ESG

パーパス経営とは|注目されている背景や日本企業の事例まで分かりやすく紹介

近年、ビジネス環境で「パーパス経営」を取り入れる企業が増えています。

企業理念とは異なり、パーパス経営の目的は、持続可能な社会の構築や長期的な利益の追求です。

特にSDGsへの関心やVUCA時代の到来、ESG投資の注目が増す中で、その重要性が一層増しています。

本記事では、パーパス経営の定義や実践方法、さらに日本における具体的な企業事例も詳しく紹介します。

これからさらに注目されるであろう「パーパス経営」について、この機会に理解を深めましょう。

パーパス経営の定義

 

パーパス経営とは、企業が存在する理由や社会的な使命(パーパス)を明確にし、それを中心に経営を進める手法です。

パーパス経営の本質は、単なる利益の追求ではなく、社会全体に対する貢献や持続可能な発展を目指すことにあります。

これにより、企業の活動や戦略の基盤が形成されます。

日本でも、パーパス経営はこれからの経営手法として認識され始めました。

多くの有名企業が取り入れています。

参考:パソナグループ「パーパス経営とは?企業理念との違い、注目される理由を解説」

企業理念との違いとは?

パーパス経営と比較されたり、混同されたりするものとして「企業理念(ミッション・ビジョン・バリュー)」があります。

企業理念は、主に以下の内容を織り込んだものです。

  • ミッション:「何をするのか」を示し、会社の目的や使命を指定
  • ビジョン:「いつ、どこで」を示し、将来的に目指す姿や到達点を指定
  • バリュー:「どのように」を示し、企業の行動指針や価値観を決定

企業理念は「企業の経営に対する価値観」を主体としている一方で、パーパス経営は「社会や対外的な視点」が主体です。

パーパス経営は企業理念と連携させることで、より強力な経営の指針になるといわれています。

参考:NTT FINANCE Biz「パーパスとは?経営理念との違いや具体例を紹介」

なぜパーパス経営が注目されているのか

パーパス経営に注目が集まる背景には、以下の3つの要因があります。

  • SDGsへの意識の高まり
  • VUCA時代の到来
  • ESG投資の拡大

1つずつ解説します。

SDGsへの関心の高まり

パーパス経営が注目されるきっかけとなった背景に、SDGs(持続可能な開発目標)への意識の高まりがあります。

2015年に国連サミットで採択されたSDGsにより、環境問題や社会課題への関心が世界中で高まっています。

これに伴い、企業にも持続可能な社会の実現に向けた貢献が求められるようになりました。

SDGsの採択を機に、企業は社会に対する存在意義や価値観を明らかにして、どのような取り組みが必要か、事業の方向性を再検討する必要に迫られました。

このような背景から、パーパス経営を取り入れる企業が増加しています。

参考:JMAM:「パーパス経営とは|メリットや取り組み方から企業事例までを徹底解説」

VUCA時代の到来

パーパス経営が注目されたきっかけには、VUCA(ブーカ)時代の到来もあります。

VUCAとは、以下の頭文字を取ったものです。

  • Volatility:変動性
  • Uncertainty:不確実性
  • Complexity:複雑性
  • Ambiguity:曖昧性

VUCAという言葉は、将来の予測が難しい時代となりつつある現代を表現しています。

VUCA時代は、今までの戦略や計画が通用しにくくなっており、企業は迅速かつ柔軟な対応を求められます。

企業がこれからも生き抜くためには「何のために自社が存在するのか」「どのような行動指針に基づいて仕事をすべきか」を明確にし、全社員で共有する必要があります。

このようにVUCA時代に適応するために、パーパス経営が有効とされ、多くの企業で取り入れるようになりました。

参考:JMAM:「パーパス経営とは|メリットや取り組み方から企業事例までを徹底解説」
参考:TUNAG「パーパス経営とは?浸透させるポイントや従業員エンゲージメント向上の必要性について」

ESG投資の拡大

パーパス経営が注目されたきっかけとして、他にもESG投資の拡大があります。

ESGとは、以下の頭文字を取ったものです。

  • Environment:環境
  • Social:社会
  • Governance:企業統治

ESG投資とは「環境・社会・企業統治」という3つの課題解決に取り組む企業への投資を指します。

近年でも、投資家は「環境や社会に貢献している企業かどうか」という企業価値創造の観点から、投資先を選ぶようになりました。

企業でも自社の強みを生かしながら、社会的役割や存在価値を明確に示す必要性が高まってきたのです。

参考:JMAM:「パーパス経営とは|メリットや取り組み方から企業事例までを徹底解説」

パーパス経営を実施するための方法

パーパス経営を実施するための主な手順は、以下の3つです。

  1. ステークホルダーと自社の分析
  2. パーパス経営の言語化
  3. パーパス経営の実行

1つずつ解説します。

①ステークホルダーと自社の分析

パーパス経営を実践するための第一歩として、関係するステークホルダーと自社の分析を行います。

ステークホルダーと自社の分析をすることで、自社の現状や強み・弱みを把握でき、パーパスがさらに検討しやすくなります。

分析したら、その結果をもとに自社の目的や存在意義を「再定義」することが大切です。

再定義の際は、社会において自社のニーズはどのようなものか、自社の強みは何かを見いだし、それらが交差する部分を深掘りして、経営理念やミッションステートメントに反映させると良いでしょう。

