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アニヤ・ハインドマーチ「I AM A Plastic Bag」世界的人気の背景|国内店舗情報を紹介

イギリス・ロンドン発のファッションブランド「ANYA HINDMARCH(アニヤ・ハインドマーチ)」が展開する「I AM A Plastic Bag」は、その名の通り、使用済みペットボトルをもとにした“再生プラスチック”からできたトートバッグです。

バッグの前面に「I AM A Plastic Bag」と、大きなロゴが施されているこのシリーズは、そのメッセージ性の高さや、唯一無二のデザイン性が世界中で高く評価されています。

日本国内では、2023年6月時点で、全国5店舗を展開するアニヤ・ハインドマーチ。

本記事では、アニヤ・ハインドマーチのブランドの沿革や、「I AM A Plastic Bag」というプロダクトが生まれたきっかけ、商品開発の背景などを深堀りして紹介します。

アニヤ・ハインドマーチ「I AM A Plastic Bag」とは


出典:「Experience|ANYA HINDMARCH 公式サイト」

ANYA HINDMARCH(アニヤ・ハインドマーチ)のブランド名には、創業者兼デザイナーの女性の名前がつけられています。

アニヤ氏は、1987年にロンドンでキャリアをスタート。

1993年、彼女が18歳の時にフィレンツェでの留学中にバッグ作りを学び、その後、設立されたブランドです。

アニヤ氏は、「クリエイティビティ」「クラフツマンシップ」、そして「パーソナライズできること」の3つの要素を、ブランドの大切なポリシーとして掲げています。

ブランド全体を通して、カラフルな色使いや、ユニークで遊びごころの効いたデザインが特徴的です。

ケロッグなど、他の企業とコラボしたバッグの開発なども積極的に行っています。

慈善家で社会貢献活動にも積極的な彼女は、2001年にチャリティー活動として、「Be a Bag」ラインをスタート。

これは自分の好きな写真をバッグにプリントしてくれるサービスで、収益の一部を寄付することができます。

ケイト・モスや、サー・エルトン・ジョンといった海外セレブたちも、プライベート写真を提供してこの活動に貢献。

売り上げは世界中で30以上の慈善団体に寄付されているといいます。

引用:「英国ユーモアあふれるポップな世界を生む、アニヤ・ハインドマーチ。|VOGUE JAPAN」

2007年発売の「I’m NOT A Plastic Bag」が社会現象に

出典:「I AM A Plastic Bag|ANYA HINDMARCH 公式サイト」

アニヤ・ハインドマーチが世界的に一躍有名になったきっかけは、2007年に発売された「I’m NOT A Plastic Bag」です。

「I’m Not A Plastic Bag(私はビニール袋ではありません)」というロゴが大きくデザインされたキャンバス生地のエコバッグは、レジ袋の削減を目指したプロジェクトとして、イギリスの「We Are What We Do」という非営利団体とのコラボレーションによって、5ポンドで販売されました。

2007年3月にロンドンの店舗や「DOVER STREET MARKET」、パリの「colette」などで先行発売し、4月下旬には英国の大手スーパーマーケット「Sainsbury’s」で販売をスタート。

「Sainsbury’s」の発売初日には、8万人もの人が列をなすほどの大反響だったといいます。

2007年7月には日本国内の直営店などで、2,100円の価格で限定販売されました。

引用:「社会現象にもなったエコバッグ『I’m NOT A Plastic Bag』の現在」

公式サイトの動画によると、この世界中を巻き込んだ「I’m NOT A Plastic Bag」の大ヒットによって、イギリス国内で当時100億枚以上だったプラスチックバッグの生産量が、61億枚までに激減したといいます。

引用:「I AM A Plastic Bag|ANYA HINDMARCH 公式サイト」

さらに、このムーブメントは、イギリス国内でのプラスチックバッグ(レジ袋)に関する議論に火をつけ、ついにはイギリスのレジ袋の有料化へとつながりました。

この一連の「I’m NOT A Plastic Bag」のムーブメントは、イギリス国内だけでなく、世界中で大きな社会的インパクトと共感を呼び、今日のアニヤ・ハインドマーチのブランドとしての基盤をつくったと言えるでしょう。

