森林伐採の対策についてわかりやすく解説|私たちに今何ができる?
この記事では、そんな疑問に答えます。森林伐採は良くないことだと何となく理解しているつもりでも、実際に身近なことだと捉えられている人は少ないのではないでしょうか。
実際、森林の減少が進んでいる国は、ブラジル、オーストラリア、インドネシア、ナイジェリアなど、日本から見ると少し遠い国ばかり。
だからこそ、どこか遠い国のジャングルの話だと感じてしまいがち。そんな森林伐採について、この記事ではわかりやすく解説していきます。
実は、日本は過剰包装が話題になったり、使い捨ての紙コップ、紙皿などの使用率も依然として高いのが現状です。
遠く離れた国の森林を、実は日本にいながら自分自身が破壊している恐れがある。
そう考えると、他人事ではなくなるのではないでしょうか。
森林破壊の現状
地球における森林面積は約40.3億ヘクタール、全陸地面積の約31%を占めています。
しかし2000年から2010年の間で、平均すると毎年520万ヘクタールもの森林が減っているとの統計があります。
具体的には、ブラジル、オーストラリア、インドネシア、ナイジェリアにて大きな減少がみられています。
このペースで森林減少進んでいくと、どんどん地球上の森が減ってしまいます。
森林は地球において多くの役割を担っています。何よりも大きいのが、多くの生態系が暮らしているという点。
そして、大気中の二酸化炭素を吸収してくれているという点です。
森林伐採が進むことで、生き物の暮らす場所がなくなり、生態系が崩れるという悲劇はすでに起きています。
また、近年叫ばれている地球温暖化も着実に進んでいて、このままでは人間が暮らしていくのも苦しくなるのではと懸念されています。
森林破壊の原因
地球に広がっている森林が着実に減っているという点をご紹介してきましたが、そもそもなぜ森林が減ってしまうのでしょうか。
そこには自然に対する、人間の傲慢さが広がっていました。
土地の利用方法変換
どんどんと人口が増えている地域においては、森林を住む場所や食料を作る場所に切り替えることがあります。
土地が足りないからという理由で、森林を切り開いているということです。
より大規模な農業を可能にするために切り開くこともあれば、レジャー施設(スキー場やゴルフ場など)を作るために森林伐採が進むということもあります。
非伝統的な農業
従来人間は自然と共存しながら、農業を進めてきました。これは農地を数年間使った後は、自然の回復力を使いながら、元の森林へと戻していくというスタイルです。
これによって、一部は農地として使っても、その後は森林に戻し、また違う場所を農地として使うというサイクルが生まれていました。
しかし、現在ではできるだけ多くの作物を作り出せるようにと、自然に負荷をかける焼き畑農業が盛んになっています。
森林を焼き払うことで肥料にして、そこで農業をする焼き畑農業。
農地を増やしたいからという理由で、過度に焼き払いが進み、また自然の回復力を待たずして農業を続けることで、土地の使い捨てに繋がっています。
木材の過剰摂取
世界の需要が止まらないことが原因で、木材の過剰摂取も森林破壊につながる大きな原因の一つとなっています。
国にもよりますが、木材採取には許可された量や区域などのルールが存在しています。
しかし、それらの規定を無視した「違法伐採」が後を絶ちません。
本来は切り取られる必要のない森林が切り倒されてしまうだけでなく、違法伐採のケースでは、転売などの闇ルートを経由することが多く、不当に安価な木材が市場に出回ることになってしまいます。
すると、価格競争の社会においては、正規ルートでの正当な価格の木材が売れなくなるというトラブルにも繋がります。
森林火災
少し前にはアメリカのカリフォルニア州や南アフリカのケープタウンで発生した大規模火災が話題になりましたが、地球温暖化によって夏の温度が上がりやすくなると、乾燥が進み、森林火災が発生しやすくなります。
2019年にはオーストラリアでは半年間で1,000万ヘクタールの森林が燃えてしまうという、とんでもない森林火災も起きました。
森林伐採によって、大気中の二酸化炭素を減らす役割を担っている木が減ってしまう。
すると、地球温暖化が進み、暑くなることが原因で、森林火災のリスクが増える。
いざ起きてしまうと、ググッと森林が減ってしまう。
そんな負のスパイラルに直面しています。
森林破壊の対策
着実に減り続けている地球上の森林面積を、少しでも食い止めるためにはどのような対策が練られているのでしょうか。
全部で4つの対策をご紹介していきます。
・RSPO(パーム油を持続的な資源にする取り組み)
・コミュニティ・フォレストリー
・持続可能な森林経営の推進
・基準・指標の作成と違法伐採の取り締まり
国や国際機関、NGO団体、地域団体などが一丸となって森林伐採の問題に対する取り組みを進めています。
RSPO(パーム油を持続的な資源にする取り組み)
パーム油って聞いたことはありますか?スーパーに並ぶ商品の半分以上に含まれているとさえ言われている、安価で生産効率が高く便利なオイルです。
マーガリンなどとして食品に入っていた李、洗剤などの加工品にも含まれます。
熱帯雨林でとれるパーム油の需要が、世界で爆発的に伸びているということを受け、産地である東南アジア(インドネシアやマレーシア)の熱帯雨林がどんどんと減少しています。
単純に自然が減っているだけでなく、過度な開発による他の生態系への影響や、自然災害の増加にまでつながっています。
