マンスプレイニングの意味とは?具体例や対処法の他にSDGsとの関係性も解説!
画像:iStock|hyejin kang
上司や周囲の人から「上から目線で物事を言われた」経験はありませんか。
特に男性の「上から目線」を表す言葉が「マンスプレイニング」です。
近年、SNSを通じて話題となったマンスプレイニングについて、その意味やマンスプレイニングをする人の特徴を解説します。
他にもマンスプレイニングをする人の心理や具体的な例・対処法や、マンスプレイニングとダイバーシティ、SDGsとの関係性も後述します。
現代において、マンスプレイニングという行為がダイバーシティやジェンダー平等への取り組みにどのように影響するか解説しますので、ぜひ参考にしてみてください。
マンスプレイニングとは?
マンスプレイニングとは、男性を意味する「man」と説明を意味する「explaining」を組み合わせた造語です。
作家であり、環境や人権問題のアクティビストでもあるアメリカ人のレベッカ・ソルニット氏が著書「説教したがる男たち」に対するネット上でのコメントから、自然発生的に生まれた言葉です。
男性が女性に対し、自分の知識や意見を一方的に説明することで優越感を得ようとする行為を指します。
このような態度のほとんどが、横柄で相手を見下していると周囲に映り、失礼な振る舞いとして批判されています。
近年は日本でもジェンダー平等への意識の高まりで、徐々に浸透しつつある言葉の1つです。
参考:朝日新聞DIGITAL「バーで男性の態度変わった 「女性は無知」が生むマンスプレイニング」
参考:公益財団法人 日本女性学習財団「マンスプレイニング(mansplaining)」
マンスプレイニングの特徴
マンスプレイニングをする人には、どのような特徴があるのでしょうか。
特徴として、以下のような傾向があります。
- 横柄な態度
- 自慢が多い
- 一方的な主張
- 役職や序列に弱い
これらについて、1つずつ解説します。
特徴①:横柄な態度
マンスプレイニングで1番よく見られる特徴が「横柄な態度」や「偉そうな態度」です。
明らかに相手より、自分のほうが立場は上であるという前提で接してきます。
接する際は「自分が相手に教えてあげている」という雰囲気を出し、威圧的な態度や相手への敬意を欠いた態度が特徴で上から目線です。
特徴②:自慢が多い
マンスプレイニングで次に特徴的なのが、相手に対して自慢が多いことです。
自慢する内容は、自分が相手に比べてどれだけ多くの知識や経験を持っているか、どれだけ優れているかをアピールします。
相手のほうがもしかしたら多くの知識や経験を持っているかもしれない可能性は、一切考慮しないのが特徴です。
特徴③:一方的な主張
マンスプレイニングをする人は、一方的な主張が多いのも特徴です。
自分が話したいことをひたすら話し続け、相手が口を挟む余地を一切与えません。
マンスプレイニングが度を越す場合には、相手の発言を遮って話の主導権を奪うこともしばしばです。
こちらに興味がないことも一方的に話す特徴もあります。
特徴④:相手の気持ちを考えない
マンスプレイニングをする人は、相手の気持ちを考えられません。
自分中心に物事を考えるため、その場の空気や相手がどう感じるかくみ取れないからです。
相手にマウントを取るような言動をしてしまうのです。
参考:マイナビウーマン「マンスプレイニングの意味とは? 具体例や男性心理も解説」
参考:FORZA STYLE「マンスプレイニングって? 男性が気づかずやりがちな理由とは」
マンスプレイニングの具体的な例
マンスプレイニングをする人の特徴を解説してきましたが、過去にあった具体例をみていきましょう。
有名なポテサラ事件の他に、マウントを取った態度の例を紹介します。
ポテサラ論争
女性の権利が議論される中で、マンスプレイニングという行為が問題視されるようになった事例があります。
2020年に、高齢男性が子連れの女性に「母親ならポテトサラダくらい作ったらどうだ」と発言する現場を目撃したというX(旧Twitter)のツイートに端を発した「ポテサラ論争」がよい例でしょう。
「母親なら手間を惜しまず手作りの料理を用意すべき」という固定概念に対する反発と、ポテトサラダという一見簡単そうだが、意外に手間のかかる総菜を「それくらい」とみなす男性の家事見識のなさに批判が殺到しました。
参考:日本経済新聞「『ポテサラ論争』が示す深い闇 怒鳴る高齢男性の孤独」
マウントを取った例
マンスプレイニングをする人は、女性に対してマウントを取ろうとする傾向があります。
例えば、車の運転やゴルフ・釣りなど男性に多い趣味において、頼んでもいないのに知識やスキルをひけらかす行為はイメージしやすいかもしれません。
