フードドライブとは?食品ロスと貧困問題改善に私たちができること

家庭で余った食品を寄付することで社会に貢献できる、「フードドライブ」をご存じでしょうか。フードドライブは、食品ロスや貧困問題などの社会課題を解決できる取り組みとして、近年注目されています。
本記事では、フードドライブの仕組みや参加方法を、地域や企業での取り組み事例を交えながら分かりやすく解説します。SDGsとの関わりも深いフードドライブ。食品ロスを減らすために、今日から私たちができるサステナブルな行動を始めましょう。
フードドライブとは

フードドライブは、家庭や職場で余った食品を集めて、支援を必要とする人や施設へ届ける活動です。この取り組みは、アメリカで最初に始まったといわれています。
フードドライブの歴史や目的、そしてその仕組みを詳しく解説します。
参考:環境省|余った食品を寄付。取り組み広がるフードドライブ
フードドライブの目的と意義
フードドライブの目的は、まだ食べられるにもかかわらず捨てられてしまう食品や食材を減らし、生活に困窮する人々を支援することです。日本は比較的裕福な国とされていますが、実は十分な食事がとれない家庭が増加しています。
厚生労働省による最新の報告では、日本の相対的貧困率は15.4%で、そのうち子ども(17歳以下)の貧困率は11.5%でした(2021年)。つまり、子どもの約9人に1人が貧困状態であることを意味しています。特に、ひとり親世帯の貧困率は44.5%と非常に高い割合となっています。
相対的貧困率は1985年から上昇し始め、2012年に16.1%とピークを迎えました。その後は多少減少したものの、依然として高い数値を示しています。
フードドライブは、食品ロス削減と貧困問題の解決に同時に取り組める点が大きな特徴です。
なお、日本に多い「相対的貧困」については、以下の記事で詳しく解説しています。問題となっている独身女性の貧困にも触れていますので、ぜひ併せてご覧ください。
関連記事:独身女性、シングルマザーの貧困はなぜ深刻に?その理由と支援内容
参考:厚生労働省|2022(令和4)年 国民生活基礎調査の概況
フードドライブの仕組み
フードドライブは、まず家庭で余った食品や食材を集めるところから始まります。集められた食品や食材は、スーパーや自治体などの回収拠点に持ち寄られ、その後、地域の福祉施設や子ども食堂、生活困窮者支援団体などに寄付されます。
似た言葉にフードバンクがありますが、こちらは主に企業や農家から寄贈された食品を、必要としている人のもとへ届ける団体のことです。賞味期限が近い食品や規格外の野菜などが集められ、フードバンクではそれらの保管・管理・配布まで一連の活動全般を行います。
一方のフードドライブは、主に家庭で余った食品を集める活動です。つまり、フードドライブは日常生活の中で社会課題と向き合うきっかけとなる取り組みといえるでしょう。
フードドライブの歴史
フードドライブは、1967年にアメリカ、アリゾナ州で生まれたといわれています。当時、まだ食べられる食材がスーパーで廃棄されていることを知った1人の男性が、スーパーから食材を寄付してもらいました。そして、それらを集めて倉庫に保管し、食べ物を必要としている人が自由に取り出せる仕組み、すなわちフードバンクを作ったことが始まりです。
アメリカで始まったフードバンクは、のちにヨーロッパへと広がりました。1984年にフランスでフードバンク団体が設立されて以降、スペインやベルギー、ポーランド、ハンガリー、チェコなど、ヨーロッパ中に普及していきました。
一方、日本におけるフードドライブの歴史は、海外と比べるとまだ浅いものです。しかし、2013年の日本フードバンク連盟設立をきっかけに、フードドライブの認知度も日本国内で徐々に広がりつつあります。
フードドライブの効果と影響