素材を「使わない」から「循環させる」発想の転換

世界的話題となった「I’m NOT A Plastic Bag」の発売を経て、その後、2020年に発表されたのが「I AM A Plastic Bag」です。

「I’m NOT A Plastic Bag」のオマージュとも言えるようなこのトートバッグは、100%リサイクル素材を使用して生産されています。

主な素材として、バッグひとつ当たりに使用済みのペットボトル(500cc)が32本使用されています。「I AM A Plastic Bag(私はプラスチックバッグです)」という名の通り、まさに再生プラスチックから生まれたトートバッグとなっています。

アニヤ氏によると、「I AM A Plastic Bag」を開発したきっかけは、以前誰かに「なにかを捨てようとしても、そんな場所はどこにもないんだ」と言われたことだったといいます。

「単にプラスチックの使用を減らすことを心がけることから、ものを作る過程において『素材を循環させる』という考えを織り込むことへ、目指すところが変わっていった」といい、この発想の転換によって、新しいイノベーションが生まれました。

引用:「I AM A Plastic Bag|ANYA HINDMARCH 公式サイト」

アニヤ・ハインドマーチ「I AM A Plastic Bag」が人気になった理由

出典:「I AM A Plastic Bag|ANYA HINDMARCH 公式サイト」

「I AM A Plastic Bag」は、どうしてここまで世界的な人気を得たのでしょうか。

主に以下の4つの理由が考えられます。

  • 100%再生素材を使用している
  • ブランド全体でサステナビリティにコミットしている
  • PCも余裕で持ち運びできる抜群の機能性
  • 海外セレブも愛用する「憧れのブランド」としての認知

それでは、順番に解説していきましょう。

100%再生素材を使用している

アニヤ・ハインドマーチの「I AM A Plastic Bag」が国際的に評価されている理由として、第一に「100%再生素材を使用している」点が挙げられます。

「I AM A Plastic Bag」の主な原料は使用済みペットボトルです。

ひとつのバッグを作るのに、32本の使用済みのペットボトル(500cc)が使用されています。

生地のコーティングには、自動車のフロントガラスが割れた際に飛び散るのを防ぐために使われる「PVB」というプラスチック素材が使われており、これによって耐水性と耐久性、そして本物のコットンファブリックのような手触りの良さを実現しています。

バッグに使われるキャンバス生地は、台湾で製造されています。

生地の開発やコーティング技術は、2年の歳月をかけて台湾の企業とともに開発したもので、使われているペットボトルも、台湾国内で回収されたものを使用しているといいます。

引用:「I Am A Plastic Bag FAQ’s|ANYA HINDMARCH 公式サイト」

「I AM A Plastic Bag」の製造工程は、以下の通りです。

  1. 使用済みペットボトルを洗浄する
  2. 上記を砕いたものをペレット状にする
  3. 上記を溶かして繊維状にしたものを取り出して織る
  4. リサイクルしたPVBでコーティングする
  5. フィレンツェの工房でバッグとして仕上げる

台湾でバッグの生地を生産した後、イタリアのフィレンツェでバッグの形に仕上げます。

バッグのトリミングにはレザーを使用しています。

計画当初はリサイクルレザーや合成皮革を使用する案がありましたが、細かいレザーを混ぜ合わせて成形する際に、許容量以上のポリウレタンが必要だったため断念。

その他植物由来のレザーなども候補にありましたが、強度などの問題があったため、最終的には、信頼できるサプライヤーであるレザー・ワーキング・グループ(環境基準監査の国際団体)から「ゴールド」評価を得ているなめしレザーを使うことになりました。

このレザーは北イタリアのタンナリーが食肉産業の副産物として提供しているもので、森林破壊につながらない放牧によって育てられた、トレーサビリティを確保できる素材を使っているといいます。

引用:「I Am A Plastic Bag FAQ’s|ANYA HINDMARCH 公式サイト」

また、バッグの金属パーツは、ステンレスにゴールド・カラーの被膜をPVDと呼ばれる手法でコーティングしており、廃液などの化学的な廃棄物を排出しないことに成功しています。

またその他の素材についても、信頼できる機関から認証を受けた素材として、リサイクルされたナイロンやキャンバス、サテン、スパンコールなどを持続的に使うための準備を進めているといいます。