「女性が自分より、ものを知っているはずがない」という決めつけがあったり「男性である自分が女性より下に見られたりするのが許せない」と感じてしまうのです。
マウントを取っていないと立場が逆転されそうという不安からそのような行動をとってしまうのかもしれません。
女性に対しマウントを取ることで、自分は人より優れていると思い込み、自尊心を保っている特徴もあります。
マンスプレイニングを受けたときの対処法
地域や職場など、関わらなければならない環境でマンスプレイニングをされたら、どう対処すればよいのでしょうか。
マンスプレイニングを受けた際の対処法を解説します。
聞き流す
マンスプレイニングをする人は、承認欲求が強いのが特徴です。
自分の話を素直に聞いてくれる人を好みます。
一定の距離を保ちながら、適度に相づちを打って聞いている様子を出しながら聞き流しましょう。
もしアドバイスをされた際も「貴重なご意見をありがとうございます」と、いったんは感謝を伝えつつ、徐々にその場を離れましょう。
適度に話を切り上げる
話を聞き流しているにもかかわらず、「聞いてくれている(自分が優位に立っている)」と思われてしまうと、マンスプレイニングをする人はますます自慢げに話します。
話が長いと感じたら「お話、ありがとうございます。今日は用事があるので、そろそろ失礼しますね」と途中で話を遮り、席を外すようにしましょう。
一歩引いて相手を観察する
マンスプレイニングをする人を「なぜこの人は、こんなに自慢してくるのか」と一歩引いて観察してみるのもよいでしょう。
一歩引いて冷静に観察すると「自信がないのだろう」「劣等感が強いのかもしれない」といった相手の状況が見えてきます。
マンスプレイニングをエスカレートさせないためにも、冷静に観察することをおすすめします。
ダイバーシティ時代に反するマンスプレイニング
ダイバーシティとは、「多様性」を意味する言葉です。
年齢や性別、国籍、人種、教育、職歴、価値観など、属性が異なるさまざまな人々が共存している状態を示します。
ダイバーシティを推進していない組織では、経歴や性格が同じような価値観を持った人材が集まるため、革新的・創造的な発想は生まれにくいものです。
しかし、ダイバーシティを推進することで、年齢・性別・人種・価値観の異なる人材が組織に多く集まるため、新しい視点やアイデアが生まれやすくなります。
ダイバーシティを推進する組織は、今後ますます個性を重視する組織というイメージが持たれるようになるため、ブランドアップにもつながります。
マンスプレイニングをすることは、ダイバーシティの推進にそぐわない行為といえるでしょう。
参考:パーソルプロセス&テクノロジー株式会社「ダイバーシティ(多様性)推進のメリット・デメリット・問題点とは?」
ダイバーシティ&インクルージョンについては以下の記事も参考にしてください。
マンスプレイニングとSDGs目標5との関係性
SDGsの目標5には「ジェンダー平等を実現しよう」というテーマが掲げられています。
マンスプレイニングは、男性が女性に対して無意識に「自分のほうが知識や経験がある」という前提に立ち、女性の知識や能力を軽視する行為です。
つまり「女性は知らないだろう、分からないだろう」という考えは、マンスプレイニングによる偏見であり、SDGsの目標5にそぐわないものといえるでしょう。
先進国でも「男性のほうが女性より所得が多い」「政治家や研究者に女性が少ない」など、女性が社会で活躍する機会が少ないことが問題になっています。
こうした課題を解決するためにSDGsの目標5では、女性への差別や暴力をなくしたり、女性が能力を伸ばせたりするような社会の仕組みづくりが大切です。
SDGs目標5の達成には、マンスプレイニングの根絶とジェンダー平等の実現も重要なステップです。
個々人の意識改革だけでなく、社会全体での取り組みが必要です。
参考:SDGsジャーナル「SDGs|目標5 ジェンダー平等を実現しよう|性別による差別だけではない」
参考:ベネッセ「SDGs目標5.ジェンダー平等とは?男女差別をなくしていこう」
まとめ
本記事では、マンスプレイニングを紹介しました。
ダイバーシティやSDGs目標5の推進のためには、社会全体で包括的に尊重し合う文化を育て、マンスプレイニングをなくす取り組みが不可欠です。
マンスプレイニングのような行動を男性から女性に限ったものと考えず、女性も同じようなことをしていないか、性的マイノリティや社会的弱者を差別していないか、見直す機会と捉えてみるとよいでしょう。
ぜひ、この機会にマンスプレイニングやダイバーシティ、SDGs目標5について考えながら、男性も女性もLGBTQもお互い対等な立場で支え合う社会にしていきましょう。
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