【2026年度版】飢餓問題の現状とその原因とは?私たちにできること

飢餓(きが)とは「十分な食料が食べられず、栄養不足になり、生存や健康的な生活が困難な状態」を指します。
2015年に採択されたSDGsでも、飢餓に関する目標があるように、飢餓は解決すべき社会問題の一つとなっています。
現在もさまざまな国や国際機関、団体が飢餓問題の解決に向け活動していますが、いまだに飢餓の解消には至っていません。
本記事では、飢餓の定義や種類、現状をわかりやすく解説します。
また、飢餓が人や社会にもたらす影響とともに、私たちにできることについても紹介します。
この記事を読んで、飢餓についての理解を深めてください。
飢餓とは

飢餓とは、健康的な生活が困難になり、生命の存続が脅かされるほど栄養が不足した状態のことです。
FAO(国連食糧農業機関)は、飢餓を以下のように定義しています。
引用:世界の食料安全保障と栄養の現状(SOFI)2025年報告|国際連合食糧農業機関(FAO)駐日連絡事務所
飢餓は単なる栄養失調ではなく、その状態が長く継続した結果として起こるものです。
地域や原因によって異なる2種類の飢餓

飢餓は、発生する地域や原因により「突発的な飢餓」と「慢性的な飢餓」の2種類に大きく分けられます。
突発的な飢餓
「突発的な飢餓」とは、自然災害や紛争などにより急激に食料が不足することで引き起こされる、緊急的な飢餓のことです。
一時的な食料不足のために、多くの人が餓死したり栄養失調に陥ったりします。
突発的な飢餓は「飢饉(ききん)」とも呼ばれています。原因が緩和されるまでの間、継続的な支援が必要です。
慢性的な飢餓
「慢性的な飢餓」とは、主に貧困により継続的な食料不足が生じて引き起こされる飢餓のことです。
貧困だけでなく、道路や食料管理設備の未整備、国内生産が安定していないなど、さまざまな要因が複雑に絡んで発生します。
また、食品ロス(フードロス)などの影響により食料を継続的に手に入れられず、慢性的な飢餓に陥ることもあります。
飢餓の要因

飢餓の原因は国・地域によりさまざまですが、主に以下の3つに分けられます。
- 紛争
- 自然災害・気候変動
- 慢性的貧困
紛争
紛争とは、2つ以上の勢力が武器を用いて争うことです。
原因には国家間の対立だけでなく、宗教・民族対立、資源の奪い合い、経済格差なども含まれます。
2026年3月現在も、世界中で紛争が発生しており、国家間では「ウクライナ紛争」「タイ・カンボジア国境紛争」などが続いています。
ミャンマーやシリアでは、複数の勢力が衝突する国内紛争が続いている状況です。
紛争が発生すると、人々は家や畑など、それまでの生活をすべて捨てて逃げなければなりません。
その結果、食料が安定的に確保できなくなり、飢餓状態となってしまうのです。
自然災害・気候変動
自然災害・気候変動も、飢餓を引き起こす原因の一つです。
例えば、津波や干ばつ、洪水などによって農作物が育たなくなると、食料を十分に生産できなくなります。
農業や漁業、加工品の販売などを生業としている人々にとっては、自然災害が発生すると収入源がなくなってしまいます。
これにより貧困に陥り、必要な量の食料を得られなくなるのです。
慢性的貧困
慢性的貧困とは、社会構造の問題により、貧困からの脱出が長期にわたり難しい状態のことです。
一方、短期的な経済変動などによる貧困は「一時的貧困」と呼ばれます。
例えば、低賃金労働により世帯収入が低い場合、子どもも労働力として家計を支える必要があります。
このような状況では、子どもは学校に行く時間もお金もないため、十分な教育が受けられません。
その子どもが大人になったときも、必要な知識や技術が習得できないため、低賃金の労働をせざるを得なくなります。
貧困が世代を超えて続いていくことを「貧困の連鎖」といいます。
世界経済の影響によって、食品や肥料の価格が上がることも飢餓をさらに悪化させる要因です。
世界の飢餓の現状と課題