引用:「企業の社会的責任について|ANYA HINDMARCH 公式サイト」

このように、細部にわたって、原料への徹底的なこだわりを見せる「I AM A Plastic Bag」。

「使い捨て」が前提とされているプラスチックを、おしゃれで丈夫なバッグの生地に織り込むことで、長く大事に使ってほしいという願いが込められています。

ブランド全体でサステナビリティにコミットしている

アニヤ・ハインドマーチでは、商品開発だけでなく、梱包などの細かい過程も含めて、ブランド全体でサステナブルな取り組みを行っています。

2020年の秋冬シーズンから印刷物の使用を最小限にし、オンラインで対応をしています。

どうしても必要となる包装紙やカードなどについては、FSC(Forest Stewardship Council:森林管理協議会)から認証を受けたものを使っています。

その他にも、植物由来の梱包用テープやソイ・インクを使っており、分解させることが難しいプラスティックや発泡スチロール、シリカゲルなどは使用していません。

使用する事務用品なども含めて、サステナブルな取り組みがブランド全体で徹底して行われています。

PCも余裕で持ち運びOK!抜群の機能性

「I AM A Plastic Bag」といえば、その素材の特性についてフォーカスされることが多いですが、もちろん、バッグとしての機能も優秀です。

以下、「I AM A Plastic Bag」のモチーフトートを例に挙げて、機能面の特徴などをまとめました。

  • PCも入るサイズ感(高さ29cm × 横51cm × 奥行15cm)
  • バッグの内側にジッパー付きポケット+3つのカード用スロット付き
  • バッグの表面にDリング付き
  • コーティング加工によって汚れや雨に強い
  • イニシャルをパーソナライズできる(別料金)
  • 価格は10万円〜

アニヤ・ハインドマーチの「I AM A Plastic Bag」は、幅広い年齢層に人気のブランドですが、国内では特に30代後半から40代のアラフォー世代からの人気が高いです。

機能面で特筆すべきなのは、バッグの内側にカード用スロットがついていること。

さっと取り出したいICカードや社員証のほか、よく使うスーパーやドラッグストアのポイントカードなども収納できるので便利です。

幅広で、丈夫なつくりのトートバッグなので、ノートパソコンも余裕で入ります。

平日は仕事用に、休日はショッピングや小旅行にも最適なサイズ感です。

大容量なので、マザーズバッグとしてもおすすめです。

遊び心のあるおしゃれなデザインと、オン・オフ両方で使える抜群の機能性が、「I AM A Plastic Bag」の人気の理由のひとつといえるでしょう。

海外セレブも愛用!「憧れのブランド」としての認知も

「I AM A Plastic Bag」は、単に「エコだから」「サステナブルだから」という理由だけではなく、「憧れのブランド」として世間的に広く周知されています。

その理由として、英国王室や海外セレブたちの存在があります。

アニヤ・ハインドマーチは、故ダイアナ妃やキャサリン妃のほか、エマ・ワトソン、スカーレット・ヨハンソン、ケイト・モス、シエナ・ミラーといった、海外セレブたちの間でも愛用されているブランドだといいます。

引用:「アニヤ・ハインドマーチ / ANYA HINDMARCH|VOGUE JAPAN」

また2017年の「I’m NOT A Plastic Bag」のムーブメントも、新聞やテレビなどのメディアで世界的に取り上げられたこともあり、いわゆる流行に敏感なファッショニスタたちに対しても、潜在的にアプローチできたと考えられます。

アニヤ・ハインドマーチは、「サステナブルなファッションブランド」としてだけではなく、「海外セレブが使う憧れのブランド」としての権威性も確立しているため、もともとSDGsにそこまで大きな興味・関心がなかった層にもアプローチできたといえるでしょう。

