飲料メーカーのSDGsへの積極的な取り組みとは?企業事例も紹介
私たちの生活に欠かせない飲料水。
毎日のようにペットボトル飲料を持ち歩く人も多いのではないでしょうか。
気軽に持ち運べてどこでも手に入るペットボトル飲料は、とても重宝ですね。しかし一方でペットボトルは多くのプラスチックごみになるのも事実です。
グローバル企業の多くは、国連が掲げた持続可能な開発目標・SDGsを達成するための取り組みを開始しています。
中でも飲料メーカーは、ペットボトルのゴミが海洋汚染を含む環境問題にダイレクトに関わっているため、SDGsへの取り組みは不可欠です。
この記事ではペットボトルがゴミ問題とどう関り、飲料水メーカーがどのようにSDGsへの取り組みを行っているかを解説します。
特に企業の取組み事例を多くご紹介しますので、是非参考にしてください。
なぜ飲料メーカーがSDGsに取り組むのか
世界的にSDGsが注目される中、飲料水メーカーがSDGsに向けての取り組みを開始しています。
背景に何があるのかくわしく解説しましょう。
ペットボトル飲料のゴミ問題
ペットボトル飲料は手軽でコンビニでも自動販売機でも、すぐに手に入れることが可能です。
反面あまりにも手軽すぎるために、多くのプラスチックごみになるのも事実です。
2017年度、世界ではなんと1分間に100万本を超えるペットボトルが消費されたと言われ、日本では2020年度の指定ペットボトルの販売数が、輸入製品をふくめて233億本にも及びました。
日本のペットボトルのリサイクル率は優秀だと言われています。
しかしそれはあくまで自治体がリサイクル法に基づいて回収する、家庭からのものがメインです。
自動販売機やコンビニ、スーパーなど家庭以外から排出され、リサイクル法対象外のものは国内で処理しきれず、多くは東南アジアに輸出され問題となりました。
海洋プラスチック汚染の原因はペットボトル?
プラスチックごみの海への流出は、毎年約800万トンにも及ぶことをご存じですか。
プラスチックは化学製品なので、自然に分解され土に還ることはありません。
そして処理されないペットボトルをはじめとしたプラスチック製品は、いつしか海へとたどり着きます。
紫外線や波の影響を受けて細かく砕かれたペットボトルは、マイクロプラスチックへと変貌し海の生態系に深刻な影響を与えるのです。
マイクロプラスチックは海底に1400万トンも沈んでいると予測されており、このまま増え続ければ2050年には、海に住む魚の量をプラスチックごみが超えてしまうとさえ言われています。
関連記事:海洋汚染の原因の4割が食品包装のプラゴミ|私たちができる取り組みは?
SDGsに対する飲料メーカーの責任
企業の利益を優先し、環境に負荷を与えることはもはや許されない時代に入りました。
ここでは飲料業界に関わるSDGsの目標や、環境問題に対しての意識改革、業界全体がどのような対策を開始したかをご紹介しましょう。
飲料業界に関わるSDGsの目標とは
ペットボトルのプラスチックごみ問題に関して、以下のSDGsの目標は特に飲料業界と関係が深いと言えるでしょう。
これらの目標を達成するためにも、飲料業界全体でのSDGsへの取り組みが必要です。
人間の経済活動において環境への負荷を減らす配慮が必要。そのために実現しなくてはならない目標です。
海の生態系や生物多様性を守るために、海洋汚染を食い止めなくてはなりません。
飲料業界全体の意識変革
飲料業界は2018年に、国内飲料メーカーによって構成する「全国清涼飲料連合会」で「清涼飲料業界のプラスチック資源循環宣言」を発表しました。
これは「2030年度までのPETボトル100%有効利用」を目指す方針を示したものです。
閣議決定された「第四次循環型社会形成推進基本計画」に基づき持続可能な社会を実現するために、飲料業界として意識を改革し今後プラスチックの資源循環を推進することを定めました。
「清涼飲料業界のプラスチック資源循環宣言」
「清涼飲料業界のプラスチック資源循環宣言」とはどのようなものでしょうか。
以下がその宣言になります。
清涼飲料業界は、「清涼飲料業界のプラスチック資源循環に対する基本的な考え方」を基に、陸域・海域の散乱問題も踏まえ、お客様、政府、自治体、関連団体等と連携しながら、2030年度までにPETボトルの100%有効利用を目指し、短・中・長期に方向性を定め、プラスチック資源循環に真摯に取組むことを宣言します。
「一般社団法人 全国清涼飲料連合会」
循環型社会の実現に向けて
飲料業界が目指す循環型社会を実現するためには、ペットボトルの軽量化やリサイクルが必要です。
ここではペットボトルのリサイクル率や実際の取り組みについて見てみましょう。
ペットボトルの回収率や再生率は?
