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日本で深刻化する「子どもの貧困」とは?実態や原因、対策を解説

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日本で「貧困に苦しむ子どもがいる」と聞いても、ピンと来ない方は多いかもしれません。

私たちの多くは、貧困と聞くと「痩せ細り飢餓に苦しむ状態」をイメージするでしょう。

しかし近年、日本では子ども(18際未満)の貧困が深刻化しています。

その割合はなんと7人に1人。

日本では義務教育は平等に受けられるため、子どもの貧困が見えにくいことも問題です。

また子どもや親自身が貧困だと認識していない場合もあります。

この記事は「日本の子どもの貧困」の現状や原因、そして私たちができる対策を解説します。

日本で起きている子どもの貧困とは?

日本には幼い頃から施設で育てられる子どもがいます。

施設に預けられる理由で一番多いのは親の虐待ですが、二番目に多いのが貧困です。

2013年の調査によると、入所した子どものうち11.7%が親の経済的問題が原因で入所しています。

子どもは一人では生きていけません。

つまり「子どもの貧困=親の貧困」でもあるのです。

7人に1人が相対的貧困

貧困には、栄養失調など最低限の生活が送れない「絶対的貧困」と、その国の平均水準以下の所得に届かない「相対的貧困」があります。

絶対的貧困は途上国に多く、相対的貧困は先進国でも見られます。

日本の子どもには「相対的貧困」が多いです。

日本の子どもの貧困率は、2019年時点で13.5%でした。

つまり子ども7人中1人以上が貧困状態でその数は260万人になります。

これはOECD加盟国の中でも最低の水準です。

子どもの相対的貧困率の推移を見てみると、徐々に上がっていることが分かります。

出典:日本財団「子どもの貧困対策」

抜け出せない貧困の連鎖

子どもの貧困に連鎖しやすいという特徴があります。

貧困であると十分な教育が受けられません。

親の手伝いや代わりに家事をしたり兄弟の面倒をみると、勉強するための時間が十分に取れなくなってしまいます。

家計を支えるために早朝や学校終わりに毎日アルバイトをしている子どももいます。

結果として進学・就職のチャンスを逃してしまうこともあります。

金銭的な理由から進学を諦める必要も出てきます。

そして就職ができないと収入の確保が困難になり、子どもが親になった時、同じように貧困に陥るのです。

厚生労働省が2018年に発表した調査によると、生活保護世帯の子どもの大学等進学率は35.3%です。

全世帯で見ると73.0%で、生活保護世帯の進学率は全世帯の半数以下という結果になりました。

参考:厚生労働省「生活保護世帯出身の大学生等の生活実態の調査・研究」

子どもの貧困は社会に大きな損失を与える

貧困の子どもは、本人たちだけでなく社会に大きな損失を与えます。

貧困に陥ると税金や年金、健康保険料の支払ができなくなる可能性があります。

日本財団の調査によると、貧困の状態で大人になった子どもたちが納税者にならず社会保険を受ける側になった場合、国の損失は40兆円以上と報告されています。

子どもの貧困は本人やその家庭だけの問題ではなく、日本としての問題に繋がるのです。

関連記事:日本の貧困問題の現状|私たちにできる取り組みは?

子どもが貧困に陥る3つの原因

なぜ子どもが貧困に陥るのでしょうか。

先ほど、親の貧困が子どもに影響すると述べましたが、他にも理由があります。

ここでは子どもが貧困に陥る理由を3つ紹介します。

  1. 世帯収入が少ない
  2. 情報格差
  3. 高齢化社会により子どもの貧困に対する支援金が不足

①世帯収入

一つ目の理由は、世帯収入です。

家庭の経済環境がよくないと子どもの貧困につながります。

さまざまな理由から親が仕事をしていない、非正規社員で収入が不安定などが主な原因です。

また一人親家庭も世帯収入が少ない原因になる可能性があります。

特にシングルマザーの貧困は深刻で、周りに頼る人がいないことから社会的・精神的に孤立してしまう場合が多いのです。

新型コロナウイルスの影響も受けています。

仕事を減らされたり解雇されたり、学校や保育園が休みになり子どもが家にいるため働けないなどの理由から、独身女性が貧困に陥るケースがあります。

関連記事:独身女性の貧困はなぜ深刻に?その理由や実態、コロナの影響とは

②情報格差

子どもの貧困に関する制度があっても、情報が必要な人に届かなければ意味がありません。

給付金支援制度などの存在を知らない貧困家庭がいるのです。

2017年の子どもフォーラムによる調査では、就学支援制度を利用していない家庭の6割が精度の存在自体を知らなかった、という結果になりました。

インターネットが普及している現代ですが「制度をどのように見つければ良いのか分からない」「そもそも調べようとしていなかった」という場合もあります。

情報提供の方法や仕組み作りなど、解決すべき問題は多いといえるでしょう。

③高齢化社会による支援金不足

日本は超高齢化社会です。

日本国民のうち、高齢者(65歳以上)は2021年時点で約29.1%となりました。

高齢者が増えるということは、社会保険の支出が増えることを意味します。

2022年度予算案の閣議では、社会保険費として36兆2735億円で過去最大となりました。

社会保険費は歳出総額の3割を占めており、最も支出規模が大きい項目です。

この結果、国の予算を「子どもの貧困」に関する給付金などに使えるお金が減ってしまうかもしれません。

高齢化社会が直接の原因とは言い切れませんが、間接的な要因にはなりうると考えられます。

貧困に苦しむ子どもに必要なものは?