さまざまな自治体や企業、さらに個人もフードドライブに取り組み始めています。フードドライブは地域社会に良い影響を与えるだけでなく、SDGsの観点から見ても重要な役割を担っています。
地域社会への貢献
フードドライブは、地域社会における助け合いの取り組みです。食品の提供という形で、地域内で困っている人に直接手を差し伸べられます。
SDGsの観点から見ると、フードドライブは主に以下の2つに貢献します。
- SDGs11「住み続けられるまちづくりを」
- SDGs17「パートナーシップで目標を達成しよう」
食品ロスを減らして地域で有効活用することは、持続可能な消費と生産、そして住み続けられるまちづくりにつながります。また、フードドライブは、地方自治体やNPO団体、企業、地域住民が協力して実施するため、まさにパートナーシップの具体例ともいえるでしょう。
食品ロス削減への寄与
食品ロスは、本来食べられるにもかかわらず、廃棄されている食品を指す言葉です。
環境省の最新データによると、日本国内で発生する食品ロスは年間約464万トン(2023年度)にも上ります。そのうち233万トンは家庭から発生したものです。
また、2021年度の食品ロスは年間523万トン、2022年度は472万トンとなっており、年々減少しているものの、依然として大量の食べ物が無駄になっています。
一方で、日々の食べ物に困っている人が大勢いる現状を踏まえると、私たちは食品ロスの削減にもっと真剣に向き合わなければなりません。
以下の記事では、食品ロスを減らすための日本と海外でのユニークな取り組みを数多く紹介しています。ぜひ併せてご覧ください。
関連記事:食品廃棄削減!世界・日本のおもしろいアイデアを紹介
フードドライブにより食品ロスが減ることで、SDGsの観点からは以下の3つに貢献します。
- SDGs1「貧困をなくそう」
- SDGs2「飢餓をゼロに」
- SDGs12「つくる責任 つかう責任」
食品を無駄にせず、必要とする人々へ届けることで、これら3つの目標の達成に一歩近づけます。
フードドライブの実施方法

フードドライブには、寄付できる食品があればすぐに参加できます。お住まいの地域の回収拠点へ食品を持ち込むだけです。
具体的な参加方法と、寄付できる食品の条件を次項で確認しましょう。
参加方法と必要な準備
参加方法はとても簡単です。まず、家庭内で余っている食品を見つけたら、未開封かどうか、賞味期限が切れていないかなどをしっかりチェックします。多くの回収先では以下の流れが基本です。
- 最寄りの回収場所を確認する(スーパー・コンビニ・公民館・市役所など)
- 食品を持参する
- 受付や回収箱に食品を投入する
特別な登録や費用は不要なことがほとんどなので、誰でも気軽にフードドライブに参加できます。あなたの小さな一歩が、大きな支援につながります。
寄付できる食品の条件
寄付できる食品にはいくつか条件があります。一般的な条件は以下のとおりです。
- 未開封のもの
- 賞味期限が2か月以上残っているもの
- 常温保存が可能なもの
- 製造者または販売者、成分表示やアレルギー表示があるもの
例えば、お米、災害用備蓄食品、缶詰、レトルト食品、乾麺、カップ麺、お菓子、飲料、調味料などが挙げられます。ただし、回収を行う団体によって条件が異なる場合がありますので、寄付をする前に必ず確認しておきましょう。
フードドライブの取り組み事例

フードドライブは、多くの地域や企業の間で広まっています。地域と企業における、フードドライブの取り組み事例を紹介します。
地域での成功事例
目黒区ではこれまで、区のイベントに合わせて何度かフードドライブを試行してきました。アンケート調査の結果、「常設してほしい」との声が多く寄せられたのを機に、2021年よりフードドライブの常設窓口を設置しています。
区庁舎内で平日に回収を実施し、寄せられた食品は福祉施設やフードバンクに提供しています。定期的なイベントなどでフードドライブを実施する自治体は多くありますが、目黒区は利用者の声に耳を傾け、通年実施する方針に切り替えました。これは、住民の意見を反映させた良い成功例といえるでしょう。
企業での成功事例
企業によるフードドライブの取り組みも増えています。
女性専用の30分健康フィットネス「カーブス」は、全国47都道府県に約2,000店舗を展開しており、そのネットワークを生かして「カーブス・フードドライブ」に取り組んでいます。
会員や地域住民から店舗で食品の寄付を受け付け、その食品を児童養護施設や母子生活支援施設など地域の福祉施設へ届ける活動です。
同社は、この活動に2007年から継続的に取り組み、18年間で累計3,051トンの食品ロス削減に貢献してきました。支援施設や団体数は1万1,000にも上り、参加者は延べ221万人超の大規模な取り組みとなっています。
また、こうした活動が評価され、2025年度の食品ロス削減推進表彰において、環境大臣賞を受賞しています。
まとめ
フードドライブは、食品ロスと貧困問題の両方の解決に役立つ取り組みです。また、SDGsのさまざまな目標にも深く関係します。
あなたのご家庭にも、まだ食べられる食品が眠っていませんか?
費用をかけずに誰でも手軽に始められるフードドライブ。まずは、お住まいの地域で開催されているフードドライブイベントを調べて、ぜひ足を運んでみてください。その小さな一歩が、誰かの「ありがとう」や「おいしい」につながります。
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