参考:モチベーションクラウド「パーパス経営とは?メリットや具体的な取り組み方企業事例を解説」

参考:タナベコンサルティング「パーパス経営とは?メリットや実践する手順、日本企業の事例まで紹介」

②パーパス経営の言語化

次に、パーパスを言語化します。言語化のポイントは、分かりやすくシンプルにし、自社がどのような志でどのように社会に貢献するのか、自社の存在意義を端的に表す言葉が良いでしょう。

パーパスを言語化したらすべての従業員がパーパスを理解し、浸透させます。

参考:リクルートマネジメントソリューションズ「パーパスとは? 注目される背景から策定方法やポイント、事例を解説」

③パーパス経営の実行

パーパス経営する上で、1番重要なのがパーパス経営の実行です。

そのためには、社内に浸透させ、行動に落とし込まなくてはいけません。

社員一人ひとりの行動にもつなげるため、企業活動はすべてパーパス経営がベースになるように展開します。

パーパス経営の推進には、組織体制の見直しが求められるケースもあります。

また、商品やサービスにパーパスを反映させるのも、実行を促進する有効な方法です。

参考:リクルートマネジメントソリューションズ「パーパスとは? 注目される背景から策定方法やポイント、事例を解説」

パーパス経営を実践している日本企業の紹介

近年、日本でもパーパス経営への関心の高まりも相まって、多くの有名企業でも経営手法を取り入れています。

ここでは、パーパス経営の実践法について、具体的な事例を交えて紹介します。

味の素

味の素のパーパスは「アミノ酸のはたらきで食習慣や高齢化に伴う食と健康の課題を解決し、人びとのウェルネスを共創します」というものです。

味の素グループでは、事業を通じて社会価値と経済価値を共創する取り組みによって成長してきたとして、取り組みを「ASV(Ajinomoto Group Shared Value)経営」と称し、現在もこの経営方針が基本です。

味の素では「ASVエンゲージメントを高める施策」として「個人目標発表会」や「ASVアワード」といった成果評価を行うなどして、従業員への浸透を図っています。

参考:消費者庁「味の素グループのパーパス経営の実践について」

良品計画

良品計画のパーパスは「感じ良い暮らしと社会」の実現です。

良品計画では、社員一人ひとりが「社会や人の役に立つ」という基本方針のもと、社会や地域の多様な人々と協働しながら良い企業活動を行っています。

企業活動を通じて「感じ良い暮らしと社会」実現へとつながるよう、組織全体で最大限に発揮できるように取り組みを進めています。

参考:無印良品「人的資本に関する基本的な考え方」

パナソニック

パナソニックでは「物と心が共に豊かな理想の社会の実現」というパーパスを掲げています。

そしてそのブランドスローガンとして、「幸せの、チカラに。」を発表しました。

変化する世界の中でもお客様に寄り添い、持続可能な「幸せ」を生みだす「チカラ」であり続けたい思いを表現したものです。

パナソニックグループのすべての事業で、顧客一人ひとりの「幸せの、チカラに。」なれるよう、顧客の期待を超えるような優れた商品やサービスを提供することを目指しています。

参考:パナソニック「パナソニックグループの存在意義(パーパス)を表すブランドスローガン『幸せの、チカラに。』を発表」

まとめ

本記事では、パーパス経営を紹介しました。

パーパス経営とは、ビジネスにおいては企業が社会に対して存在する目的や果たす役割、存在意義を示したものです。

企業理念とは似て非なるものになります。

パーパス経営は「社会や対外的な視点」に重点をおく一方で、企業理念は「企業の経営に対する価値観」を重視します。

近年、日本の多くの有名企業がパーパス経営を取り入れており、実践にはステークホルダーの分析、パーパスの言語化、社内への浸透が不可欠です。

パーパス経営の重要性は、SDGsへの意識の高まりやVUCA時代の到来、ESG投資の拡大などの背景から高まりつつあります。

この機会に、パーパス経営に注目してみてはいかがでしょうか。

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