公共の場所を使えるようにする。

引用:日本ユニセフ協会「SDGsCLUB」

つまり、目標達成には以下の解決が重要です。

  • まち全体の防災対策
  • 適正な住居費
  • 公共交通機関の利便性
  • 大気の質やごみ処理の改善と環境保護

すべての人が快適に暮らせるように、都市や地方関係なく、どの地域も取り組まなければいけません。

関連記事:SDGsとは何かわかりやすく解説!3つの取り組み事例を紹介

日本の課題は『地域格差』

けれども、「日本は住みやすい国ではないの?」「日本にはどんな課題があるか」と疑問に思う方もいるかもしれません。

日本が解決すべき課題は「地域格差」。

これは世界共通の問題ともいえます。

現在、75億人の世界人口の半数以上は都市に住んでいて、2050年までに70%以上に達するのではないかと予想されています。

人口が集中することで起こる問題は以下の通りです。

  • 地域の雇用確保が困難になって経済的格差が大きくなる
  • 都市部の大気汚染が深刻化する
  • 地方の公共交通機関やインフラの管理が難しくなる

人口急減・超高齢化などの大きな課題を抱える日本政府も課題解決に力を入れています。

それが「地方創生」です。

地方創生とは、各地域がそれぞれの特徴を活かし、自分たちの意志で持続的な社会を創生することを目指す活動です。

具体的には「経済発達する地域をつくる」「都市部から地方へ移住する人を増やす」「結婚・出産・子育てのサポート充実を図る」など、地方でも安心して仕事や子育てができる地域の開発に力を入れています。

2020年以降、新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、リモートワークで増えると同時に人口増加した自治体も少なくありません。

関連記事:【地方創生×SDGs】自治体や企業の取り組みを知ろう

千葉県流山市

若い共働き世代をターゲットにして、都市計画を進めました。

流山市では、駅前で子どもを預かり、保育所までバスで送迎する行政サービスを開始しました。

ママ世代からは「出社前に預けるだけでいいからとても助かる」と好評のようです。

参照:流山市「子育て」

兵庫県明石市

兵庫県明石市では、出生率が増加しています。

2021年7月から高校3年生までの医療費が無料になりました。

さらに2020年10月からは「おむつ定期便」という子育てサービスを開始。

子育て経験ありの支援員が満一歳の誕生月まで毎月、自宅に3000円相当の紙おむつや離乳食などを無料で届けているそうです。

参照:明石市「子育てするならやっぱり明石」

どちらの自治体も、子育て支援に力を入れていることが分かりました。

新しい働き方が増えている今は、地域格差の解決のチャンスともいえるのではないでしょうか。

企業の取り組み4選

では、企業は住み続けるまちづくりの実現のために、どのような活動をしているのでしょうか。

4つの企業の事例を以下にまとめました。

大和ハウス

大和ハウスでは、『人がいつまでも生き生きと暮らせるよう、いまこそ、街の「再耕」へ』を掲げています。

過去に開発した郊外型住宅団地(ネオポリス)に活気を戻す「リブネスタウンプロジェクト」に取り組んでいます。

シニア世代と若者が支えあって一緒に働く環境を整えたり、その街に生まれた文化や歴史を伝承する活動に取り組んだりなど、それぞれの地域の良さを活かしたまちづくりを実施していました。

