エシカルライフ

北欧の小さな国「デンマーク」はなぜSDGsへの取り組みが進んでいるの?

北欧の小さな国「デンマーク」はなぜSDGsへの取り組みが進んでいるのか

北欧諸国のひとつであるデンマークは、SDGsランキング上位の国であることをご存じでしょうか。

国連の研究組織「持続可能な開発ソリューション・ネットワーク(SDSN)」の2022年のSDGs達成度ランキングで、デンマークは2位でした。

特に環境問題やクリーンエネルギー開発においては、以前から積極的な取り組みを行っています。

本記事でデンマークが、SDGsに対してどのような活動を行っているかを具体的にご紹介します。

デンマークってどんな国?

デンマークってどんな国?

デンマークはどのような国なのでしょうか。

まずはデンマークの国の特徴を解説していきます。

農業が盛んな自然の美しい北欧の小さな国

デンマークは北欧の最も南にあり、人口約560万人、面積は43,000km²のヨーロッパ諸国の中でも小さな国です。

しかし農業生産力が高く国土の約6割が農業用地で、酪農製品では高い国際競争力を誇ります。

「人魚姫」などの童話の作者、アンデルセンの母国としても有名で世界的観光地としても人気です。

日本と同じように四季の移り変わりが美しく、自然を愛する人々が多く存在します。

人々の生活・幸福度は?

デンマークの人々の幸福度は世界の中でも常に上位にランクインしています。

国民は収入の半分を税金として納めますが、社会保障や福祉制度が非常に高い福祉先進国でもあるため、人々は安心感のある生活を送っています。

また仕事を行う上で報酬の高さではなく、達成感を味わったり人に喜ばれたりするという「やりがい」を重要視していることも、デンマークの幸福度の高さと無関係ではないでしょう。

またデンマークでは「ヒュッゲ」という「勇気、慰め、喜びを与える」という意味のある心の持ち方を表す言葉があり、以下のようなことをとても大切にしています。

  • 親しい人との時間を大切に
  • 時間の流れを意識して
  • 無駄な見栄を張らない
  • 美しい自然を身近に感じる
  • 物を大切に扱う
  • 心地いい場所づくり
  • 本当に必要なものだけ揃える
  • 手作りを当たり前に
  • 仕事に縛られることをしない
  • 今に感謝する