ここまで、子どもの貧困の現状を知り「この問題を解決したい」と思う人は多いのではないでしょうか。

対策するための第一歩は、子どもにとって何が必要かを知ることです。

貧困に苦しむ子どもにとって必要なものは、状況によって異なりますが主に3つあります。

  • 健康的であたたかい食事
  • 安心して過ごせる場所
  • 十分な教育体制

それぞれ詳しくみていきましょう。

健康的なあたたかい食事

親が朝早くから夜遅くまで仕事に出かけている場合、子どもはインスタント食品やコンビニ、スーパーのお惣菜などに頼らざるを得ません。

またお菓子を夕食代わりにしている子どももいます。

栄養のある食事は学校給食でしか食べることができず、夏休みなどの長期休暇の後には痩せている子どももいるようです。

給食費が払えないという貧困家庭もあります。

子どもの成長には健康的であたたかい食事が必要です。

このような問題を解決するために、全国で「こども食堂」が増えています。

こども食堂とは無料もしくは低価格で子どもにご飯を提供する食堂です。

大人も低価格で食事ができ、貧困家庭への支援として注目されています。

安心して過ごせる場所

親が夜遅くに帰ってくるため、学校から帰っても長時間一人で過ごさなければいけない子どもがいます。

地域のつながりが薄くなりつつある今、孤立してしまう子どもがいます。

そのような子どものために、安心して過ごせる場所が必要です。

例えば「放課後児童クラブ」。

共働きや一人親家庭のために、放課後の子どもに遊んだり勉強したりする時間と場所を提供しています。

放課後児童クラブは全国にあり、それぞれの施設に児童厚生員がいます。

また日本財団では提供しているのが「子ども第三の居場所」です。

子どもたちが安心して過ごせる環境で、コミュニケーションや生活習慣など生き抜く力を育める場所を作っています。

参考:日本財団「子ども第三の居場所」

十分な教育体制

「お父さんやお母さんに勉強を教えてもらいたいけど、忙しそう」と家での勉強が難しい子どももいます。

そのような子どもに必要なのが十分な教育体制です。

家で勉強する習慣がないため学力が伸びなかったり、朝ごはんを食べていないため授業に集中できない場合もあります。

NPO法人による無料学習会や「放課後子ども教室」などが開かれています。

勉強だけでなく、ボランティアやスタッフとのコミュニケーションを通して社会との繋がりを持つことができます。

私たちでもできる子どもの貧困対策

最後に、私たちができる子どもの貧困対策を2つ紹介します。

  • 支援団体への寄付
  • ボランティア活動

「子どもとのコミュニケーションに自信がない」「教育関連は難しい」と思われるかもしれません。

しかしどちらも簡単にできることなので、無理のない範囲で取り組んでみましょう。

支援団体への寄付

一つ目は「支援団体への寄付」です。

先ほど紹介した「こども食堂」や「無料学習会」の運営にはお金がかかります。

子どもの貧困問題のために取り組む団体は、寄付を募っている場合が多いです。

気になる団体があればHPをチェックしたり問い合わせを行ったりしてみてください。

また物資の寄付も可能です。

支援団体の中には衣類寄付を受け付けているところがあります。

子どもは成長が早く、すぐにサイズアウトしてしまうこともあるからです。

衣類を寄付する場合はなるべく綺麗な服を用意しましょう。

また事前にどのような衣類を必要としているのか確認しておくことで、不要な服を送ってしまうことを避けられます。

ボランティア活動

「ボランティア活動」も気軽にできる取り組みの一つです。

地域によって活動は異なりますが、子ども食堂や炊き出しの手伝い、子どもの遊び相手などがあります。

専門的な活動でなければ、特別なスキルや資格は必要ないことがほとんどです。

家で一人で過ごす時間の長い子どもにとって、他の大人や友達とコミュニケーションを取る時間は非常に重要です。

中には人と話すのが苦手な子もいるかもしれません。

無理に話しかけたりせず、まずは話しやすい雰囲気や環境を作ることを心がけましょう。

まとめ

貧困は子ども自身やその家庭だけの問題ではありません。

子どもの貧困を見逃すことは、日本全体にとって大きな損失になります。

逆に言えば、貧困を解消できれば大きなメリットを得られることになります。

少子高齢化が進む日本にとって、子どもは大切な存在です。

また貧困から抜け出すことはその子自身の希望にもつながります。

未来の子どもたち、そして日本のため、子どもの貧困に向き合いましょう。

そして寄付やボランティアなど、できることから取り組んでみてください。

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