日本での展開

出典:「About Anya|ANYA HINDMARCH 公式サイト」

アニヤ・ハインドマーチの店舗は、本拠地・ロンドンのほか、香港、日本と、世界で10店舗以上を展開しています。

では国内の店舗の場所など、具体的な日本での展開についてみていきましょう。

直営店は全国5か所で展開

「I AM A Plastic Bag」が買えるアニヤ・ハインドマーチの直営店は、全国で5店舗を展開しています(2023年6月時点)。

東京の3店舗(新宿、日本橋、玉川)のほか、大阪・阪急うめだ本店、宮城・仙台三越に店舗を構えています。

いずれも、伊勢丹、高島屋、三越など、大手百貨店のなかに展開しているのが特徴です。

代表的な店舗の例として、以下に伊勢丹新宿と阪急うめだ本店で展開するストアの詳細をまとめました。

店舗名:伊勢丹新宿
住所:160-0022 新宿区新宿3-14-1
伊勢丹新宿店本館1F
営業時間:10:00-20:00
MAP:https://goo.gl/maps/YTbgkRiKHdi1FyLt8
店舗名:阪急うめだ本店
住所:530-8350 大阪市北区角田町8-7
阪急うめだ本店1F
営業時間:10:00-20:00
MAP:https://goo.gl/maps/8vV3vWQ2p8bw752H7

オンラインショップで購入する

アニヤ・ハインドマーチの直営店が近くにない場合は、オンラインショップでの購入がおすすめです。

以下、アニヤ・ハインドマーチのオンラインショップについて、送料や返品ポリシーなどの注意点を簡潔にまとめました。

  • 33,000円(税込)以上の購入で送料無料。その他は全国一律800円(税込)
  • 発送は注文日の翌営業日から順次発送(長期休暇などを除く)
  • 国内発送のみ対応
  • お客様都合(サイズが合わない、イメージが違う等)による返品・交換は不可

アニヤ・ハインドマーチの直営店やオンラインショップで購入すると、お買い上げ日から6か月間の保証期間が付きます。

もし修理が必要になった場合は、修理専用のメールアドレス宛に問い合わせをする流れになります。

その際、保証書兼納品書が必要になるので、大切に保管しておきましょう。

なお、海外の直営店やオンラインショップで購入した商品についても、国内での修理に対応してくれるので、万が一のときも安心です。

参考:「アニヤ・ハインドマーチ|公式オンラインショップ」

国内スーパーとコラボしたエコバッグの展開も

出典:「The Universal Bag|ANYA HINDMARCH 公式サイト」

アニヤ・ハインドマーチでは、「Universal Bag」というラインで、世界各国のスーパーとコラボレーションしたエコバッグを限定販売しています。

2023年4月には日本初のコラボとして、東京・南麻布を中心に展開するインターナショナルスーパーマーケット「ナショナル麻布」とアニヤ・ハインドマーチがコラボレーションしたエコバッグが限定販売されました(現在は販売終了)。

リサイクル素材を使用したエコバッグで、カラーはナショナル麻布のシンボルカラーであるグリーンが基調となっています。

バッグの中央には、アニヤ・ハインドマーチのスマイルモチーフがデザインされています。

2,750円(税込)というお買い得価格で販売されたこともあり、販売当初から争奪戦となるほどの人気となりました。

「Universal Bag」シリーズは、世界的にもさまざまなスーパーとコラボしている実績があるので、今後もまた日本のスーパーとコラボしてくれることを期待しましょう。

まとめ

本記事では、アニヤ・ハインドマーチの「I AM A Plastic Bag」について紹介しました。

2007年に「I’m NOT A Plastic Bag」のムーブメントが世界に与えたインパクトは、地続きとなって、さらに磨きをかけながら現在に続いています。

「I AM A Plastic Bag」のプロジェクトでは、ファッション業界に対して、素材を循環させることの大切さを伝えています。

また、人気となった背景には、サステナビリティ観点からのブランドの確立のほか、海外セレブたちの影響も少なからず寄与していると考えられます。

同ブランドでは、カーボン・ニュートラルを実現するための排出量の管理も始めており、今後もサステナブルな取り組みを積極的に行っていく方針です。

日本企業とコラボレーションしたエコバッグ(Universal Bag)も大人気を博したため、今後の国内での多角的なブランド展開が期待されます。

サステナブルでありながら、おしゃれで実用性の高いバッグを開発・販売するアニヤ・ハインドマーチ。

気になる人は、お近くの店舗やオンラインショップを是非チェックしてみてください。

 

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