ESG

いま、求められる社会的インパクトとは|評価方法やインパクト投資についても解説

昨今、SDGs関連のニュースなどで、社会的インパクト(ソーシャルインパクト)インパクト投資といった言葉をよく耳にするようになりました。

どのようなものか具体的に説明できない人も多いかもしれません。

そこで今回は、社会的インパクトの定義や評価方法を解説します。

なぜ今、社会的インパクトが求められているのか?インパクト投資とESG投資の違いは何か?といった点にも触れていますので、ぜひ参考にしてみてください。

社会的インパクト(ソーシャルインパクト)とは

内閣府によると、社会的インパクト(ソーシャルインパクト)とは、短期・長期の変化を含め、当該事業や活動の成果として生じた社会的・環境的なアウトカムと定義されています。

アウトカムとは、なんらかのアクションによって生じた結果や変化、成果などを指す言葉です。

地球温暖化による気候変動をはじめ、人権侵害や男女格差など、世界各地でさまざまな問題が起きています。

こうした中、自社の目先の経済利益を追求するだけではなく、長期的な視点をもって社会課題の解決に貢献しようとする企業が増えてきました。

このように、社会や環境問題を解決するための製品やサービスなどを作り、社会の仕組みを変える動きをソーシャルイノベーションといいます。

関連記事:ソーシャルイノベーションを日本・海外の企業事例とあわせて解説

社会的インパクトを語るうえで切り離せない言葉なので、セットで覚えておきましょう。

社会的インパクトが求められるようになった背景

近年、社会的インパクトが注目されるようになりましたが、それはなぜでしょうか。

これまでは、人数・%・金額・期間といった数値化して見えるのもののみで価値を測ることが一般的でした。

すると、すぐに数字として現れない取り組みや、確実にプラスになる見通しがつかない取り組みはないがしろにされかねません。

しかし、社会課題の解決は短期間で成果が伴うものではなく、長く時間を要するものです。

「社会課題の解決に向けて取り組む事業を定量的・定性的の両面から適切に評価することで、その事業や活動の社会的成果を適切に評価すべき」との潮流が高まったことで、社会的インパクトが注目されるようになりました。

通常、企業などの事業を評価する際に判断指標として用いられるのは定量的、つまり売上金額などの「数字」です。

一方、社会的インパクトでは、結果として生じた社会的・環境的な変化、つまり「影響力(インパクト)」によって評価します。

なお、社会的インパクトにはポジティブな変化だけでなく、ネガティブなものも含まれます。

参考:内閣府|社会的インパクト評価について(2015-2017年度)

社会的インパクトを測る「社会的インパクト評価」

内閣府によると、社会的インパクト評価とは、社会的インパクトを定量的・定性的に把握し、当該事業や活動について価値判断を加えることと定義されています。

社会的インパクト評価によって、当該活動の社会的価値を可視化・検証することが可能です。

資金提供者をはじめとする利害関係者への説明にも役立つでしょう。

社会的インパクト評価により組織内部へ戦略と結果が共有できるため、事業や組織に対する理解が深まります。

参考:内閣府|社会的インパクト評価について(2015-2017年度)

社会的インパクト評価の方法

社会的インパクトは、価値を測るのが難しい概念です。

では、どのように評価するのでしょうか。

社会的インパクト評価の方法には、業種・業界や当該事業の性質により多種多様な方法があります。

一概にはいえませんが、一般的な方法の手順は以下のとおりです。

(1)計画を立てる(Plan)
(2)実行する(Do)
(3)分析する(Assess)
(4)報告・活用する(Report & Utilize)

「計画(Plan)」(1)では、まずロジックモデルを策定します。

ロジックモデルとは、以下4つの要素から成り立つ因果関係のことを指します。

インプット(Input): どのような資源(人・お金・物など)を投入するか
活動(Activities): インプットを使って行われる具体的な行動
アウトプット(Output): 活動によって生み出される結果
アウトカム(Outcome): アウトプットによって最終的にどのような成果につながるか

