フェアトレードはなぜ必要?商品例とともに簡単にわかりやすく解説!
「フェアトレード」の意味や目的を知っていますか?
近年はチョコレートやコーヒーをはじめ、フェアトレードの商品が増えています。
フェアトレードとは、途上国の生産者と先進国の消費者が公正な値段で取引を行う貿易の仕組みです。
ではなぜ今、フェアトレードが注目されているのでしょうか。
また、どのような商品がフェアトレードなのでしょうか。
この記事では、フェアトレードの意味や目的をはじめ、認証ラベルや代表的な商品例を紹介します。
フェアトレードとは?
まずは「フェアトレード」の基礎知識から見ていきましょう。
フェアトレードがどういう意味なのか、行う目的などを詳しく解説します。
フェアトレードは「生産者と消費者の公正な取引」
フェアトレードは直訳で「公正貿易」です。
ここでいう貿易とは、発展途上国の生産者と先進国などの消費者の間のやりとりです。
例えばコーヒー豆について考えてみましょう。スーパーなどで安いコーヒーが売られています。
そしてほとんどのコーヒーが海外からの輸入です。
コーヒーの栽培には年間を通じて安定した気温と降水量が必要なので、国内での生産が難しいのです。
成長したら完熟したものだけを一粒ずつ、手摘みします。
その後、洗浄や乾燥、選別されたものが日本に輸入されます。
これだけ手間がかかるコーヒーが、安いものだと1kgあたり1,000円程度で販売されています。
なぜ、私たちはこんなにも安く購入できるのか……その答えが、不平等な貿易です。
安いものを大量に仕入れるため、生産者に対して安い賃金しか支払わなかったり、生産性を高めるために環境負荷をかけたりしているのです。
不平等な貿易や労働環境を改善するために生まれた「フェアトレード」
不平等な貿易をなくすために生まれたのが「フェアトレード」です。
不当な賃金の支払いは、生産者だけでなく、その家族にも影響を与えます。
家庭に十分な収入がない場合、生きていくために子供も働かなければいけません。
日中は仕事をするため、学校にいけず、大人になっても高い収入を得るのが難しくなってしまうのです。
またフェアトレードは環境保護にも繋がります。
生産性を求めて過度な農薬を使用すると、生産者の健康に影響が出るだけでなく、土地も衰えてしまいます。
また川や海に農薬が流れ出ると、そこに住む生き物たちにも影響が出てくるのです。
フェアトレードはそこで働く人だけでなく、地球環境のためにも必要な選択なのです。
フェアトレードとSDGsの関係性については、下記記事で詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。
関連記事:フェアトレードとsdgsの関係性は?貧困の連鎖を断つ取り組み
日本の「フェアトレード普及率」は低い
フェアトレードの必要性が叫ばれるようになったのは、1940年代のアメリカから。
1960年代に入ると本格的な貿易の仕組みとなりました。
一方、日本でフェアトレードが認知され始めたのは1990年代です。
欧米に比べると、日本でフェアトレードが注目されるようになったのは、30年ほど後になってからでした。
その後も徐々にフェアトレードの認知が広がっているものの、日本での認知度は3割程度(2019年度・日本フェアトレード・フォーラムによる調査から)です。
日本でフェアトレードが普及しない理由など、日本国内での詳しいフェアトレード事情については、こちらの記事で解説しています。
2つのフェアトレード認証ラベル
フェアトレード商品には、認証ラベルが付けられていることがあります。
国際的に知られているのは、主に以下の2つです。
- 国際フェアトレード認証ラベル(Fairtrade International)
- フェアトレード団体(FTO)マーク
他にも、Fair For Life(FFL)やフェアトレードUSAがありますが、今回は有名な2つの認証マークを紹介します。
国際フェアトレード認証ラベル(Fairtrade International)
国際フェアトレード認証ラベル(Fairtrade International)は、世界で最も有名なフェアトレード認証の一つです。
1997年に14の組織(日本含む)によるアンブレラ組織「国際フェアトレードラベル機構」が設立され、2002年に国際フェアトレード認証ラベルが世界統一されました。
国際フェアトレード認証ラベルは、以下の3つの基準を満たしたものだけに付けられています。
- 社会的基準
- 環境的基準
- 経済的基準
原料の生産、輸出入、加工などから完成品になるまでの全工程で、フェアトレード基準が守られている必要があります。
このラベルが付けられた商品は、農場から出荷までのルートを完全に追跡できるとのこと。
