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【SDGs】ゴミ問題の現状は?解決に向けて実践したい6つのこと

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2019年11月、英スコットランドの海岸にクジラの死体が打ち上げられたニュースが、悲惨なニュースとして注目を集めました。

解剖したクジラの胃から出てきたのは、なんと100キロものプラスチックなどのゴミの塊だったからです。

タイやフィリピンにおいても同じような痛ましい事例が発生しており、現在、経済成長や人口増加にともない、ゴミ問題が深刻化しています。

現状を改善するために私たちには何ができるのか、今回はSDGsとゴミ問題の関係性を詳しく解説します。

【日本・世界】ゴミ問題の現状に目を向けよう

日本と世界が深刻に捉えているゴミ問題の現状を解説します。

世界のゴミ問題

経済成長と人口の増加にともない、ゴミ問題は世界規模で見ても深刻化しています。

【世界】ゴミの排出量ランキング1位は中国

世界全体では、毎年21億トンもの廃棄物が発生しています。

ゴミの排出量が多い国と、総量に対する割合、世界全体に対する人口比率は以下の通りです。

総量に対する排出量比率 世界全体に対する人口比率
1位 中国 15.5% 18%
2位 インド 12% 17.5%
3位 アメリカ 12% 4%
4位 インドネシア 3% 3%
5位 ブラジル 4% 3%

出典:「US tops list of countries fuelling the waste crisis」(Verisk Maplecroft)

一見、ゴミの排出量は人口に比例していると読み取れます。

しかし、インドとアメリカの数値を見ると、アメリカの人口はインドの4分の1ほどにもかかわらず、排出量比率は12%と同じです。

つまり、アメリカのほうが一人あたりのごみの排出量がより多いということです。

特に問題視されているのは「プラスチックゴミ」

世界のゴミ問題として特に重要視されているのが、海に流されるプラスチックゴミです。

海に流れ出るプラスチックゴミの量は世界全体で年間約800万トンにもなり、今まで海に廃棄された合計は1億5000万トンになるといわれています。

800万トンという量を飛行機にたとえると、約5万機に相当します。

中国では現在、埋立地が限界を超え、郊外や川にあらゆるゴミが不法に捨てられています。

海洋プラスチックゴミの発生量の推計は以下のとおりです。

年間排出量の推計値
1位 中国 353万t
2位 インドネシア 129万t
3位 フィリピン 75万t
4位 ベトナム 73万t
5位 スリランカ 61万t

出典:「海洋プラスチック問題について」(環境省)

海に流れ出たプラスチックゴミは、海流によって世界各地に漂着します。

特に漂流ゴミが集まっている北太平洋の海域は「太平洋ゴミベルト」と呼ばれ、その大きさは日本の面積の4倍近くに及びます。

現在海洋に漂着しているプラスチックゴミの発生源は中国、インドがほとんどです 。

また、プラスチックゴミの発生量の上位国はほとんどがアジアであることが分かっています。

出典:「海洋プラスチック問題について」(環境省)

アジア諸国では、経済成長と人口増加によって、プラスチックを含めたゴミの量が急激に増加しています。

さらに、ゴミ収集システムの整備が不十分である地域が多く、そもそも存在していないことも珍しくありません。

プラスチックゴミの問題点は、自然に分解されることがほとんどないことです。

ベトナムやタイのマングローブ林にはプラスチックごみが溜まり、フィリピンの湾岸では住民が当たり前のようにゴミを捨てている現状があります。

「地上の楽園」ともいわれるバリ島でさえ、大量のゴミが海岸線に漂着しているのです。

これらは誰かが回収しなければ、誰かが処理しなければ、なくなることはありません。

いつまでも、美しい景観と環境を汚し続けるのです。

また、海洋プラスチックは、ウミガメなどが食べ物と間違って飲み込む場合があり、海の生き物の死因にもつながります。

さらに、プラスチックが海中で細かく砕けてマイクロプラスチックになり、それを小さな魚などが誤って食べることも問題のひとつです。

マイクロプラスチックは食物連鎖を通じて、最終的に人間にも悪影響を及ぼすおそれがあります。

出典:「海洋プラスチック問題について」(WWF)

日本におけるゴミ問題

2019年の1年間に日本の一般家庭から排出されたゴミの量は、なんと4,272万トンにもおよびます。

1人が1日当たりに排出する量に換算すると918グラムで、すべての日本人が毎日1キログラム近いゴミを出し続けている計算になります。

日本ではゴミを燃やして処理する焼却処分が主流で、2019年には約3,000万トンが処理されました。

そのほかのゴミは、リサイクルできたものが840万トン、埋め立てなどの処理をしたものが380万トンあります。

出典:「一般廃棄物の排出及び処理状況等(令和元年度)について」(環境省)

日本は世界的にゴミを焼却する割合が最も高く、OECD全体の22%と比べて、日本は77%にも上ります。

出典:「Municipal waste disposal and recovery shares, 2013 or latest」(OECD)