ロジックモデルが決まったら、何を最終的なアウトカム(成果)とするのか、そのアウトカムをどのように評価するのか、などを決めていきます。

次は立てた計画を実際に、「実行(Do)」(2)し、データを集めていきます。

データが集まったところで、成果が出ているのか、改善点はないかなどを「分析(Assess)」(3)します。

分析結果を社内外のステークホルダー(利害関係者)へ「報告(Report)」(4)し、データを「活用(Utilize)」して、さらに改善を重ねていきます。

参考:Social Value Japan|社会的インパクト評価の概要
参考:Social Value Japan|社会的インパクト評価から社会的インパクト・マネジメントへ

社会的インパクト評価の企業事例


 
前項で社会的インパクトの一般的な評価方法に触れました。しかし、評価方法は企業によって実にさまざまなので、イメージしにくいかもしれません。

そこで今回はケーススタディとして、株式会社坂ノ途中の社会的インパクト評価を取り上げてみましょう。

坂ノ途中は「100年先もつづく、農業を。」を合言葉に、環境負荷の小さい持続可能な農業を広めることをミッションとして、国内外へ事業を展開している会社です。

坂ノ途中は、社会的インパクト・マネジメント・イニシアチブ(SIMI)が主催した「社会的インパクト・マネジメント入門セミナー 〜社会企業の事例から学ぶ営利セクターにおける社会的インパクト・マネジメント〜」でゲストとして登壇しています。

参考:SIMI公式サイト

坂ノ途中の社会的インパクト評価作成手順

メディア担当の横浜さんは、自社が与える社会的インパクトを測る研究室にアサインされており、セミナーの中では社会的インパクト評価を作成する過程について語っています。

  1. アウトカム探し
  2. テンプレート作成
  3. シンプル化
  4. ブラッシュアップ×10
  5. KPIの洗い出しと選定

という手順で進めたそうです。

1のアウトカム探しでは、「自社が誰にどのような変化をもたらしているか?」を各部門のマネージャーから意見を募るところから始めました。

その意見をもとに、アウトカムをはじめ、インプット・アクティビティ・ターゲット・アウトプット・ビジョンを作成し、シンプルにしていきます。

この過程で、イシュー(解決したい社会課題)をまず選定することがポイントだと述べています。

ブラッシュアップを何度も重ね、最終的なアウトカムである「農業と暮らしの持続可能化」にきちんとつながっていくか、その達成のために、自分たちは誰に対して何をしていて、どのような変化を生み出しているか(生み出したいのか)をまとめました。

セミナー開催時の2022年11月時点では、KPIの洗い出しと選定(各アウトカムに対しどのような指標で測れば、達成に貢献しているといえるのか)に取り組んでいるとのことでした。

参考:SIMI|社会的インパクト・マネジメント入門セミナー 〜社会企業の事例から学ぶ営利セクターにおける社会的インパクト・マネジメント〜

参考:坂ノ途中|坂ノ途中の報告書(2021-2022)

社会課題の解決を後押し!インパクト投資

インパクト投資とは、社会課題の解決を図るとともに、経済的な収益をもたらす投資活動のことです。

「経済的リターン」を得るだけでなく、社会へのポジティブな影響(社会的インパクト)の2つをともに達成することを目指します。

一般的に、投資の意思決定にはリスクとリターンを判断指標とします。

インパクト投資はリスクとリターンに加え、社会的インパクトを考慮する点が大きな特徴です。

社会貢献に関心の高い投資家たちから注目を集めています。

インパクト投資とESG投資の違い

インパクト投資とよく混同される概念として、ESG投資が挙げられます。

ESG投資のESGとは、環境(Environment)・社会(Social)・ガバナンス(Governance)の頭文字をとったものなので、この3つに配慮した投資を指します。

インパクト投資もESG投資と大枠は同じですが、インパクト投資は特定の社会課題解決を目的とした投資です。

ESG投資は長期的な視点でリスクの削減と企業価値の最大化を図ることに重点を置きますが、インパクト投資では長期的・短期的かは問いません。

参考:一般財団法人 社会変革推進財団(SIIF)|インパクト投資

まとめ

社会課題に向き合い、私たちの社会をよくしようと奮闘する企業が増えているのはうれしいことです。

ただし、「何となく社会にいいことをしている」だけでは不十分とみなされてしまうことが今後増えてくるでしょう。

定量的・定性的に可視化することが求められます。

評価の仕組みを作るのは容易ではありません。

しかし、こうした動きが波及していくことで、誰一人取り残されない、持続可能な社会が実現できるはずです。

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