日本ではコーヒーやチョコレートなどで見かけることが多いです。
フェアトレード団体(FTO)マーク
フェアトレード団体(FTO)マークは、1989年に世界中のフェアトレード組織が結成したWFTO(世界フェアトレード連盟)が認定する認証ラベルです。
この認証ラベルを取得するには、労働条件や賃金、児童労働、環境などの条件を満たす必要があります。
また取得後も相互評価や外部検証などが継続的に行われ、取得後の不正を防いでいます。
フェアトレード団体(FTO)マークを認定するWFTOには、日本や欧米の輸入団体とアジアやアフリカ、中南米の生産者団体が加盟。
情報公開を行い、透明性のある公正な取引を広めています。
日本ではフェアトレードブランド「Prople Tree」の商品などで見つけられます。
参考:WFTO
認証がなくてもフェアトレードを行っている場合もある
上記のような、認証ラベルがない場合もあります。
中には、上記2つの認証が広まる前から生産者との直ブランドや企業によっては独自の基準を設けている場合もあり、必ずしも全てのフェアトレード商品に認証ラベルが付けられているとは限りません。
公正な取引を行っていたり、より厳しい独自の基準をとっている団体・企業もあります。
手にした商品がフェアトレードであるかは、パッケージや企業ホームページを確認しましょう。
フェアトレード商品なら、どこで誰によって作られたのかが記載されているはずです。
フェアトレード商品の事例
フェアトレードの意味や目的について紹介しました。
次に、どのようなフェアトレード商品があるのか、具体的な事例とともに紹介します。
フェアトレードの例①:コーヒー
フェアトレードコーヒーは、数あるフェアトレード商品の中で最も注目されているものの一つです。
コーヒー豆の値段は、ニューヨークやロンドンの国際金融市場で取引価格が決定されます。
コーヒー豆の生産者が値段を決めているのではないのです。
生産者にとって燃料費がかかろうと、人手を増やして人件費が増えようと、関係なく決められます。
他のフェアトレード商品に比べ、金融価格の影響を直接受けやすい問題があることから、フェアトレードコーヒーが広まっているのです。
実際にどのようなフェアトレードコーヒーがあるのか、おすすめのフェアトレードコーヒーは、こちらの記事で紹介しています。
関連記事:【5選】おすすめオーガニック&フェアトレードコーヒー
フェアトレードの例②:チョコレート(カカオ)
フェアトレードチョコレートも、有名なフェアトレード商品です。
チョコレートの原料であるカカオ豆の世界最大産出国であるコートジボワール。
全世界で1,000億ドル以上の規模を持つチョコレート業界を支えているにもかかわらず、コートジボワールでカカオ豆を生産する人々の生活は厳しい状態にあります。
2020年、シカゴ大学が行った調査によると、コートジボワールでは79万人の子供がカカオ農園で児童労働をしているとされています。
フェアトレードブランド「People Tree」では、さまざまな味のフェアトレードチョコレートが販売されています。
ちょっとしたプレゼントなどにもおすすめです。
フェアトレードチョコレートを選ぶことは、カカオ生産者だけでなく、その国に住む子供の未来を守ることにもつながるのです。
フェアトレードの例③:バナナ
フェアトレード商品の中には、バナナもあります。
フェアトレードバナナの取り扱いは1997年からはじまり、徐々に売上を伸ばしています。
バナナやアボカドなどの販売を行っている企業「タナカバナナ」は、コロンビアとエクアドルからフェアトレードバナナを購入しています。
コロンビアのフェアトレードバナナは、購入すると商品代金とは別に1袋あたり4円のプレミアム金がバナナ生産者に支払われます。
プレミアム金の使用用途は、生産者自身が決められる仕組みです。
参考:タナカバナナ
認証ラベルのついたバナナもあるので、ぜひ探してみてください。
フェアトレードの例④:花
フェアトレード商品に花があるのを知っている人は、あまり多くありません。
フラワーショップなどで販売される花の多くは、大規模なプランテーションで栽培されています。
しかし多くの場所では、農薬や排水が適切に処理されておらず、施設周辺の自然に悪影響を与えていることがあります。
また、生産者自身も農薬などの影響で健康被害を被る場合があるとも言われています。
フェアトレードフラワー(切花)は、2004年ごろから認証が始まりました。
今は東アフリカ諸国とラテンアメリカ周辺で、フェアトレードフラワーが栽培されています。
日本では、株式会社 フラワーオークションジャパンがフェアトレードフラワーを取り扱っています。
フェアトレードを広めるためにできることとは?