FAO(食糧農業機関)の2025年の報告によると、2024年には6億3,800万人〜7億2,000万人の人々が飢餓に陥っていると推定されています。
これは、世界人口の8.2%にあたりますが、2023年が8.5%、2022年が8.7%だったことから、全体的には減少傾向です。
なお、東南アジアや南アジア、南米では飢餓の状態が改善されているものの、アフリカや西アジアでは逆に飢餓人口が増加しています。
同報告書では「2030年には世界で5億1,200万人が慢性的な栄養失調になる可能性があり、その約60%がアフリカに住む人々になる」と指摘されています。
飢餓問題の改善には、食料価格高騰への対策やインフレ対策、財政政策や貿易関連政策の強化が重要です。
参考:The State of Food Security and Nutrition in the World 2025|FAO
SDGs目標2「飢餓をゼロに」

2015年に国連サミットで採択されたSDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)の目標2は、飢餓問題に焦点を当てたものです。
SDGs目標2「飢餓をゼロに」は、2030年までに世界中のすべての人が安全で栄養のある食べ物を安定的に得られるようにすることを目指しています。
そのための方法として「持続可能な農業システムの構築による生産性と収益性の向上」「食料の安定供給と栄養バランスの改善」「食品ロスの削減や廃棄物削減のためのシステムづくり」などが挙げられます。
一方で、2030年には約5億人が飢餓に陥るとの予測もあり、SDGs目標2の達成は危機的状況です。
国際社会は、紛争の解決や農業システムの構築などにより、緊急の対策を講じる必要があります。
関連記事:SDGs2「飢餓をゼロに」|世界と日本の現状・取り組み・私たちにできることを解説
関連記事:SDGs2「飢餓をゼロに」|飢餓の現状と未来のために私たちができること
飢餓が人や社会にもたらす影響

飢餓は人や社会に大きな影響を与えます。健康と経済の観点から、どのような影響があるのか説明します。
飢餓による「健康」への影響
飢餓とは慢性的な栄養失調の状態です。
飢餓状態が長く続くほど、健康への影響も大きくなります。
飢餓がもたらす健康への影響には、以下のものが挙げられます。
- 発達阻害:成長期の子どもは低身長・低体重になりやすく、筋力量の低下により体力も低下する
- 免疫力の低下:ビタミンやミネラル不足になると免疫力が弱まり、下痢や肺炎にかかりやすくなる。場合によっては命を落とす場合もある
- 臓器機能の低下:肝臓や心臓、腎臓などの機能が低下し、臓器不全に陥る可能性がある
- 知的障害:ヨウ素の不足などにより、知的発達に支障が出る可能性がある
健康への影響は、特に子どもや妊産婦、乳児に大きく現れます。
子どもの飢餓は、大人になってからの労働力低下や慢性的な健康問題にもつながり、妊産婦の飢餓は、お腹の中の赤ちゃんの成長や発達にも悪影響をもたらします。
飢餓による「経済」への影響
飢餓は、経済の安定や成長を妨げる要因の一つです。具体的には、以下のような影響があります。
- 生産性の低下:労働力が確保できなくなり、生産性の低下につながる
- 医療費の増加:慢性的な健康問題や病気の蔓延などにより、医療費が増加する
- 消費の低迷:貧困により国民の消費が減り、消費の低迷を引き起こす
- 紛争の発生:社会不安が高まることで、紛争や内乱につながるリスクが高まる
飢餓は、経済のさまざまな面に悪影響を引き起こし、結果として貧困の循環を生み出してしまいます。
飢餓の発生は、自国だけの問題にとどまりません。
飢餓が深刻になるほど支援金が必要となり、支援国の財政負担にもつながります。
飢餓問題解決に向けた国際機関・団体による取り組み