ペットボトルの回収・リサイクルは2021年度85%以上を維持しています。
指定ペットボトル販売量の581千トンに対して、リサイクル料はおよそ500千トン(86%)になっています。
ボトルtoボトル(BtoB)のリサイクル
ボトルtoボトルとは、飲料などの食品ペットボトルをリサイクルして新たな食品用ペットボトルに再利用することです。
日本のボトルtoボトルにはケミカルリサイクルとメカニカルリサイクルという2つの方法があり、2021年度のボトルtoボトルリサイクルは117.6千トンで前年度と比較して36.4%増加しました。
ボトルtoボトルリサイクルの活動は着実に進んでいます。
Reduce(リデュース)について
ペットボトルのリデュースとは、新たな技術開発などにより指定ペットボトル全体で25%の軽量化を目指すものです。
2021年度の主要メーカーの調査では、ペットボトルの主要サイズや用途において、全体で25.6%の軽量化となり目標を達成しました
飲料メーカーのSDGsへの取り組み事例紹介
ここからは飲料メーカーのSDGsの取り組み、特にペットボトル問題についての取り組みをご紹介します。
【海外】コカ・コーラ
コカ・コーラは最新のイノベーションを駆使して使用済みペットボトルを回収し、「ボトルtoボトル」を推進しています。
またラベルレス容器を販売しリサイクルをしやすくするなど、サステナブルな社会の実現に向けた取り組みを行っています。
【海外】ペプシコ
ペプシはペットボトル容器を外部から調達することをやめて、ノースカロライナにある自社工場で製造を開始。
ペットボトルの内製化を行うことで、ペットボトルの重量を平均20%削減しました。
さらに新しいボトルには再生プラスチックが10%使用されています。
【海外】ネスレ
ネスレは2025年までにペットボトルの再生プラスチック含有率を35%まで引き上げることを目指しています。
またDanimer Scientific社とパートナーシップを結び、海洋生分解性があるリサイクル可能なペットボトルの開発に着手しました。
【日本】キリンホールディングス
キリンは2019年に「プラスチックポリシー」を制定し、再生ペット樹脂を100%使用した「R100ペットボトル」を採用しています。
これらを採用した商品には再生ペット素材100%であることを証明するためにR100 のラベルが貼られています。
【日本】SUNTORY
サントリーは「プラスチック基本方針」を策定し、「2R+B(Reduce・Recycle+Bio)」独自の方針でペットボトルの軽量化やリサイクルを実現しています。
2030年までにはペットボトルの素材をリサイクル素材と植物由来素材100%に切り替える目標を掲げています。
【日本】アサヒ
アサヒはラベレス商品の開発やボトルtoボトルの取り組みを推進しながら、ペットボトルを持続可能な容器として使い続けることも大切と考え、「環境に配慮した新容器開発」にも取り組んでいます。
まとめ:飲料メーカーのSDGsへの取り組みを後押ししよう
飲料業界のSDGsへの取り組みを、ペットボトルごみ問題にフォーカスして紹介しました。
私たちが身近に使う製品だからこそ、環境汚染の原因になっていることに真剣に思いを馳せる必要があります。
企業の取り組みを後押しし、さらなる拡大をはかるのは消費者としての務めです。
まずは無駄なペットボトルの使用を減らし、使った後はきちんとリサイクルに出しましょう。
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