ゴミを焼却処分する際に発生する多くの二酸化炭素は、地球温暖化の原因にもなり、地球に悪影響を与えることが懸念されています。

環境省の見解によると、今後ゴミの埋め立て地は20年ほどで溢れると言われています。

新しい施設を設置するとしても、有害物質による健康被害など、周辺環境へ影響を与えることから難しい側面もあります。

現在、リサイクル技術の向上によって施設の想定寿命は伸びてきていますが、発生するごみ処理技術にはまだ課題があるといえます。

また、この一般廃棄物のうち容積比率で最も多いのがプラスチック類です。

紙類8.6%、金属類4.2%、ガラス類1.0%に対して、プラスチック類は49.4%です。

出典:「容器包装廃棄物の使用・排出実態調査の概要(令和2年度)」(環境省)

日本の廃プラスチックの主要輸出国は中国でした。

中国は資源不足への対応策として廃プラスチックを受け入れていましたが、環境汚染の深刻化により2018年から輸入が禁止されています。

このため、日本では廃プラスチックの削減も課題のひとつです。

現在はベトナムや台湾、マレーシアに輸出されるようになり、加えて国内での処理量も増えました。

ただし、処理能力にも限界があります。

根本的な課題解決を考えるのであれば、そもそもプラスチックゴミを減らさなければならないとの考えも必要になるでしょう。

SDGsとゴミ問題はどう関係しているの?

それでは、SDGsとゴミ問題にはどのような関連があるのかを説明しましょう。

SDGsの目標11「住み続けられるまちづくりを」

SDGsの目標11は、誰にとっても安全で快適な街づくりを目指す項目です。

現在、都市部への人口集中が深刻化しており、2030年には世界人口の約60%が都市部に住むようになると言われています。

人口が集中すればするほど、都市部の機能は充実させていかなければなりません。

一方、安全面や環境面に問題があると、人々に多大な影響を与えることになります。

たとえば、ゴミが私たちの住む街に放置されるとどうなるでしょうか。

街の景観が悪くなるだけではなく、不衛生でカビや臭い、感染症リスクの増加などによって人々の健康面に悪影響が出るでしょう。

SDGs目標11のゴミ問題におけるターゲットを達成するためには、以下のような取り組みが必要です。

  • 廃棄物の発生抑止・削減・再利用
  • 資源効率性(※)を高める

(※)資源効率性・・・地球環境に対する影響を最小化しながら、持続可能な方法で限りある資源をどの程度効率的に利用しているかを表す指標。

SDGsの目標12「つくる責任つかう責任」

SDGsの目標12では、人々が生活するための生産活動と消費のサイクルを最適化して、将来的に快適な暮らしを続けていけることを目指しています。

限りある地球の資源を大切に使用するためには、余分な廃棄物の量を大幅に減らすことが大切です。

たとえば、現在捨てられているゴミの中には、まだ食べられるにもかかわらず廃棄される「食品ロス」が多くあります。

特に日本は食品ロスが多く、2019年には年間に570万トンもの食品が廃棄されました。

これは、すべての国民が毎日ご飯を茶碗1杯分捨てている状態に近いとされています。

食品ロスをはじめ、Reduce(発生抑制)、Reuse(再利用)、Recycle(再生利用)の「3R」を意識して生活することが重要です。

出典:「食品ロスとは」(農林水産省)

SDGsの目標14「海の豊かさを守ろう」

海洋ゴミを減らして生物や資源を守るための取り組みも、SDGsの目標として定められています。

特に先述したプラスチックゴミは、海の生態系や人体に悪影響を及ぼすおそれがあります。

プラスチックゴミは、海の中で細かく砕けることで「マイクロプラスチック」と呼ばれる状態になり、魚などが誤って食べることがあります。

魚が飲み込んだプラスチックは、食物連鎖を通じて人の体内にも入り、人体への悪影響も懸念されています。

マイクロプラスチックは小さ過ぎるため、簡単には人の手で回収できません。

また、日本国内のリサイクル工場の処理能力は高まってきているものの、廃プラスチック量は多いままです。

これは、分別がきちんとなされていないことや、食品容器・ペットボトルがリサイクルできるほどきれいな状態でないことが原因です。

海の豊かさを守るためには、「そもそもプラスチックゴミを出さないこと」「リサイクル意識を高めること」が重要といえます。

関連記事:SDGsとプラスチックごみの関係を学ぼう!今からできる取り組みを紹介

ゴミ問題の解決に向けて私たちができること

ゴミ問題の解決に向けて私たちにできることを紹介します。

エコバッグを持参する

2020年から日本のレジ袋は有料化され、現在ではエコバックを持ち歩くことが習慣化している方も多いでしょう。

レジ袋の使用率を減らすことは、プラスチックゴミを減らすため、身近な買い物で誰でも取り組める活動だといえます。

国民に浸透しつつあるエコバックをとおして、一人ひとりがゴミ問題や海洋プラスチックゴミに関心を持ち、少しでもゴミを減らす意識をもつことが重要です。

YKK AP株式会社では、全従業員へエコバッグの配布をおこないました。

正社員だけでなく、派遣社員や請負社員も含めた17,000人へ配布し、全社的に新しいライフスタイルを推進しています。

タンブラーや水筒を使う

タンブラーや水筒を持ち歩くことで、ペットボトル飲料を買わずに済みます。

仮に毎日外出時にペットボトル飲料を購入していた場合、この取り組みによって1ヶ月に約30本分のペットボトル廃棄を削減できるでしょう。

また、最近はマイボトルだけではなく、使い回しできるシリコン製や磁器製のマイストローを販売する企業も増え、プラスチックストローの削減を目指すところも多くなりました。