これらはかつて日本でも行われてきた人として当たり前のことを多く含んでいます。

デンマークは現代でもそれらの精神を非常に重んじているのがわかりますね。

SDGsランキング上位国デンマークの環境問題への取り組み

SDGsランキング上位国デンマークの環境問題への取り組み

冒頭でもお伝えした通り、SDGsの取り組みにおいてデンマークは世界でも上位の国です。

SDGsにはさまざまな取り組みがありますが、デンマークは特に「環境問題」と「エネルギー問題」に熱心に取り組んでいることが、SDGsの達成度をあげたと言えます。

ここからはSDGs上位国のデンマークのSDGsへの具体的な取り組みを見ていきましょう。

移動手段の約50%が自転車。CO2削減にも貢献

デンマークの首都コペンハーゲンは世界一の自転車都市と呼ばれており、通勤や通学の移動手段の50%近くが自転車です。

デンマークは1970年代のオイルショックを契機に、石油資源に依存しない交通手段として、自転車インフラの整備を推し進めてきました。

現在ではサステナブルな観光を推進する手段として、観光客にも自転車の使用を勧めています。

道路には自転車専用レーンがあるため安全に走行することが可能です。

さらに列車やメトロ・バスなどに自転車の持ち込みが許可されているので、移動先に気軽に運ぶことができます。

自転車の推進は自動車に代わる交通手段として、CO2の削減にも大きな効果を発揮しています。

ペットボトルをリサイクルするとお金が還元

デンマークの主なスーパーマーケットには、ペットボトルや空き缶、空き瓶をリサイクルする専用の機械が置かれています。

ペットボトルや空き缶をその機械に入れると日本円で数十円ほどの金額が戻ってくるシステムです。

そのため高いリサイクル率をあげています。

日本でも昭和時代にはこのようなシステムがありました。

家庭ごみの徹底したリサイクル

デンマークの一般家庭は、多くが生ゴミをたい肥化するコンポストを備えています。

また一部の自治体では、リサイクルセンターで生ゴミをたい肥化する取り組みも行っています。

資源を無駄にすることなく、再利用する意識が市民にも自治体にも根付いているのです。

またデンマークは福祉国家で、医療や教育にはお金がかりませんが、ゴミの収集に関してはお金がかかり、ゴミを減らすための施策の一環のようです。

デンマークのエシカル消費活動

デンマークのエシカル消費活動

SDGsにつながるエシカルな生活様式が、デンマークでは浸透しています。

エシカル消費において、フェアトレードやオーガニック製品を購入するのは当然のことですが、デンマークは世界初のオーガニック商品の国家管理を成立させた国です。

その結果デンマークの食品市場のオーガニック商品の占める割合は、世界でもトップを誇るようになりました。

食品だけではなく、ファッションやすべての品においてエシカル消費が進んでいます。

デンマークの人々はエシカル消費への意識が非常に高いと言えるでしょう。

LGBTQ+への理解ある取り組み

LGBTQ+への理解ある取り組み

ジェンダーギャップ指数に関しては、デンマークはそれほど高い位置にいません。

同じ北欧諸国のアイスランドやフィンランドのジェンダーギャップ指数が非常に高いことを考えると、まだまだ現実には難しい問題があると言えます。

しかし女性の活躍の場が増えたり、男性の家事や育児の時間が増えていたりなど、そのギャップは徐々に縮められつつあります。

またデンマークでは同性婚を認めており、セクシャルマイノリティであるLGBTQ+の人たちが生きやすい不平等のない社会構築を目指しています。

デンマークのエネルギー問題のへの取り組み

デンマークのエネルギー問題のへの取り組み

デンマークはどこよりも早くクリーンエネルギーに対しての取り組みを積極的に実施した国です。

2030年までにはCO2排出量を70%削減し、2050年までにゼロにするという非常に意欲的な目標を掲げています。

2030年までに再生可能エネルギー100%推進

デンマークではクリーンエネルギーである再生可能エネルギーの開発に非常に熱心です。

1980年から2010年までの間で、再生可能エネルギーの占める比率は3%から19%にまで上昇しました。

原子力に頼ることはせず、風力発電とバイオマスを中心にエネルギーを自給しています。

今から30年以上も前に世界初の風力タービンを設置し、現在では陸上および洋上の風力タービンにて、デンマークの消費電力の33%以上を供給するまでになりました。

いまやデンマークの風力発電の比率は世界最高水準といえます。

風力発電のみにとどまらず、バイオマスエネルギーにおいてもその技術やノウハウは世界で高いレベルを誇ります。

参照:デンマーク王国大使館「エネルギーおよびグリーン・テクノロジー」

世界初のエネルギー島の建設

自国のクリーンエネルギー開発にとどまらず、デンマークは周辺諸国との協力のもと世界規模でCO2削減に取り組むことを決めました。

ヨーロッパ諸国のクリーンエネルギー達成の鍵となる風力発電の拠点、「エネルギー島(Energy Islands)」の建設計画です。

建設拠点は2箇所あり、ひとつは北海、もうひとつはバルト海のボーンホルム島に予定されています。

このエネルギー島を建設することにより今後ますますクリーンエネルギーの世界的な活用が促進されることが期待されます。

デンマークのこれらのエネルギーへの取り組みは、SDGsの目標7「エネルギーをみんなに そしてクリーンに」を非常に大きく達成していると言えるでしょう。

SDGsが当たり前の意識のデンマークの人々

SDGsランキング上位のデンマークについてさまざまな面から解説しました。

デンマークはSDGsへの取り組みを簡単に行ってきたわけではありません。

これまで長い年月をかけ工夫し努力してきたことがわかります。

日本でもかつて行われてきたこともあり参考になる部分がたくさんあります。

SDDsは一国が取り組めばいいというものではありません。

持続可能な社会を築いていくためにもデンマークの取り組みや精神の在り方、ライフスタイルを参考にしていきたいですね。

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