ダイバーシティ

ダイバーシティを尊重するパラスポーツの魅力とは?パリパラリンピック競技も解説

ダイバーシティやインクルージョンが社会で求められる中、パラスポーツへの注目が高まっています。

しかし、「パラスポーツの魅力は何か」「どんな種類があるのか」と疑問に思う方もいるのではないでしょうか。

今回は、パラスポーツを分かりやすく解説します。

また2024年パリパラリンピックで行われる22競技や、パラスポーツを支援する企業事例についてもまとめました。

パラスポーツの魅力を知ることで、パラリンピックをより楽しめるはずです。

パラスポーツとは

パラスポーツとは、身体機能や知的発達などに障がいを持つ人のために考案されたスポーツです。

ハンディキャップがあっても個人の能力を生かして運動できるように、一般的な競技ルールを変更したり、用具を工夫したりしています。

また、パラスポーツ独自に実施される競技も多くあります。

例えば、サッカーのパラスポーツは、「見えないサッカー」として知られるブラインドサッカーです。

ゴールキーパー以外の4人の選手は全盲かアイマスクを装着し、音の出るボールを使用します。

また、パラリンピックの正式種目であるボッチャは、重度脳性麻痺や四肢重度機能に障がいを持つ人のために考案されました。

もともとパラスポーツは、第二次世界大戦で負傷した兵士へのリハビリとして生まれたものです。

競技としてだけでなく、リハビリや市民スポーツとしても親しまれています。

これまでパラスポーツは、障がいを持つ人のためのものと見られてきましたが、最近では誰もが楽しめるスポーツとして注目され、人気が高まっています。

参照:埼玉県|パラスポーツについて

パリパラリンピック!パラスポーツの種類

 

2024年に開催されるパリパラリンピックの正式競技は22種類です。

それぞれの特徴を簡単に解説します。

・アーチェリー

使用する弓は、一般的なリカーブと先端に滑車のついたコンパウンドの2種類があります。

・陸上競技

車いすや義足、視覚障がい、知的障がいなど、障がいの種類や程度によってクラス分けされ、それぞれのクラスで競い合います。

・バドミントン

一般と同じラケットやシャトルを使用し、基本的なルールも変更されません。

競技は、立位や車いすなど、障がいの種類や程度に応じて行われます。

この競技は、2020年の東京大会から正式競技として採用されました。

・ボッチャ

カーリングのように、自分が有利な位置取りをしたり、相手のボールを弾いたりする競技です。

「ジャックボール」と呼ばれる白い目標球を投げ、それに少しでも近づくように、赤・青のそれぞれ6球ずつのボールを投球します。

・カヌー

水上に設定された200mの直線コースを競技専用のカヌーで進み、タイムを競います。

・自転車競技

視覚障がいや肢体不自由などの選手が参加する種目です。

個人種目は男女別に行われ、チーム種目は男女混合となります。

・馬術

人と馬が一体となった演技の正確性と芸術性を、男女混合で競い合います。

事前に申請しておけば、障がいに応じて手綱などの用具を改良できます。

・5人制サッカー(ブラインドフットボール)

選手は、ボールが転がる音、ゴールキーパーや監督からの指示、さらにはゴール裏から声を出すガイドの声などを頼りにプレーします。

ただし、プレー中は観客が声援を出すことはできません。

・ゴールボール

視覚障がい者が参加する競技です。

オフェンス側は鈴の入ったボールを相手ゴールへ投げ、ディフェンス側は全身を使ってボールを阻止します。

コートは、6人制バレーボールと同様のものです。

・柔道

視覚障がいを持つ選手が参加し、階級は障がいの程度ではなく体重で分けられます。

全盲の選手と弱視の選手が対戦することもあります。

・パワーリフティング

下肢障がいの選手たちが、上半身の力でバーベルを持ち上げる競技です。

一般のベンチプレスとルールは同じですが、パラリンピックのパワーリフティングでは、全身が乗るベッドのような台を使用します。

・ボート(ローイング)

肢体不自由と視覚障がいの選手が出場する競技です。

オリンピックと同様に2000mの直線コースで速さを競い合います。

・射撃

射撃はオリンピックとほぼ同じルールです。

クラス分けは障がいの程度によって、上肢で銃を保持できるかどうかが基準となります。

競技は銃の種類や立位や車いすなどの射撃姿勢を組み合わせた13種目があり、それぞれ男女別、男女混合で競います。

・シッティングバレーボール

シッティングバレーボールは、6人制バレーボールとほぼ同じルールですが、座ってプレーします。
そのため、ネットが低く、コートも狭くなります。

・水泳

使用するプールや泳法(自由形、背泳ぎ、平泳ぎ、バタフライ)は一般の競泳と同じです。

障がいに応じて配慮があり、視覚障がいの選手の場合はターンやゴールの際にコーチが合図棒を使い、壁の接近を知らせます。

・卓球

一般の卓球と使用する球もラケットも変わりません。

車いすや義足、杖などが必要な選手が、自分の能力にあったプレースタイルを確立しています。

・テコンドー

2020年の東京大会から正式競技として採用されました。

競技には、プムセ(型)とキョルギ(組手)があります。

・トライアスロン

2016年のリオ大会から正式競技として追加されました。

スイム(水泳)・バイク(自転車)・ラン(長距離走)の3種目を連続で行い、合計タイムで競います。

・車いすバスケットボール

コート、リング、ボールなどは一般のバスケットボールと同じです。

車いすの特性に配慮し、ボールを持ったまま2プッシュまで車いすをこぐことが認められています。

・車いすフェンシング

車いすフェンシングでは、腕を伸ばせば剣が届く距離に車いすを固定して競技を行います。

ユニフォームや剣、マスクは一般的なフェンシングと同じです。

・ウィルチェアーラグビー(車いすラグビー)