この問題に立ち向かうべくRSPO(Roundtable on Sustainable Palm Oil)という国際組織が設立され、地域や環境に配慮した「持続可能なパーム油」の生産に向けた取り組みが始まりました。
パーム油の認証制度が進むことで、劣悪な環境から採取されるパーム油の流通を取り締まることが目的です。
参照:RSPO
コミュニティ・フォレストリー
森林を管理する方法として、国任せにするのではなく、地域住民を巻き込んでいく「コミュニティ・フォレストリー」という方法を取り入れ始めている地域があります。
とにかく木材が売れるからと闇雲に伐採を進めてしまうことがないように、山間部の地域の方々に地域経済を発展させつつも、森を守る必要性(生態系の維持や、自然災害のリスクなど)への理解を深めてもらい、自分たちで森を守るという取り組みです。
持続可能な森林経営の推進
各国それぞれ対応するだけでは森林伐採の対策が進まない>こともあり、「持続可能な森林経営」に向けた国際会議や地域会議が重ねられています。
2000年には「国際森林フォーラム(UNFF:United Nation Forun on Forests)」という団体が設立され、毎年1回会議が開催されています。
各種国際会議が新型コロナウィルスのパンデミックの影響でキャンセルになるなかでも、このUNFF会議は2020年、2021年はオンラインで開催され、持続的に対話が続いています。
基準・指標の作成
2015年に国連で採択されたSDGs目標の15番は『陸の豊かさも守ろう』がスローガンとなっています。
森林を管理して砂漠化を防いだり、生き物の多様性をいかにして守るかが重要な点として掲げられています。
この大きな目標が掲げられたことをうけ、世界各地で森林を守るルールが作られ始めました。
木材生産国による「国際熱帯木材機関(ITTO)」や環太平洋地域諸国による「モントリオール・プロセス」などがその例です。
森林伐採の問題は1か国で対応するだけでは微力です。
だからこそ、地域で一丸となって取り組み、森林保護に向けて加速させていくことが求められています。
これらの機関が一つとなって「違法伐採」の取り締まりにも乗り出しています。
参照:ITTO
私たちに今何ができる?
熱帯雨林や森林と聞くと、どこか遠い国で起きている問題のように聞こえてしまいますが、毎日の生活で「紙」や「パーム油」を一切使わないという人はいません。
だからこそ、日本で暮らしていても、森林伐採に加担しているかもしれないのです。
少しでも豊かな自然を維持するために、私たちには何ができるのでしょうか。
紙の使い方を見直す
「紙をできるだけ減らそう」「リサイクルをしよう」というフレーズは、ある程度定着していると言えるでしょう。
書類のオンライン化を進めたり、日常生活で少しでも紙を使わないように意識するだけでも、ちょっとした一歩に繋がります。
・コピー用紙や紙コップの使用を極力減らす
・再生紙の製品を選ぶ
・できるだけ紙の使用を控える
・過剰な包装や、紙袋を断る
「この紙は本当にいるかな?」と一瞬考える癖をつけることで、消費量を抑えることができます。
とても小さなアクションに見えるかもしれませんが、みんなで力を合わせていきましょう。
環境配慮商品を選ぶ
違法伐採された木材を使った家や家具を買っていないでしょうか。
流通の過程でブラックボックス化してしまっているケースが多いというのが正直なところですが、各種団体の取り組みによって合法取引を保証する「合法木材推進マーク」の取り付けが進んでいます。
家具を選ぶ時などは、チェックをしてみてください。
・違法伐採された木材や木製品を購入しない
・環境やSDGsに配慮した企業の製品を選ぶ
また、食品から家庭用品にまで多様されているパーム油については「RSPOマーク」の取得が推進されています。
違法伐採に加担しないためにも、シャンプーやせっけんなどを購入するときには、ヤシの木のロゴマークがついたものを探してみてくださいね。
森林保護団体をサポートする
直接的でも、間接的でも森林保護団体をサポートする方法はたくさんあります。
・森林保全活動や団体にボランティアとして参加する
・森林保全団体に寄付をする
・森林破壊の問題を誰かに伝える
森林の現場に足を運ぶことは難しかったとしても、彼らの活動について誰かにシェアをしたり、団体のサポートする商品を購入したりと、できることは色々あります。
身近なところから、初めて見るのはいかがでしょうか。
まとめ
地球上の森林が過度な伐採を受けて、着実に減ってきているというのが現状です。
単純にきれいな緑が減っているというだけでの問題ではありません。
森林が減ることで、
・森林や熱帯雨林に住む多くの生き物が危険にさらされている
・二酸化炭素を吸収する森が減り、地球上の二酸化炭素が増え、温暖化が進んでいる
・温暖化が進み、地球上の乾燥が進むことで、自然災害が増えている
このまま続いていくと、森に住む生き物だけでなく、私たちまでもが地球に住み続けることは難しくなるかもしれません。
遠い異国のジャングルの話ではなく、紙やパーム油を日常的に使っている私たちにも責任のある森林伐採問題。
さっそく、できるところから小さなアクションをとっていきましょう。
『GREEN NOTE(グリーンノート)』は環境・社会課題をわかりやすく伝え、もっと身近に、そしてアクションに繋げていくメディアです。SDGs・サステナブル・ESG・エシカルなどについての情報や私たちにできるアクションを発信していきます!