エシカルライフ

フードロスからSDGsを考える!自分たちができる取り組みを知ろう

SDGs実現のために取り組む課題のひとつがフードロスです。

世界では飢餓で苦しむ人がいる一方で、食品の生産過多によって多くの食品が廃棄されているという現状があります。

そのような背景からSDGsの目標にも設定されました。

該当する目標は、目標2,「飢餓」目標11,「つくる責任、つかう責任」,目標13「気候変動に具体的な対策を」,目標14「海の豊かさを守ろう」です。

世界規模で取り組みが推進されており、日本国内でもさまざまな取り組みが進行しています。

この記事では、フードロスとSDGsの関係、フードロス解決のために私たち一人ひとりができることについて解説します。

SDGsの重要課題「フードロス」とは

SDGsの達成において大きな課題となるフードロスの問題ですが、日本は飽食の時代といわれることも多いです。

世界規模でみるフードロスの現状については、詳しくは知らない方もいるのではないでしょうか。

そこで、まずはフードロスとは何なのか簡単に説明します。

フードロスと食品ロスの違い

同じ意味でも使われることもありますが、国連食糧農業機関の定義によると、本来のフードロス(Food Loss)とは収穫から加工、梱包までに生じる食品の量や質の低下のことを指します。

そして、小売業者や食品製造、消費者によって生じる食品の量や質の低下のことを「フードウェイスト(Food Waste)」と呼んでいます。

つまり、スーパーの総菜が余って捨てられる、購入した食材を家庭でダメにするといったものはフードロスではなく、フードウェイストに当たるということです。

日本では、フードロスとフードウェイストの両方を合わせて「食品ロス」と呼びます。

収穫や製造、消費など、どの段階で生じたかに関わりなく、まだ食べることができるのに廃棄される食品を食品ロスと呼んでいるのです。

世界で起きている「食の不均衡」の現状

世界中では、人口約77億人に対し、飢えで苦しむ人の数が約8億人以上いるとされています。

つまり、全人口のうち約9分の1の人が飢えで苦しんでいるということです。

その一方で、生産された食品の約3分の1が食べられずに廃棄されているという現状があります。世界ではこのような食の不均衡がみられています。

フードロスはSDGsの重要課題とされている

フードロスはSDGsでも重要課題として盛り込まれています。

そして、2030年までに小売、消費レベルにおける世界全体の1人あたりの食品廃棄物を半減させる目標が掲げられています。

FAO(国際連合食糧農業機関)の調査によると、世界の食品排気量は年間約13億トンです。

日本に目を向けると、年間約612万トンの食糧を廃棄されています。

これは1人あたり毎日お茶碗1杯分の食糧を廃棄している計算になり、1人あたりの廃棄量は世界でも6番目に多く、アジアの中だと日本は1番目に多い国です。

農林水産省によると、令和元年の日本国内のフードロス量は570万トンでした。

食品廃棄物の量は年々減少しているという進歩がみられていますが、今後もフードロス削減の取り組みが必要です。

関連記事:【日本】深刻なフードロスの現状とは?削減に必要な3つの取り組み

フードロスビジネス現状

国内のフードロスビジネスへの注目はコロナ禍を機に高まっており、フードロスと消費者の需要をマッチングさせるフードシェアリング市場も近年急成長する動きを見せています。

世界のフードロスへの取り組みは加速しており、今後フードロスビジネス市場は拡大されると見られています。

なかでもフードテック市場は、飲食店のスマート化やロボットサービスの活用など新たなソリューションでのベンチャー企業の参入が高い傾向にあり、将来的に世界700兆円の市場規模になるとの報告もあります。