飢餓問題の解決に向け、さまざまな取り組みが行われています。
ここでは、次の国際機関・団体による取り組みを紹介します。
- WFP(国連世界食糧計画)
- FAO(食糧農業機関)
- ハンガー・フリー・ワールド(HFW)
WFP(国連世界食糧計画)
WFP(国連世界食糧計画)は、飢餓への緊急支援や将来的な開発支援などに取り組む、国連唯一の食糧支援機関です。
WFPが取り組んでいる飢餓問題への主な活動は、次の4つが挙げられます。
- 緊急支援:紛争や自然災害の被災地域における食料輸送や現金支給
- 学校給食支援:政府と協働して行う地産地消の学校給食支援
- 母子栄養支援:栄養不足の子どもへの栄養補助食品の供給や健康診断の実施、医療機器・技術の提供、移動クリニックの実施
- 自立支援:共同野菜園や果樹園の栽培促進、植樹や再植林活動の実施
WFPの活動資金は、政府や機関、企業、個人からの任意の寄付により支えられています。
FAO(食糧農業機関)
FAO(食糧農業機関)は、国連に属する農業や農村開発を行う機関です。
飢餓の撲滅や人々の栄養改善、持続可能な農業・食料システムへの転換を目指しています。
FAOでは現在、130カ国以上で農業政策へのアドバイスや情報収集・普及を行っています。
またWFPと連携し、食糧危機が懸念される地域に向けて、警戒が必要な「飢餓ホットスポット」の情報も提供しています。
参考:国連食糧農業機関|国際連合広報センター
参考:飢餓をゼロに|国際連合広報センター
参考:WFPとFAO新報告書:16のホットスポットで数百万人が急性食料不安防止のための残された期間が縮小|WFP
ハンガー・フリー・ワールド(HFW)
ハンガー・フリー・ワールド(HFW)は「飢餓のない世界」を目指す国際NGO団体です。
日本・東京を拠点に、開発途上国における開発事業や啓発活動、アドボカシー(意思表明の支援や政府などへの働きかけ)を行っています。
現在、HFWは日本、バングラデシュ、ベナン、ブルキナファソ、ウガンダで活動しています。
具体的な活動内容は、農村部での持続可能な農業推進や自立支援、識字教育の実施などです。
また、日本国内では啓発活動、書損じハガキ・切手の回収も実施しています。
ハンガー・フリー・ワールドは開発途上国での現場支援と日本での啓発活動による2つの方向から、飢餓問題解決に取り組んでいます。
飢餓問題について私たちができること

国連機関やNGO団体などの取り組みを紹介しましたが、私たち個人でも飢餓問題のためにできることがあります。
例として、以下が挙げられます。
- 食品ロス削減(不要な買いすぎ、外出時の注文のしすぎを減らす)
- フェアトレード商品の購入
- 地産地消の利用
- 支援団体への寄付
食べられるのに捨てられてしまう「食品ロス」は、飢餓と深い関係があります。
全世界における食品ロスの量は、全体の生産量の約3分の1といわれています。
これだけの量が廃棄される一方で、多くの人が飢餓に苦しむという食の不均衡が発生しているのです。
食品ロスは、食品そのものだけでなく、資源の無駄遣いにもつながります。
次に「フェアトレード」は、生産者と購入者の間で適正価格で取引する仕組みです。
フェアトレード商品を積極的に購入することで、生産者の貧困解消や自立支援に貢献できます。
また、地元の食材を地元で消費する「地産地消」は、食料自給率の向上や輸送時のCO2排出量の削減、短時間輸送による食品の腐敗防止などに効果的です。
「支援団体への寄付」には、お金だけでなく食品の寄付(フードバンク)なども含まれます。
さまざまな支援団体が寄付を受け付けているため、自身の支援したい地域や活動に合わせて寄付先を選べます。
まとめ
飢餓の撲滅は、早急に解決すべき社会問題の一つです。
飢餓の発生理由は、国や地域によってさまざまで、複数の要因が複雑に絡み合っている場合もあります。
そのため、支援方法も複雑かつ長期的になり、解決には時間を要します。
飢餓問題の早期解決のためには、国や国際機関だけでなく、個人の取り組みも不可欠です。
まずは私たちの生活と飢餓の関連性を知ることから始めてみませんか。
そして食品ロスの削減や寄付など、無理のない範囲で行動してみてください。
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