企業によっては、マイボトルに対応したり、提供する商品に紙製のストローを導入したりと、ゴミ削減のためにさまざまな対策が行われています。

スターバックスコーヒージャパン株式会社では、使い捨てのプラスチックストローを全廃し、使い捨てストローはすべてFSC認証(※)紙製で提供しています。

これにより、年間でおよそ2億本ものプラスチックストローが削減できるとしています。

(※)FSC認証・・・適切な森林管理が行われていることを認証する国際的な制度

また、タンブラーやマグカップなどのマイカップを持参した顧客に対して、本体価格から20円割引するサービスも提供するなど、サステナブルなアクションを自発的にしてもらうための仕組みづくりもされています。

環境に配慮した製品を選ぶ

近年は、再生可能な資源であるバイオマス原料 を使ったプラスチックや、自然界で分解される生分解性プラスチック製品が増えています。

また、シャンプーや洗剤など詰め替え可能な商品を日常的に見かけるようになっており、企業側のゴミを減らす活動が盛んになりました。

しかし、どんなに環境に配慮した製品が増えたとしても、消費者である私たちが利用しなければ意味がありません。

企業も個人も気持ちをひとつにして、地球に優しい製品を選ぶようにしましょう。

サントリーグループでは、「プラスチック基本方針」を策定し、100%サステナブル化を目指すなど、サステナビリティ経営を推進しています。

2021年には、米国のアネロテック社と共同で、植物由来原料100%のペットボトルを開発しました。

2030年までに目標を達成できるよう、実用化への動きも進んでいます。

食品ロスを出さない

食品ロスは資源の無駄になるだけではなく、焼却処分する際に大量の二酸化炭素を放出することにもつながります。

そのため、家庭でも食品ロスを減らす取り組みが重要です。

食材を買うときには必要以上に買いすぎないよう注意し、外食では食べきれる量だけを注文するようにしましょう。

企業側としても、フードバンクとの提携や、賞味期限が近い商品を割引して販売するなどの取り組みが行われています。

株式会社吉野家ホールディングスでは、「製造段階」「物流段階」「店舗段階」における食品ロスの削減に取り組んでいます。

製造段階では、規格外商品をハンバーグやドレッシングの具材に、不可食部分は動物園への飼料として提供しています。

物流段階では補完の精度を高めて品質維持に務め、劣化による廃棄を防止しました。

また、店舗段階では自動発注システムの導入により、1日の販売予測に応じた発注を行うことで、売れ残りを防ぐ取り組みをしています。

「5R」を実践する

5Rとは、もともとあった「3R」のReduce(発生抑制)、Reuse(再利用)、Recycle(再生利用)に、Refuse(断る)とRepair(修理)を追加した環境保全のための心がけです。

私たちが実践する際は、ここまでに紹介してきた取り組みに加え、洋服や家具などの物を大事に使い、修理しながらでも長く使い続ける意識をもつことが重要です。

企業では、容器包装や商品の軽量化、使い捨て商品を製造しないなど、すでに5R実践のための幅広い取り組みが開始されています。

株式会社大丸では、8年前から靴磨きサービスを提供しています。

メンテナンスや修理を100円以上の募金で受け付けており、靴の寿命を伸ばすことや、ゴミの削減に貢献しています。

また、「梅雨時期にも長く使える」をテーマに、ゴアテックスを使ったビジネスシューズも販売しています。

地域の清掃活動に参加する

身近なゴミ拾いも私たちにできる活動のひとつです。

清掃活動などのボランティアに参加することで、動物が誤ってプラスチックゴミを飲み込むなど危険性を減らし、地域の環境衛生を整えることにつながります。

イオン株式会社では、1991年から「クリーン&グリーン」キャンペーンをおこなっています。

公共施設・用地の清掃や空き缶回収活動、献血活動やチャリティーバザールへの支援活動、また学校・公園での植樹活動や花の寄贈など、幅広く社会貢献活動を行っています。

まとめ

経済成長や人口増加の影響により、ゴミ問題は世界全体で深刻化しています。

日本においては、今後20年ほどで埋め立て地が溢れると言われています。

同じく埋め立て地の容量が限界を超えた中国では、ゴミが町や河に散乱している現状があります。

景観を汚すだけではなく、健康被害にもつながるため、一刻も早くの対策が必要です。

陸地で発生したゴミは海にも流れ出ます。

海洋プラスチックが細かく砕けてマイクロプラスチックになれば、生態系や人体にも悪影響です。

近年は多くの企業でプラスチック使用量を減らすための取り組みが事業として行われています。

私たち個人も、エコバックやマイボトルの活用、食品ロスを出さない買い物など、毎日の生活の中で少しずつ使用量・廃棄量を減らすための工夫をしましょう。

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GREEN NOTE編集部

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