地方創生

【取材】南州農場のSDGsな取り組み「南州エコプロジェクト」について

鹿児島大隅半島に4つの農場で豚と牛を育てている「南州農場」。

南州農場は40年以上前から6次産業化に向けて事業を展開しており、地域活性化にも大きく貢献している会社です。

実際に現地を訪問し、南州農場株式会社、代表取締役会長の石松秋治さんにSDGsな取り組み「南州エコプロジェクト」についてお話を伺いました。

↑GREEN NOTEアンバサダーの難波遥さんと石松会長

食肉の生産、処理、加工、販売を行う「南州農場」

出典:https://www.nanshunojo.or.jp/

南州農場は1982年から、鹿児島県で食肉の生産、処理、加工、販売を一貫体制で行っている会社です。

生産:大隅半島の4つの農場で養豚と養牛。
処理:世界でもトップクラスの衛生管理と確かな技術での処理事業。
加工:素材と職人の技で、一番おいしいかたちで加工。
販売:直営飲食店やオンラインショップ、百貨店などで販売。

生産から販売までをすべて手掛ける6次産業化にいち早く取り組まれている企業になります。

公式H P:https://www.nanshunojo.or.jp/
公式オンラインショップ:https://www.nanshu-pork.com/

安心安全な美味しいお肉を食べてほしい

南州農場で育てている豚は、鹿児島の豊かな自然から湧き出る天然水や、こだわりの飼料、なるべくストレスのかからない環境で飼育しています。

一貫体制で加工、販売まで行っているため、鮮度もどこにも負けずに消費者へ提供できます。

また南州農場は、食品の国際的な衛生管理基準であるHACCP(ハサップ)をと畜場としては日本で初めて取得しています。

出生日からお客様の手元に届くまでの履歴情報を徹底管理するトレーサビリティシステムも導入しています。

出典:https://blog.ncbank.co.jp/posts/829

そんな厳しい管理基準のもと、育った豚肉はマイルドな味わいの中に、甘味もあるおいしさにこだわったものになっています。

「地域と共に考え、共に歩む」を理念に地域へ恩返しがしたい

若い人がいなくなる大隅半島で、福岡から何人か連れて創業期の南州農場に参画した当時は若いパワーもあり、そんな石松さんたちを地域の方や自治体のサポートで事業を拡大していくことができたそうです。

企業理念である「地域と共に考え、共に歩む」を軸に、現在グループの総従業員数は300人を超え、地域活性化にも貢献。

地域の皆さんから育てていただいたという感謝の気持ちを基に、恩返しをしていきたいと考えているそうです。

SDGsな取り組みについて

南州農場グループでは、2021年7月1日に新設した「南州エコプロジェクト(株)」の活動に力をいれています。

このプロジェクトの概要、取り組んだきっかけ、このプロジェクトによる影響についてお伺いしました。

南州エコプロジェクト㈱の概要

GREEN NOTE編集部:南州エコプロジェクト(株)とはどんな会社ですか?

石松さん南州エコプロジェクト(株)とは、大隅半島の2市3町(鹿屋市・垂水市・肝付町・錦江町・南大隅町)において、飼料用作物の生産・買取等、豚のエサの自給化(国産化)し、地域の課題と自社の課題を同時に解決する循環型畜農業の実現を目指すために設立した会社です。

現在大隅地域ではさまざまな課題があります。

【地域の課題】

  • 高齢化に伴う人口減少
  • 耕作放棄地の増加
  • 鳥獣による被害

【南州農場グループの課題】

  • 飼料(原料)を輸入に依存⇒輸入飼料の高騰、安定的な確保への不安
  • 外国人労働者に依存
  • 耕作農地減少による余剰堆肥処理

この課題を解決するために下記のような仕組みで解決していこうという取り組みに力を入れています。

出典:https://www.ncbank.co.jp/noren/news/2021/__icsFiles/afieldfile/2021/12/10/211210-3.pdf

まず南州エコプロジェクト㈱が、地元の農地(耕作放棄地)の引き受け手、飼料作物買取の引き受け手となります。

高齢化・担い手不足による耕作放棄地をもつ耕種農家と契約栽培することで、耕種農家は、畜産濃厚飼料生産によって、生活の基盤となる収入の確保が可能に。

労働力不足、飼料の輸入依存している畜産農家へ飼料供給をすることで、国産濃厚飼料の使用により経営が安定。

上記の両方が成り立つことで、下記のような副産物的に地域の課題解決につながるという取り組みです。

  • 耕作放棄地の解消
  • 人口減少の抑制、地域活性化
  • 地元雇用の創出、農家収入増の経済効果
  • 関係人口増による移住定住の促進
  • 地域のブランディング など

このような循環型農業の実現は、二酸化炭素や窒素化物の減少による環境保全効果があります。

取り組みのきっかけ

GREEN NOTE編集部:「南州エコプロジェクト」の取り組まれたきっかけはなんですか?