参照:フードテックの進化と真価 食は世界700兆円のマーケット

フードロスはSDGsのうち4つと関わる課題

SDGsの17の目標のうち、フードロスは4つの課題に関わっています。どの目標と関係があるのか、具体的に紹介します。

目標2「飢餓をゼロに」

「飢餓をゼロにする」という目標達成に必要とされるのは、安定的な食糧供給です。

先述のように、世界では飢えで苦しむ人がいる一方で、まだ食べられる食品が廃棄されている現状があります。

目標2を達成するためには、フードロスを改善して食の不均衡を無くすこと、そして、飢餓に苦しむ人たちへ正しい配分を行うことが必要です。

目標12「つくる責任つかう責任」

フードロスの大きな原因は「生産過多」です。

つまり、生産される食品の量が、私たちが食べることができる量よりも多すぎるということです。

日本を例に考えると、食糧の多くを輸入品に頼っている現状があるものの、先述のように年間で570万トン(令和元年)ものフードロスが出ています。

輸入している食糧の多くを廃棄していることを考えると、目標12の「つくる責任つかう責任」の達成には程遠い状況です。

食べられる食品が廃棄されるのを防いで、フードロスを目指すことが大切です。

目標13「気候変動に具体的な対策を」

食品産業においては、異常気象によって作物に悪影響をもたらしている現状があります。

例えば、以下のような事例です。

  • トマトの尻腐れ果
  • 米の品質低下
  • ブドウの着色不良

他方、食品産業がCO2などの温室効果ガスの発生源のひとつになっているのも事実です。

フードロスにおいては、食べられる食品が廃棄されることで、食品の製造、運搬、販売、廃棄などに使われた資源が無駄になるだけでなく、発生したCO2が気候変動に影響を与えているのです。

以上のことを考えると、SDGsの目標13とフードロスは大きく関わっているといえるでしょう。

目標14「海の豊かさを守ろう」

「海の豊かさを守ろう」もフードロスに関係する目標です。

世界の1人あたりの食用魚介類の消費量は1960年頃から半世紀の間で約2倍に増加。このような水産物需要の増加により、漁獲量が増え、過剰な海洋資源の消費につながっています。

また、FAOの調査によると、生物学的に持続可能な範囲で漁獲されている資源の割合が減少傾向です。1974年には90%の水産資産が適正水準もしくはそれ以下で利用されていましたが、2013年にはその割合が69%まで下がっています。

これらの背景から、海洋資源は1990年代から減少の一途をたどっており、将来的には海洋資源が利用できないおそれがあります。海の生態系を守るためにも資源管理を行うことが必要です。

出典:「(1)増加し続ける世界の水産物需要」(水産省)より

SDGs課題「フードロス」解決のために自分たちができること

フードロスには、食品関連事業者によって廃棄される食品と家庭で廃棄される食品の両方が関係しています。

そのため、企業側だけでなく家庭でもロスを減らすために努力することが大切です。

フードロス解決に向けて、私たち各自ができる取り組みを紹介します。

食材や食品を買いすぎない

食材や食品を買いすぎることで、使い切れずに廃棄する食品が発生してしまいます。

フードロスを減らすためには、「買いすぎない」ことが重要です。

食材や食品の買いすぎを防ぐために、以下のことを意識してみましょう。

  • 買い物に行く前に自宅にある食材や食品を確認する
  • バラ売りなどを利用して、必要な分だけを購入する

買い物に行く前に冷蔵庫や食品庫を確認して買い物リストを作っておくと、家にある食材を買ってしまうといった無駄をなくすことができます。

また、まとめ買いをしたほうが安くなるもの、大容量のほうが割安になるものがあるかもしれませんが、消費し切れないとフードロスにつながります。

必要な分だけを購入したほうがコストもかからず、食品を無駄にすることも防げると覚えておきましょう。

買ったものは「使い切る」「食べ切る」

購入した食材や食品を調理する際は、食べ切れる量だけ作る意識をすることでフードロスを防ぐことができます。

余分に作ってしまうと、結局は量が多くて食べ切ることができず、捨ててしまうということになりかねません。

どうしても食べ切ることができないときは、冷凍庫などに保存して後日食べることで無駄をなくせるでしょう。

また、食材をダメにしてしまうことを防ぐために、古いものや期限が近い食材から使っていくことを心がけることも良いです。

ひとり暮らしなどで野菜を余らせてしまうことが多い場合、一部は冷凍や乾燥の下処理で無駄にしない工夫をすることができるでしょう。

フードロス削減に取り組むサイトやアプリを利用する

個人としてフードロス削減に貢献するために、フードロス削減に取り組むサイトやアプリを利用するのもひとつの方法です。

賞味期限が近くて買い手がつかない食品、食べられるのに廃棄されるおそれがある食品などを扱っています。

訳あり商品なだけに、通常よりも安い価格で購入できるようになっているので、お得な商品を探せる楽しさも感じられるでしょう。

事業者はフードロスを減らすことができ、消費者はお得な買い物ができるという、どちらにもメリットがあるシステムです。

 

まとめ

フードロス削減に取り組むことは、SDGsの達成のために不可欠です。

世界では多くのフードロスが出ている一方で、全人口の9人に1人は飢えで苦しんでいる現状があります。

フードロスを解消することは、飢えで苦しんでいる人たちに食糧の正しい配分を行い、食の不均衡をなくすのに不可欠です。

個人でもできることは多くあるので、本記事で提案した内容を参考にできることから取り組んでみましょう。

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