四肢に障がいがあってもチームプレーできるように考案されました。

車いす同士の接触が許される唯一の競技です。

・車いすテニス

車いすを巧みに操作しながら、ラケットでボールを打ち合います。

コートやネットの高さ、そしてラケットやボールも一般的なテニスと同じです。

ただし、「2バウンド以内に返球可能」などのルールを一部変更しています。

SDGsから考える!パラスポーツが持つ魅力

 

パラスポーツが社会においてどのような魅力を持つのか、SDGsとの関連を踏まえてまとめました。

・すべての人がスポーツを楽しめる

パラスポーツは、障がいの有無に関係なく、すべての人が楽しめるスポーツです。

スポーツ庁によると、スポーツは、健康向上やストレス解消につながります。

心身の健康を支えるパラスポーツは、「目標3.すべての人に健康と福祉を」に貢献しているといえるでしょう。

目標3について詳しく知りたい方はこちらをお読みください。
関連記事:SDGs目標3「すべての人に健康と福祉を」|世界の現状とできること

・障がいを理解する心を育める

教育現場では、障がいのある人の声を直接聞いたり、パラスポーツを体験したりするなど、パラスポーツの学習を積極的に取り入れています。

この交流と体験を通して、障がいへの理解が深まることが期待されます。

パラスポーツは生きた教材となり、これが「目標4.質の高い教育をみんなに」につながるでしょう。

・共生社会の実現に寄与する

障がいの有無に関わらず誰もが参加できるパラスポーツは、インクルーシブなスポーツといえます。

選手同士が互いの違いを尊重しながら切磋琢磨する場は、共生社会の実現に必要不可欠です。

パラスポーツの普及は、「目標10.人や国の不平等をなくそう」に貢献しています。

では、パラスポーツを支援するために、自治体や企業はどのような取り組みをしているのでしょうか。

参照:スポーツ庁|スポーツ庁が考える「スポーツ」とは?Deportareの意味すること

【東京都】都立初パラスポーツトレーニングセンター


2023年3月21日、東京都で「パラスポーツトレーニングセンター」がオープンしました。

この施設では、障がいの有無に関わらず、誰もがパラスポーツを楽しむことができます。

パラスポーツの競技力向上を目的とした体育室・トレーニング室・多目的室・集会室などが完備されています。

これまでに、シッティングバレーボールや車いすバスケットボールなどの体験会が開催されました。

参照:東京都|パラスポーツトレーニングセンターをオープン
参照:東京都パラスポーツトレーニングセンター

【日本企業】パラスポーツを支援する取り組み

パラスポーツの普及や選手の活躍を促進するには、継続的な企業のサポートが欠かせません。

ここでは、パラスポーツを支援する企業事例を紹介します。

東京建物

東京建物は、「新豊洲Brilliaランニングスタジアム」の創設に尽力しました。

館内には、全天候型60mの陸上競技トラックが備えられており、さらにパラアスリートを支援するための義足開発ラボラトリーも併設されています。

為末大氏を館長に迎え、障がいや年齢の有無に関わらず、すべての人がスポーツを楽しめる場所として高く評価されてきました。

新豊洲Brilliaランニングスタジアムは、2023年11月で一旦営業を終了し、2024年10月に有明地域で生まれ変わって再オープンする予定です。

参照:新豊洲Brilliaランニングスタジアム

サントリー

サントリーは、車いすバスケットボール連盟オフィシャルパートナーです。

日本代表を応援するため、支援自動販売機を設置したり、体験会を開催したりして支援を続けています。

また、「サントリーチャレンジド・スポーツアスリート奨励金」を立ち上げ、未来のパラスポーツ選手の育成をサポートしています。

参照:サントリー|チャレンジド・スポーツプロジェクト

トヨタ

トヨタは、パラ陸上競技や車いすテニス・パワーリフティングなど、世界に挑むパラスポーツの選手を多く支援しています。

また、「トヨタイムズスポーツ」というメディアを新たに立ち上げ、パラスポーツの魅力や選手の想いを発信しています。

参照:トヨタ|TOYOTA TOP ATHLELTES
参照:トヨタイムズスポーツ

ブリヂストン

ブリヂストンは、2018年からパラリンピックの最高位パートナーに就任しました。

義足ソールや車いすテニス用タイヤの開発などを通じて、トライアスロンや車いすテニスなどへの支援を積極的に行っています。

障がい者の生活の質を向上させることは、すべての人々の生活を豊かにすることにつながると考え、商品開発に努めています。

参照:ブリヂストン|パラリンピックから始まったブリヂストンのDE&I。パラスポーツ支援は「企業として社会への価値を創出していく」

だれもが楽しめるパラスポーツ

誰もが参加できるパラスポーツは、共生社会の実現に大きく寄与しています。

ダイバーシティやインクルージョンが求められる現代社会において、パラスポーツへの注目はますます高まるのではないでしょうか。

企業にとって、パラスポーツの支援は持続可能性の向上につながります。

また、障がいのある人々のニーズに応える新商品の開発によって、より豊かな生活を提供できます。

パラスポーツの魅力を広めるためには、まずその魅力を知ることが重要です。

実際に観戦したり、体験したりすることで、自分の視野が広がり、新たな楽しみや価値観を見つけることができるでしょう。

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