石松さん:トランプ出現~コロナ禍にあって、自国優先主義の世界が広がりつつあると感じていました。

海外依存度の高い飼料が輸入できなくなったら、6万頭以上の家畜を餓死させてしまう。残酷過ぎますが、人間の食料が優先されるでしょう。

その食料も日本は厳しくなり、大規模農業での自給自足を目指すしか確実に生き残る道は無い。

一方で、地域は人口減少で労働力はない、農地も荒廃化が進んでいます。

運命共同体と考えている地域が無くなれば会社の存続も困難になります。

畜産現場は堆肥が余りつつあり、これを活用して、循環型農業を進めれば、環境保全に大きな貢献ができるという思いがありました。

全部組み合わせれば国のみどり戦略やSDGsにマッチします。

20年前にも同様なことを企画したが、時代が合いませんでした。

しかし、まだ現在の社会構造、国の政策のままでは飼料生産は難しいので、国や自治体を巻き込んで一緒に仕組み作りをしなければならない。

もう待ってはいられない、見切り発車するしかない。と思ったのがきっかけです。

取り組むにあたってどんなことをしましたか?

GREEN NOTE編集部:取り組むにあたってどんなことをしましたか?

石松さん:耕種農業の知識だけでなく、自社に留まらず大隅半島全体の課題解決を推進していくには、国や自治体に人脈、発言力がある人材が必要でした。

元南大隅町長を3期務めた、森田氏に相談して協力の了承を得て、南州エコプロジェクト㈱を創業しました。

また、本事業を進めるにあたって、頼らなきゃいけないところもたくさんあるため、銀行や、飼料・農業関係の企業さんや地元のJAさん、等に出資していただきました。

私たちだけではできないので、みんな協力してね、みんなでこのプロジェクトを地域全体でやっていきましょうということをずっと伝えてきました。

農業関係だと、株式会社オキスさんが栽培方法などの指導をするなど、地域企業さんとの連携が始まっています。

GREEN NOTE編集部:地域全体で連携して作り上げてきているプロジェクトなんですね。

会社の売り上げについて

GREEN NOTE編集部:このプロジェクトで会社の売り上げはどうなりましたか?

石松さん:昨年から開始したプロジェクトなので、まだ既存の南州農場グループの売り上げは変わりませんが、南州エコプロジェクトの事業に共感して、人材が集まりつつあります。

これが一番の希望です。

GREEN NOTE編集部:関係人口を増やしたいというのが、石松さんの希望でしたね。

社員たちの雰囲気

GREEN NOTE編集部:社員たちの雰囲気はどうなりましたか?

石松さん:新しい取り組むであるため、まだ、従業員が一致団結して、グループの総力をあげてとまではいっていませんが、少しづつ、会社や地域のことにも関心を示すようになったと思います。

取り組みにあたって、大変だったことはなんですか?

GREEN NOTE編集部:このプロジェクトを進めるにあたって、大変だったことはなんですか?

石松さん:循環型農業の実現に向けた南州エコプロジェクトの取り組みは新しい取り組みであるため、自治体などに営利目的だけの事業ではないことを理解してもらうのに時間をかかったことです。

また、現在もですが、新しくチャレンジしている耕種農業に対する知識と技術と設備機械が不足しているのも大変な点です。

今後の目標

GREEN NOTE編集部:今後の目標を教えてください。

石松さん飼料作物を生産し循環型農業を確立し、関係人口を増やして、地域活性化を図ることです。

編集後記

今回の取材では、南州農場さんの味へのこだわりと取り組みを取材してきました。

関係人口を増やしていきたいとおっしゃっていた石松さん。

事業をスタートされた時から自分じゃできない、地域の方々に育てていただいた、という謙虚かつ常に感謝を忘れない気持ちがあったからこそ、会社の規模やプロジェクトも大きくなり今に至るのだなと感じました。

取材にご協力いただきありがとうございました!

他にも鹿児島大隅半島の下記企業の取り組みを取材しました。

【取材】白鳩会の「障がいのある方の自立を目指す」SDGsな取り組みについて

【取材】株式会社オキスの農福連携を活かしたSDGsの取り組みについて

【取材】ボタニカルファクトリーの環境・地域農業へ貢献するSDGsな取り組みについて

提供:南州農場 株式会社
協力:株式会社ワークデザインラボおおすみ

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