参照:大和ハウス「リブネスタウンプロジェクト」

JAL

JALは、復興支援に力を入れています。

住み続けられるまちづくりには、災害があっても1日でも早く日常を取り戻す力も必要です。

自然災害が発生し、依頼があれば、すぐに緊急支援物資をJALの飛行機で被災地へ輸送しています。

またイオンから依頼を受けた場合、支援物資を被災地へ運ぶこともあるそうです。

企業同士が パートナーシップを結んで、被災地支援に取り組んでいるのは素敵ですね。

参照:JAPAN AIRLINES「被災地への復興支援」

トヨタ

トヨタは、最先端の自動車開発技術を生かしながら、持続可能なまちづくりを目指しています。

電気自動車「e-Palette(イー・パレット)」は、新しい交通手段を叶える自動車です。

今までは行きたい場所へ自動車を使って移動するのが当たり前でした。

けれども、自動運転可能なe-Paletteは、自動車自体が必要なときに近くまで来てくれます。

移動販売も可能なので、買い物のためにお店にいくのではなく、お店が来てくれるという新しいライフスタイルの実現が可能です。

さらにバリアフリーにも特化し、入り口も広いので車いすやお年寄りの方でも乗り降りがしやすくなっています。

地方が抱える交通機関の不便さを解決することが期待できます。

さらに、環境に優しい技術も組み合わせているので、環境保護の役割も担っているといえます。

持続可能なまちづくりに必要不可欠な自動車になるといえるのではないでしょうか。

参照:TOYOTA「SDGsへの取り組み」

三菱電機

三菱電機では、メンテナンスを通じたエレベーターの安全・安心な利用をサポートしています。

万が一閉じ込められた場合、

  • 情報センターへの自動通報、エレベーターの状況分析を実施
  • 遠隔から救出可能か判断する
  • スタッフがエレベーター内のインターホンで通話する
  • 遠隔操作で利用者の救出を図る

など、遠隔での救出ができるそうです。

地震時エレベーター自動診断&復旧システム「ELE-Quick」の開発にも力を入れています。

2022年に発生した都市部の地震でも、マンションのエレベーターが止まったことが問題になっていました。

エレベーターの停止時間が少しでも短くなることは、住みやすさにも繋がるといえるのではないでしょうか。

参照:三菱電機

個人でできる「防災」について

「住み続けられるまちづくりを」の達成には、個人の取り組みも必要不可欠です。

一人ひとりに必要な防災を紹介します。

「我が家は大丈夫か」ぜひチェックしてみてください。

非常食や飲料水を準備する

一人につき3日分の食料や飲料水を確保するのが大切といわれています。

一度に揃えるのは面倒だという方もいるかもしれません。

しかし、もしもの時に食料や飲料水がない方が何倍も大変ではないでしょうか。

まずは一日分から備えましょう。

最近では、スーパーマーケットでも非常食を購入できます。

ぜひ、非常食コーナーへ足を運んでみてください。

防災リュックを用意する

すぐに避難できるように、防災リュックを用意しておきましょう。

避難生活に使えるライトや簡易トイレなど、必要なアイテムを一つにまとめておくことが大切です。

けれども「何を備えておけばいいかが分からない」「準備する時間がない」という方も多いのではないでしょうか。

そんな方におすすめなのは、防災セットを購入することです。

実際に筆者も防災に関する知識がなかったので、防災のプロが監修した防災リュックをインターネットで注文しました。

必要なものを一回の買い物で準備できたので、とても満足しています。

自分の避難所や避難経路を確認する

自分の避難所を事前に確認しておきましょう。

自治体ごとにホームページで避難所を公開しています。

さらに、土砂崩れや浸水が起こりやすいエリアや災害リスクを明記したハザードマップも見られます。

地震や洪水が起こった時に、少しでも落ち着いて行動できるように、チェックしておくことが重要です。

参照:国土交通省「ハザードマップポータルサイト」

まとめ

今回は、SDGs目標11「住み続けられるまちづくりを」について解説しました。

この目標では、だれもが安心・安全に生活できるまちづくりを目指しています。

具体的にみると、「まち全体の防災対策」「適正な住居費」「公共交通機関の利便性」「大気の質やごみ処理の改善」「環境保護」などがポイントであることが分かりました。

今後は、災害に強いまちであることはもちろんですが、いつまでも住みやすいまちを都市と地方両方につくることが求められています。

政府、企業、個人が協力することで、住み続けられるまちづくりの実現が叶うのではないでしょうか。

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