フェアトレードは、持続可能な未来のために必要不可欠な貿易の仕組みです。
そんなフェアトレードを広めるため、私たちには何ができるのでしょうか。
今日からできるフェアトレードを広める方法を3つ紹介します。
フェアトレード商品を購入する
まずは、フェアトレード商品を購入すること。
今回紹介した商品以外にも、スパイスや紅茶、コットン製品などさまざまなフェアトレード商品があります。
もし買い物に出かけてフェアトレード商品を見つけたら、購入してみてください。
消費者の購買行動には、社会を動かす大きな力があります。
1人でも多くの人が安いチョコレートよりもフェアトレードチョコレートを購入するようになれば、企業は売上のためにフェアトレードチョコレートを販売するようになるでしょう。
また、プレゼントにもフェアトレード商品はおすすめです。
受け取った側がフェアトレードを知るきっかけになりますし、人や環境にやさしいプレゼントは送り手も気持ちが良いものです。
店舗や会社にフェアトレード商品をリクエストする
もしお気に入りの店舗にフェアトレード商品がなかったら、リクエストするのはいかがでしょうか。
あなたの声をきっかけに、フェアトレード商品の取り扱いが始まるかもしれません。
また会社や学校の食堂や売店にも、ぜひ聞いてみてください。
逗子開成中学高校では、生徒からのリクエストで、給食にフェアトレードのゴマが使用されるようになりました。
参考:逗子葉山経済新聞
多くの人が利用する場所にフェアトレード商品を置いてもらうことで、より早くフェアトレードを広めることができます。
貿易や流通の仕組みを調べる・学ぶ
貿易や品物の流通の仕組みに目を向けることも大切です。
フェアトレードがなぜ必要になったのか、不平等な取引はいつ頃からどのように始まったのか……。
調べていくうちに気付くことや感じる部分があるでしょう。
ぜひ友人や家族と、フェアトレードについて話し合ってみてください。
自分が気づいたことを伝えるだけでも大丈夫です。
1人でも多くの人が興味関心を持つことが、社会問題を解決するためには大切なのです。
まとめ
フェアトレードの意味や目的、具体的な商品事例などを紹介しました。
徐々に広がりつつあるフェアトレードですが、まだ認知が十分とは言えません。
フェアトレードを当たり前の世の中にするためには、1人でも多くの人がフェアトレードを理解し、商品を選択することが大切です。
下記の記事では、フェアトレードの問題点やメリットについて詳しく解説しています。
こちらの記事もぜひご覧ください。
『GREEN NOTE(グリーンノート)』は環境・社会課題をわかりやすく伝え、もっと身近に、そしてアクションに繋げていくメディアです。SDGs・サステナブル・ESG・エシカルなどについての情報や私たちにできるアクションを発信していきます!